レビュー
Westoneの超弩級カナル型イヤホンの実力をチェック

いよいよ明日発売! Westoneの8ドライバーイヤホン「W80」先どりレビュー

Westoneから新たなフラッグシップモデル、超弩級のカナル型イヤホンが発売された。それが「W80」だ。

もともとWestoneは、現在のカスタムIEM(インイヤーモニター)や高級カナルがイヤホンで見られるドライバー数競争には懐疑的で、BA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーを6基搭載する「W60」(ユニバーサルフィットタイプのカナル型イヤホン)や「ES60」(カスタムIEM)のリリースする際にも、かなり慎重なテストを続け、既存の5BAドライバー製品に対して確実なアドバンテージがあると確認をしてから発売をスタートさせた、と聞いている。そんなWestoneだからこそ、“同社”過去最高となる8基もののBAドライバーを搭載するこのW80には、大いに期待させられるところだ。

そんな期待を膨らませていた矢先に、運良くプロダクトモデル(製品版)を借用することができたので、その実力のほどをいち早くレビューさせてもらうことにした。

Wシリーズの新しいフラッグシップモデルとして登場するW80。発売は10月22日で、市場想定価格は218,000円前後(税込)だ

Westone史上最多となる8基のBAドライバーを搭載

まずは製品の概要から。W80という名称から分かるとおり、こちらはリスニング用途を主眼として製品作りがなされているWシリーズのニューモデルで、2年ほど前に発売されたW60のさらに上級に位置する、ハイエンドクラスのカナル型イヤホンだ。

最大の特徴といえるのは、やはり、Westone史上最多となる8基のBAドライバーを搭載していることだろう。高域×4基、中域×2基、低域×2基という3ウェイ8ドライバー構成となっていて、高域が最多となるレイアウトは比較的個性的な部類といえる。また、BAとはいえ8基ものドライバーを搭載しつつも、Wシリーズならではのスマートなボディシェルを実現しているのも使い勝手の面では大きなアドバンテージといえるだろう。

いっぽうで、MMCXコネクター採用の着脱式ケーブルや、交換可能なフェイスプレート(ガンメタリックシルバー、メタリックレッド、ゴールドに加え今回メタリックブルーが追加されて計4色となった)などの機能性/ファッション性は既存モデルと変わらない。かなりの高額モデルとなったものの、あくまでもWシリーズの一員であり、リスニング用のカナル型イヤホンという基本コンセプトはしっかりと踏襲している様子がうかがえる。

MMCXコネクターを採用しており、リケーブルにもしっかりと対応している

MMCXコネクターを採用しており、リケーブルにもしっかりと対応している

付属の標準ケーブルは、3ボタンリモコン付きだ

付属の標準ケーブルは、3ボタンリモコン付きだ

フェイスプレートは、ガンメタリックシルバー、メタリックレッド、ゴールド、メタリックブルーの全4色

フェイスプレートは、ガンメタリックシルバー、メタリックレッド、ゴールド、メタリックブルーの全4色

まず、MMCXコネクター採用の着脱式ケーブルは、スマホなどとの接続時に便利なMade For iPhone/iPad/iPod 対応の3ボタンリモコン付きノーマルケーブルのほかに、高級リケーブルの分野で高い人気を持つALO Audioと共同開発した「Westone by ALOプレミアムケーブル」も同梱されている。こちらのケーブル、情報では「クライオ処理」が施されていることとWestone製品用の専用モデルとして作り上げられていることのみが伝えられているが、実物を見ると、高純度銀メッキ銅と高純度銅を組み合わせた「Reference 8」あたりがベースとなっている可能性が高い。なんと、超が付けたくなるほどの高級リケーブルが、この「W80」には付属しているのだ。絶対的なプライスタグは高価だが、これだけでもずいぶんと“お買い得”な気分にされられるから不思議だ。

W80には、高品質なオーディオケーブルを多数手掛けるALO Audioと共同開発したプレミアムケーブルも同梱される

もうひとつ、「W80」にはユニークな付属品が用意されている。それは、大型のイヤホンケースだ。一般的なイヤホンケース、イヤホンが1つ収納できるコンパクトなサイズのイヤホンケースも付属しているが、それに加えてもうひとつ、イヤホンが2個3個収まるスペースが確保されているうえ、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)なども収納可能なセミハードタイプの大型イヤホンケースが付属しているのだ。

何を隠そう、これがなかなかに便利な代物だったりする。黒いWestoneロゴバッジのあしらわれたケース本体を開くと、左側には小さく3部屋に分かれたうえ中に入れたものが落ちないようネット生地で保護され収納部分が、右側には移動式の仕切りが2つ用意された大きな収納部が現れてくる。左側にはカスタムIEMやイヤホン、交換ケーブルなどを収納できるし、右側にはDAPやポタアンを入れておくことができる。また、その間にはスウェード調の生地を貼り付けた仕切りもあり、こちらにはSDカード類やミニミニ/OTGなどのショートケーブルを入れることもできる。筆者のようにカスタムIEMをいくつか所有している人には大変便利だし、DAPなどもひとつのケースにまとめられるのはありがたいかぎり。こういった、気の利いた付属品は大歓迎だ。

W80に付属するセミハードタイプの大型イヤホンケース。仕切りがいくつか用意されており、ポータブルオーディオ関連のケーブルや小物をひとまとめにして持ち運べる

音質インプレッション

さて、肝心のサウンドはいかがなものだろう。約3日、60時間ほどエージングを行ってから、そのサウンドをチェックしてみたちなみに、ケーブルは(せっかくなので)付属のALOをメインに使用することとした。

一聴して驚いた。これまでに体験したことのない、とてつもなくきめの細やかで繊細な表現のサウンド。8基のBAドライバーならではの恩恵なのか、演奏のディテールまであまさず伝わってくる、膨大な情報量を持ち合わせている。おかげで、ボーカルは歌い方のニュアンスがしっかり伝わってくるばかりか、曲によって(歌手の)気分の乗り方まで想像できるようになるし、レコーディングに使用したマイクの特徴まで感じられるようになる。そういった、なかなかに優秀な音のリアルさを持ちつつ、歌声自体はとても心地よいという、なんとも絶妙なバランスに仕上げられているのだ。

いっぽう、アコースティック楽器の音色も印象的だった。チェロは深い響きの音を聴かせてくれるし、ヴァイオリンはボーイングの力加減までもがしっかりと伝わってくる、生々しいくらいの演奏が味わえる。そんななかでも、ずば抜けて素晴らしかったのがピアノの演奏だ。高域への特性が素晴らしいのか、自然な音色と広がり感を持った、心地よい響きの演奏を堪能させてくれる。もともとWシリーズは、存在感のある高域を積極的に活用することで、クリアで抜けの良いサウンドを作り上げていたのだが、「W80」は基本的なキャラクターこそ同じものの、高域が格別に上質かつピュアな音色傾向になったおかげか、明瞭さと心地よさが両立する、聴き心地の良いサウンドを実現している。この音は、大いに魅力的だ。

まとめ

ハイエンドクラスの製品ゆえに、ある程音が良いことは想像できたし、その分厳しい評価軸を持って試聴に望んだつもりだった。しかしながら「W80」は、そういった予想を遙かにうわまわる、とてつもなく上質で表現力の豊かなサウンドを持ち合わせていたのだ。まさに、Westoneならではのノウハウと、最新BAドライバーのハイクオリティさが組み合わさることで生み出された至上のサウンドだろう。そのサウンドはもとより、スマートなサイズ&デザインのシェルボディや着脱式ケーブル、付属ケースなどパッケージングの絶妙さもあわせて、音楽好きにとってはかなり魅力的な製品に映るはずだ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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