レビュー

ソニーのお手元テレビスピーカー「SRS-LSR100」は“人の声”が聞き取りやすい!

ソニーのテレビ用ワイヤレススピーカー「SRS-LSR100」をキッチンなどで利用してみた

ソニーのテレビ用ワイヤレススピーカー「SRS-LSR100」をキッチンなどで利用してみた

キッチンで料理をしている時、リビングのテレビの音が聞こえにくくて、ついついテレビの音量を大きくしてしまう……。深夜にテレビを見ている時、家族に迷惑をかけないように音量を小さくするため、どうしてもテレビの音が聞こえにくい……。そういった家庭でのテレビの音量に関する問題を解消するのが、テレビ用のワイヤレススピーカー。近くに置いて利用することで、小音量でもテレビの音を聞き取れるのが魅力だ。今回は、ソニーが「お手元テレビスピーカー」と呼ぶ最新モデル「SRS-LSR100」を紹介しよう。ソニーの独自技術を搭載することで、テレビの音をクリアに楽しめるようになっている。

リモコン機能を搭載したテレビ用ワイヤレススピーカー

SRS-LSR100は、テレビの音を手元で聞くことができるワイヤレススピーカー。今人気のBluetoothスピーカーのように、スマホを使って音楽を手軽にワイヤレスで楽しむものではなく、あくまでも「テレビの音」を聞き取りやすくするものとなっている。ラジオなどの付加機能はなく、できることは「テレビの音を出す」ことと「リモコンとして使う」ことの2点と非常にシンプルだ。まずは、その特徴を見ていこう。

製品は送信機とスピーカー本体で構成され、テレビの音は、テレビの音声出力(ヘッドホン端子、もしくは光デジタル)に接続した送信機からスピーカーに無線で伝送される。無線が届く距離(スペック上は直線見通しで約30m)であれば、リビングのテーブルやキッチンなど、テレビ本体から離れたところにスピーカーを置いて、その場所でテレビの音を聞くことができる。また、スピーカーには防滴機能(JIS IPX2相当)が備わっているので、キッチンでも安心して利用できる。さらに、スピーカーがテレビリモコン一体型のデザインになっているのも特徴。テレビの電源のオン・オフや、音量調整、チャンネル変更、入力切り替えといった、テレビ本体の操作をひととおり行える。

スピーカーは、充電式のリチウムイオンバッテリーを搭載し、約3時間のフル充電で最大約16時間の使用が可能。毎日寝るときに充電する使い方であれば、使用中のバッテリー切れを心配することはないだろう。充電は、送信機の上に置いておくだけで、自動で行われるようになっている。スピーカーには充電用のmicroUSB(タイプB)端子が備わっているので、別売のACアダプターを接続しての直接使用・充電も可能だ。

ワイヤレススピーカー本体のサイズは約196(幅)×74(高さ)77(奥行)mmで、重量は約440g。パッシブラジエーター構成のステレオスピーカーを搭載する

取っ手がついているので持ち運びやすい

取っ手がついているので持ち運びやすい

上面にチャンネルボタンや音量調整ダイヤルなどを装備し、テレビリモコンとしても利用できる

上面にチャンネルボタンや音量調整ダイヤルなどを装備し、テレビリモコンとしても利用できる

音量調整ダイヤルを押すことでスピーカーの電源のオン・オフが切り替わる

音量調整ダイヤルを押すことでスピーカーの電源のオン・オフが切り替わる

スピーカー本体の底面に充電用の端子が備わっており、送信機に置くだけで充電が行われる

スピーカー本体の底面に充電用の端子が備わっており、送信機に置くだけで充電が行われる

送信機の上に置いて充電している様子

送信機の上に置いて充電している様子

テレビリモコン代わりとして使えるワイヤレススピーカーとしては、ソニーからは、2011年にスピーカー付きリモコン「PM-PSZ35TV」が発売されている。また、テレビ用のワイヤレススピーカーとしては、他社からも、東芝「TY-WSD10」、JVC「SP-A850」、オーディオテクニカ「AT-SP767TV」などが用意されている。今回紹介するSRS-LSR100の特徴は、それらの製品と比べても、特に音にこだわった設計になっていることだ。

音へのこだわりと言っても、オーディオ機器のように音質を追及するということではなく、テレビの音が聞き取りやすくなることへのこだわりだ。大きく3つあって、1つは、スピーカーの性能。スピーカー本体にデジタルアンプを内蔵し、パッシブラジエーター構成のステレオスピーカーを搭載。最大出力は2W+2W(バッテリー駆動時1.3W+1.3W)で、こうしたテレビ用ワイヤレススピーカーとしては高性能なスピーカーを採用している。

2つ目は、音の遅延が少ないこと。無線伝送ではどうしても音が遅延して出力されるが、SRS-LSR100では独自技術を用いることで遅延を21msまで抑えている。テレビの画面表示とスピーカーの音のズレが少ないため、違和感なく視聴することが可能だ。また、無線方式には2.4GHz帯を採用しているが、空いているチャネルを探して伝送するようになっており、同じ2.4GHz帯の電子レンジや無線LANとも干渉しにくくなっている。

3つ目は、ソニー独自の技術を使った自動調整機能を搭載していること。周囲の騒音をマイクで拾ってスピーカーの音量と音質を調整する「おまかせ音量」や、人の声の中心成分をテレビの音声から抽出・強調し、聞き取りやすく調整して出力する「ボイスズーム」といった機能を利用できる。「おまかせ音量」は、ソニーによるとテレビ用のワイヤレススピーカーとしては初の搭載。「弱」と「強」の効果を選択することができる。

設置は簡単。音はクリア。「ボイスズーム」によって人の声が聞き取りやすい

SRS-LSR100を自宅のリビングやキッチンで使ってみたのでレポートしよう。

設置は簡単で、送信機に電源ケーブルをつなぎ、付属の音声ケーブルでテレビの音声出力(ヘッドホン端子、もしくは光デジタル端子)と送信機の音声入力(ステレオミニジャック、もしくは角型の光デジタル端子)を接続すればいい。送信機とスピーカーの無線は自動でペアリングされているので、送信機の接続が完了したら、テレビ側の設定や音量調整が必要になる場合があるものの、スピーカーからテレビの音が出るようになる。

送信機は音声入力として、ステレオミニと光デジタル(角型)に対応しており、テレビと送信機の間の音声接続は、アナログとデジタルを選択できる。音質的に有利なのはデジタル接続で、実際に比較してみても、デジタル接続のほうが音がクリアに聞こえた。ただし、テレビからの光デジタル出力は、基本的に固定出力レベルになるため、場合によっては音が割れるようなことも発生するだろう。その場合、スピーカー側の入力レベルを下げて対応する必要がある(※本製品は登録ボタンを5秒以上長押しすることで入力レベルを1段階下げることができる)。また、あまり考えられないが、RCAのアナログ音声出力から変換ケーブルを使ってステレオミニジャックに接続する場合も、入力レベルは調整したほうがいいだろう。そうしたことを考慮すると、基本的には、テレビのヘッドホン端子に接続して利用するのがベターな選択だと思う。

また、リモコンとして利用するには、ソニー製のテレビであれば不要だが、他社製のテレビを利用する場合は設定が必要になる。スピーカー背面の「リモコン設定ボタン」を押してから、上面の「テレビ電源ボタン」を押し、テレビメーカー別に指定された数字ボタンを押すという手順が必要となる。対応しているメーカーは、シャープ、パナソニック、東芝、日立、三菱、パイオニア、LGだ。今回、パナソニック製のテレビと接続してみたが、問題なくリモコンとして利用できた。ケーブルテレビのセットトップボックスのリモコンも同様の設定が必要で、パナソニック、パイオニア、HUMAN、Bn-muxの製品に対応している。

送信機の背面。音声入力としてステレオミニジャックと光デジタル端子(角型)を搭載する

送信機の背面。音声入力としてステレオミニジャックと光デジタル端子(角型)を搭載する

音声データの伝送に2.4GHz帯の無線方式を採用。試した限りでは、写真のようにスピーカーが囲まれた状態(※スピーカーの後方はふさがれていない)でも音声を受信できた

スピーカーの背面。おまかせ音量やボイスズームの設定ボタンのほか、充電用のmicroUSB(タイプB)端子やヘッドホン端子も備わっている

本製品のスピーカーからの音は、想像していた以上に聞き取りやすい音で驚いた。ボイスズーム機能の効果が高く、特に人の声がとてもクリアに聞こえる。テレビの内蔵スピーカーだとドラマやバラエティ番組を見ていてセリフが聞き取れないこともあって、いっしょに見ている家族に「今なんて言ったの?」と確認したり、録画番組であればいったん巻き戻して再生し直すといったことがあるが、このスピーカーを使っている間はそういったことはなかった。音がこもる感じがなく、人の声がとても聞き取りやすくなるように設計されているのだ。

このほか、サッカーの試合の中継を見ているときには、スタジアムの歓声にアナウンサーの声がまぎれることなく、しっかりと聞こえてきた。音楽番組では、意外と言っては失礼だが、想像した以上にクオリティが高く、テレビの内蔵スピーカーよりも高音質に音楽を楽しむことができた。音楽再生的にいい音というよりも、低域が極端に強調されたり、高域がキンキンと刺さらないので、聞き取りやすくて耳がつかれない音だと言える。また、音がワイドに広がるように設定されているのか、リビングのテーブルの上に置いておくと、ある程度どの角度からでも音がクリアに聞えてきた点も報告しておきたい。

電子レンジや無線LANなど2.4GHz帯を利用する家電製品との電波干渉に強いのも確かだ。使用していて音が途切れることはほとんどなかった。ただし、電子レンジを何分間も連続で使用していると、さすがに時折音が切れることがあった。

まとめ

SRS-LSR100のようなワイヤレスタイプのテレビスピーカーの魅力は、テレビを視聴する場所に持ち運んで使えることだ。普段リビングやキッチンなどで「テレビの音が聞き取りにくい」と感じているのであれば、こうした持ち運びできるワイヤレスタイプのスピーカーは重宝するだろう。

いろいろな製品がある中で、SRS-LSR100の特徴は、ボイスズーム機能によって人の声が聞き取りやすいことだと思う。ドラマのセリフや、バラエティ番組でのトーク、ニュース番組でのアナウンサーの声などが想像していた以上にしっかりと聞こえてきた。テレビ内蔵スピーカーからの音とSRS-LSR100の音を比べてみると、特に人の声の明瞭さがまったく異なっていた。

人の声が聞き取りやすいことのメリットは、テレビの音量をそれほど上げなくてよくなることだ。試用前は、こうしたワイヤレスタイプのテレビスピーカーは、テレビの音が十分に聞こえるリビングでは必要ないものと考えていた。だが、この製品を使ってみて、普段は気が付いていないだけで、人の声が聞き取りやすくなるまでテレビの音量を上げてしまっていることがわかった。エアコンの動作音や、キッチンの換気扇の音などの環境音もテレビの音を大きくしてしまうのも原因だ。マンションやアパートなどで、隣りの部屋へのテレビの音漏れが気になる場合も、このスピーカーは有効に使えるはずだ。

SRS-LSR100は、年末・年始の帰省の際に、祖父母や親へのプレゼントにも適した製品だと思う。ただし、送信機の上に置いて充電するスタイルなので、充電するためにスピーカーを送信機のあるテレビの前まで持っていかないといけないのが面倒だと感じる方もいるかもしれない。ACアダプターとmicroUSBケーブルを追加で購入して、スピーカー本体に直接接続して充電できるように配慮してもいいだろう。

価格は、価格.com最安価格(2015年12月22日時点)で16,000円台。他のテレビ用ワイヤレススピーカーが10,000〜13,000円程度の価格なので、少し割高に感じるかもしれないが、リモコン機能や自動音量調整機能などを搭載し、音質にもこだわっていることを考慮すると納得できるプライスだと思う。

スピーカー、送信機、ACアダプター、microUSBケーブル(1.5m)、ステレオミニケーブル(1.5m)、光デジタルケーブル(1.5m)が付属する

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

体力勝負ならそこそこ強い編集部デスク。カメラやAV家電を中心に製品のレビュー記事を担当しています。撮られるのは苦手ですが撮るのは好きです。

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