TVS REGZAのプロジェクター「RLC-V7R MAX」(左)と「RLC-V5R」(右)をレビュー
100V型(インチ)級の大画面液晶テレビのリリースが続き、珍しいものではなくなってきている。しかし、特大のテレビには搬入や設置場所の問題がつきまとう。その問題を手軽に解決できるのは、映像を壁面やスクリーンに投写するプロジェクターだ。
さまざまな新興メーカーが登場しているが、注目したいのはTVS REGZA。テレビメーカーとしてよく知られるTVS REGZAがプロジェクターをリリースしているのだ。プロジェクターの「REGZA(レグザ)」ならば、アプリ経由でテレビ番組もスムーズに楽しめる。自宅で大画面を楽しみたいならば、まずチェックしてほしい製品だ。
メーカー認知度の高さもあり、価格.comでも人気になっているプロジェクター「RLC-V7R MAX」「RLC-V5R」の実力をレポートしよう。
現在のプロジェクター市場を支えているのは、コンパクトで使いやすいタイプだ。片手で持ち運べるような小さなサイズでバッテリーも内蔵するモバイルプロジェクターもあるが、画質も充実した大画面を楽しみたいならば狙うべきは据え置き型。映像の明るさや画質・解像度などを十分に確保したモデルが増えていて、インターネット環境さえ整っていれば、プロジェクター単体で動画配信サービスの映像を楽しめる製品も多い。
上位モデル「RLC-V7R MAX」(左)と下位モデル「RLC-V5R」(右)。幅や高さに結構違いがある
「レグザ」のプロジェクターはこうした流れのなかで生まれた製品だと見てよいだろう。ここで取り上げる「RLC-V7R MAX」「RLC-V5R」はどちらも「DMD(Digital Micromirror Device)」と呼ばれる細かな鏡の集合体のような素子を使って映像を投写するDLP方式のプロジェクターだ。
4K表示に対応したいわゆる4Kプロジェクターで、光源はRGBレーザーであることが共通点。明るさは「RLC-V7R MAX」が3000ルーメン(ISO)、「RLC-V5R」が1100ルーメン(ISO)。ここが両機種の大きな差だ。「RLC-V7R MAX」はテレビ並みとは言わないが、日中の部屋でもカーテンを使えば十分な明るさで映像を表示できるくらいの実力がある。「RLC-V5R」はできるだけ部屋を暗くして使うのがよいだろう。
また、両機種ともに光学レンズズームに対応することも特徴だ。このおかげで、画質の低下を気にせずある程度映像の大きさを変えられる。後述する安定した画質に加え、このあたりの利便性もプロジェクターの「レグザ」をチェックすべき理由のひとつと言える。
入出力端子が背面であることは同様。「RLC-V7R MAX」のHDMI入力が1系統多く、より充実している
どちらもスタンドが一体化しているが、可動方向が異なる。「RLC-V7R MAX」は垂直だけでなく水平回転も可能だが、「RLC-V5R」は垂直方向のみ。どちらも天井への投写はしやすい
設置の方法は両機種で基本的に同じ。設置と言っても、昔ながらのプロジェクターのようにスクリーンに投写されたグリッドパターンを見ながらフォーカスや歪みの補正をする必要はない。オートフォーカスや自動台形補正を備えているので、電源を入れれば自動的に調整が行われる。プロジェクターを向けた先を適当な大画面にしてくれるのだ。
調整にかかったのは10秒前後。これならば、リビングなどの決まった場所だけでなく、寝室や子ども部屋などさまざまな部屋へ持ち運んで使うこともできるだろう。これはテレビにはない利便性だ。
なお、どちらもスタンド一体型(設置時の角度調整が可能)なので、壁やスクリーンに合わせた調整もスムーズ。これならば、プロジェクターを初めて使う人でも設置や調整に困ることは少ないだろう。ベージュ系の壁など、投写する壁に色がある場合も、壁の色に合わせて映像を補正する壁色補正があるのも便利だ。
スクリーンや壁に対して正面に置くだけでなく、斜め位置からの投写も可能。このため、設置場所は視聴位置の真後ろなどを避ければ、かなり広い場所への設置ができる。これも使いやすいポイントだ。
投写する壁の色を検知して、自動で映像の色を補正する「壁面色自動補正」機能を搭載。壁面投写を考えている人に特に便利な機能だ
とにかく、プロジェクターの準備で手間取ることはほとんどなかった。無線LANやGoogle TVの初期設定のほうが手間なくらいだ[利真4.1]。
フォーカスは自分の目で合わせたいし台形補正は使いたくない、という人は手動調整もできるので、その場合はあとからしっかりと調整すればよい。
なお、「RLC-V7R MAX」のほうがレンズズームの幅が広いため、設置性はよりすぐれている。昔ながらのプロジェクターを使っている人こそ、この利便性には感心するだろう。
「プロジェクター設定」から自動補正をやり直すこともできるし、手動での調整もできる。調整にこだわりたいユーザーも安心してほしい
ここからは画質の印象をレポートしよう。なお、視聴には120インチの張り込み式スクリーンを使っている。スクリーン生地はオーエスのピュアマット3、スタンダードなマット系のスクリーン(ゲイン1.0)だ。
まずは、「RLC-V5R」。明るさは1100ルーメン(ISO)で、実際に見た限りも照明をつけた部屋で使うと映像がやや暗い。本機を使うときは、カーテンなどで外光を遮断し、部屋の灯りも消すべきだろう。
Google TVで使えるアプリを起動してテレビ番組やアニメなどを見てみたが、部屋の明るさを落とせば、映像の明るさは十分。色は鮮やかで、コントラスト感もある。こうした暗めの環境でありがたいのが、付属の自照式のリモコン。暗くて手元が見にくい場合も、リモコンのボタンが光るので操作に困らない。同クラスのプロジェクターで自照式のリモコンを備えるモデルは珍しいので、「RLC-V5R」の積極的に評価できるポイントと言える。
両機種ともリモコンは自照式。暗い部屋でも視認性が高く、とても使いやすかった
選べる画質モードは「ダイナミック」「標準」「スポーツ」「PC/ゲーム」「映画」「FILMMAKER MODE」「節電」。「ダイナミック」「標準」「スポーツ」では、原色、特に赤や緑が鮮やかでちょっと派手かなと感じる。好みにもよるがニュースやバラエティなど、テレビ番組の多くに合ったモードだ。映画やドラマなどをじっくりと鑑賞するならば、「映画」「FILMMAKER MODE」がよい。「節電」モードは文字どおり、省エネ用のモードで、消費電力は下がるが映像が暗くなるため、積極的に使う必要はなさそうだった。
RGBレーザー光源を採用したプロジェクターの多くは広色域だが、ともすると蛍光色のような派手な色彩が気になることが少なくない。その点、「RLC-V5R」は全体的に派手さを抑えた自然な色再現だ。特に人の顔など、肌の色は自然で血色のよい「美肌」。ただし、テレビ番組やアニメを「標準」モードで見ていると、元々濃い色がいっそう派手になってしまい、悪目立ちしてしまう違和感を覚えることがあった。テレビ番組やゲームなどとは相性がよいと言えるかもしれないが、これに違和感があるならば、普段から「映画」モードなどを使うのがよいだろう。
HDMI入力を使って再生したUltra HDブルーレイ(画質モードは「映画」)でも、コントラスト感は十分で、発色は良好。それでいて派手すぎない。しっかりと映画鑑賞を楽しめる画質だ。
気になるとすれば、暗部がやや黒く潰れてしまいがちなことと、原色に近い赤がときおり派手すぎて目に付くことがあるくらい。暗部の再現性は調整次第でもあるので、気になるならば「黒レベル」などを確認するとよいだろう。
両機種とも画質調整メニューは豊富で、テレビと同じ感覚で画質を調整できた。「RLC-V5R」で少し調整するとよいと思ったのは「黒レベル」。黒潰れが気になる(暗部をもう少し描写してほしい)場合は、ここを上げるとよいだろう。「暗部ディテール調整」を「オン」とするのも有効だった
「RLC-V7R MAX」はどうか。こちらは明るさが3000ルーメン(ISO)確保されていることが特徴。これだけの明るさならば、カーテンで遮光さえすれば十分に明るく鮮やかな映像を楽しめる。
選べる画質モードは「RLC-V5R」と同じで、基本的な傾向も同じだ。ただし、どのモードでも映像はより明るい。照明をつけた環境でも楽しめる明るさがあるので、アニメやテレビ番組はより見栄え見映え[利真5.1]のする画質になる。
やはり原色に近い色が派手になる傾向は残っているものの、「RLC-V5R」と比べると派手さはよく抑えられている。より「レグザ」らしい自然で見やすい画質だ。忠実度とか映画本来の色彩を楽しむならば、「映画」や「FILMMAKER MODE」がぴったりだが、見やすく力強い映像を楽しみたいならば、「標準」など、好みに合うモードを自由に選んでかまわないだろう。
暗部が黒く潰れがちになる傾向も「RLC-V5R」と同じなのだが、そもそも投写する映像が明るいこともあり、映像全体の見通しはよい。このあたりが上位モデルならではの余裕と言える。暗いシーンが多い映画作品でも、これならば見づらさを感じることなく安心して楽しめる。
この画質ならば、特にテレビからの買い換え、あるいは両立するときに不自然さを感じることは少ないだろう。黒の再現性はもう少し頑張ってほしいとも感じるが、大きな不満を感じるほどではない。フォーカス感も十分なレベルだし、最新テレビと比べても大きく見劣りするとは感じないはずだ。
このほか、ゲームも少し試したところ、ゲームらしい鮮やかな映像を楽しめた。精細感も十分だ。動画補間機能で残像感も低減できるし、ゲームで気になる映像遅延もプロゲーマーを別にすれば、プレイに支障のないレベルで楽しめる。ここは「RLC-V5R」でもあまり大きな差はない。ただし、より映像が明るい「RLC-V7R MAX」のほうがプレイしやすいとは感じられた。いずれにせよ、100インチ級の大画面で楽しむゲームは迫力も段違いなので、ゲーム好きの人はぜひとも試してみてほしい。
「RLC-V7R MAX」の脚部分には低音再生用のサブウーハーが搭載されているため、より迫力のある音を再生できる
画質以外の部分で両機種に大きく差がつくのは、内蔵スピーカーの音質。「RLC-V7R MAX」はステレオスピーカーに加えてサブウーハーを内蔵しており、総合アンプ出力は40W(10W+10W+20W)。いっぽうの「RLC-V5R」は20W(10W+10W)だ。
どちらも映画やドラマのセリフが聞き取りやすく、うまくまとめられているが、当然、「RLC-V7R MAX」のほうが何を再生しても余裕があるし、アクション映画などを迫力のある音で楽しめる。サラウンド効果も「RLC-V7R MAX」がかなりすぐれていると感じたが、これは筐体の大きさが効いているようだ。
有償アプリ「DiXiM Play」でレコーダーやテレビで録画した番組を再生可能。「DiXiM Play」側もTVS REGZA側も、本アプリの対応を公式に謳っている
プロジェクターを「テレビのように」使いたい人は、レコーダー(やテレビ)で録画したテレビ番組を再生したい、と考えるかもしれない。「RLC-V5R」や「RLC-V7R MAX」なら、その要望にもしっかり応えてくれる。
その方法は、「DiXiM Play」というアプリ(※)を使うこと。自宅のLANに接続したレコーダーなどのコンテンツをネットワーク経由で再生できるのだ。筆者はテレビの「レグザ」の「タイムシフトマシン」(全録機能)を使用しているが、そこでの録画番組が再生できたのはもちろん、他社製レコーダーの録画番組も再生できた。もちろん、4K番組もOKだ。これはなかなか便利。プロジェクターをメインで使いたいという人にとっては、こうした便利機能をきちんと備えていることも重要なポイントと言えるだろう。
※Google Playでの購入は2,600円(税込)
アプリを起動すると、自宅LANに接続されたレコーダーやテレビ(録画機)が表示された。アプリ購入前の「お試し」機能もあるので、使用中のレコーダーが対応するかどうかは実際に試してみるとよいだろう
TVS REGZAのプロジェクターを使って改めて感じたのは、手の届く価格で実現できる100インチ級の大画面の魅力はすばらしいということ。大画面が気になっている人はテレビだけでなく、プロジェクターにもぜひ注目してほしい。
もし、テレビに代わるメインディスプレイとして使うならば「RLC-V7R MAX」が安心だ。いっぽうで、週末に映画やゲームなど、たまに大画面を楽しみたいという人は「RLC-V5R」がマッチすると思われる。
「RLC-V7R MAX」は映像が明るくレンズズームの幅も広いので、どんな環境でも使いやすく、映像が見やすい。音質もよいのでオールインワン機として頼りになるだろう。「RLC-V5R」の画質はよくできているという意味では高コスパだが、映像の明るさには限界がある。普段からつけっぱなしにするようなテレビの代用として考えるならば、「RLC-V7R MAX」のほうが適しているだろう。
このほか、「RLC-V5R」のほうがコンパクトというメリットはあるが、「RLC-V7R MAX」もそこまで大きいわけではなく、レンズズームの幅が広い。さらに本体のコンパクトさは音質とのトレードオフ。デメリットもあることには注意したい。
昔の話にはなるが、プロジェクターを他人にすすめると「簡単にテレビ番組が見られないのはマイナス」という人は少なくなかった。TVS REGZAのプロジェクターは「TVer」のようなテレビ番組配信サービスが使えるだけでなく、「DiXiM Play」を使えばレコーダーで録画した番組再生もスムーズ。プロジェクターの機能面での弱点をしっかり補っている。そして、気になる画質の点でもテレビに引けをとらないコントラスト感や精細感を実現できている。こういった点がテレビメーカーであるTVS REGZAがプロジェクターを発売する意味だろう。ここで紹介したモデルは、どちらも安心して購入できる製品だと思う。