特別企画
機材はシンプルだけど設置環境に工夫が必要

プロジェクターの大画面でテレビ放送を見る方法と注意すべきポイントを解説

巷では、プロジェクターを使ったホームシアターに注目が集まっている。最近はコンパクトなプロジェクターも次々と登場して簡単に導入や設置ができるようになっているし、いっそテレビをプロジェクターに置き換えて、普段から大画面で放送番組を見たいという人も多いようだ。

そこで今回は、プロジェクターでテレビ放送をリアルタイム視聴するためのポイントを紹介したい。本来のホームシアター用途とは異なる使い方なので、事前にチェックしておくべき注意点をいくつか確認しておこう。

必要な機材と基本の接続

プロジェクターでテレビ放送をリアルタイム視聴する場合、必要機材とその接続自体はシンプルだ。主役となる「プロジェクター」と地上/BS/CSデジタル放送を受信する「チューナー製品」を用意し、それぞれをHDMIケーブルで接続すればよい(※室内にアンテナ端子が付いている一般的な環境の場合)。

プロジェクターでテレビ放送を見る場合のシンプルな機材接続イメージ。放送受信チューナー製品としては、単体チューナーやHDD/BDレコーダーなどがあげられる。なお、一部のワイヤレスチューナー製品とAndroid対応プロジェクターの組み合わせでは、プロジェクターとチューナー機器間をワイヤレス接続できるものもある(詳細は後述)

プロジェクターでテレビ放送を見る場合のシンプルな機材接続イメージ。放送受信チューナー製品としては、単体チューナーやHDD/BDレコーダーなどがあげられる。なお、一部のワイヤレスチューナー製品とAndroid対応プロジェクターの組み合わせでは、プロジェクターとチューナー機器間をワイヤレス接続できるものもある(詳細は後述)

というわけで必要機材はシンプルなのだが、従来のホームシアター用途とは異なるので、投影を行う室内環境や製品選び、設置方法について確認しておかなくてはならないことが多い。ここからは、その辺を詳しく解説していこう。

室内環境で事前チェックすべきこと

まず、室内環境について事前にチェックすべきポイントを説明しよう。大きく2点ある。

1点目は、プロジェクターの画面を投影できる面積の壁を確保しておくこと。できればスクリーンを使用するほうがキレイな画質で視聴できるが、設置するのが難しければ、白い壁に直接投影するのもアリだ。

2点目は、プロジェクターを設置する部屋の壁にテレビのアンテナ端子が取り付けられていること。テレビを見る場合、放送受信チューナー機器をアンテナ端子に接続しなくてはいけない。別の部屋からアンテナ線を引き回してくるという力技も考えられるが、室内に長いケーブルを這わせるのは暮らしていて少々わずらわしいし、シンプルに楽しむには不向きだ。

プロジェクター投影したい部屋の壁にアンテナ端子があるかどうか確認しよう。リビングであれば、まず付いている

プロジェクター投影したい部屋の壁にアンテナ端子があるかどうか確認しよう。リビングであれば、まず付いている

リビングで使うプロジェクターの条件

映像表示部の裏に光源を持つテレビとは違い、プロジェクターはその性質上、外光があると投影画面のコントラストが大きく低下してしまう。快適に視聴するためには、室内を暗くできるかどうかも重要な鍵になる。本来は、ホームシアター専用室のように、部屋に外光が入らない空間が望ましい。

しかし、普段からプロジェクターの大画面でテレビ放送を楽しみたいという場合、場所はリビングなどの生活空間になる人が多いだろう。それだと、室内を真っ暗にすることは生活を犠牲にすることになるので難しい。

そこで、このあたりを考慮して「リビングに置きやすいプロジェクター」を選ぶ必要が出てくる。普段からプロジェクターでテレビを見るということは、必然的に視聴時間や機会が増えることもあり、プロジェクターには本来のホームシアター用途以上の汎用性が求められる。

▼高輝度

上述の通り、普段から生活するリビングなどでプロジェクター投影を行いたい場合、室内を完全に真っ暗な空間にすることは難しい。そこで、部屋がある程度明るいままでもキレイに視聴できるよう、輝度(ルーメン数)が高いモデルを選んだほうがよい。筆者の個人的な経験則としては、できれば1000ルーメン前後は欲しいところ。2000ルーメン近くあれば、カーテンである程度遮光できる環境ならまず問題ないという印象だ。

輝度200ルーメンのプロジェクターを投影する場合、リビングをここまで真っ暗にすれば快適に見ることができる。しかし、さすがにテレビを見るたびにリビングをここまで真っ暗にするのはちょっと大変

輝度200ルーメンのプロジェクターを投影する場合、リビングをここまで真っ暗にすれば快適に見ることができる。しかし、さすがにテレビを見るたびにリビングをここまで真っ暗にするのはちょっと大変

そしてこちらが、3000ルーメンのプロジェクターをリビングで投影したところ。明かりをつけたままでも、しっかり楽しむことができる

そしてこちらが、3000ルーメンのプロジェクターをリビングで投影したところ。明かりをつけたままでも、しっかり楽しむことができる

<購入前に貸し出しサービスを活用すると安心!>
一部のメーカーでは、購入前にプロジェクターの貸し出しサービスを行っているところもある。できるなら、こういった貸し出しサービスを活用して、自宅に設置してキレイに見えるかどうかを事前に確認してみることを推奨する。

▼小型・短焦点

続いて、設置性の高い小型・軽量モデルであることも大事だ。リビングにプロジェクターを設置するなら、生活空間をじゃましないように、場所を取らない小型モデルが有利になる。ただし、小型モデルでは前述の光量が低いものも多いので、バランスが大事だ。加えて、チューナー機器と有線接続しなくてはならないこともあり、できるだけ壁に近づけて設置したいというニーズが多いだろうから、短い距離で大画面の投影が可能な短焦点モデルを選びたい。公式サイトで「投影シミュレーター」を用意しているメーカーもあるので、こういうものを利用して確認するのもいいだろう。

そのほか、機能的には、横方向のキーストーン(台形補正)機能が付いているモデルなら、画面の真正面以外(斜め位置)でも設置できるので設置の自由度がより上がる。また、テレビ放送を見ると、自然とプロジェクターの使用時間が増えるので、光源の寿命が長いレーザー光源採用のモデルを選んだほうが、より長く使用できるというメリットもある。

▼投影解像度

もちろん、テレビの映像を見るならプロジェクターの解像度も重要になる。せっかく大画面で見るのだから、最低限の画質は欲しいところだ。現在、地デジは1440×1080(テレビ内部で1920×1080に補正)、BSデジタルはフルHD(1920×1080)や4K/8Kで放送されているので、フルHD以上の解像度で投影できるモデルを選べば、映像的なメリットはしっかり享受できる。なお、画質関連では、HDR10やHLGなどのHDR規格に対応するプロジェクター製品も増えてきている。

▼内蔵スピーカーの音量

テレビの音声を聞くスピーカーは、プロジェクター内蔵のものを利用するのが最も簡単。最近のモデルは、昔と比べて音質が向上しているのもありがたい。音質のクオリティはモデルによってまちまちで、低音の迫力を重視した製品なども発売されているので、好みに合わせて選ぼう。

もちろん単体スピーカーを設置するのと比べると、プロジェクター内蔵スピーカーの音声は迫力が落ちるので、グレードアップしたくなったら、あとからサウンドバーなどのスマートで設置できるスピーカーを買い足してもよい

もちろん単体スピーカーを設置するのと比べると、プロジェクター内蔵スピーカーの音声は迫力が落ちるので、グレードアップしたくなったら、あとからサウンドバーなどのスマートで設置できるスピーカーを買い足してもよい

▼起動時間にも注意

もうひとつの注意点として、テレビ製品と違い、プロジェクターは電源を入れてから画面が表示されるまでに数十秒の時間がかかることを留意しておきたい。テレビ製品と同じ感覚で使おうとすると、プロジェクターの起動時間が遅くてイライラしてしまう人もいるかも。できるだけ起動時間の短いモデルを選べば使用時のストレスが少なくて済むだろうが、このあたりは「多少は起動時間がかかるもの」と思っておいたほうが無難。

設置時の注意点

続いては、実際にプロジェクターを設置する際の注意点を紹介しよう。

▼投影する壁の位置

まずは、繰り返しになるが、プロジェクターを使用する際は部屋が明るいと画面のコントラストが大きく低下する。なので、光が差し込む窓の近くに投影するような配置は避けたい。また、リビングにスクリーンを設置するスペースを取るのが難しい場合は、壁に直接投影するのもアリだが、できるだけ白色に近い壁のほうがキレイな映像を投影できる。壁に投影するときのコツは、以下の過去記事を参照されたい。

【関連記事】
プロジェクターを壁に直接投影するときのポイント! スクリーンなしで手軽にシアター

▼放送受信チューナー機器との接続も考慮

そして、放送受信チューナー機器と接続する場合の配線にも注意しなくてはならない。HDMIケーブルなどで有線接続する場合、テレビのアンテナ端子がある壁側に受信チューナー機器を設置し、その近くにプロジェクターを置いたほうがスマートになる。投影距離を稼ぐために、その反対側の壁面に投影するという工夫もありだ。

なお、後述するアイ・オー・データ機器「REC-ON HVTR-BCTX3」のような、一部のワイヤレステレビチューナー製品とAndroid対応プロジェクターを組み合わせると、チューナーとプロジェクター間をネットワーク経由でワイヤレス接続できる場合もある(挙動は機種によって異なるので、個別に確認のこと)。

プロジェクターと放送受信チューナー機器の例を紹介

最後に、価格.comで買えるプロジェクター製品と放送受信チューナー機器の例をご紹介しよう。

まずプロジェクター製品は、フルHD以上の画質で投影でき、輝度1000ルーメン前後、またはそれ以上を実現する短焦点モデルをピックアップした。オーソドックスな形状の製品から、インテリアになじみやすいスタイリッシュなデザインのモデルまである。

▼BenQ「CinePrime HT3550」

新世代の0.47インチシングルDMD DLPテクノロジーを搭載し、リビングで大画面の高画質体験が行えるように開発された4Kプロジェクター。2000ルーメンの明るさを確保しており、2.5m距離から100インチの投影が可能となる。HDR規格はHDR10/HLGをサポート。1.3倍光学ズームや、縦型レンズシフト、自動台形補正機能に対応しており、設置性に配慮されているのもポイント。内部には、5Wのスピーカーを2基搭載する。

▼エプソン「dreamio EF-12」

インテリアにもなじみやすいコンパクトなスクエアデザインのフルHD液晶プロジェクター。Wi-Fiを内蔵し、Android TV搭載で動画配信サービスにも対応する。2.24mの距離から100インチの投影が可能で、輝度は1000ルーメンを確保。HDR規格はHDR10/HLGをサポートする。オートフォーカスや台形補正機能にも対応しており、設置時の自由度が高いのもポイントだ。また、出力5Wのヤマハ製高音質スピーカーを2基内蔵しており、これ1台でサウンドもしっかり楽しめるようになっている。

▼popIn「popIn Aladdin 2 PA20U01DJ」

シーリングライトとプロジェクターを一体型にした製品。天井のシーリングライト用コンセントに取り付けることができるので設置性が高く、プロジェクターとして使わないときは普通の照明として使用できる。ピクセラ「Xit AirBox」など、本機に対応するワイヤレステレビチューナーと連携させることで、テレビ放送を投影できるようになる。電源を入れるとすぐにテレビ画面を表示する「テレビモード」機能も搭載。輝度は700ルーメンでフルHD解像度に対応し、1.56mの距離から100インチサイズを投影可能となる。8Wのスピーカーも2基内蔵する。

続いて、プロジェクターと接続する放送受信チューナー機器を紹介しよう。オーソドックスな単体チューナー、ワイヤレス接続に対応するチューナー、そしてBDレコーダー製品の例をピックアップしてみた。

▼ピクセラ「PIX-SMB400」

地上/BS/110°CSデジタル、BS/CS 4Kデジタルチューナーを1基ずつ搭載するシンプルな単体受信チューナー。さらに有線/無線形式でのLAN接続にも対応しており、本体にAndroid TVを内蔵しているので、これ1台あればテレビ放送だけでなく「YouTube」や「Netflix」などの配信映像も楽しめるようになる。別売の外付けUSBハードディスクを接続することで、録画も行える。

▼アイ・オー・データ機器「REC-ON HVTR-BCTX3」

地上/BS/110°CSデジタルチューナーを3基ずつ搭載し、Wi-Fiに接続できる単体テレビチューナー。本機をWi-Fiルーターに接続することで、放送中のテレビ番組をAndroid対応プロジェクターにリアルタイムでワイヤレス伝送し、大画面で投影できる(プロジェクター側がAndroid対応で、専用アプリをインストールできることが必須)。別売の外付けUSBハードディスクを接続することで、裏番組の録画・保存も可能となる(最大8TBまでの容量に対応)。

▼パナソニック「おうちクラウドディーガ DMR-4X1000」

地上/BS/110°CSデジタル、BS/CS 4Kデジタルを含めて合計11基のチューナーを内蔵し、全録機能に対応するUHD BDレコーダーのハイグレードモデル(10TB)。ハイビジョン放送を最大8ch×28日間自動録画できる。通常のテレビ放送に加えて、全録した過去の番組までプロジェクターの大画面で満喫できるようになるのは楽しい。さらに、BS 4K放送の長時間録画にも対応している。

大画面でテレビを見る楽しさを享受しよう

以上、プロジェクターでテレビ視聴する際のポイントをまとめてみた。事前に確認しておくべき注意点は多いが、各要素を踏まえて設置ポイントをいったん決めれば、普段から大画面でテレビや映画を楽しめるようになる。筆者も、自宅ではプロジェクターの大画面でテレビ視聴を楽しんでいるひとりなのだが、いつもテレビで見ているニュースやバラエティ、スポーツなどの番組をプロジェクターの大画面で見ると予想以上に迫力があり、家族や友達と一緒に盛り上がれる。大画面の視聴体験は生活を一変させるほどのインパクトがあるので、ぜひこの感動を皆さんにも知っていただきたい。

土方久明

土方久明

ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのコンピューター/ネットワークエンジニアを経て、ハイエンドオーディオやカーAVの評論家として活躍中。

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