価格.comでも売れ筋のヤマハ製サウンドバー「YAS」シリーズに、新モデルの「YAS-109」が登場した。内部にサブウーハーを搭載するワンボディ型で、高さ53mmというスリムなデザインを誇る。Wi-Fi内蔵で「Amazon Alexa」に対応し、サウンドバー型のスマートスピーカーとして使える上、「Spotify Connect」などの音楽ストリーミングサービスに対応するのも特徴だ。2019年7月上旬発売を予定しており、想定実売価格は27,000円前後(税別)。その詳細を紹介していこう。
YAS-109は、価格.comのホームシアター スピーカー売れ筋ランキングで長期間1位をキープしている「YAS-108」の後継機となるモデル。YAS-108はヤマハ独自の高音質設計に加え、スリムなワンボディ型で実売価格2〜3万円というスペックも相まって人気だが、YAS-109はその基本的な仕様を継承しながら、音質面と機能面の両方で進化している。
YAS-109の本体サイズは890(幅)×53(高さ)×131(奥行)mmで、重量は3.4kg。ファブリックカバーのデザインが特徴的
横から見ると、そのスリムさが実感できる
サウンドバーの基本スペックとしては、HDMI端子は入力/出力を1系統ずつ装備。いずれも4K/60p(4:4:4)映像信号のパススルーおよびHDCP 2.3やHDR規格(HDR10、HLG)をサポートする。Bluetooth経由での音声入力にも対応し、スマートフォンなどと組み合わせてBluetoothスピーカーとしても使用できる。
ひとつめの進化点は、内部のスピーカーユニットが全て刷新されたことだ。いずれも新開発の5.5cmコーン型フルレンジ、2.5cmドーム型ツイーター、7.5cmコーン型サブウーハーを搭載し、合計120Wの出力を確保している。従来160Hzだったクロスオーバー値を170Hzに調整するなど、細部に至るまでチューニングを見直して音質向上を図っているのがポイント。本体の外観的な印象は従来モデルとほとんど同じだが、内部は完全に新しくなり、しっかりと音質強化を果たしている。
本体側面にバスレフポートを配置する。低音を増強する「バスエクステンション」などの機能も装備
本体底面の内側に入出力端子を搭載。入力端子はHDMI/光デジタル/LAN、出力端子はHDMI(ARC対応)とサブウーハー出力を備える
ふたつめの進化点は有線LANおよびWi-Fi機能(IEEE802.11 b/g/n、2.4GHz帯)を内蔵し、各種ネットワーク機能・サービスに対応したこと。大きなところではまず「Amazon Alexa」を搭載しており、サウンドバー型のスマートスピーカーとして使うことができる。「アレクサ」と呼びかけることで、YAS-109自体の音量調整や入力切替を音声で操作可能。もちろん天気や交通情報をたずねるなど、通常のAlexaスピーカーとしての利用もOKだ。
alexa built-in仕様で、Amazon Alexa対応のスマートスピーカーとして使える
加えて、いわゆるネットワーク対応スピーカーとしても使うことができる。ホームネットワーク経由で、NASなどに保存してある音楽ファイルをYAS-109でワイヤレス再生して楽しむことが可能。再生周波数帯域は最大22kHzまでとなり、ユニットの仕様としてはいわゆるハイレゾ対応ではないが、再生ファイルスペックは最大192kHz/24bitのWAV/FLAC、96kHz/24bitのALACに対応する。
また、「Amazon Music」や「Spotify Connect」といった音楽ストリーミングサービスの聴取にも対応している。もちろんAlexaによる音声操作で再生指示を出すことができ、ボイスコントロールで快適に音楽ストリーミング再生を楽しめる。
「Spotify Connect」に関しては、「Premium」のほか「Free」アカウントにも対応する
ちなみにYAS-109には、スマホ用のコントロールアプリ「Sound Bar Controller」が用意されている。従来、アプリを利用する際はBluetooth経由でサウンドバー本体に接続していたが、YAS-109はWi-Fi対応したことで、ネットワーク経由でアプリとペアリングする形になった。YAS-109のサウンド設定に加え、「Amazon Music」や「Spotify」の再生操作も含めてシームレスに行える。
新しい操作アプリ「Sound Bar Controller」からは、後述するサウンドモードの調整はもちろん、音楽ストリーミングサービスの再生操作もスムーズにできる
YAS-109はそのほかにも、さまざまな便利機能をYAS-108から踏襲している。サウンドバー機能としては、コンテンツによって選べる「映画」「音楽」「ゲーム」「スポーツ」「TV番組」という5種類のサウンドモードを搭載。加えて、高さ方向の音場を創出してバーチャルの3Dサラウンドを作り出す技術「DTS Virtual:X」にも対応している。
また、Bluetooth接続時の「Bluetoothスタンバイ機能」や、圧縮音源を補間する独自技術「ミュージックエンハンサー」に加え、セリフやナレーションを聴き取りやすくする「クリアボイス」も搭載。小さな子どもによる誤操作がないように配慮した「チャイルドロック」も装備する。
バーチャルサウンド機能は従来の仕様を踏襲。5種類のサウンドモードに、DTS Virtual:Xをかけあわせた再生も行える
筆者は今回、YAS-109に43インチのテレビを組み合わせた環境で、少しだけその音を体験させていただいた。Blu-rayの映画タイトルを視聴した際は、YAS-109が鳴らすサウンドの空間性が高く、音のほうがテレビの画面サイズを超えていると感じられたほどのクオリティ。完全刷新したという音質強化設計の実力を感じた。ワンボディ型の薄型サウンドバーとしてはかなり空間性があり、もっと大型のテレビと組み合わせても十分に楽しめそうだ。
テレビの放送番組も、セリフやナレーションを聴き取りやすくする「クリアボイス」などのおかげで自然に楽しめる。ヤマハによれば、「クリアで聴き疲れしない音」をコンセプトに、毎日のテレビ視聴や映画・音楽鑑賞など、リビングに置いて家族みんなで楽しめるサウンドバーをめざしてチューニングを行ったという。
また、Amazon Alexa対応による音声操作も便利。筆者が体験させていただいたのは発売前のプロトタイプだが、大音量で音楽を再生している最中でも、YAS-109はユーザーの「アレクサ」という発話ワードをしっかり聞き取ってくれて、音声操作がスムーズに行えた。大ヒットモデルであるYAS-108の長所を継承しつつ、音質と機能の両面で最新スペックに進化していることが実感できた。
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。