タイムドメインラボは2016年5月20日、都内で発表会を開催し、タイムドメイン理論を用いたオーディオシステム「i-SIDE」を発表した。発売日は6月1日で、価格は270,000円(税抜)。
タイムドメインラボ「i-SIDE」
i-SIDEは、タイムドメインの創業者の由井啓之氏が提唱した「タイムドメイン理論」に基づいたオーディオシステムだ。タイムドメイン理論のライセンスを用いたスピーカーはこれまでに9社から販売されていたが、いずれも卵型や円筒形の筺体を採用していた。同社の林社長によると、タイムドメインの技術を正しく理解して応用すれば、かならずしも卵型や円筒形である必要はないため、今回のi-SIDEではこれまでの卵型や円筒形の筺体デザインではなく、部屋に置いても違和感の少ない四角柱の筺体を採用したという。
タイムドメインの創業者の由井啓之氏が提唱した「タイムドメイン理論」。従来のオーディオ装置では周波数成分を忠実に再現しようとするアプローチなのに対し、タイムドメイン理論では、原音の波形の忠実な再現に主眼を置いたアプローチとなっている
リキュールのパッケージをイメージした四角柱のスピーカーを採用。これまでのタイムドメインスピーカーとは一線を画すデザインだ
製品は、スピーカー部とアンプ部で構成されており、いずれもアルミの塊から削り出した筺体を採用している。ニアフィールドでの利用を想定しており、本体は非常にコンパクトに設計されているが、アルミ削り出しの筺体ということで、本体重量はスピーカー部が約1.2kg(1本)、アンプ部が約1.3kgとなかなかの重量級となっている。
製品は、スピーカー部とアンプ部で構成。開発当初はモノラルのスピーカーで製品化を目指していたが、技術的な課題により、ステレオスピーカー+アンプの形になったという
スピーカー部だけでなく、アンプ部にもアルミ削り出し筺体を採用
スピーカーユニットは3.9cmのフルレンジ1発で、筺体上部に上向きで配置されている。スピーカーの筺体内部は円筒形になっており、四角い外装部分との組み合わせにより、共振を効果的に抑えているという。なお、スピーカー部は、角が尖っているType Sと、丸みを帯びたType Rの2種類から選択可能だ。アンプ部は、出力が5W+5W。入力はアナログRCA1系統のみで、給電には付属のACアダプターを利用する。
スピーカー部の特徴を示したスライド。コンパクトな筺体内に、共振を効果的に抑えるためのさまざまな技術が使われている
スピーカーのType Sは角が尖っている
Type Rは角が丸まっている
なお、同社はi-SIDEの発表に合わせて、無料のiOSアプリ「SOUND RESETTER」を5月30日にリリースすることも明らかにした。ホワイトノイズとピンクノイズを発生させるだけのアプリで、i-SIDEにiOSデバイスを接続し、本アプリを起動してノイズを繰り返し発生するだけで、スピーカーについてしまった音のクセを直せるという。
5月30日リリース予定の「SOUND RESETTER」。ホワイトノイズとピンクノイズを指定された時間内交互に再生する機能を備えている
このほか、発表会の会場でAVライターの野村ケンジ氏によるi-SIDEのトークセッションも行われた。i-SIDEの第一印象はという質問に対しては、「濁りのないキレイな音」とコトメント。i-SIDEに向いているジャンルとして、「バイオリンのソロや、小編成のアコースティック」を挙げ、「アーバンライフなデザイン通りで、木造住宅よりコンクリート打ちっぱなしのような響く環境のほうがゆったりと心地よく聴ける」と感想を述べていた。
スピーカーを片手に、i-SIDEの特徴を解説する野村ケンジ氏