レビュー
素材や形状の違いで音がどう変わるのか徹底比較!

高コスパで話題の“SATOLEX”ハイレゾ対応イヤホン5モデル一斉レビュー

近年のヘッドホン&イヤホンの盛り上がりに呼応して、ここ2〜3年でさまざまな新ブランドが登場している。SATOLEX(サトレックス)もそんなブランドのひとつで、Bluetoothモジュールをはじめとする携帯電話部品や自動車部品を手がける大阪の情報通信機器メーカー、ホシデンが2015年に展開をスタート。最初のモデルとなったD-note搭載のデジタルヘッドホン「DH291-D1」では、メイドインジャパンならではの品質の高さと良質なサウンド、それでいて高いコストパフォーマンスを確保していることが大いに話題となっていた。

高コスパで話題の “SATOLEX” ハイレゾ対応イヤホン5モデル一斉レビュー

その後、2016年には「Tubomi」シリーズとしてカナル型イヤホンの展開をスタート。筐体の素材違いや派生モデルも含めて、現在6モデルがラインアップされている。

TubomiシリーズをメインとしたSATOLEXのイヤホンは、2018年3月現在、すべて同じ9mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載、すべての製品がハイレゾ対応をアピールする。いっぽう、外観デザインは一般的なカナル型イヤホンのTubomiシリーズに加えて、耳掛け型+MMCXリケーブル採用の「DH303-A1 【Tumuri】」の2タイプがラインアップされている。Tubomiシリーズは3千円台から、リケーブル採用のTumuriシリーズも7千円を切る価格と、国産メーカーのハイレゾ対応イヤホンとしてはなかなかに高コストパフォーマンスなのも魅力のひとつだ。ということで、今回は各モデルそれぞれの音質的な特徴を紹介させていただこうと思う。

ちなみに、筐体の素材の違いで音が変わるという話はかなりマニアックだと感じるかもしれないが、意外と多くの人が聴き取りやすい、分かりやすい違いだったりする。そのため、Tubomiシリーズのように、数タイプの素材違いを用意してもらえると、自分好みの音を自分の好みの音を探す楽しみも増える。実際には、重量の違いによる共振周波数の変動なども大きいし、ドライバーユニットの取り付け方法によっても音色的な特徴が異なってくるため、アルミだとこういう音、ステンレスだとこういう音という汎用的な判断は難しい。今回は、あくまでもSATOLEXイヤホンはこういう音がする、という意味合いで捉えて欲しい。

DH298-A1Bk

DH298-A1Bk

ということで、まずは「DH298-A1Bk」からレビューしていこう。こちらは、樹脂筐体を採用するスタンダードモデル。ドライバーはTubomiシリーズのために専用開発された、9mm口径ダイナミック型オリジナルユニットを搭載。筐体は、装着感にすぐれたティアドロップ型デザインを採用する。ケーブルは直出で、長さは1.2mだ。なお、バリエーションモデルとして、筐体カラーをブルーに変更し、低音を抑えた新チューニングを採用する「DH298−A1Bu」というモデルもラインアップされている。

メリハリのよい勢いのあるサウンドが特徴。高域はキリッとした鋭さを持ち、ハイハットがキレのよいリズムを刻んでくれる。また、ピアノの音ものびのびとしていて、なかなか印象的だ。ただし、どちらかというと奔放な鳴り方をするイメージがあり、多少の歪み感をともなっている。いっぽう、低域はたっぷりとした量感を持つ。フォーカス感はそれほど高くないものの、あまり気にならない。ライブ音源などでは、迫力のある演奏を存分に楽しめる。自然な音色と音場的な広がり感をもつ、バランスのよいサウンドだ。

DH299-A1Si

DH299-A1Si

アルミ筐体を採用するモデル。9mm口径のオリジナル・ドライバーユニットや直出しケーブルなど、基本的な仕様は「DH298-A1Bk」とかわらない。

「DH298-A1Bk」とは明らかに音の質感が違う。ひとつふたつ、グレードが上にシフトしたイメージだ。全体的に明瞭度が高まり、より細やかなニュアンスが伝わってくるようになった。それでいて、Tubomiシリーズならではの奔放な鳴りっぷりは変わらず。低域の量感はそのままに、グッとフォーカス感の高まった、ノリのよいビートに感じられるようになった。いっぽう、全体的にフォーカス感が高まったことで、ボーカルも一段とのびのびとした歌声に感じられる。特に、女性ボーカルとの相性がよく、凜とした溌剌な歌声に感じられるようになった。

DH302-A1Bs

DH302-A1Bs

真鍮製の筐体を採用するモデル。筐体デザインも含め、その他の仕様は「DH298-A1Bk」と変わらない。

ボーカルがとても自然でリアルに感じられるようになった。男性も女性も、マイクとの距離まで伝わってきそうな、生き生きとした歌声が楽しめる。女性ボーカルは、ほんのちょっとハスキーで、大人っぽいイメージ。いっぽう男性ボーカルは、ちょっと甘い声に感じられる、圧倒的なリアルさが魅力的だ。エレキギターの音もしっかりした厚みが感じられるため、男性ボーカルのハードロックなどとは抜群の相性を見せる。

いっぽうで、アコースティック楽器との相性もなかなか良好で、チェロやバイオリンは力強い演奏を聴かせてくれる。ピアノは自然な響きだが、曲によっては歪み感を感じるときも。よく聴く楽曲によっては、「DH299-A1Si」と好みが分かれるところだろう。

DH310-A1SS

DH310-A1SS

純度92.5%の銀製筐体を採用したTubomiシリーズ最上位モデル。ドライバーユニットや筐体デザインは変わらないものの、ケーブルは外皮に布をあしらった「DH310-A1SS」専用タイプを採用。プレーヤーと接続する3.5mm端子もTubomiシリーズ唯一のL字型となっている。また、宝石箱型の専用収納ケースも付属するなど、フラッグシップ、スペシャルモデルとして細部までこだわったつくりになっている。

そのサウンドはというと、筐体の素材でここまで音が変わるのかと驚くほど格段に音質がアップ。たっぷりとした低域の量感と高域のキレのよさはそのままに、フロアノイズレベルがしっかりと押さえ込まれたダイレクト感の高いサウンドに変化。空間的な広がり感もあり、音数も多い。9mm口径ドライバーの実力が存分に発揮されたのだろう、ディテールまでハッキリと感じられる上質なサウンドだ。

音色傾向としては「DH299-A1Si」と「DH298-A1Bk」のちょうど中間といった印象だが、ディテール表現のきめ細やかさや音の鮮明さが格段に違う。また、ボーカルやアコースティック楽器でハッとするほどのリアルな音色を持つ「DH302-A1Bs」に対しては、よりニュートラルなまとまりのよい表現をするイメージか。そのためか、女性ボーカルはややハスキーさを持つエレガントな表現を持つ。キリッとした歌い方に感じられるため、かなり印象の強い歌声には感じられるものの、声ばかりが浮かび上がりすぎることなく、演奏とのバランスがよい。もしかすると、マスター音源制作時にエンジニアやアーティストが意図したサウンドバランスは、Tubomiシリーズのなかでも「DH310-A1SS」がもっとも近いのかもしれない。

DH303-A1【Tumuri】

DH303-A1【Tumuri】

耳掛け型の筐体デザインと着脱式ケーブルを採用するTumuriシリーズのモデル(シリーズと行っても現在はこの1モデルのみ)。ドライバーはTubomiシリーズと同じ9mm口径ユニットが採用されている。着脱式ケーブルはMMCX端子を採用するため、市販のリケーブルも活用できるようになっている(とはいえMMCXは嵌合に相性があるため事前のチェックは必須だ)。

別筐体だからか、最新モデルだからか、これまでのTumuriシリーズとは印象の異なるサウンドキャラクターとなっている。基本的な音色はニュートラル志向で、全体のバランスのよさは「DH310-A1SS」と共通する部分はあるものの、低域はかなりジェントルでフォーカス重視。グルーブ感の高い演奏を楽しめる。対して高域は、自然な伸びやかさを重視していて鋭さはまったくない。

そのため、EDMなどを聴くと、軽やかなリズムと最低域までしっかりと感じ取られるワイドレンジさにより、気持ちよいビートが存分に楽しめる。また、高域も尖りすぎておらず、聴きやすい。いっぽうでボーカルは、かなりポップな、明朗快活な歌い方に感じられるため、ハイテンポな曲との相性がバッチリ。ノリのよい、軽やかなサウンドといっていいだろう。Tumuriシリーズに対して音色的な表現の個性は弱いが、その分多くの人に好まれそうな、絶妙なチューニングと言っていいだろう。

まとめ

このようにSATOLEX製イヤホンは、同じドライバーユニットを採用しつつも、筐体の素材によってサウンドキャラクターがさまざまに変化するという、ユニークな展開をしているのが特徴だ。もちろん、素材に合わせてチューニングを変えていたりするだろうし、ケーブルやデザインが異なるモデルもあるが、1つのドライバーユニットでここまで幅広いバリエーションを揃えているのは大変貴重だ。ぜひイベントや量販店などで試聴して、自分好みのサウンドを知る手段のひとつとして、大いに楽しんで欲しい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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