日没の時間が少しずつ早まり、ときおり吹く風に涼しさが感じられるようになる秋は、アウトドアでのレジャーにうってつけの季節。暑い盛りはおとなしくしていたキャンパーのみなさんも、そろそろキャンプ場の予約状況をチェックし始めているころではないでしょうか?
今回は、そんなキャンパーに向けて、キャンプ場で過ごす時間をグッと充実させてくれるモバイルプロジェクターを紹介。キャンプに持って行くべきモバイルプロジェクターの選び方やキャンプ場での活用方法を、キャンプ好きの筆者が詳しくお伝えしていきます。
「自然の中で不便さを楽しむのがキャンプの醍醐味でしょ」と言いつつ、日ごろから、ついついキャンプで使えそうな便利なものを探してしまう筆者。今回は、モバイルプロジェクター「カベーニ PRO2」を持ち込んで、いつもとはひと味違うキャンプを満喫してきました
キャンプで活躍してくれるモバイルプロジェクターを選ぶにあたって、まず注目したいのは本体のサイズや重量でしょう。キャンプは、回を重ねれば重ねるほどギアが充実し、荷物が増えてしまうものなので、モバイルプロジェクターはできるだけコンパクトで軽量なものを選びたいところ。
また、電源が利用できないことを前提に、バッテリー内蔵の製品を選ぶのも重要なポイントとなります。加えて、設置場所に困らず、投写角度の調整が可能な三脚や、本体での操作をしなくても済むリモコンが同梱されているととても便利です。さらに、本体やこれら付属品をまるっと収納できるキャリーケースが付属していれば、アウトドアへ持ち出す際に付属品を見失ってしまうことも防げます。
続いてスペック面を見ていきましょう。映像の見やすさを左右するプロジェクターの明るさですが、昼間、森の中のサイトや、木陰のあるサイトで映像を楽しみたいという場合は、できるだけ明るい映像を投写できる製品を選びたいところです。さすがに数百ルーメンの製品だと、昼間の投写は厳しいですが、「夜のお楽しみ」と割り切って、日没後に使用するのであれば、十分に見やすい映像が投写できます。
また、映像の精細さを決めるパネル解像度ですが、モバイルプロジェクターの場合、フルHD(1920×1080)、WXGA(1280×768)、HD(1280×720)、FWVGA(854×480)など、解像度によって価格帯が変わってきます。おおよそですが、フルHDなら10万円前後、WXGAやHDなら6〜7万円前後、FWVGAなら5万円以下あたりが目安となるでしょう。
キャンプだけでなく、自宅でホームシアターも楽しみたいという人なら、思い切ってフルHDの製品を手に入れてみるとよいかもしれません。きっと、購入後の満足度が違ってくるはずです。
そんな視点で今回、筆者がキャンプ場に持ってきたのが、ホームワーキングマザーが展開する「UENO-mono」ブランドのモバイルプロジェクター「カベーニ PRO2」。あまりなじみのないブランド名、製品名かもしれませんが、昨今、キャンプ系SNSなどで目にする機会が増えつつある、キャンパー注目のモバイルプロジェクターなのです。
「カベーニ PRO2」の本体サイズは、12.8(幅)×12.8(奥行)×3.4(高さ)cmの手のひらサイズ。重量は、500mlペットボトルと大差のない542g。これだけコンパクトで軽量なら、アウトドアにも楽に持ち出せます
同梱されるのは、プロジェクター本体のほか、角度調整が可能な雲台付の三脚、リモコン、電源アダプター、HDMIケーブル、AUXケーブル、クイックガイド、説明書。さらに、本体収納用のポーチとキャリーケースも付属します
「カベーニ PRO2」のスペックは、明るさが4000ルーメン、パネル解像度はフルHD、コントラスト比は5000:1。投影方式はDLPで、光源はLED、ランプ寿命は30000時間以上となっています。また、電源のないアウトドアでも投写可能なバッテリー内蔵で、その容量は10500mAh、連続稼働時間は約3時間。投影サイズは3〜180インチに対応していて、1mで約33インチ、3mで約107インチの映像が投写可能です。
気になるお値段ですが、メーカー希望小売価格129,800円(税込)のところ、楽天市場の「UENO-mono」公式ショップでは79,800円(税込)で販売されています(2023年9月5日時点)。
前述のとおり、フルHDのモバイルプロジェクターの相場はおおよそ10万円前後ですので、これはお手ごろな価格と言ってよいでしょう。このコスパの高さも、昨今、多くのキャンパーから注目される理由のひとつなのかも知れません。
(左上)電源を入れると最初に投影される「カベーニ PRO2」のメニュー画面。Netflix、YouTube、Amazonプライムビデオのアプリがプリインストールされています。(右上)そのほかの対応アプリ一覧画面。Wi-Fi環境下なら、必要なアプリがここからすぐにインストールできます。(左下)直感的に項目選択できる、わかりやすい設定画面。(右下)購入時は自動台形補正がオンになっていますが、微妙な調整を手動で行うこともできます
「カベーニ PRO2」の画質を確認するため、日没後に投写した映像がこちら。フルHDだけあって、岩肌や波しぶきまで高精細に描き出してくれるうえ、コントラスト比5000:1でカラフルな建物も実に色鮮やか
昼間、木陰の下で投写した映像。日没後に投写した映像に比べると、くっきり感は落ちますが、それでも視認は可能です。少し日が陰ってくる夕方ぐらいから使い始めるのがよさそうだと感じました
付属のリモコンは単4乾電池(別売り)2本で稼働。本体とBluetooth接続して使用するため、初回のみペアリング設定が必要です。赤外線による接続ではないので、操作のたびにリモコンを本体に向ける必要はありません。細かいところですが、これは結構ありがたいポイント
荷物が多くなりがちなキャンプにおいて、モバイルプロジェクターの映像を映し出すために、専用のスクリーンやスタンドを持ち運ぶのはなかなか難しいもの。そこで、「どこに投写するか」を考えてみました。
以下で、筆者が思いついた投写場所をいくつか紹介していますが、ここにあげたもの以外でも、キャンプギアの中には、広げると大きな面積になるものや、フラットな面を持っているものがいくつもあると思います。
レジャーシートやグランドシートは十分に活用できそうですし、投写サイズが少し小さくなってしまいますが、クーラーボックスやコンテナボックスの側面も使えそう。こんなふうに、手持ちのギアの中から映像が投写できそうなものをあれこれ考えるのも、楽しいのではないでしょうか。
手持ちのキャンプギアの中で、何かスクリーンに代用できるものはないかと考え、思いついたのが、コールマン「インスタントバイザーシェード」のオプション品となる「フルフラップ」。本来は、日差しや風を防いだり、サイト内でのプライバシーを確保したりするためのアイテムですが、モバイルプロジェクターの映像を投写するのにぴったりでした。明るい色のスクエアタープやヘキサタープを利用している人は、「カベーニ PRO2」の投写角度を上方に調整して、タープの内側に映像を映し出すという手もありそうです
テントの内側や、インナーテントが白系なら、こうした使い方もできます。「カベーニ PRO2」には1W×2のステレオスピーカーが内蔵されていますが、夜も更けてきたら、本機とBluetooth接続したイヤホンを使って、ひとり静かに映画鑑賞するのもよさそう。ただし、ホラー映画を見た後はトイレに行けなくなってしまうかもしれないのでくれぐれもご注意を
クルマのリアゲートを開き、先端から白布を垂らしてスクリーンにする、なんて方法にもトライしてみました。スクリーンが縦長になるので、TikTokなどのSNSに投稿された動画や、縦型のスマホゲームなど、スマートフォンの画面を映し出すのにちょうどよさそう。なお、スマートフォンに専用アプリ「EShare」をインストールしておけば、ワイヤレスでミラーリングが可能です
続いて、今回のキャンプにおける筆者のモバイルプロジェクター使用例を紹介していきましょう。これまでのキャンプでは、日が陰ったらキャンプ飯をつまみにビール&ハイボールをいただき、後はひたすら焚き火の炎を眺めながら家族や友人と語らって過ごすのがお決まりでしたが、今回、「カベーニ PRO2」を持ち込んだことで、そのスタイルは激変。本機があることで、キャンプで過ごす時間がグッと充実したものになった、と感じました。
プロ野球好きの筆者は、キャンプ中でもひいきのチームの試合速報をスマートフォンでチラチラとチェックするのが常でしたが、今回は思い切って、ビールと枝豆とともに大画面でナイター観戦。夕暮れ時に心地よい風を感じながら屋外で観戦していると、なんだかスタジアムにいるような気分になってきます
友人とのキャンプで最近ブームになっているのがモルック。2チームに分かれて繰り広げられた昼間の激戦の様子をスマートフォンで撮影しておき、夕食時に上映会を実施しました。「この場面での、おれのスーパーショット、見て見て」と、みんなで大盛り上がり
お酒を飲みながらゆっくりと過ごすことの多いキャンプでの夜ですが、子どもにとってこの時間は案外、暇で退屈なもの。そんなときは「カベーニ PRO2」とスマートフォンやゲーム機を接続して、大画面でゲームをプレイさせてあげてはどうでしょう。これ、子どもからはめちゃくちゃ好評です
キャンプ場をチェックアウトした後は、ご当地グルメが味わえる飲食店に寄り道するのも、キャンプの楽しみのひとつ。「明日はどこの店に行ってみようか」と、グルメサイトを見ながら友人とあれこれ相談する際にも、モバイルプロジェクターは大いに活躍してくれました
キャンプは、出かける季節や天候、目的地となるキャンプ場、一緒に行くメンバー、といったシチュエーションこそ毎回異なるものの、いざキャンプ場に到着したら、テントやタープを設営し、キャンプ飯を作り、焚き火を眺め、と行動自体は同じことを繰り返しているケースが多いように感じます。もちろん、シチュエーションが少し変わるだけでも十分に新鮮な気分でキャンプは楽しめますが、そこにもうひとつ、新たなエッセンスを加えてくれるのが、モバイルプロジェクターではないでしょうか。
今回のキャンプを通じて感じたのは、「モバイルプロジェクターがあるキャンプと、ないキャンプでは楽しさの密度が全然違う」ということ。複数人で出かけるキャンプでは、モバイルプロジェクターがあることで、さまざまな映像をみんなで共有して楽しむことができますし、ソロキャンプの場合は、ひとり静かに過ごす時間に、さらなる趣味的要素を加えてくれるものだと感じました。今やっているキャンプに、ちょっとした「味変」を求めている人は、ここで紹介したモバイルプロジェクターをぜひ取り入れてみてほしいと思います。
なお、キャンプ場によっては音の出る機器の使用を禁止しているところがあるほか、周りのキャンパーにとって、投写映像の明かりがことのほか気になる場合がありますので、モバイルプロジェクターの取り扱いには十分に注意してください。ルールやマナーを守って、この秋も思いっきりキャンプを楽しみましょう!
雑誌編集や広告制作を経て2011年から価格.comへ。クルマやカーナビなどの自動車関連やアウトドア関連などを中心に、さまざまなジャンルの記事を不定期で担当しています。好きな言葉は「府中千八展開いらず」。