ソニーは2017年9月11日、ホームシアタープロジェクターの新モデルとして、ネイティブ4Kパネル採用の「VPL-VW745」を発表した。上位機にも採用されたソニー独自の液晶パネル「4K SXRD」やレーザー光源「Z-Phosphor」を搭載する。発売日は12月9日予定で、市場想定価格は170万円(税別)。
ソニー「VPL-VW745」
「VPL-VW745」は、ネイティブ4K解像度(4096×2160ドット)対応プロジェクター。2017年9月に開催されたコンシューマーエレクトロニクスショー「IFA2017」でひと足先に発表された「VPL-VW760」と同じもので、このたび国内でも正式発表となった(海外モデルと型番が異なる)。
ラインアップ上ではミドルハイクラスに置かれ、価格的には2016年3月に生産完了となった「VPL-VW1100」と同じポジションになる。「VPL-VW1100」が生産完了になって以降、同社は最上位機「VPL-VW5000」(実売800万円)と、ミドルクラスのスタンダードモデル「VPL-VW535」(実売100万円)を新たに投入しているが、今回登場した「VPL-VW745」はその間を補う存在だ。同社によれば「この価格帯の製品を出して欲しいとするユーザーの声も多かった」とのこで、そういうファンの声に答えたのが本機になる。
「VPL-VW745」には、スペック的な点での目新しさは感じられないが、上位機にも採用された独自の映像技術を搭載することで、画質と価格のバランスをとっているのが特徴だ。
画質面では、映像素子にソニー独自の4K液晶パネル「4K SXRD」を、光源にも独自のレーザーダイオード「Z-Phosphor」を採用。光源寿命は約2万時間で、明るさは2000lm、ダイナミックコントラストが∞:1。HDMI 2.0準拠により18Gbps伝送に対応し、4K/60p/HDR信号にも対応した。HDRはHDR10とHLGの両方をサポート。自動切り替えも可能だ。ちなみに、これまでできなかった入力信号詳細表示も可能になり、トラブルシューティングに役立つとしている。
映像入力はHDMI×2。そのほかコントロール端子として、LAN、USB、REMOTE(RS-232C)、IR IN(ミニジャック)、トリガー×2(ミニジャック)を搭載する
また、上位モデルと同等の画質調整機能も搭載される。映像に合わせた超解像処理を行う「データベース型超解像処理LSI(リアリティークリエーション)」、色バランスのズレを自動補正する「オートキャリブレーション」、動きの速い4K映像をくっきり滑らかに表現する「4Kモーションフロー」、ゲーム用遅延低減モードなど、おなじみの機能も盛り込まれている。そのほか、3D機能に業界標準規格の「フルHD 3Dグラス・イニシアチブ」準拠の無線方式3Dを採用している(3Dメガネは別売)。
なお、レンズは、「VPL-VW1100」で採用されていた「ARC-F(All Range Crisp Focus Lens)」ではなく、下位モデルの「VPL-VW535」に使われているレンズの改良版とのこと。そのため、ミドルハイクラスに置かれてはいるが、型番は新しい700番台となっている。ただ、プレス向け内覧会でその絵を見るに、以前見た「VPL-VW535」よりワンランク上の画質を実現しているようだ。高コントラストによる発色のよさや暗部のすぐれた諧調表現はかなりの見応えだった。
本機は奥行がコンパクトになったのも特徴。本体サイズは560(幅)×223(高さ)×495(奥行)mmで、「VPL-VW1100」の奥行640mmから、145mmほどコンパクトになった。排気口は従来同様、壁から5cm離す必要はあるが、より狭いところにも置きやすくなっている。
また、エアフローは、前面吸気、背面排気を採用。排気の熱い空気による影がスクリーン上に映る(かげろう現象)の影響による画質低下も抑えた。
同じミドルハイクラスに置かれた「VPL-VW1100」に比べて、奥行は145mmほど短くなっている
投写時のかげろう現象を防ぐため、エアフローは前面吸気、背面排気となる
このほかの細かいスペックは以下の通り。投写サイズは60〜300型。映像入力は、HDMI×2(HDCP 2.2対応)。カラースペースは、BT.2020、BT 709。レンズシフトはV±80%、H±31%。本体サイズは560(幅)×223(高さ)×495(奥行)mm(レンズ含む)、重量は約20kg(レンズ含む)。動作音は24dB。消費電力は最大430W/待機0.4W。
「VPL-VW745」の付属リモコン
液晶パネルにソニー独自の「4K SXRD」を、光源に高圧水銀ランプを採用した、ソニーのネイティブ4Kプロジェクターの廉価モデル「VPL-VW245」
また、ソニーのネイティブ4Kプロジェクターの廉価モデル「VPL-VW245」も発表された。市場想定価格は55万円(税別)で、4Kホームシアターの普及価格帯モデルだ。搭載されている映像素子は、上位機同様のソニー独自液晶パネル「4K SXRD」だが、光源にはレーザーではなく、高圧水銀ランプを採用している。4K/60p/HDR信号に対応(最大13.5Gbps)し、HDRはHDR10とHLGに対応。自動切り替えもサポートする。高解像度化技術として、「データベース型超解像処理LSI(リアリティークリエーション」を搭載するほか、ゲーム用遅延低減モードも搭載されている。
そのほか細かいスペックだが、明るさは1500lm、ランプ寿命は約6000時間。レンズシフトは、V+85%で-80%、H±31%。本体サイズは496(幅)×195(高さ)×464(奥行)mmで、重量約14kg。動作音は26dB。消費電力は最大350W/待機0.3W。
映像入力はHDMI×2。そのほかコントロール端子として、LAN、USB、REMOTE(RS-232C)、IR IN(ミニジャック)、トリガー×2(ミニジャック)を搭載している
本体サイズは496(幅)×195(高さ)×464(奥行)mmと占有面積も小さい。なお、壁から離す距離は6mmとなっており、設置するときの自由度も高くい
「VPL-VW245」の付属リモコン