2021年に発売されたソニーのワイヤレスネックスピーカー「SRS-NS7」は、薄型テレビ「BRAVIA XR」に専用のワイヤレストランスミッターをつなげることで、ネックスピーカーでも臨場感のある立体音響コンテンツを楽しめることで話題となりました。そんな「SRS-NS7」の後継モデルとして、約2年半ぶりに登場したのが「HT-AN7」です。発売日は2024年6月14日で、市場想定価格は4万円前後(税込)となります。
ソニー「HT-AN7」
なお、同時発表されたサウンドバー「HT-A9000」「HT-A8000」、ホームシアターシステム「HT-A9M2」については下記の記事で詳しく紹介しています。
新モデルの「HT-AN7」は、「BRAVIA XR」に専用のワイヤレストランスミッターをつなげることでDolby Atmosなどの立体音響を楽しめることや、専用アプリ「360 Spatial Sound Personalizer」を用いた個人最適化で没入感の高い360立体音響を楽しめることなど、実は製品でできること自体は先代モデルの「SRS-NS7」から大きく変わってはいません。
「HT-AN7」は先代モデルの「SRS-NS7」同様、「BRAVIA XR」に専用のワイヤレストランスミッターをつなげることでDolby Atmosなどの立体音響を楽しめます
いっぽうで、型番の先頭がホームシアター製品向けの“HT”となり、“BRAVIA Theatre U”というペットネームを冠するなど、先代モデルの「SRS-NS7」からよりホームシアターユースを意識したモデルとなり、下記の4つの項目でアップデートが行われました。
@音質アップ
A2台同時接続
B装着感・バッテリー
C有線接続
まず「@音質アップ」についてですが、「HT-AN7」では新開発のX-Balanced Speaker Unitを新たに搭載。スピーカー本体のコンパクトなサイズ感はそのままに、スピーカーの有効振動板面積を先代モデルの「SRS-NS7」から約1.5倍に拡大することで、サイズ的な制約のあるネックスピーカーでも音がしっかりと広がるように工夫したそうです。
また、剛性にすぐれたアルミ素材を振動板に採用することで、音の解像度も向上。セリフの明瞭度もアップし、迫力のあるサウンドと合わせてより没入感のあるパーソナルホームシアター体験を楽しめるようになったそうです。
「HT-AN7」に搭載されているスピーカーユニット(写真左)と「SRS-NS7」に搭載されているスピーカーユニット(写真右)を比較したところ。パッと見ただけでも大きくなっていることがわかります
音圧がアップしたことで、耳元でも音が広がり迫力あるサウンドを楽しめるようになりました
「A2台同時接続」は、2人で一緒に楽しみたいというユーザーからの要望に応え、文字どおり「SRS-NS7」にはなかった2台同時接続に新たに対応したことです。なお、2台接続は専用のワイヤレストランスミッター「WLA-NS7」に「HT-AN7」を2台接続するのではなく、最初に接続した1台目を親機とし、2台目を子機として接続する形となっています。
「HT-AN7」は最大2台まで同時接続できるようになり、2人で一緒に映画などを楽しめるようになりました
ちなみに、「HT-AN7」を2台同時接続したい人に配慮するためなのか、「HT-AN7」のパッケージには「SRS-NS7」にはあった専用のワイヤレストランスミッター「WLA-NS7」が省かれています。「BRAVIA XR」との組み合わせで使用したい人は注意しておきましょう。
専用のワイヤレストランスミッター「WLA-NS7」は別売りのオプションとなっています
「B装着感・バッテリー」は、ホームシアターユースを強く意識した「HT-AN7」らしい改良ポイントです。先代モデル「SRS-NS7」比約50gの軽量化、首回りの調整自由度がアップした新開発アジャスタブル機構の導入、体にやさしくフィットするソフトマテリアル素材の採用、1回の充電で最大約12時間の再生が可能なロングバッテリーなど、ホームシアターユースで長時間使用することの多いネックスピーカーらしい正当進化と言えます。
「HT-AN7」と(写真左)と「SRS-NS7」(写真右)を比較したところ。「HT-AN7」は首回りがかなりすっきりとしたデザインとなり、重量も約50g軽い268gとなりました
新開発アジャスタブル機構を採用し、首回りの自由度が格段にアップ。形状記憶の特殊素材が使われており、体に合わせて細かく調整できます
重さのあるスピーカー部の裏側には、ズレを防止するために滑りにくい合皮素材を採用。内側にはやわらかいソフトマテリアルを使用し、快適性にも配慮されています
最後の「C有線接続」は、専用のワイヤレストランスミッターやBluetoothを活用してワイヤレス接続するだけでなく、同梱のケーブルアダプターを介して家庭用ゲーム機やPCと直接ケーブル接続することで低遅延なゲームプレイを楽しめるようにするというものです。有線接続時はエコーを抑えるためマイクを利用できないという制約こそがありますが、「PlayStation 5」のコントローラーにも直接接続できるので、これまでにない使い方ができそうです。
遅延の少ない有線接続に対応したことで、ゲームプレイにも活用できるようになりました
「HT-AN7」は単体でもBluetoothスピーカーとして利用でき、専用のワイヤレストランスミッター「WLA-NS7」を用意すればBluetoothのないテレビと組み合わせて使用することもできますが、やはり本領を発揮するのは「BRAVIA XR」と組み合わせたときでしょう。本当は「BRAVIA XR」に本格的なサウンドバーやホームシアターシステムを組み合わせてみたいが、住環境や家族環境でなかなか難しいという人は「HT-AN7」をチョイスしてみてはいかがでしょうか。
●ソニー「HT-AN7」の主な仕様
本体サイズ:235(幅)×48(高さ)×178(奥行)mm
重量:約268g
通信方式:Bluetooth 5.2
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
バッテリー駆動時間:約12時間(10分充電で60分再生可能な急速充電にも対応)
有線接続:〇
ハンズフリー通話:〇(有線接続時は非対応)
マルチポイント接続:〇
2台同時接続:〇