TVS REGZAは、2024年モデルの「4Kレグザ」として有機ELテレビ「X8900N」、Mini LEDバックライトを搭載した液晶テレビ「Z870N」、スタンダードな液晶テレビ「Z670N」3シリーズを発表した。すべてのモデルが4K解像度で、各シリーズのラインアップは以下のとおり。
【4K有機ELレグザ「X8900N」シリーズ】 4月12日発売
●65V型「65X8900N」 市場想定価格:440,000円前後
●55V型「55X8900N」 市場想定価格:330,000円前後
●48V型「48X8900N」 市場想定価格:264,000円前後
【4K Mini LED液晶レグザ「Z870」シリーズ】 5月31日発売
●75V型「75Z870N」 市場想定価格:528,000円前後
●65V型「65Z870N」 市場想定価格:396,000円前後
●55V型「55Z870N」 市場想定価格:308,000円前後
【4K液晶レグザ「Z670」シリーズ】 5月17日発売
●75V型「75Z670N」 市場想定価格:374,000円前後
●65V型「65Z670N」 市場想定価格:286,000円前後
●55V型「55Z670N」 市場想定価格:242,000円前後
●50V型「50Z670N」 市場想定価格:187,000円前後
●43V型「43Z670N」 市場想定価格:165,000円前後
去る2024年1月には、HD解像度のレグザが発表されていたが、今回発表された製品は「4Kレグザ」であり、言わばTVS REGZAの本道を行くシリーズ。有機EL/液晶テレビともにハイエンド製品ではないものの、2024年製品の流れがうかがえる内容だ。
まずは各シリーズに共通した機能を見ていこう。2024年のTVS REGZAラインアップは、伝統の画質調整機能に加えて、便利に使える諸機能が追加されている。
3シリーズに共通して搭載される映像処理エンジン「レグザエンジンZR」。ハードウェア的な変更はないようだが、中身は2024年仕様とのこと
「レグザエンジンZR」での処理は多岐にわたるが、近年TVS REGZAが力を入れているのが、ネット動画などの必ずしも高画質と言えないコンテンツの補正だ。ノイズが多めのネット動画を最適化する「ネット動画ビューティ」機能はTVS REGZAならではの注目機能だろう
ネット動画に対する取り組みは以前からのものだが、ハイエンドモデルに採用されていた「ネット動画バンディングスムーサー」が導入された。バンディングとは、圧縮が施された映像データではグラデーションがうまく再現できず、意図しない等高線のようなノイズが出てしまうこと。これをテレビ側で補正し、きれいなグラデーションを表示するという
最適化する映像はもちろんネット動画だけではない。特に地デジやBSの放送番組の「偏差」(開発陣が考える基準値から大きく外れた画質)を最適化する「クラウドAI高画質テクノロジー」は、他社には到底まねできないだろう。何せエンジニアが実際の番組を目視で確認してデータベースを作っているというのだから。放送番組をきれいに見たい、というユーザーはぜひ注目してほしい
人が認知しやすい肌の黒ずみや白飛びに着目し、抑制する「ナチュラルフェイストーン」なども独自の機能。テレビの画質は入力信号をあるがままに映す「モニター」的実力で語られることが多いが、高画質でない映像を最適化する機能こそ、現代のテレビには重要なのかもしれない
姉妹ブランドであるハイセンスのテレビなど、明るさセンサーを搭載して画質を最適化するテレビは増えてきている。しかし、TVS REGZAでは、色温度も検出して最適化することを訴求している。これも画質の自動最適化に早くから取り組んできたTVS REGZAならではの特徴だと言える
TVS REGZAのテレビには録画機能を期待する人も多いはず。3シリーズの中で全録機能である「タイムシフトマシン」に対応するのは「Z870N」だけだが、録画番組やネット動画を横断してコンテンツ検索できる「新 ざんまいスマートアクセス」機能は共通して搭載している
録画系の新機能として追加されたのは、「みるコレ 番組ガイド」。“推し活”の流れに沿った機能で、俳優やアイドル、アーティストの名前を登録しておくと、その出演番組を抽出して表示してくれるというもの
「推し」のジャンルを野球にしておくと、国内外問わず、野球関連の番組が表示される。画面の下にゴルフ番組があるのは、ベイスターズのOB出演番組だから。録画精度の高さがうかがえる
こちらも新機能の「番組こねくと」。番組名を検索すると、放送/ネット動画を横断して検索してくれるというもの。見逃し配信サービスへのアクセス性を高めている
NetflixやAmazonプライム・ビデオ、U-NEXTなどの主要ネット動画サービスにはもちろん対応する。新たにバンダイ・サンライズ系アニメが充実したバンダイチャンネルに対応する。バンダイチャンネルについては、2022年以降のTVS REGZA製品はソフトウェアアップデートで対応可能とのこと
ここで紹介する3シリーズは、すべてリモコンの操作にBluetooth方式を採用。リモコンを本体に向けなくても操作できる。TVS REGZAとしては初の機能とのことだが、ハイセンスとプラットフォームを共通化したよい影響だろう。直近では「A4N」シリーズがBluetooth方式を採用していた
TVS REGZAではゲーミング系の機能訴求を行っているが、今回追加された機能は、FPSなどのプレイ時に使うための照準表示機能。画面中央に、さまざまなタイプの照準をオーバーレイ表示しておける。このほか、「Z870」(「55Z870N」を除く)と「Z670N」シリーズは144Hzゲームモードを搭載することも特徴だ
48、55、65V型をラインアップする「X8900N」シリーズ
共通した機能紹介が長くなってしまったが、簡単に各シリーズの紹介をしておこう。まず、「X8900N」シリーズはTVS REGZAの有機ELテレビとしてセカンドモデルにあたる。全録機能である「タイムシフトマシン」を持たないので、有機ELテレビの画質は欲しいけれど、全録まではいらない……という人に向けたシンプルなモデルと言ったところ。
従来モデル「X8900L」からの進化点は、低反射・高輝度の新パネルを採用したこと。有機ELテレビの表面は反射の強いグレアパネルが一般的だったが、低反射パネルで映り込みの少ない使いやすさを訴求する。ハードウェア的にも、映像処理によるソフトウェア的にも画質向上に努めた「X8900L」のブラッシュアップモデルということになりそうだ。
パネル裏に「高冷却インナープレート」を配置して放熱をうながす構造は従来どおり。近年の有機ELテレビ定番の手法で、各社の工夫が表れる部分でもある
スピーカーは「レグザ重低音立体音響システムXP」。合計6個のスピーカーユニットを個別のアンプで駆動するマルチアンプシステムを採用している
55、65、75V型をラインアップする「Z870N」シリーズ
「Z870N」シリーズは、Mini LEDバックライトを搭載した液晶テレビ。全録機能である「タイムシフトマシン」を搭載するTVS REGZAの液晶テレビとして“全部入り”と言える主力モデルだ。従来モデル「Z870M」シリーズは価格.comの「人気売れ筋ランキング」で上位に入る人気製品だった。
その「Z870M」との違いは、新開発のMini LEDバックライトモジュールを搭載したこと。バックライトの輝度で言えば従来比1.3倍の明るさだという。もちろん、ここには量子ドット技術も使われていて、色純度の高い映像を志向している。
小さいLEDのバックライトを多数配置して、エリアごとに制御するMini LEDバックライトを搭載。映像にあわせてバックライトを細かく動かすことで、高コントラスト映像を得る仕組みだ
指定したチャンネル・時間帯の放送番組をすべて録画する「タイムシフトマシン」を搭載。高機能録画機が一体になるTVS REGZAのテレビならではの注目機能だ
「Z870N」に搭載されるスピーカーは「レグザ重低音立体音響システムZ」。上向きに配置された「トップツィーター」を含む7スピーカー構成。Dolby Atmosの再生にも対応する
43、50、55、65、75V型をラインアップする「Z670N」シリーズ
最後に紹介するのが、「4K液晶レグザ」のスタンダード「Z670N」シリーズ。「タイムシフトマシン」を搭載しないとにかくシンプルな4K液晶テレビ。倍速仕様の新液晶パネルを採用しているという。43V型という比較的小型サイズから75V型という大型まで、展開が豊富で選びやすい。
突き抜けた特徴はないのだが、冒頭で紹介した共通仕様を備え、Dolby Atmosの再生にも対応。スタンダードグレードとして過不足のない内容だろう。
「Z670N」に搭載されるスピーカーは「レグザ重低音立体音響システムZ」。「Z870N」と同じ名称だが、内容は少し異なるそうだ。とはいえ、「トップツィーター」を含む7個ものユニットをマルチアンプで駆動するという凝った基本システムは同等。豪華な内容と言える
TVS REGZAによれば、2024年の新製品はまだまだ控えているとのこと。ハイエンドの登場も間もなくだろう。今回搭載された新機能も当然に搭載されるはずのハイエンドにも期待したい。