選び方・特集
手ごろな価格なのに侮れない性能

1万円前後で買える高コスパなノイキャン完全ワイヤレスイヤホン4モデルを比べてみた

1万円前後で買える高コスパなノイキャン完全ワイヤレスイヤホン4モデルを比べてみた

1万円前後で買える高コスパなノイキャン完全ワイヤレスイヤホン4モデルを比べてみた

スマートフォン界隈におけるイヤホンのトレンドが再び変化している。iPhone 7におけるイヤホンジャック廃止は、ワイヤレス/Bluetoothイヤホンが急激に伸長した契機となったが、iPhone 12でイヤホンそのものが付属しなくなる事態が発生。これからイヤホンを選ぶならワイヤレス、というの時代の到来といえる。

そのワイヤレスイヤホンだが、目下完全ワイヤレスが大人気。ついこの前までは1万円台半ばが相場という状況だったところ、各社が参入し市場原理が働いた結果、いまや1万円以下の製品は珍しくない。3万円以上の高級モデルも人気だが、構造上紛失しやすく消耗品としての要素もはらむ完全ワイヤレスイヤホンのこと、コストパフォーマンスを実感できる1万円前後の価格帯に収れんされていく可能性が高い。

そこで差別化要因となるのは「(アクティブ)ノイズキャンセリング」。価格.comの「Bluetoothイヤホン人気売れ筋ランキング(12/2更新)」を見ると、トップ10の全製品が完全ワイヤレスであることはまだしも、その半数以上はノイズキャンセリング対応モデル。現在は2万円以上の高級機が多いものの、トレンドは1万円前後のゾーンにも波及しつつあり、「スマホのイヤホンといえばノイキャン完全ワイヤレス」の状況が到来する日はそう遠くなさそうだ。

実際、当カテゴリでは1万円前後の製品が続々姿を現しており、その性能も侮れないレベルに到達している。今回は、そんな1万円前後のノイキャン完全ワイヤレスを4製品ピックアップ、実際のパフォーマンスを追ってみたい。

3ee 「DELTA 01」

3ee「DELTA 01 ANC」

3ee「DELTA 01 ANC」

香港の新興メーカー・3ee(スリー)最初の製品が、この「DELTA 01」。もちろん完全ワイヤレスで-23dB(±3dB)のアクティブノイズキャンセル機能を搭載、アンビエントモード(ヒアスルー機能)にも対応と充実した機能を備えるが、実売価格は10,800円前後(税別)とリーズナブルだ。

特長のひとつは、充電ケースの小ささ。樹脂製で高級感は乏しいものの、36(幅)×20(高さ)×28(奥行)mm/重量40g(イヤホン本体含む)と、胸ポケットに入れても無理がないサイズ感だ。これで連続再生時間は最大約4.5時間/4回のフル充電に対応と、十分な基礎体力もある。操作ガイダンスの音声がすべて日本語(しかも音質がクリア)なところも、この手の多機能イヤホンでは重要なポイントだ。

充電ケースはかなりコンパクト、持ち運んでもジャマにならない

充電ケースはかなりコンパクト、持ち運んでもジャマにならない

ノイズキャンセリングの効きは、やや穏やか。オンにすれば全体的なノイズレベルは下がるものの、周囲の人の会話は聞き取れるし、電車の走行音も消えない。イヤーピースをシリコンからフォームタイプに変更すると効果は改善されるが、遮音性がほどほど(だからNCオフにしても環境雑音はある程度聞こえる)なこともあり、劇的に変化するというほどではない。ただし、耳がツンとするような閉塞感はなく、聞こえ方が自然なところは長所といえる。

気になった点があるとすれば、アンビエントモードの仕様だ。マイクで拾った音を若干増幅したうえで音楽とミックスしているようで、人の声が聞き取りやすくなる反面、環境雑音まで若干増大して聞こえてしまう。

いっぽう、音はしっかり。φ8mmと完全ワイヤレスにしてはドライバー径が大きめだからか、低域には張りと量感がある。アコースティックギターのハーモニクスも伸びやかで、巻弦の金属的な艶も表現できている。日本人向けのチューニングを施したというだけあってか、ニュートラル指向でありつつもやや中高域の伸びを意識した音作りには好感が持てる。

JVC「HA-A50T」

JVC HA-A50T

JVC HA-A50T

JVCの1万円前後ノイキャン完全ワイヤレス「HA-50T」は、質実剛健という言葉がしっくりくる。外観は本体/充電ケースとも大ぶりな印象だが、ノイズキャンセリングにアンビエントモード、IPX4の生活防水にも対応するなど、いまどきの消費者のニーズにひと通り応えている。

充電ケースはやや大ぶりだが、質実剛健な設計は頼もしい

充電ケースはやや大ぶりだが、質実剛健な設計は頼もしい

ノイズキャンセリングの効きは上々。ハウジングはやや大柄なものの遮音性はよく、それがパッシブノイズキャンセリングの性能につながっている。オンにすると周囲の雑音レベルは数段下がり、楽器やボーカルの音の際が明瞭になる印象を受ける。食器を落としたときなどの衝撃音は取り切れないものの(それは他のノイキャンイヤホンも同じ)、電車の走行音や自動車のロードノイズは気にならない程度に落ち着く。

特筆すべきはアンビエントモード。オンにすると再生中の曲の音量が自動的に下がり、代わりに周囲の音が耳に飛び込んでくる。周囲の音をまるごと増幅することがなくなるため、かえってノイズが目立って聴こえてしまうという現象を避けられるのだ。

音質はといえば、φ10mm径ドライバーの低域が強調されたサウンドキャラクターは好みが分かれそうだ。聴く音楽のジャンルにもよるだろうが、筆者が好んで聴くECM系の音源(パット・メセニーやラルフ・タウナーなど)は、ベースの音が際立ってしまい、アコースティックギターの倍音成分が目立たなくなるという残念な事態に。J-POPやEDMはノリよく楽しめるものの、聴くジャンルを選ぶイヤホンであることは留意したほうがいいだろう。

AUKEY「EP-N5」

AUKEY「EP-N5」

AUKEY「EP-N5」

AUKEY初のノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤホンはスティック型、本体の形状は昨年発売された「EP-T21」とよく似ているが、ドライバーはφ10mmという完全ワイヤレスとしては大きめのもので、イヤホンを挿し込むタイプの充電ケースを採用している。

イヤホンを挿し込むタイプの充電ケースだ

イヤホンを挿し込むタイプの充電ケースだ

このノイズキャンセリング機能、オンにすればやかましい換気扇の回転音が気にならなくなるほど、なかなかよく効く。電車の走行音もそれなりに低減されるし、周囲の会話も気にならなくなる。しかし、効果レベルを調整できないうえに、イヤホンからの反応は味気ないビープ音のため、オン/オフできたかはっきりしないことが難点だ。ノイズの量でオン/オフどちらか聞き分ければいいとはいえ、ユーザフレンドリーとは言い難い。

もうひとつ、アンビエントモードがないことも気になった。駅のアナウンスを聞くときなど、ごく短時間周囲の音を聞きたい場面は多く、できれば耳から外さずに済ませたいだけに(駅のホームで落下させたら面倒だ)、ぜひ用意してほしい機能といえる。

いっぽう、音質は上々。φ10mmのドライバーを採用した効果だろう、量感ある低域がオーディオリスニングを楽しいものにしてくれる。傾向としてはニュートラルで、中高域にかけてのクリアネスと伸びやかさもあり、J-POPからジャズ・クラシックまで得手不得手なく聴かせる印象だ。コーデックもSBCのほかAACに対応、エントリークラスの製品としては申し分ない。

驚くべきは価格で、実売価格はなんと7,980円(税込)。手元不如意だがノイキャン完全ワイヤレスの線は譲れない、という向きにはこれ一択の製品だ。

AVIOT「TE-D01m」

AVIOT「TE-D01m」

AVIOT「TE-D01m」

黎明期から立て続けに完全ワイヤレスイヤホンを発売、ピエール中野氏プロデュースの「TE-BD21f-pnk」などインパクトの大きい製品で知られるAVIOT(アビオット)が、ついにノイキャン完全ワイヤレス「TE-D01m」を発売。キャッチコピーは「マイルドノイキャン」とやや控えめだが、なかなかどうして、高い完成度に驚かされた。

Bluetooth SoCにはクアルコムの「QCC3040」を採用、状況に応じてビットレートを変動させるコーデック「aptX Adaptive」のほか、左右同時接続で音途切れを減らす「TrueWireless Mirroring」に対応と、最新の機能を網羅。通話品質を高めるべくKnowles社製マイクを採用するなど、こだわりの設計を見せてくれる。

aptX AdaptiveやTrueWireless Mirroring対応など充実の機能が魅力的

aptX AdaptiveやTrueWireless Mirroring対応など充実の機能が魅力的

肝心のノイズキャンセリング機能も、一定水準は超えている。確かに、独自開発のSoCや特許技術を駆使した3万円台の製品と比べると効きは確かに「マイルド」なものの、電車の走行音は"ガタンゴトン"が"カタンコトン"になり、周囲の会話もトーンダウンされ、騒音によるストレスは大幅に緩和された。換気扇の音も試したが、やや高めの"シュー"という回転音は残ったものの、レンジフードに反響して起こる唸るような低域の音はほぼ抑えこまれる。

音質はAVIOTクオリティで、ソリッドな低域とヌケのいい中高域が印象に残る。スネアアタックは歯切れよく、シンバルロールも音がダマにならず速やかに収束する。iPhoneからaptX Adaptive対応スマートフォンにつなぎ替えると情報量の差は明確で、広々としたサウンドステージは完全ワイヤレスイヤホンに対する固定観念を変えるほど。

実売価格は1万3千円台と、今回ピックアップした製品の中ではもっとも高額だが、aptX AdaptiveやTrueWireless Mirroringから得られるベネフィットを考慮すれば納得だ。これから最新のAndroidスマートフォンを購入する予定があるのならば、格好の1台になることだろう。

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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