Amazonは5月30日、スマートスピーカー「Echo」シリーズの最新モデル「Echo Pop」の5月31日の出荷に合わせて都内で新製品発表を開催した。
5月30日に開催された「Echo Pop」新製品発表会の様子
「Echo Pop」は、「Echo Dot(第5世代)」や「Echo Dot with clock(第5世代)」を2つに割ったような半球状のコンパクトなデザインを採用。奥行きが短くなり、ベッドサイドやデスクの上といった狭いスペースにも設置しやすくなっているほか、「Echo」シリーズとして初めてラベンダーとティールグリーンというチャコール、グレーシャーホワイト、ブルー系以外カラーリングをラインアップしたのも大きな特徴となっている。
半球状のコンパクトなデザインを採用した「Echo Pop」
「Echo Pop」は全4色のカラーバリエーションを用意(写真左から、ティールグリーン、グレーシャーホワイト、ラベンダー、チャコール)
発表会に登壇したAmazonデバイス事業本部 Echo事業部 事業部長の橘宏至氏によると、Amazon Alexa搭載デバイスの世界販売台数は2022年末の時点ですでに5億台を突破しており、昨年は利用者数が世界全体で35%も増えたという。日本市場でも販売台数・利用者数ともに右肩上がりで伸びているが、特に利用者数よりも販売台数の伸びが大きくなっており、ユーザーの複数台持ちが拡大しているそうだ。
日本市場では販売台数と利用者数ともに右肩上がりだが、販売台数と利用者数の開きは大きくなってきており、ユーザーの複数台持ちが増えてきているという
さらに「Echo」シリーズの月間アクティブユーザー数を分析したところ、特に18歳から34歳までの若年層で大きく伸長していることがわかったという。定額制の音楽ストリーミングサービスの利用者数も10代〜30代ですでに全体の7割に達し、若年層では音楽ストリーミングサービスへのシフトが大きく進んでいることもわかり、こういったZ世代やミレニアル世代と呼ばれる若年層に向けて「Echo」シリーズをさらに普及拡大させることや、すでに「Echo」シリーズを所有している人の2台目需要を狙い、「Echo Dot(第5世代)」や「Echo Dot with clock(第5世代)」よりも安い5,980円という価格設定と豊富なカラーバリエーションを用意した入門機として「Echo Pop」を開発したそうだ。
「Echo」シリーズの月間アクティブユーザー数は、18歳から34歳までの若年層で大きく伸長
定額制の音楽ストリーミングサービスの利用者数も10代〜30代ですでに全体の7割に達しているそうだ
発表会には、お笑い芸人のニューヨークの嶋佐和也さん・屋敷裕政さん、モデル・ギャルタレントのゆうちゃみさんがゲストとして登場。「Echo」シリーズを長らく愛用する”Alexa(アレクサ)芸人“こと嶋佐和也さんによるAlexaの魅力のプレゼンや、ゆうちゃみさんが最新のギャル語を教えてくれる期間限定で提供されるサービスなどが披露された。今回期間限定で提供を予定しているサービスについても、ゆうちゃみさんの若者向けの影響力の高さを期待したものだそうで、若年層への「Echo」シリーズの普及拡大に向けてAmazonが注力していることがうかがえた。
発表会には、モデル・ギャルタレントのゆうちゃみさん、お笑い芸人のニューヨークの嶋佐和也さん・屋敷裕政さんも登場
ここからは、「Echo Pop」と「Echo Dot with clock(第5世代)」を比較しながら、「Echo Pop」のファーストインプレッションをお届けしようと思う。
冒頭でも述べたとおり、「Echo Pop」は「Echo Dot(第5世代)」や「Echo Dot with clock(第5世代)」よりも下、「Echo」シリーズの入門機という位置づけの製品となっている。半球状のコンパクトなデザインで狭い場所に設置ができるようになったほか、スピーカーユニットが前向きに配置され、サウンドの指向性が高くなっているという。
「Echo Pop」。フロント部分のメッシュになっているところにスピーカーユニットが前向きに配置されている。ちなみに、ドライバーユニットのサイズは「Echo Dot(第5世代)」や「Echo Dot with clock(第5世代)」よりも大きくなっている
「Echo Pop」と「Echo Dot with clock(第5世代)」を並べて真横から写したところ。「Echo Dot with clock(第5世代)」も十分コンパクトなサイズだが、「Echo Pop」は奥行きが少なくてさらにコンパクトになっている
「Echo Pop」と「Echo Dot with clock(第5世代)」の底面部分を映したところ。設置面積が小さくなっていることがお判りいただけるだろう
機能面では、Alexa音声操作を使った音楽やラジオの再生、天気やニュースの読み上げ、Matter対応のスマートデバイスの操作、スマートプラグやスマートリモコンを経由したスマートデバイスの操作、スケジュールの管理など、これまでの「Echo」シリーズ同様の機能を利用できる。いっぽうで、コストダウンのため、「Echo Dot(第5世代)」や「Echo Dot with clock(第5世代)」に搭載されたモーション検知センサーや温度センサーといった機能は省かれている。
また、これまでの「Echo」シリーズでは、「アレクサ、○○」とわざわざ話しかけなくても、ボタンひとつで呼び出せるアクションボタンが搭載されていたが、こちらも「Echo Pop」ではフェードアウトしており、単独で使う場合は「アレクサ、○○」といった音声操作が必須である点も注意が必要だ。
「Echo Pop」の上部をうつしたところ。ボリューム調整ボタンやマイクミュートボタンはあるが、アクションボタンはない
実際に「Echo Pop」と「Echo Dot with clock(第5世代)」の音質の違いをチェックしてみたが、「Echo Pop」はスピーカーが前向きに配置されたおかげて、全体的にくっきりしたサウンドが特徴的だった。筐体の容積が小さいためか、深みのある重低音は「Echo Dot(第5世代)」に軍配が上がるし、空間への音の広がりも「Echo Dot(第5世代)」のほうが若干広く感じられるが、「Echo Pop」は真正面に置いたときのくっきりとしたサウンドがとても聴きやすく、音楽リスニングだけじゃなく、人の声が中心のラジオやポッドキャストなどとも相性がよさそうだ。
「Echo Pop」と「Echo Dot with clock(第5世代)」を横並びにして音質の違いをチェック
コストダウンのため、「Echo Dot(第5世代)」や「Echo Dot with clock(第5世代)」などに比べるといくつかの機能が削られているものの、音質も思った以上にちゃんとしているし、なによりも手にとりやすい価格なので、すでに「Echo」シリーズを持っていて、ほかの部屋に増設したいという買い増し用途には必要十分なモデルと言える。ラベンダーとティールグリーンというカラーバリエーションも新鮮なので、このカラーリング目当てで購入するっていうのもアリだろう。
AV家電とガジェット系をメインに担当。ポータブルオーディオ沼にどっぷりと浸かっており、家のイヤホン・ヘッドホンコレクションは100を超えました。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットも増えてます。家電製品総合アドバイザー資格所有。