レビュー
ポップなカラーの1万円のエントリー機から、ドライバー対向配置の上位機まで

オーディオテクニカの新ハイレゾイヤホン「Sound Reality series」3製品を“一気”聴き比べ!

オーディオテクニカから、個性的なハイレゾイヤホンの新シリーズが登場した。音本来の豊かさを追求したという「Sound Reality series」(サウンドリアリティ シリーズ)と呼ばれる新シリーズで、2つのダイナミックドライバーを向かい合わせに配置した上位モデルから、iPhoneに合うポップなカラーバリエーションを揃えた高コスパな下位モデルまで、3モデルをラインアップしている。もちろん全モデルがハイレゾ対応だ。

新シリーズとして登場した製品は、最上位機種となるドライバー対向配置の「ATH-CKR100」(実売4万円前後)、異口径のドライバーを対向配置した下位モデルの「ATH-CKR90」(同 2万円前後)、豊富なカラバリを用意するエントリーモデルの「ATH-CKR70」(同 1万円前後)の3製品。今回は、これら新モデルを一気に聞き比べ。各モデルの特徴と音質インプレッションをレポートしていく。

オーディオテクニカから新たに登場した新シリーズ「Sound Reality series」。第1弾としてイヤホン3製品が発売された

オーディオテクニカの新しいハイレゾイヤホン「Sound Reality series」

「Sound Reality series」は、“原音再生”“高解像度”“高レスポンス”をコンセプトに開発された新シリーズ。ハイレゾ音源の魅力をより引き出せるようなモデルで、高域にかけての抜けのよさや制動感のある低音など、「音本来の豊かさ」を楽しめるように追求されたシリーズになっている。

型番からは、既存モデル「ATH-CKR10」「ATH-CKR9」「ATH-CKR7」のマイナーチェンジ品のように思われるかもしれないが、ハイレゾ音源に対応させるべく、ハウジングデザインやドライバーユニットなど細かいところにまで手を入れている。

チタンハウジング、純鉄ヨーク、13mm口径のドライバー対向配置型の最上位機種

最上位機種として登場した「ATH-CKR100」

最上位機種として登場した「ATH-CKR100」。光沢感のあるチタンハウジングを採用し、落ち着いたデザインとなっている

「ATH-CKR100」は、今回登場した新作イヤホンの最上位モデル。再生周波数帯域は5〜45,000Hzと、同シリーズの中で一番幅広い。チタンハウジング、純鉄ヨーク、13mm口径のドライバーといったスペックは、既存モデル「ATH-CKR10」と同じだが、それぞれ専用設計のものが採用されている。

ボディは曲線的な丸みを帯びており、ハウジング素材はチタンで、クロムメッキ風の落ち着いた色合いとなっている。重量は「CKR10」に比べて2g軽い14g。耳への収まりがよいため重みもさほど感じない。装着感はかなり良好だ。

ケーブルはシールド効果の高いスターカッド撚り線でタッチノイズも少ない。さらに最近の高級イヤホンでは一般的になりつつある着脱式のリケーブル仕様となっており、一般的なMMCXではなく、あえて独自設計のコネクター「A2DC」を採用することで、さらにノイズへの耐性を高めている。

斜めにレイアウトされたノズル。ノズルの先端には不織布のようなスクリーンがつけられている。従来からさらに軽量化されているが、チタニウムハウジングにより、頑丈につくられている

ドライバーユニットには、ダイナミック型ドライバーのレスポンスや解像度を向上させる「DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS」の進化版「DUAL PHASE PUSH-PULL <Hi-Res Audio>DRIVERS」を採用している。

振動板を前後に動かすことで音を出すダイナミック型ドライバーは、一般に、前後の動きで速度が異なると言われているが、「DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS」は、その駆動上の弱点を補う技術。片方の振動板が前へ動けば(プッシュ)、もういっぽうが反対に動く(プル)ことにより、全体の駆動力を引き上げ、パワフルさと精細感をさらに高めている。

新型の「DUAL PHASE PUSH-PULL <Hi-Res Audio>DRIVERS」では、ドライバーユニットを効率よく駆動させるためのアルミニウムスタビライザーを、ハウジングとドライバーの間に搭載。チタンハウジング、純鉄ヨーク、アルミニウムスタビライザーの3種の金属を使うことにより、不要共振を徹底して排除しているという。

13mm口径ドライバー×2基、チタンハウジング、純鉄ヨーク、アルミニウムスタビライザーなどを組み合わせた「DUAL PHASE PUSH-PULL <Hi-Res Audio>DRIVERS」。ドライバーもハウジングなどに合わせて新たに作りこまれている

その他の主なスペックは、出力音圧レベル110dB/mW、最大入力200mW、インピーダンス12Ω、プラグはL字。付属品は、専用ケース、イヤーピース(XS/S/M/L)。

音質インプレッション

空気感と疾走感がよくでた万能型。特に音場の広い楽曲では、そのよさが出ており臨場感の高いサウンドが楽しめる。また、分解能も一般的なダイナミック型イヤホン以上の性能だと感じた。音数の多い楽曲を聴いても個々の音が聴き取りやすいいっぽうで、ダイナミック型らしいまとまりのあるサウンドも両立している。

また、一般的なダイナミック型でも量感十分な低音が、さらに締りとキレのある音に変わるのも印象的。特にバスドラムは、ふわっとした弱めのものから、強めのものまで、強弱の表現がとてもていねいだ。また、中域から高域にかけてはとても軽やかで、疾走感のある感じが好印象。音の厚みやウェット感はやや弱めだが、一般的なダイナミック型を上回るしっかりとした重心のあるサウンドを実現しつつ、ダイナミック型が苦手なスカッと抜ける気持ちよさも備えている。これらはすべて「DUAL PHASE PUSH-PULL <Hi-Res Audio>DRIVERS」の恩恵だろう。

異口径のドライバーを組み合わせた個性派

「ATH-CKR90」

「ATH-CKR90」

「ATH-CKR90」は、再生周波数帯域5〜42,000Hzに対応した「ATH-CKR100」の下位モデル。

最大の特徴は、異口径のドライバー組み合わせた「DUAL PHASE PUSH-PULL <Hi-Res Audio>DRIVERS」を採用すること。13mm口径と10.4mm口径という異口径のドライバーを組み合わせたプッシュ/プル技術によって、特に高域特性を改善している。

上位モデル「ATH-CKR100」との違いは、ハウジングにチタンではなく切削アルミニウムを使用すること。また、ヨークは純鉄ではない素材が採用されている。加えてハウジング形状も、上位モデルに比べてエッジのふくらみを抑えたシャープな作りだ。内部にアルミニウムスタビライザーを搭載している点や着脱式コネクターを採用している点は共通となる。

「13mm+10.4mm DUAL PHASE PUSH-PULL <Hi-Res Audio>DRIVERS」

「13mm+10.4mm DUAL PHASE PUSH-PULL <Hi-Res Audio>DRIVERS」

左が「ATH-CKR100」、右が「ATH-CKR90」。両モデルともハウジングデザインはパッと見だと同じように見えるが、見比べていくとだいぶ違う。「ATH-CKR90」はイヤーピース側に小口径のドライバーが搭載されているため、耳にあたる場所が横から見ると台形状になっている。この形により装着感をよくしているという。また、「ATH-CKR100」に比べて全体的にくびれているのも特徴的だ

その他の主なスペックは、出力音圧レベル109dB/mW、最大入力200mW、インピーダンス12Ω、プラグはL字。重量11g(ケーブル除く)。付属品は、専用ケース、イヤーピース(XS/S/M/L)。

音質インプレッション

「ATH-CKR90」の性格をひと言でいうなら、得手不得手がでやすい機種ということ。ただ、楽曲がハマったときの音のスゴさはシリーズ随一のインパクトがある。分解能の高さや1つひとつの音の正確さといったポテンシャルは、上位モデル「ATH-CKR100」のほうに分があるが、すっきりとした印象は「ATH-CKR100」と同様。そのうえで「ATH-CKR90」では少しだけ存在感のある中低音と、敏感な高音が特徴的。ダブステップやエレクトロな曲でも合いそうな独特なトーンバランスだ。アコースティックな音は相性がでやすいものの、上原ひろみの「Alive」(96kHz/24bit)を聴いてみたところ、ピアノとベースの音が適度に強調され太めのサウンドになった。ほかの製品に比べて個性を備えたサウンドだが、ハマればかなり刺さる製品だ。

iPhoneに合いそうな多数のカラバリを用意する入門機

「ATH-CKR70」

「ATH-CKR70」

近頃、1万円クラスのハイレゾ対応ダイナミック型イヤホンが増えてきている。コストパフォーマンスにすぐれた製品が多く、低価格なエントリーイヤホンのステップアップ先の第1候補となっているが、「ATH-CKR70」は、まさにそのクラスを狙った製品。「Sound Reality series」のエントリーイヤホンだ。

新設計の1/1000mmの精度を持つミクロンオーダーによる新設計ドライバーによって、高精度な振動板の動きを実現している。また、ドライバーに合わせて切削アルミニウムのハウジングを採用した。不要な共振を押さえて高レスポンスを実現するとともに、高解像度な再生が可能となっている。

ハウジングはシンプルなデザイン。ピンクとゴールドのみ白色ケーブルを採用している

ハウジングはシンプルなデザイン。ピンクとゴールドのみ白色ケーブルを採用している

ドライバーユニットは、シングル構成のダイナミック型。ミクロンオーダーによる新設計ドライバーによって、振動板の精度を高くしている

耳にあたる側には小さい穴が設けられている

耳にあたる側には小さい穴が設けられている

なお、上位2モデルがドライバー対向配置を採用していたのに対し、本製品は11.8mm口径のドライバー1基のみの構成となっている。再生周波数帯域も5〜40,000Hzと、上位2製品に比べて若干低めだが、同シリーズの中でもっとも軽量でコンパクトに仕上がっている。さらに5色のカラーバリエーションを用意しており、iPhoneに合わせやすいカジュアルさがウリ。手軽にハイレゾ音源を楽しみたいというエントリーユーザーに向いたモデルとなっている。

その他の主なスペックは、出力音圧レベル108dB/mW、最大入力200mW、インピーダンス19Ω、プラグはL型。重量8g(ケーブル除く)。付属品は、専用ケース、イヤーピース(XS/S/M/L)。

カラーバリエーションは、グラファイトブラック、エメラルドブルー、シャンパンゴールド、ピンクゴールド、ブリリアントレッドの5色。シャンパンゴールドとピンクゴールドのみケーブルが白色となる(他の色はブラック)

音質インプレッション

ダイナミック型イヤホンらしい厚みのある中低音と、自然でつながりのよい帯域バランスが特徴的。これぞシンプルなダイナミック型イヤホン、というまさにそんなイメージを持つ製品だ。奇抜なところがないため音自体は地味だが、逆にジャンルを問わず聴けるオールラウンダーに仕上がっている。さすがに上位モデルと比べてしまうと、全体的に音がくすんで聴こえる傾向があるものの、同価格帯のハイレゾイヤホンの中では十分にクリアで張り合える。はじめてちょっと高めなハイレゾイヤホンを買うときには、選択肢に入る1台だ。

まとめ

「Sound Reality series」の特徴は、全モデルがハイレゾに対応していることだ。そして、ダイナミック型イヤホンながら、オーディオテクニカの高級ヘッドホンのようなスッキリとした音を楽しめる。また、対向配置の中でも特にユニークな異口径ドライバーを組み合わせた「ATH-CKR90」は、オーディオテクニカでも初の試みで、音の個性がよく出た製品となっている。どれもモニターライクというわけではないが、オーディオ的な肉付けをしたしっかりとした聴きごたえのあるサウンドに仕上がっている。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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