4,000円を切る価格のモデルながら良質な低域を楽しめる

低価格イヤホン“良品”コレクション 第1回 Blue Ever Blue「868B」

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イヤホン・ヘッドホン市場が盛り上がりを見せるにつれて、さらなる高音質を求めるニーズが高まり、1万円を超える価格帯の高級モデルが人気を集めるようになっている。価格.comの「ヘッドホン・イヤホン」カテゴリーの売れ筋ランキングを見ても、2〜3万円を超える価格の製品がいくつも上位に入ってきている。

そのいっぽうで、根強いニーズがあるのが低価格モデルだ。価格.com「ヘッドホン・イヤホン」カテゴリーの売れ筋トレンドを見ても、2,999円以下の製品が全体の20%程度、3,000〜5,999円が15%程度のシェアを占めているほか、売れ筋ランキングでは、高級モデルに並んで低価格モデルも同じくらいの数が上位に食い込んできている(※2014年9月3日時点での状況)。高級モデルが人気を集めると同時に、低価格モデルのニーズも同じくらい高いのだ。さらに、売れ筋ランキングをチェックすると、低価格モデルの中では、ヘッドホンよりもイヤホンのほうが、上位にランクインしている数が多いことがわかる。低価格モデルではイヤホンの人気が高いようだ。

そこで価格.comマガジンでは、コストパフォーマンスにすぐれる低価格なイヤホンを紹介する連載記事「低価格イヤホン“良品”コレクション」をスタート! 取り上げる製品の目安は価格.com最安価格で5,000円以下。「高品位なイヤホンを安く手に入れたい」という方に向けて、定番から掘り下げ系まで幅広く紹介していきたい。

連載1回目に取り上げるのは、定番モデルではなく、あえて掘り下げ系のモデルとした。Blue Ever Blueのカナル型イヤホン「Model 868B "the silver"」(以下、868B)を紹介しよう。

※本連載では、「低価格イヤホン」は5,000円以下の価格帯のものを、「高級イヤホン」は1万円前後以上の価格帯ものを指します。

連載1回目に取り上げるのは、Blue Ever Blueのカナル型イヤホン「Model 868B "the silver"」

連載1回目に取り上げるのは、Blue Ever Blueのカナル型イヤホン「Model 868B "the silver"」

Blue Ever Blue と「868B」の特徴

Blue Ever Blueってどんなメーカー?

Blue Ever Blueは、米国ワシントンD.C.に拠点を構える新興のイヤホンメーカー。筆者がBlue Ever Blueと、今回紹介する「868B」について興味を持ち始めたのは、「868B」のファンが運用している(と思われる)Twitterアカウントがあるなど、インターネット上での話題性と評価が高いことだ。ただ、ヘッドホン・イヤホンの情報に敏感なポータブルオーディオファンの間では知名度を上げてきているメーカーだが、一般ユーザーに対しては、まだまだこれからというのが正直なところだろう。本記事で初めて存在を知ったという方も少なくないはずだ。

ランキングは高くないが、音質のコストパフォーマンスにすぐれるイヤホン

今回取り上げる「868B」は、価格.com「ヘッドホン・イヤホン」カテゴリーを見ると、売れ筋ランキングは400位台、注目ランキングは300位台(いずれも9月3日時点)となっている。けっして人気・注目度の高い製品なわけではない。では、なぜ、数ある定番・人気モデルを差し置いて、連載1回目として、Blue Ever Blueの「868B」を取り上げるのか? それは、「868B」の音を聴いてみて、価格.com「ヘッドホン・イヤホン」カテゴリーでランキング上位に位置する低価格イヤホンと比べても、音質で差がないか、それ以上のクオリティを備えていると感じたからだ。連載名にもある“良品”と呼ぶにふさわしい、抜群のコストパフォーマンスを誇るイヤホンなのである。

独自の音響技術「HDSS」を採用

「868B」を含めて、Blue Ever Blue社のイヤホンの大きな特徴となるのが、米TBI Audio Systems社を中心に提唱されている「HDSS(High Definition Sound Standard)」という音響技術を搭載していることだ(※Blue Ever BlueはTBI Audio Systemsからイヤホン開発のために独立したメーカー)。2014年9月3日時点で、日本国内で販売されているBlue Ever Blue社のイヤホンは、「868B」や、その上位モデルとなる「Model 878 "Mercury"」など計4モデルで、全モデルが「HDSS」を搭載している。

「HDSS」は、この技術の開発者であるJan P Plummer氏の「人間の耳は広い幅の周波数の音を聴くことができ、実際に生活の中でさまざまな音を聴いているが、人にとって心地よい音とはそれが加工されずに発せられたままの音」という考えをもとに、「低コストで音質を向上できる技術」として開発されている。技術的には、ETL(Embedded Transmission Line)モジュールという特殊な部材をハウジング内と、振動板の背後に設置することで、ハウジング内の内圧を温度変化や再生中の音、残響、定常波の有無によらずに一定に保ち、振動板の正確な動作を助けるのが特徴で、歪みや濁りがなく自然で聴き疲れしない音を実現できるとしている。なお、ETLモジュールの素材や形状、取り付け方、効果については、日本を含む主要国において特許化されているとのこと。

「868B」は、この「HDSS」技術を搭載するカナル型イヤホンで、アルミ製ハウジングに、10mm径のダイナミック型ドライバーを搭載。製品ページには、「再生音域が広く、全域で明瞭な音を聴かせる」「高音から低音までフラットな音質でありながら、全域にわたって豊かな表現力を実現」という音質特徴が説明されている。主な仕様は、周波数帯域が20Hz〜20kHz、感度が109dB、インピーダンスが16Ω。ケーブルの長さは1.2m(固定式)。7種類のイヤーピースとキャリングポーチが付属する。価格は3,790円(税別)で、2014年9月3日時点での価格.com最安価格は3,500円台。なお、スタンダードモデルのほか、マイク付きの「868BM」も用意されている(※「868BM」の周波数特性は25Hz〜20kHz)。

ハウジングにはBlue Ever Blue社のロゴが入っている

ハウジングにはBlue Ever Blue社のロゴが入っている

「HDSS」のロゴも

「HDSS」のロゴも

ミニプラグ部にはBlue Ever Blue社のロゴが入っている

ミニプラグ部にはBlue Ever Blue社のロゴが入っている

ケーブルの左右チャンネルの分岐部にもロゴが

ケーブルの左右チャンネルの分岐部にもロゴが

ノズルは比較的大きめ

ノズルは比較的大きめ

ハウジング後方には通気孔がある

ハウジング後方には通気孔がある

先端の口径と大きさの異なる7種類のイヤーピースが付属

先端の口径と大きさの異なる7種類のイヤーピースが付属

キャリングポーチも付属する

キャリングポーチも付属する

装着感&音質レビュー

続いて、「868B」の試用レビューに移ろう。

装着感 ハウジングが軽く耳への負担は少ない。耳穴にしっかりと装着するのがポイント

「868B」は、アルミ製の比較的小さくて軽いハウジングを採用しており、装着時の耳への負担は少ない。この価格帯のイヤホンにしては遮音性も十分だ。ただし、耳穴の形状に合わせてフィット感が得られるハウジングの形状ではないので、しっかりと装着しないと耳から抜けやすいので注意したい。また、カナル型イヤホンの中でも装着具合によって音が変わるタイプなので、本来の音質を得るためにも、自分の耳に合ったイヤーピースを選びたいところだ。「868B」には、先端の口径と大きさの異なる7種類のイヤーピースが付属するので、その中から、よりフィット感の高いものを利用できるはずだ。なお、付属のもの以外のイヤーピースを使う場合は、ハウジングのノズル部がやや大きい点には注意。差し込み口が小さいイヤーピースだとノズルに装着しにくい(できない)場合があるかもしれない。

装着イメージ。耳穴にしっかりと装着して使用したい

装着イメージ。耳穴にしっかりと装着して使用したい

音質 豊かなで良質な低域、躍動感のある音で音楽をノリよく楽しめる

「868B」を試聴してみて、最大の特徴は低域にあると感じた。

まず、低価格イヤホンにありがちな、パワフルさのみを追求した低音再生でない点がすばらしい。ブーミーで不明瞭な感じがなく、パワフルながらも輪郭がくっきりしていて、ニュアンスも伝わってくる。音の広がり方や響きもよく、この価格帯のイヤホンとしては豊かで良質な低音再生を実現している。「868B」は、パワフルな低音再生が可能なダイナミック型ドライバーを採用したイヤホンだ。低価格イヤホンは、ほとんどのモデルがダイナミック型なので、その点が特別なわけではない。パワフルな低音を楽しめるイヤホンは低価格タイプにも多いのだが、「868B」は、その質がとても高いのである。
さらに、けっしてフラットというわけではないのだが、中高域についてもバランスよく聴かせようというチューニングになっているのも見逃せない。低価格イヤホンの場合、ドンシャリで派手な音になったり、低域か高域のどちらかを重視した(逆に言えばどちらかをあきらめた)音になることが多いと感じている。コスト的に、音に極端な特徴を持たせる必要があるのだろう。そういう製品と比較すると、「868B」は、低域に特徴を持たせつつも、中域、高域がマスクされていない。極端な低音過多にならず、躍動感のある音に仕上がっている。ダイナミック型の1ドライバーとしては、バランスにすぐれたチューニングだと思う。

ここで気になるのが、高級イヤホンと比べてどうか?という点であろう。やや意地悪な比較となるが、「868B」と同じく、ダイナミック型ドライバーを採用する、Shureの人気モデル「SE215」(価格.com最安価格8,000円台)と比較してみた。比べると、「868B」は、低域の量感は勝っているが、全体的にS/Nと解像感で劣っているように思う。特に、中高域の伸びやクリアさで差があり、やや平面的な音に聴こえる。「868B」は、よくも悪くも荒削りな音で、ノリのよさで聴かせるイヤホン。いっぽうの「SE215」は、より洗練された音のイヤホンだと感じた。また、ハイレゾ音源を再生したときに、複数ドライバーを採用する高級イヤホンとの違いを感じた。「868B」は、ハイレゾ音源らしい空気感や臨場感の再現性がもうひとつという印象。このあたりは、中高域の再生能力の差が出るところではないだろうか。

試聴に使用したプレーヤー:ウォークマン NW-ZX1、iPod touch
※価格帯を考慮してポータブルヘッドホンアンプは利用せず、イヤホンをプレーヤーに直接挿してテストしている

まとめ

高級イヤホンと比較すると差があるとはいえ、「868B」は、3,500円台(2014年9月3日時点での価格.com最安価格)という価格を考慮するとクオリティの高い音を実現しているのは間違いない。ダイナミック型ドライバーのよさを存分に引き出しているのが魅力で、豊かで良質な低域を味わえる。躍動感のある音は、音楽をノリよく楽しむのに適していると思う。高級イヤホンと同じ音質が得られるわけではないが、音に極端な特徴を持たせる傾向のある低価格イヤホンの中では、高級イヤホンに近い雰囲気の音を楽しめるモデルではないだろうか。個人的には、グルーブ感の強いロックを聴くのに向いた音だと感じた。

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

体力勝負ならそこそこ強い編集部デスク。カメラやAV家電を中心に製品のレビュー記事を担当しています。撮られるのは苦手ですが撮るのは好きです。

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2017.9.20 更新
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