メモは昔ながらの手書き派の筆者。スケジュール管理にはスマートフォンを使っていますが、取材のメモやTo Doなどはもっぱら紙の手帳やノートを使っています。しかし、紙ゆえの悩みもいくつかあります。まず、ノートが複数あってどれに何を書いたのかわからなくなる(紙切れに書くこともある)、大きな文字でいっぱい書くとすぐにページがなくなってしまう、字が汚くて後から読み返したときに何を書いているのかわからない……。
最後の悩みはさておき、手書き派でデジタルガジェット好きの筆者が今回紹介したいのが、2019年11月14日にシャープが発売する電子ノート「WG-PN1」です。
E Ink社の電子ペーパーディスプレイを採用して、従来モデルよりも画面の視認性がアップしたWG-PN1
シャープの電子ノートは歴史が長く、初代モデルの「WG-N10」は2013年に発売されました。今年11月14日に発売される予定のWG-PN1は第6世代モデルとなります。
WG-PN1の一番の特徴はディスプレイです。2017年に発売された従来モデル「WG-S50」はディスプレイにメモリー液晶を搭載していました。省電力で30日間(カタログスペック)使えるのがウリでしたが、視野角が狭いなど“見やすさ”が弱点でした。そこでWG-PN1ではE Ink社製の電子ペーパーディスプレイを採用して、視認性が格段にアップしています。同ディスプレイを搭載した電子書籍端末などを利用している方はおわかりだと思いますが、電子ペーパーは文字がはっきりと表示され、読みやすいのが魅力です。メモリー液晶ほどではありませんが省電力なので、電子ノートにピッタリなのです。
6型の電子ペーパーを搭載。クリアな表示で文字が読みやすい。解像度は従来モデルと同じ600×800
書き心地はなめらかですが、走り書きをすると描写が追いついてきてくれません。いつもよりゆっくりていねいに書くことを心掛ける必要がありそうです。拡大表示ができないので、小さな文字をいっぱい書きたい人には向かないかもしれない。
ペンは従来モデルと同じものが付属します
画面オフの状態から電源ボタンを押して、起動するまでは4秒か5秒待たされます。画面がオフになるまでの時間は、5分/15分/60分/540分が選べるので、すぐに書きたいという人は長めに設定するといいでしょう(30分操作を行わないと電源はオフになります)。
本体サイズは114(幅)×157(高さ)×10.4(厚さ)mm(専用カバーを除く)。愛用の手帳と比べると少し小さいです。専用カバーは取り外し可能で、すべてではありませんが、A6サイズの市販の手帳ケース/ブックカバーを取り付けられます。
サイズはA6サイズの手帳サイズです。右は筆者が今年利用している手帳
電子ペーパーで気になる残像は本機でもありますが、リフレッシュボタンが用意されているので、気になる場合は積極的に活用するといいと思います。
左がリフレッシュ前、右がリフレッシュ後。写真だとわかりにくいですが、リフレッシュ後は残像が消えています
機能面では、従来モデルで側面にあった電源ボタンが正面に配置されて押しやすくなりました。また、画面の下には、スケジュール/ノートブック/To Doの3つの機能を素早く切り替えられる「タッチアイコンシート」が配置されました。このシートは指でも押せるので、中身を見るだけならペンを取り出す必要はありません。To Doの右のシートは、上記の画面をリフレッシュするときに利用します。
スケジュール、ノート、 To Doの3つの機能を素早く切り替えられるタッチアイコンシート
忙しい人にとって、To Doは重要だと思います。打ち合わせ→スケジュール→やること(To Do)の整理という流れで仕事をする方も多いのではないでしょうか。紙の手帳やノートだと、いつでも確認できるように付箋でTo Doを目立つところに貼っているという人もいるでしょう。そんな使い方を電子ノートで実現するだめ、WG-PN1では電源オン時にTo Doが常に表示される機能が搭載されています。これなら、To Doが嫌でも目に入るので、やることを忘れる心配がなくなりそうです。
To Doは単なるリスト表示だけでなく、重要な項目に星印をつけて目立たせたり、完了したものにチェックをつけたりできます。チェック済み項目を「完了ページ」へ移動して、やらなければいけないタスクだけを表示するといったことも可能。
電源オン時にTo Doを常に表示することで、大事な用事ややることを忘れにくくなる
こちらは通常のTo Do。左端の□にチェックを入れると、日付が記録され、いつチェックを入れたのかわかる。星印をつけた項目を検索することも可能。このへんはデジタルならではの便利機能と言えるでしょう
ノートは、最大100冊・5000ページとれます。取引先、案件、テーマごとに管理できるので、多忙な方でもしっかりノートをとれるでしょう。フォームは横、縦、方眼、無地などの定番から、会議ノートや進捗メモなど仕事にすぐに使えそうなものが18種類も用意されています。
ノートは10種類に分類可能なので、重要度や仕事、プライベートなどで分類しておけば、後から見やすいでしょう。カレンダーから作成した日付でノートを探すこともできます。コピーや移動、ページの保護(誤削除防止用)など、デジタルならではの使い方も可能です。
Windows用ソフト(無料)を使えば、9種類まで自作のノートフォームをパソコンから取り込めます。600×700ドットで、16階調モノクロビットマップデータというのが条件です。あらかじめ240種が収録されているスタンプも120個まで自作して追加可能。とことん使い倒したいという人にはうれしい機能ではないでしょうか。
会議ノートというフォームを使ったノートのサンプル
18種類のフォームが収録されています
スケジュールは最大9冊・1000ページ分、つまり9年分をいつでも持ち歩けます。仕事用とプライベート用を使い分けても、4年は使える計算です。5種類、9パターンのフォームが内蔵されているので、好みに応じて使えます。
カレンダーは年間、月間、週間の表示が可能
ペーパーレス、ペーパーレスと言われていですが、まだまだ紙の手帳やノートを使っている人は多いと思います。思いついたときにすぐに書けて、充電を気にする必要のない紙の便利さは捨てがたいものがあります。もちろん、Undoやコピー&ペースト、紙よりもたくさん書けるなどデジタルならではのメリットも身をもって理解しています。取材用にノートパソコンやタブレットを使っている記者もたくさんいますし、速報性を重視する取材の場合、筆者もノートパソコンを使うことがあります。
今回、WG-PN1を使ってみてアナログとデジタルのバランスのよさを感じました。いろいろ条件はありますが、使用時間は約10日と長く、1週間に1回充電すればOKで、重量も約285g(専用カバーとスタイラスペン含む)と軽くて荷物になりません。紙の手帳に近い感覚で持ち運べます。もちろん、Undoやコピー&ペーストなどデジタルならではの便利な使い方もできます。4桁の数字で画面ロックができるので、機密情報をメモするときも安心。スマートフォンとの連携機能などがあればと思いましたが、そこは専用機としての線引きで、メモやスケジュールの整理、To Doの管理に集中できるメリットにつながっていると思います。
価格.com最安価格は25,079円(2019年11月5日時点)。個人的に2万円くらいまで価格が下がると、お試しで買いやすいと思います。すでに来年の手帳が店頭には並んでいますが、来年は電子ノートでスケジュールやTo Doの管理をしてみてはいかがでしょうか。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!