レビュー

REGZA「Z870N」シリーズは画質・音質・全録が揃う高コスパモデル!

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全録機能「タイムシフトマシン」対応のmini LEDバックライト搭載液晶テレビ「Z870N」シリーズをレビュー

全録機能「タイムシフトマシン」対応のmini LEDバックライト搭載液晶テレビ「Z870N」シリーズをレビュー

各社から2024年最新テレビが出揃い、続々と店頭に並び始めている。すぐれた画質や音質、コストパフォーマンスの高いモデルを吟味している人も少なくないだろう。そこで、さっそく各社の代表的なモデルをチェックして詳しく解説していきたい。ここで取り上げるのは、TVS REGZAのmini LEDバックライト搭載液晶テレビ「Z870N」シリーズから、65V型の「65Z870N」だ。

「Z870N」シリーズのラインアップ
●75V型「75Z870N」 解像度:4K(3,840×2,160)
●65V型「65Z870N」 解像度:4K(3,840×2,160)
●55V型「55Z870N」 解像度:4K(3,840×2,160)

「Z870N」シリーズはどんなテレビか?

●mini LEDバックライトを搭載したハイグレード4K液晶テレビ
●指定したチャンネルのテレビ番組をすべて録画できる「全録」対応
●環境に合わせた画質調整機能「おまかせAI」対応

mini LEDバックライトとは、液晶パネルの裏側に多数の細かいLEDをバックライトとして配置したもの。LEDをエリアごとに独立して動かす(ローカルディミングする)ことで、高コントラストな映像を実現できる。「Z870N」シリーズでは、従来モデル「Z870M」シリーズよりも1.3倍の明るさを得られるとしている

mini LEDバックライトとは、液晶パネルの裏側に多数の細かいLEDをバックライトとして配置したもの。LEDをエリアごとに独立して動かす(ローカルディミングする)ことで、高コントラストな映像を実現できる。「Z870N」シリーズでは、従来モデル「Z870M」シリーズよりも1.3倍の明るさを得られるとしている

TVS REGZAのテレビブランドREGZA(レグザ)は有機ELのほか、mini LEDバックライト(+量子ドット技術)搭載液晶テレビ、量子ドット技術搭載液晶テレビ、スタンダードなLEDバックライト液晶テレビ……と幅広いラインアップを展開している。

そのなかで、「Z870N」シリーズは液晶テレビの上位に当たるmini LEDバックライト搭載のモデルで、液晶テレビとしては最上位「Z970N」シリーズに次ぐ製品として位置づけられている。いわばREGZAにおけるmini LED液晶テレビのスタンダードモデル。サイズ展開は75V型/65V型/55V型の3サイズで、今回視聴したのは65V型モデルだ。

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「全録」機能「タイムシフトマシン」搭載

まずは「Z870N」シリーズの概要を確認しよう。パネルには、新開発のmini LED+広色域量子ドット倍速4K液晶パネルモジュールが採用されている。mini LEDの総数や分割駆動時の分割エリア数は2023年モデルとほぼ同じのようだが、明るさが約30%向上していることが特徴。

内蔵スピーカーは「レグザ重低音立体音響システムZ」で、新開発の2ウェイバスレフボックススピーカー、重低音バズーカ、上向きのトップツイーターなど合計7個のユニットを内蔵。Dolby Atmosにも対応する。高画質のための処理を行うエンジンは「レグザエンジンZR」。地デジやネット動画などへの高画質処理をはじめ、mini LEDバックライトの駆動処理なども行う。

映像処理エンジンは「レグザエンジンZR」。後述する高画質処理技術の要だ

映像処理エンジンは「レグザエンジンZR」。後述する高画質処理技術の要だ

これに加えて、REGZAの看板的な機能である「タイムシフトマシン」を搭載。これは別売りの外付けHDDを接続すると、地デジ放送最大6chを24時間すべて録画できる(chや時間帯は指定可能)機能。録画予約不要でいつでも 見たい番組を自由に視聴でき、放送後に話題となった番組なども見逃さずに後追いで視聴できるなど、きわめて便利なテレビ録画機能だ。

REGZAの看板機能である「タイムシフトマシン」を搭載。地デジ放送最大6chをまるごと録画できる

REGZAの看板機能である「タイムシフトマシン」を搭載。地デジ放送最大6chをまるごと録画できる

よく見る番組やネットで人気の番組、お気に入りのタレントやジャンルで番組をおすすめしてくれる「ざんまいスマートアクセス」などもあり、たっぷりと録り貯めた番組を自由自在に楽しめる機能が充実している。

このほかにも、人気の動画配信サービスのほとんどに対応するほか、4K解像度のゲームも低遅延で楽しめる「瞬速ゲームモード」を備えるなど、充実した機能を持つ。「Z870N」シリーズは高画質・高音質・「タイムシフトマシン」のすべてを備えたテレビの魅力がいっぱい詰まった多機能モデルと言えるのだ。なお、「タイムシフトマシン」の利便性についてはここでは紹介しきれないため、別記事にてレビューをするつもりだ。

約0.83msecの低遅延を謳うゲームモードを搭載。「75Z870N」「65Z870N」は144Hz駆動にも対応する

約0.83msecの低遅延を謳うゲームモードを搭載。「75Z870N」「65Z870N」は144Hz駆動にも対応する

動画配信サービス再生機能は対応サービスが充実しているし、各サービスを横断しておすすめの番組をリストアップしてくれるなど使い勝手もよい。このあたりは全録機能「タイムシフトマシン」を併用するとさらに便利に使える。多彩なサービスへの対応のほか、USBメモリーやNASなどに保存した動画を再生できる「メディアプレーヤー」やスマホなどの画面を映す「スクリーンミラーリング」、Webブラウザー機能なども備える。最近では珍しくなってしまったオリジナルOSだが、機能や使い勝手は十分だ。

ネット動画への対応力は十分。YouTubeやAmazonプライム・ビデオ、Netflix、Disney+、Apple TV+などに直接アクセスできる

ネット動画への対応力は十分。YouTubeやAmazonプライム・ビデオ、Netflix、Disney+、Apple TV+などに直接アクセスできる

リモコンの「ホーム」ボタンを押すと表示されるホーム画面。ここで各種ネット動画サービスを一覧できる。視聴中コンテンツのほか、視聴履歴からのおすすめ機能なども充実している

リモコンの「ホーム」ボタンを押すと表示されるホーム画面。ここで各種ネット動画サービスを一覧できる。視聴中コンテンツのほか、視聴履歴からのおすすめ機能なども充実している

便利な画質最適化技術「おまかせAIピクチャー」

他メーカーのテレビでも同じことだが、必ず確認しておきたいのが映像モード。REGZAならば、自動で環境やコンテンツに合わせた最適化を図る「おまかせAI」が常用の候補になるだろう

他メーカーのテレビでも同じことだが、必ず確認しておきたいのが映像モード。REGZAならば、自動で環境やコンテンツに合わせた最適化を図る「おまかせAI」が常用の候補になるだろう

REGZAと言えば、すぐれたエンジンによるすぐれた映像処理が特徴のひとつ 。部屋の照明の色味まで感知して画質を調整する自動画質調整「おまかせAIピクチャー」やクラウドからの情報を取得して放送中の番組に合わせて最適な画質に調整する「クラウドAI高画質」など、数多くの高画質技術を備えている。これらは映像設定で好みに合わせて調整できるが、すべて自動で最適な画質にしてくれるのが「おまかせAI」という映像モードだ。「映像メニュー」から「おまかせAI」を選ぶだけでよい。

映像設定のメニュー。「おまかせAI」を選ぶと、多くの高画質処理が自動で動き、REGZAが考える最適な映像を楽しめる

映像設定のメニュー。「おまかせAI」を選ぶと、多くの高画質処理が自動で動き、REGZAが考える最適な映像を楽しめる

こちらは映像メニューの一覧。暗室で映画を楽しむならば「映画プロ」が最適。ぜひとも使い分けたい

こちらは映像メニューの一覧。暗室で映画を楽しむならば「映画プロ」が最適。ぜひとも使い分けたい

多彩な高画質機能は確かに優秀

さらに、「Z870N」シリーズの代表的な高画質化機能と実際の効果を見ていこう。「地デジ高画質」は、地デジ放送の特性(解像度やビットレートなど)に合わせて目立ちやすいMPEGノイズやモスキートノイズを抑え、ディテールもより鮮明に再現する機能。4K解像度のテレビでハイビジョン放送をアップコンバート表示するとノイズや輪郭のにじみが目立ちやすくなってしまうが、そういう見にくさを抑える機能だ。

「美肌高画質」は、人肌の質感を美しく再現する機能で、ライティングなどの影響で色が傾いてしまうのを防ぎ、健康的な色合いに補正する。実際に地デジ放送のニュースやドラマで「美肌高画質」を試すと、不自然に肌がきれいになってしまうのではなく、色合いだけを最適に補正してくれていた。微妙な陰影が失われることもないし、質感もよく出ている。

「地デジ高画質」と「美肌高画質」の設定は「レグザ高画質設定」の中にある。「おまかせAI」モードでは「オン」になっているはずだ。基本的にはオンのままでよいだろう

「地デジ高画質」と「美肌高画質」の設定は「レグザ高画質設定」の中にある。「おまかせAI」モードでは「オン」になっているはずだ。基本的にはオンのままでよいだろう

また、「おまかせAI」モードは基本的には映像設定などをしなくても使えるモードだが、必要ならば好みに応じて調整をすることも可能だ。より見やすい映像にするためにおすすめの機能が「明るさ詳細設定」。これについては、実際の部屋の視聴環境に応じて調整するとよい。

特に最近のmini LEDバックライト搭載液晶テレビの映像はとても明るくなってきている。もしそこまで映像が明るくなくてもよい、と感じるならば好みに応じて調整する(画面の明るさを下げる)とよいだろう。

映像の最適化は「おまかせAI」モードに任せるとして、確認するとよいのは「明るさ詳細設定」だ。周囲の明るさに応じて、画面の明るさをどの程度にするかを設定しておける

映像の最適化は「おまかせAI」モードに任せるとして、確認するとよいのは「明るさ詳細設定」だ。周囲の明るさに応じて、画面の明るさをどの程度にするかを設定しておける

地デジの深夜アニメも見やすくなる「バンディングスムーザー 」

本来は滑らかなグラデーションを描く映像も、映像のビットレートが低いと、段々の等高線状に表示されてしまう。「バンディングスムーザー」は、目に付きやすいカラーバンディングを補正する機能だ

本来は滑らかなグラデーションを描く映像も、映像のビットレートが低いと、段々の等高線状に表示されてしまう。「バンディングスムーザー」は、目に付きやすいカラーバンディングを補正する機能だ

「Z870N」シリーズの高画質機能でぜひ注目してほしいのが、「バンディングスムーザー」だ。これは、主にYouTubeなどのネット動画で映像のビットレートが低いときに生じやすいカラーバンディング(バンディングノイズ)を改善するもの。カラーバンディングとは、背景などのグラデーションが等高線のようにしましまになってしまう現象だ。

この機能は最上位の高画質エンジンである「レグザエンジンZRα」で採用されたものだが、「Z870N」シリーズを含む「レグザエンジンZR」搭載のモデルにも採用され、より多くのモデルで使えるようになった。

名前のとおりネット動画で威力を発揮するが、実は地デジの深夜アニメでも有効だ。アニメはある面積を均一な色で塗ることが多く、しかも特殊効果でグラデーションのような陰影を付けることも多いので、カラーバンディングが発生しやすい。それをうまく抑えてくれるのだ。

実際に、カラーバンディングが出そうなシーンでもそれをきちんと抑えていることが確認できた。すべてのカラーバンディングを除去できるわけではないが、特に暗いシーンなどで派手に目に付くことがないので、深夜アニメがかなり見やすくなったと感じた。

「バンディングスムーザー」設定の項目は、「精細感・ノイズ調整」のところにある。これも「おまかせAI」モードでは有効化されている

「バンディングスムーザー」設定の項目は、「精細感・ノイズ調整」のところにある。これも「おまかせAI」モードでは有効化されている

基本画調は明るく色鮮やかでハイコントラスト

外光の入らない筆者自室は、照明もそれほど明るくはならない。この状態だと「おまかせAI」の映像はまぶしいと感じられることもあった

外光の入らない筆者自室は、照明もそれほど明るくはならない。この状態だと「おまかせAI」の映像はまぶしいと感じられることもあった

そのほか、「65Z870N」の画質をチェックして強く印象に残るのは、映像が明るいこと。外光の入らない自室で地デジ放送を「おまかせAI」で見てしまうと、昼間の明るい景色などはまぶしいと感じるほど。明るいだけでなく暗部(黒の再現)も締まっていて、コントラスト感の高い映像を楽しめる。

いっぽうで外光が入るような明るいリビングで使うならば、このくらい明るいほうが見やすいし、満足度も高いはず。地デジ放送は総じて見やすく美しい映像が楽しめる。

ジャンルを問わず色のりのよい鮮やかな映像で「おまかせAI」のままだとやや色が濃いと感じることもあるが、それは筆者が「映画プロ」モードの画質を見慣れているためかもしれない。色鮮やかでハイコントラストな画調だが派手すぎて見にくいと感じることもなく、落ち着いて楽しめた

照明がついた環境ならば、普段は有機ELテレビを使っている筆者から見ても映像のコントラスト感や黒浮きもほとんど感じさせず、mini LEDバックライト搭載テレビの熟成が進んできたことを感じる。

映画視聴では上位機との差も感じるが総じてよくできている

さらに暗室で映画を見るような“ガチ”視聴をすると、全画面が真っ白のような映像でもユニフォーミティ(白の均一性)はなかなか良好。

ただし、ある程度の面積を持った均一な色の部分(アニメキャラクターの顔など)で、バックライトの分割駆動(ローカルディミング)によると思われる色ムラを感じることはあった。これは大画面になるほど目立つ。また、暗部の階調はスムーズで有機EL以上と感じるところもあるが、濡れた石畳のような黒の深みや艶の表現を比べてしまうと、やはり物足りないところはある。 シネスコサイズの映画を見ているときに上下の黒幕がぼんやりと光らない(これは映像のアスペクトを検知して特別な処理をしているようだ)のもよいし、黒幕に字幕が表示されたときに不自然な光漏れが目立たないなど、感心する部分も多く、さすがはREGZAの最新モデルだと思う。

上級機との画質差もそれなりにはある(詳しくはまた別記事で紹介する予定だ)が、単独で見る限り物足りないと感じるほどでもない。総じてよくできていて、高画質重視で映画などを中心に楽しむユーザーでも満足度は高いと思う。

少し気になったのは視野角の影響で、画面の正面から外れる位置で見てしまうと黒浮きが目立ちやすい傾向にある。65V型の画面を正面から見ると、画面の端で少し黒浮き(カラーシフト)が出ているとわかるのだ。実用上どうしても気になるレベルではないが、やはり大画面の液晶テレビとなるともう少し視野角改善のための工夫はあったほうがよいとは感じた。

聴きやすさ重視の音質は内蔵スピーカーとしては優秀

本体上部にもスピーカーが設置されており、音像(音が発生しているように感じる場所)がリフトアップされる効果も期待できる

本体上部にもスピーカーが設置されており、音像(音が発生しているように感じる場所)がリフトアップされる効果も期待できる

続いて音質について。音声メニューにも「おまかせAI」があり、番組のジャンルやシーンに合わせて最適な音質に調整してくれる。基本的にはこれを使えばよいだろう。

ただし、音声の場合は「立体音響」(バーチャルサラウンド機能)が自動化されているので、バーチャルサラウンドの音が不自然だと感じる場合はこれをオフにしたい。不自然さを感じないならば、「立体音響」機能は常時オンにして、広がりのある音響を楽しめばよいわけだ。「Z870N」にはトップツイーターが備わっていてサラウンド効果は大きいので、「立体音響」のオン/オフの違いを一度確認しておくとよいだろう。

音声メニューの「おまかせAI」。バーチャルサラウンド機能の「立体音響」や低音を強調する「重低音」など、いずれも好みで調整可能だ

音声メニューの「おまかせAI」。バーチャルサラウンド機能の「立体音響」や低音を強調する「重低音」など、いずれも好みで調整可能だ

こちらは音声メニュー「映画」。立体音響が「シネマ」となっているのがわかる

こちらは音声メニュー「映画」。立体音響が「シネマ」となっているのがわかる

「Z870N」シリーズの音質は基本的には元ソースの音声に忠実ではあるが、よりくっきりと聴きやすい音に仕上げる方向だ。あまり派手な鳴り方はしないが、ガチャガチャとにぎやかすぎる音になって耳障りになることはない。バランスが気になる場合は、好みに応じて「重低音」機能などを調整するとよいだろう。

なお、「重低音」は「低」「中」「高」の3段階があるが、実は「低」がフラットなバランスだ。「低」というと低音を抑制しているイメージがあるがそうではないので注意。「中」で“増し”、「高」で“増し増し”のバランスなので、いつでも「高」にしてしまうと低音がもやもやして逆に聴きにくいこともある。

そして、音質の微調整としてはトップツイーターの調整も可能だ。トップツイーターはサラウンド音声再生時に広がりのある音などを出すが、そのほかに画面の下にあるメインスピーカーの音像定位を上に持ち上げる効果もある。こうすることで音が画面の下から出ている感じをなくして、画面から音が出ているような感じにするわけだ。こういった働きが不要ならばオフにもできるし、トップツイーターの音量を調整して効果を好みに合わせることもできるのだ。

音声設定の「本体スピーカー設定」から「ツィーター設定」も可能。音像定位やサラウンドでの音の広がり感などが変化する項目だ

音声設定の「本体スピーカー設定」から「ツィーター設定」も可能。音像定位やサラウンドでの音の広がり感などが変化する項目だ

「オーディオキャリブレーション」は必須

また、最初に必ずしておいたほうがよいのが「オーディオキャリブレーション」。これは、リモコンの音声入力用マイクを使って室内の音響特性を測定し、最適な特性に補正する機能だ。

たとえば、右側に大きな窓があって、左側は壁という場合、左右の反射特性が大きく異なるので、音像定位や音場感の偏りが起きるかもしれない。また、部屋の形状によって特定の周波数の音だけが大きく、あるいは小さくなることもある。「オーディオキャリブレーション」はこうした部屋の影響を低減するためのものだ。

ホームシアターやオーディオのための部屋ならば物理的に部屋の音響を改善するのもよいが、一般的な部屋やリビングルームなどなら、こうした技術に頼るほうが手軽でよい。出てくる音に不満がないと感じていても、「オーディオキャリブレーション」をすると音が聴きやすくなったと感じることもあるので、試しにやっておいても損はない。補正した音が不自然だと感じたらオフにすればよいのだから。

なお、「オーディオキャリブレーション」の項目がある「音声詳細設定」には、Dolby Atmosへの対応やサウンドバーなどを接続するときには確認が欠かせない「デジタル音声出力」設定、テレビ設置時のスタンド置き/壁掛けを切り替える設定などもあるので、使い始めにはひと通りチェックするとよいだろう。

音声詳細設定から「オーディオキャリブレーション」を実行できる。このほかの設定も要チェックだ

音声詳細設定から「オーディオキャリブレーション」を実行できる。このほかの設定も要チェックだ

音質をテレビ放送のニュースやドラマ、深夜アニメ、動画配信サービスの映画(サラウンド音声)などで確認したが、基本的には忠実さを重視したストレートな音だ。ドンシャリのバランスにしてメリハリ重視ということはない。

そのうえで、声をくっきりと聴こえるようにするとか、銃撃戦のようなたくさんの音が鳴るシーンでも音を混濁させないなど、聴き取りやすさを重視した音になっている。映画の低音はやや不足するが、物足りないというほどではないし、内蔵スピーカーとして十分に優秀。派手な音はしないが聴き疲れもしない、よいまとまりだ。

まとめ:機能が充実していて間違いなくコスパは高い!

今回は「Z870N」シリーズの基本的な機能と画質・音質について紹介したが、画質・音質ともに優秀なレベルにあり、販売価格を考えるとコストパフォーマンスはかなり高い。

実際、価格.comの「液晶テレビ・有機ELテレビ 人気売れ筋ランキング」でも「Z870N」シリーズの55V型のモデル「55Z870N」が上位(2024年9月27日時点で2位)に入っており、2024年の最新4K液晶テレビとしては頭一つ抜けた人気モデル となっているようだ。

これに「タイムシフトマシン」まで搭載しているのだから、満足度はきわめて高いと言えるだろう。個室用に40V型前後のモデルも欲しいという声もありそうだが、ベゼルの細い現行の薄型テレビならば55V型でも思ったほど圧迫感はないはずだ。ぜひとも大画面を独り占めして高画質と高音質を堪能してほしい。

鳥居一豊
Writer
鳥居一豊
オーディオ専門誌の編集スタッフを経て独立。マンガ、アニメ、ゲームをこよなく愛し、視聴取材などでも数多くの名作を取り上げる。ホームシアターのために家を新築して早10年。現在は8.2.4ch構成のDolby Atmos対応サラウンドシステムと120インチスクリーン+プロジェクターによる視聴設備を整えている。ホームシアターは現在でもまだ進化する予定。
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柿沼良輔(編集部)
Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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