2023年10月28日、東京駅直結のステーションコンファレンス東京にて「秋のヘッドフォン祭2023」が開催された。本稿では、オーディオテクニカ、final/ag/DITA、エミライ、TOP WING Cybersound Groupブースの注目製品フォトレポートをお届けする。
オーディオテクニカは、プロフェッショナルモニターヘッドホン「ATH-M50x」歴代モデルの一斉展示を行ったほか、隣接する部屋に専用ブースを設け、本イベントのメインビジュアルに採用されたハイエンドオーディオシステム「鳴神(NARUKAMI)」の試聴会を開催していた。現時点でアナウンスされている国内での「鳴神(NARUKAMI)」の試聴会は、本イベントと11月18日・19日に開催する「Analog Market 2023」のみ。1,320万円(税込)の超弩級システムを試聴できる貴重な機会ということで、試聴会の専用ブース前で足を止めて質問をしたり写真を撮る人なども多く、注目度の高さがうかがえた。
プロフェッショナルモニターヘッドホン「ATH-M50x」歴代モデルがずらりと展示されていた
1,320万円のハイエンドオーディオシステム「鳴神(NARUKAMI)」は専用ブースで試聴会を実施
final/ag/DITAは本イベント内で発表会を開催し、8つの新製品と新サービスを一挙発表。ブースにも新製品が一挙展示されていた。
finalからは、フラッグシップ完全ワイヤレスイヤホン「ZE8000」の後継機種となる「ZE8000 MK2」、フラッグシップヘッドホン「D8000」の兄弟機「D7000」、ノイズキャンセリング機能搭載ワイヤレスヘッドホン「UX3000」の新色ホワイト、「UX3000」の兄弟機「UX2000」、有線イヤホン「VRシリーズ」の最新モデル「VR500」の5つの新製品が登場。
なかでも注目を集めていたのが、完全ワイヤレスイヤホンの「ZE8000 MK2」。「ZE8000」のどんな音にもピントを合わすことができる高精細な8K SOUNDを実現するというコンセプトはそのままに、より空間を感じられるようなチューニングに仕上げたそうで、内部構造の最適化に合わせてイヤーピースも変更。ノイズキャンセリングもアルゴリズムの変更とイヤーピースの変更等で32%向上したそうだ。ちなみに、シールドフィンを追加した「ZE8000 MK2」のイヤーピースはそのままでは「ZE8000」で利用できないが、個人最適化サービス「自分ダミーヘッドサービス」で「ZE8000 MK2」のイヤーピースに近いことを実現させる予定とのこと。発売日は11月17日で、価格は36,800円前後だ。
完全ワイヤレスイヤホン「ZE8000 MK2」。イヤホン本体や充電ケースの形状は変更なく、イヤホン本体や充電ケースに2本の白いラインがプリントされたこと、イヤーピースが新型に変更されたところがデザイン面での「ZE8000」との違い
新型イヤーピースはシールドフィンを追加して装着安定性がアップ。「ZE8000 MK2」の音質最適化に合わせて作り込んでいるそうで、「ZE8000」にそのまま流用はできないそうだ
有線ヘッドホン「D7000」。ドライバーユニットが近距離にあるヘッドホンで課題となる耳介の非対称性にともなう影響を軽減させるため、専用のディフューザーを使用した新しい構造を導入。ヘッドバンドとイヤーパッドには、「D8000 Pro Limited Edition」にも使われている和紙素材を採用。価格は35〜40万円を想定しているとのこと
ノイズキャンセリング機能搭載ワイヤレスヘッドホン「UX2000」。ゲーミングモードも搭載。ノイズキャンセリング機能も強力になっているそうだ。価格は「UX3000」よりは低価格になる見込み
有線イヤホン「VRシリーズ」の最新モデル「VR500」。音の聴こえる方向・座標を的確に把握できるチューニングを目指したという。エントリー向けで“500”という数字を冠していることもあり、「VR2000 for Gaming」よりもかなりお求めやすい価格になるそうだ
REBからは、final「E3000」の開発チームとREBで共同開発した有線イヤホン「GRID01」の一般販売モデルと、“新しいドンシャリ”を目指して開発したという完全ワイヤレスイヤホン「GEAR01」が登場。「GEAR01」は、ヘッドトラッキングやLDAC対応など、昨今のトレンドを網羅しつつも、だいぶ買い求めやすい価格に仕上げたという。
有線イヤホン「GRID01」。フィルター交換を行うことで10万通り以上のチューニングが可能。11月21日発売で、価格は5,980円
“新しいドンシャリ”を目指して開発したという完全ワイヤレスイヤホン「GEAR01」。高音質だけでなく多機能をコンセプトに開発したそうで、ヘッドトラッキングやLDAC対応など、昨今のトレンドもしっかりとキャッチアップしたそう。1万円を切るかなり戦略的な価格になるそうだ
DITAからは、有線イヤホン「Project M」が発表された。DITAがこれまでの製品開発で培ってきたノウハウやコネクションを駆使し、日常生活にも手軽に取り入れられるような手の届く価格帯で提供することを目指して開発されたまったく新しいラインの有線イヤホンとなる。「PM1+」と呼ばれるダイナミック型ドライバーとBA型ドライバーをステンレス筐体に収めたユニットを樹脂で覆って成形するという新しい構造を採用しており、スケルトンデザインのイヤホン本体はこれまでのDITA製品とは異なるカジュアルな印象だ。価格は50,000円前後を想定しているとのこと。
DITAの最新有線イヤホン「Project M」。ダイナミック型ドライバー+BA型ドライバー、スケルトンボディ、蓄光イヤーピースなど、これまでのDITAイヤホンにはない新機軸のイヤホンだ
エミライブースでは、今後発売を予定しているFiiOの新製品群が数多く展示されていた。
「R9」は、「R7」の機能性やコンセプトを踏襲しつつ、音質や機能性をさらに向上させたデスクトップオーディオ「Rシリーズ」の最上位モデル。DACチップには「ESS9038PRO」を2基搭載。アンプは「THX AAA-788+」を8ch分搭載し、「K9ProESS」を上回る⼤出⼒を実現したという。また、新たにARC対応のHDMI端⼦を搭載したのもポイント。テレビや外部モニターと組み合わせた新しい使い方ができるという。今冬発売予定で、日本での価格は現時点では未定となっている。
FiiO「R9」(写真左)と「R7」(写真右)。本体サイズは「R7」とほぼ同じだが、中身は大幅にアップグレードされている
FiiO「R9」の背面。ARC対応のHDMI端⼦が搭載されたことで、これまでにない新しい使い方ができる
「Q15」は、DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「Q5」(Q5 with AM3A/Q5 with AM3B)の後継モデル。DACチップにAKMの最新フラッグシップ「AK4191+AK4499EX」を搭載したほか、Bluetooth SoCに「QCC5125」を採用し、aptX adaptiveやLDACなどの⾼⾳質フォーマットにも対応する。こちらも今冬発売予定で、日本での価格は現時点では未定。
FiiOのDAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「Q15」。DACチップにAKMの最新フラッグシップ「AK4191+AK4499EX」を搭載
「KB3」は、英語配列のテンキーレスキーボードにDAC機能とヘッドホンアンプ機能を搭載したという新機軸のガジェットだ。シーラスロジックのDACチップ「CS43131」をデュアル構成で搭載し、最⼤550mWの4.4oバランスヘッドホン出⼒が行える。また、3.5mm出力は4極タイプでマイク付きのゲーミングヘッドセットなども接続可能。ホットスワップ対応、⾦属製のガスケット構造+2層ノイズリダクション設計で打鍵⾳を低減させるなど、キーボード部分もかなり本格的な仕様となっている。今冬発売予定で、日本での価格は現時点では未定だ。
FiiO「KB3」。英語配列のテンキーレスキーボードにDAC機能とヘッドホンアンプ機能を搭載したという新機軸のガジェットだ
ヘッドホン出力は本体左側面に用意。3.5mm出力は4極タイプでマイク付きのゲーミングヘッドセットなども接続できる
TOP WING Cybersound Groupブースでは、iFi audioは、近日発売予定の新製品として、DAC・ヘッドホンアンプ「NEO iDSD」の後継モデル「NEO iDSD2」と、静電型ヘッドホン対応アンプ・プリアンプ「iCAN Phantom」を展示していた。
「NEO iDSD 2」は、アプリからのリモート操作対応、Bluetooth 5.4のロスレス再生対応、「iEMatch」の搭載など、「NEO iDSD」から機能・性能をブラッシュアップ。「iCAN Phantom」は、専用のカードをスロットに挿すことで、いろいろな静電型ヘッドホンに対応できるのが大きなポイントとなっている。
「NEO iDSD2」は11月中旬発売で準備を進めているそうで、価格は154,000円前後になる見込み。「iCAN Phantom」は年内発売を目指しており、価格は「Pro iCAN」よりちょっと上あたりを想定しているそうだ。
iFi Audio「NEO iDSD2」。アプリからのリモート操作対応、Bluetooth 5.4のロスレス再生対応などに新たに対応
静電型ヘッドホン対応アンプ・プリアンプ「iCAN Phantom」。シルバーの筐体とブラックの筐体で上下別々に見えるが、これらを合わせて1つの製品となっている
専用のカードをスロットに挿すことで、いろいろな静電型ヘッドホンに対応できるのが大きなポイントだ