スマートリモコンを利用すると、外出先からエアコンの電源をオンにして温度設定をしたり、音声操作で照明をオン/オフするなど、リモコンで操作する一般的な家電製品をコントロールできます。スマートリモコンの選び方から、実際の活用法までを紹介しましょう。
家電製品のリモコンをスマートリモコンに登録すると、スマホのアプリや音声で家電をコントロールできるようになる
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テレビやエアコン、照明などのリモコンを追加し、スマートフォン(以下、スマホ)のアプリやスマートスピーカーから操作できるようにするのがスマートリモコンです。家電量販店のほか、Amazonや楽天市場などのインターネット通販などから購入でき、機能の違いによって価格は3,000〜13,000円程度と幅があります。
以下に、スマートスピーカー選びのチェックポイントをまとめておきますので、参考にしてください。
・通信規格
家電のリモコンの多くは赤外線通信を使っているため、スマートリモコンも赤外線通信対応が基本です。
ただし、最近はBluetooth仕様のリモコンも登場しているので、注意してください。コントロールしたい家電のリモコンにBluetooth仕様が含まれるのなら、Bluetoothに対応するスマートリモコンを選択する必要があります。
また、赤外線通信の有効範囲も要チェック。ひとつのスマートリモコンで複数の家電製品をコントロールする場合、どうしてもスマートリモコンと家電製品の距離が離れがちです。そのため、なるべく15〜20m以上と有効範囲の広いスマートリモコンを選んでおきましょう。
・対応リモコン
スマートリモコンには、各家電メーカーの機器ごとのリモコンがプリセットされていて、簡単に追加できるようになっています。
プリセットの種類が多いほど幅広い家電リモコンに対応するので、どのメーカーのどの製品がプリセットされているか、メーカーのWebサイトなどで確認してください。特に、海外製のスマートリモコンの場合、日本製の家電リモコンへの対応が少ないことがあります。
ただ、プリセットがなくても、手間は増えるものの学習機能で追加できますので、プリセット以外のリモコンの追加が簡単にできるのかも確認しましょう。
・各種センサー
温度センサー、湿度センサー、照度センサー、人感センサーなどの各種センサーの有無も重要です。
たとえば、「室温が28℃を超えたらエアコンをオンにする」といった使い方をしたいなら、温度センサーが必要になります。どの家電をどのようにコントロールしたいのかをイメージし、必要なセンサー内蔵の製品を選びましょう。
・IFTTT(イフト)
「IFTTT」とは、異なるメーカーのアプリやWebサービスを手軽に連携させるためのプラットフォームです。
「最寄りの駅に着いたらエアコンや照明をオンにする」や「朝6時になったらテレビをオンにする」というように、ある条件に対して特定の家電を操作する設定を簡単に作成することができます。さまざまな設定が簡単にできるので、IFTTT対応製品がおすすめです。
・シーン機能
就寝時、タイマーをセットして音楽をタイマー再生し、照明をオフにする、というように、生活のシーンごとに複数の家電をまとめてコントロールできるようにするのがシーン機能です。
複数の家電をコントロールしやすくなるので、シーン機能ありのスマートリモコンのほうが便利です。
・スマートスピーカーとの連携
スマートスピーカー(または音声アシスタントアプリ)を経由して音声で家電をコントロールしたいなら、ご自身が使いたいものが対応しているかを確認してください。
「Amazon Echo」シリーズ、「Google Nest」シリーズ、「LINE CLOVA」、「Siri」などに対応するスマートリモコンはあるのですが、すべてには対応しないスマートリモコンがあります。
続いて、スマートリモコンの設定と使い方を紹介します。
今回使用したスマートリモコンは、筆者が所有する「SwitchBot ハブミニ」(価格.com最安価格3,510円、2022年7月14日時点)です。安価なので、センサーを内蔵していません。そのため、別途「SwitchBot 温湿度計」(価格.com最安価格2,480円、2022年7月14日時点)を使っています。
これらを、「iPhone」と「Siri」を使って制御する使用例になります。使用する機器ごとに細かな操作等は異なりますので、おおよその流れをイメージしてください。
まず、App Storeから専用アプリ「SwitchBot」をインストールして、アカウントを作成します。初回起動時に、位置情報に「Appの使用中は許可」を選択。Bluetoothの使用は「OK」とし、通知は「許可」を選びます。
アカウントは、メールアドレスとパスワードを新規登録するほか、Apple ID、Google アカウント、Amazon アカウントでのログインにも対応しています。
専用アプリ「SwitchBot」の「プロフィール」画面からログインする。ログイン後、ニックネームの登録も可能
次に、SwitchBot ハブミニの初期設定を行います。
付属のUSB電源ケーブル(電源アダプターは別途必要)をつなぐと、SwitchBot ハブミニの電源がオンになり、LEDインジケーターが白色点滅を始めます。
アプリの「ホーム」画面右上にある「+」をタップ。画面に「ハブミニ」が自動表示されるので、タップして選択します。
画面が切り替わり、設定の案内画面になったらSwitchBot ハブミニの上面にあるボタンを3秒ほど長押しします。これで、インジケーターが早い点滅を始めます。
アプリで「次へ」をタップするとWi-Fi設定画面になるので、自宅のWi-FiのSSIDとWi-Fiパスワードを入力して「OK」をタップします。
なお、SwitchBot ハブミニはWi-Fiの5GHz帯に対応していないため、2.4GHz帯を使用することになります。
接続が始まり、「成功」と表示されたら初期設定は完了です。パスワードをiCloudキーチェーンに保存する場合は、表示される画面で「パスワードを保存」をタップします。
アプリから、SwitchBot ハブミニの初期設定を行う
筆者の場合、スマートリモコンに温湿度センサーが内蔵されていないため、電池式の温湿度計を別途使っています。これを、専用アプリのSwitchBotに追加します。
SwitchBotの「ホーム」画面右上の「+」をタップ。温湿度計が検出されるので、タップします。
次の画面で案内にしたがい、温湿度計背面のボタンを長押ししてBluetoothをペアリングモードに。接続が確立したら、初期設定画面が表示されるので、「次へ」をタップ。最後に「OK」をタップすると追加完了です。
「ホーム」画面に追加された温湿度計をタップすると、温湿度の推移グラフを確認できます。
専用アプリで温湿度計を接続する
SwitchBot ハブミニには、リモコンの追加モードに「スマートラーニング」「メーカーを検索」「カスタマイズ」「その他」の4つが用意されています。
「スマートラーニング」は、プリセットから自動で該当のリモコンを選択するものです。最も簡単に追加できますが、修正作業も必要になるケースがあります。
「メーカーを検索」は、メーカーを指定し、デバイスリストから型番を選んで追加します。型番が見つからない場合は、同じメーカーの似た型番を選ぶことで追加できるケースがあります。
「カスタマイズ」は、上記2つの方法で追加できなかったときに、サンプルのリモコンにリモコンの機能ボタンを学習させて追加します。
「その他」は、リモコンのボタンを自由に追加し、各ボタンに機能を学習させる方法です。ただこの方法の場合、Siriなどのサードパーティーのアプリが非対応になります。
まず、テレビのリモコンを追加してみましょう。
SwitchBotアプリの「ホーム」画面で「ハブミニ」をタップし、次の画面で「リモコンを追加」をタップ。「家電を選択」画面になるので、「テレビ」をタップ。「リモコンの追加方法画面」で注意事項などを確認し、「スマートラーニングを始めます」をタップします。
家電の種類を選択し、「スマートラーニングを始めます」をタップ
「メーカーを検索」画面でメーカー名をタップすると、赤外線学習が待機状態になります。ここで、テレビのリモコンをSwitchBot ハブミニに向け、電源ボタンなど任意のボタンを押します。プリセットがあれば自動で認識し、リモコンが追加されます。
メーカーを選択し、赤外線学習を待機状態に。リモコンの任意のボタンを押すとリモコンが追加される
ただこのとき、ボタンの機能が正しく認識されないことがあります。その場合、アプリ画面上のボタンがグレーアウトしているので、修正をします。
グレーアウトしているボタンを押すと赤外線学習が待機状態になるので、リモコンをSwitchBot ハブミニに向け、該当のボタンを押します。
「赤外線信号が記録されました」と表示されたら、「テスト」をタップして正常に機能するか、確認します。問題がなければ「保存」をタップ。同様に、すべてのグレーアウトしているボタンに機能を割り当てます。
筆者のテレビは5年ほど前に購入したシャープの「AQUOS」ですが、リモコンボタンの半分ほどが正しく認識されませんでした。SwitchBot ハブミニが海外製ということがあるのかもしれませんが、もう少し精度が欲しいところです。
また、リモコンのすべての機能が使えるわけではありません。「操作ガイド」や「インフォメーション」「NETFLIX」といったいくつかのボタンが表示されません。
これは、どのリモコンにも言えることですが、表示されないボタンがあるところには改善の余地があると思います。
グレーアウトしたボタンを押し、赤外線学習が待機状態になったらリモコンの該当のボタンを押す。これを繰り返し、すべてのボタンに機能を割り当てたら、作業は終了
最後に、リモコン画面の右上にある「保存」をタップ。デバイス名に「テレビ」など自分でわかりやすい名前を付け、「保存」をタップ。次の画面で「今すぐ使う」をタップすると、リモコンが使えるようになります。
もしボタンが正常に動作しないときは、画面右上の歯車アイコンをタップし、修正をしましょう。
デバイスに名前をつけて保存したら、リモコンの追加は完了
もうひとつ、エアコンを追加してみましょう。
テレビと同様の手順で画面を進め、「スマートラーニングを始めます」をタップ。エアコンの場合は、メーカーを選択することなく、すぐに赤外線学習が待機状態になります。
ただ、ここでリモコンのボタンを押してリモコンは表示されましたが、すべてのボタンが機能しません。
こうしたケースでは、いったん追加したリモコンを削除して再度追加の画面を進め、赤外線学習の待機状態画面で「メーカーを検索」をタップします。
「メーカーを検索」画面になるので、メーカーをタップ。次の画面で、エアコンの型番をタップします。該当の型番がない場合は、近い型番を試してみるといいでしょう。
「スマートラーニング」でうまく行かないときは、「メーカーを検索」からメーカーと家電製品の型番を指定する
リモコンが表示され、今度は正しく動作したので、名前をつけて保存します。筆者宅のエアコンの場合、「冷房」「自動」「風向」ボタンをタップすると、サブメニューが開いてボタンが表示されるスタイルでした。
このようにして、家中の家電のリモコンを追加していきます。
SwitchBot ハブミニはWi-Fiに接続されているので、この段階で、外出先からでも家電をコントロールできるようになっています。
正常に動作したら、名前をつけて追加する
リモコンを追加すると、追加したすべての家電をiPhoneからコントロールできるようになります。次に、音声で家電をコントロールできるようにしてみましょう。
以下では、Siriを使ってコントロールする方法を紹介します。Siriで使える設定をすれば、iPhoneはもちろん、「HomePod」と「HomePod mini」からも家電をコントロールできます。
ほかのスマートスピーカーや音声アシスタントも、基本的な設定の流れは共通です。
まず、SwitchBotアプリの「ホーム」画面でコントロールしたい家電を選択。リモコンが表示されるので、右上の歯車アイコンをタップします。
「設定」画面が開いたら、「Shiri Shortcut(Beta)」をタップします。本稿執筆時点では、Siriショートカットとの連携機能はベータ版です。
家電を選択し、リモコン画面の歯車アイコン→「Shiri Shortcut(Beta)」をタップ
リモコン画面が表示されるので、音声で実行するときの家電の状態をセットします。エアコンなら、電源オン、冷房か暖房か、設定温度、風向、風量などです。セットしたら、右上の「次へ」をタップ。
Siriショートカットの設定画面になるので、「短いフレーズを録音」をタップします。録音状態になるので、「エアコンを起動」など、短いフレーズのコマンドを発話して録音しましょう。録音できたら、結果の文字を確認し、間違いがなければ「完了」をクリックします。
リモコンで実現したい状態をセットし、動作のきっかけとなるフレーズをSiriショートカットに登録する
これで、設定は完了です。iPhoneまたはHomePod/HomePod miniに向かって「Hey! Siri エアコンを起動」のように、録音したフレーズを話して動作を確認しましょう。
ほかの家電製品も同様に設定すると、すべての家電を声でコントールできるようになります。
シーン機能を使うと、複数の家電をまとめてコントロールできます。
以下では、「午前6時半になったら、照明、テレビ、エアコンの電源を入れる」という起床時のシーンを想定して設定します。
シーンを設定するには、SwitchBotアプリの「シーン」画面で「+シーンを作成」をタップ。「シーン設定」画面が開き、ここできっかけとなる条件と、実際に実行する操作などを設定します。
まず条件ですが、「すべての条件が満たされた時」をタップすると、「いずれかの条件が満たされた時」に変更もできます。
「条件を追加」をタップすると、手動実行、スケジュール、NFCトリガー、室温/湿度の条件を複数組み合わせて設定できます。NFCトリガーとは、別途NFCタグにコマンドを設定しておき、NFCタグにスマホでタッチすることを条件にするものです。
ここでは、午前6時半を条件にするので、「スケジュール」をタップ。時間を設定し、平日に繰り返し実行するよう設定して「はい」をタップします。これで、条件は設定完了です。
「条件を追加」をタップ。条件にしたい項目をタップして設定したら「はい」をタップ
次に、「アクションを追加」をタップして、どの家電をどうするのかを設定します。
追加したリモコンにつけた名前の一覧が表示されるので、実行したい家電をタップ。リモコンが表示されるので、実行したい状態をセットして右上のチェックマークをタップ。同様の手順で、同時にコントロールしたい家電すべてを設定します。
家電を選択し、リモコンのボタンをタップして状態をセットしたら右上のチェックマークをタップ。家電によっては、電源のオン/オフのみで、チェックマークが表示されず画面が自動で戻るものもある
あとは、自分でわかりやすい「シーン名」を付け、「作成」をタップ。これで、「シーン」画面の「自動」タブに登録されます。この画面で、シーンのオン/オフも可能です。
シーンに名前をつけて「作成」をタップしたら、シーンの作成は完了
スマートリモコンは、はじめにリモコンの追加などの設定が必要なものの、設定さえ済ませてしまえばとても便利です。
特にこの暑い時期、家に帰る30分前くらいにエアコンの電源を入れられるのはとても助かっています。
ただ、前述したようにリモコンのすべてのボタンが機能しないケースがあるため、リモコンが不要になるわけではありません。その点は、理解しておいてください。
もうひとつ、赤外線通信は遮蔽物を通過できないので、複数の部屋があるときには個別にスマートリモコンを用意する必要があります。広めのリビングなどでは、スマートリモコンを見通しのよい場所に設置するのもポイントです。
それでも、別途カメラを用意すれば宅内の見守りにも使えるし、今後スマート家電を増やしていくと、さらに便利なスマートホームができあがりそうです。
興味を持たれた方は、今ある家電のコントロールからはじめてみてはいかがでしょうか。
パソコンからモバイルまで、ハード&ソフトのわかりやすい操作解説を心がける。趣味は山登りにクルマという、アウトドア志向のIT系フリーライター。