レビュー

“サメ”に噛まれても大丈夫!? 4K対応360°カメラ「360fly 4K」のタフさがハンパない!

昨年2016年は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが「PlayStation 4」専用のVR(バーチャル・リアリティ)システム「PlayStation VR」を発売するなど、世間でのVRの認知度が一気に上昇し、“VR元年”と言える年でした。そして今年2017年は、VR機器のコンテンツとなる360°のパノラマ動画を4K画質で撮影できるアクションカメラが話題を集めています。その中で今回注目したいのが、球体ボディが特徴の米360fly社の「360fly 4K」です。

球体ボディの「360fly 4K」。ボタンは側面にある三角形のボタンのみ。4秒間の長押しで電源のオン/オフができます


「360fly 4K」は、超ワイドアングルレンズをひとつだけ搭載し、水平360°×垂直240°の広い視野角で撮影ができます。ほかの360°カメラのように2つのカメラの映像を繋ぎ合わせるわけではないので、継ぎ目やソフト処理による不自然な補正・合成がない“ありのままの映像”が撮れます。さらに本機は、防水10m、防塵IPX6、耐衝撃1.5m、耐低温−20℃というタフネスさも兼ね備え、まさにアクティブなシーンの撮影に最適なアクションカメラとなっています!

そんな「360fly 4K」のアクセサリーとして、強い衝撃から本体を守るプロテクター「プロテクティブケース」と、40m防水の水中撮影用ハウジング「ダイブハウジング」が3月10日に発売されました。ここでは、両アイテムが活躍しそうな3つのシーンを想定し、実際に360°の4K映像を撮影。「360fly 4K」と新作アクセサリーの使い勝手を検証しました。

レンズ保護部分(上部)がアクリル製で、本体保護部分(下部)がラバー製の「プロテクティブケース」。中に入れた「360fly 4K」を汚れや傷から守れます

水中撮影時用の「ダイブハウジング」。「360fly 4K」は本体だけで水深10mまでの防水性能を持っていますが、「ダイブハウジング」を装着すると、水深40mまで水中撮影が可能に!

【シーン1】
ミニ四駆に装着し、専用コースを疾走させてみた!

まずは、「プロテクティブケース」の丈夫さを調べるため、タミヤのミニ四駆を使うことにしました。そもそもミニ四駆とは、2017年で発売35周年を迎え、現在第3次ブーム真っただ中の大人気レーシングホビー。そのレースとなると、スピード制御やコーナーリングのための改造が必要で、それを怠るとコースアウトしやすいのが特徴です。そこで、「プロテクティブケース」を装着した「360fly 4K」をミニ四駆に搭載し、それを5レーンの専用コースで走行させてみました。コースアウトしたら、「プロテクティブケース」の丈夫さもチェックできますしね。

検証を行った場所は、東京・新橋にある「タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店」。2Fに鎮座する5レーン仕様のミニ四駆サーキットを使わせてもらいました

「360fly 4K」を搭載するミニ四駆には、トラックボディタイプの「サニーシャトル プレミアム(ARシャーシ)」(税込1,080円)をチョイス! 後部の荷台に「360fly 4K」が設置しやすそうです

「360fly 4K」専用の粘着式マウントを装着。これは、別売のアクションカメラアダプターのセット「マウントキット」(税込3,475円)に入っています。粘着式なので、付け外しがしやすいです。サイズもほぼぴったり

「プロテクティブケース」に入れた「360fly 4K」をマウントに装着。「プロテクティブケース」は上部のアクリルパーツと下部のラバーパーツを組み合わせるだけと簡単に装着できました

ものは試しと早速コースを走らせてみることにしました。「360fly 4K」は、本体側で電源のオン/オフと動画の録画開始/停止(静止画の撮影)が可能ですが、アプリを介しての操作が基本。スマホとカメラ本体をBluetoothと無線LANで繋ぐと、アプリ画面に「360fly 4K」からのライブビュー映像が映し出されます。360°動画の撮影解像度は、2880×2880(30fps)、2880×2880(24fps)、1728×1728(60fps)の3種類から選べるのですが、今回は高解像度で撮りたいので2880×2880(30fps)をセレクトしました。しかしこのモードのみ、録画中はスマホのアプリ画面にライブビューが表示されないので注意が必要です。さあ、これで準備完了。あとはアプリの録画ボタンを押すだけ。そのとき撮影した映像がこれです! 映像はPCの場合はカーソルで、スマホの場合は指でなぞると動かすことができます。

※360°の全方位動画を視聴するには、最新バージョンのAndroidまたはiOS向けYouTubeアプリをご利用ください。
※環境によっては4K解像度で表示されない場合がございます。YouTube設定をご確認の上、4K解像度でご覧ください。

YouTubeで360°全方位動画を視聴する

……。コースアウトしました。それも最初のカーブで。もう「360fly 4K」の撮影性能を確かめる余裕すらない録画時間7秒……。「360fly 4K」は重量172gと軽量ですが、ミニ四駆にとっては重すぎたようです。コーナーリングで「360fly 4K」の重さに耐え切れず、コースアウトしました。

マシンがコースアウトした直後の衝撃写真。肝心のカメラは大丈夫!?

マシンがコースアウトした直後の衝撃写真。肝心のカメラは大丈夫!?

無事でした! 一般的なミニ四駆の時速は約20km前後で、スケールスピード(ミニ四駆は1/32スケール)にすると時速640km! 激しいクラッシュでしたが、ケースに傷ひとつなし。粘着面をミニ四駆のボディに貼りつけているだけなのに、マウントが外れなかったのも驚き!

マシンを変えての2回目のチャレンジ!

どうしたものかと悩んでいたら、タミヤのスタッフさんが最強のマシンを貸してくれました。ワイルドミニ四駆シリーズの「マンモスダンプ」! 40°の坂も楽々登れるパワフルな走りが魅力のマシンです。ガタイが大きく安定しそうですね。早速「サニーシャトル プレミアム(ARシャーシ)」から付け替えて、走らせてみました。

緊急登板だったためにステッカーを貼っていない「マンモスダンプ」(税込1,296円)に「360fly 4K」を搭載。どことなく火星探査機のようなフォルムがかっこいい!

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1週完走、大成功! スローペースですが着実に進む「マンモスダンプ」が、「360 fly 4K」を運びます。映像を見てみると、「360fly 4K」は手ぶれ補正機構を搭載しないため、コースの小さな段差でも映像が少し揺れています。でも、コースの外側側面のタミヤのロゴマークがくっきり映し出されていることからわかるように、臨場感が伝わってくるクリアな映像が撮影できました。ちなみに、「360fly 4K」は垂直方向には240°の撮影となるため、カメラの下部方向120°分は撮影されません。

安定の走行を見せた「マンモスダンプ」の勇姿。インコースの急なカーブもへっちゃら!

安定の走行を見せた「マンモスダンプ」の勇姿。インコースの急なカーブもへっちゃら!

【シーン2】
「サンシャイン水族館」の大水槽「サンシャインラグーン」で、ダイバーに潜って撮影してもらった!

次は、「ダイブハウジング」を試すために、東京・池袋にある「サンシャイン水族館」へ。そこではなんと、巨大なエイなどが回遊する約12(横)×9.6(奥行)×2.4(高さ)mの巨大水槽「サンシャインラグーン」の中で、同館のダイバーさんに撮影してもらうことになりました! カメラを激しく動かすと映像が見づらくなりそうなので、水槽の底の砂地に固定して撮ることにしました。

約30種3,000匹の魚たちが泳ぐ大水槽「サンシャインラグーン」。大型水槽としては珍しく水底に白い砂を敷きつめた、南国の海を感じさせる美しい水槽で、沖縄でグルクンと呼ばれるタカサゴや、マダラトビエイやトラフザメなどの大型の魚が泳いでいます。そんな魚たちと戯れているのが、今回協力してもらうダイバーさん

セッティングは、「ダイブハウジング」を付けた「360fly 4K」を、水中撮影に最適な「フローティングハンドグリップ」(税込3,218円)に装着するだけ。「フローティングハンドグリップ」は、グリップ内に注水して浮力の調整もできます。装着には、前述の「マウントキット」のセットに同梱されるアクションカメラアダプターが必要

こちらがダイバーさんによる「360fly 4K」設置の様子。グリップを砂の中に埋めて固定してもらいました

こちらがダイバーさんによる「360fly 4K」設置の様子。グリップを砂の中に埋めて固定してもらいました

2880×2880(30fps)で撮影した動画がこちら! まさに南国の海の海底に留まり、自然界の営みを鑑賞しているような映像が撮れました。本製品は基本的には、スマホと本体を連携させて撮影を行いますが、当然水中には電波が届きませんので通信は切れてしまいます。しかし、録画自体は途切れることなく、アプリか本体で録画停止の操作をするまで撮影を続けてくれました。ちなみに動画編集は、PCやスマホのアプリで簡単に行えます。今回は、15分の撮影動画を5分弱の動画に編集しました。

YouTubeで360°全方位動画を視聴する

動画は、開館前のリハーサル中に撮影。ISO感度が100〜6400(自動調節)なので、魚たちの被写体ブレが少ないのがわかります。また、小さな魚のエラの動きや舞い上がる砂の粒感もクリアに見ることができます。ダイバーさんに使い心地をうかがったところ、「水中でもグリップが持ちやすく、泳ぎのじゃまにはなりませんでした。グリップにフルで注水しても少し浮力が残っていましたが、気にはなりませんでした」とのこと。想定外だったのが、シノノメサカタザメ(名前にサメと付いていますがエイの一種)の好奇心! おそらく「360fly 4K」をエサだと思い、何度もカメラをハムハムと噛んでいました。シノノメサカタザメはあごの力が非常に強いためカメラが心配でしたが、「ダイブハウジング」を付けていたおかげで本体は無傷でした。

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シノノメサカタザメに噛まれた「ダイブハウジング」の傷跡。装着しておいてよかった……

シノノメサカタザメに噛まれた「ダイブハウジング」の傷跡。装着しておいてよかった……

【おまけシーン】
大人気猫カフェ「てまりのおうち」で癒しの4K動画を撮影してみた!

最後に、東京・吉祥寺にある大人気の猫カフェ「CatCafe てまりのおうち」で、かわいい猫たちを撮影したのでご覧ください。猫たちのキュートな仕草がかいま見られます。撮影には、「トライポッドグリップ」(税込5,378円)というミニ三脚を使用しました。

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カフェ内の少々暗い場所で撮影しましたが、「360fly 4K」はF値2.5なので比較的明るく撮影できました。猫たちの毛並みまでしっかりと確認できます。

まとめ

「360fly 4K」の試用で一番体感できたのは、誰でも簡単に4Kの360°映像が撮影できるという操作性の高さです。本体のボタンもひとつのみですし、アプリのインターフェイスもとてもシンプル。アプリはすべて英語表記ですが、直感的操作ができるのですぐに慣れました。

また、今回のように水中でWi-Fiが届かない場合やスマホが手元にない場合でも、本体に搭載されたボタンで録画の開始/停止が操作でき、決定的なシーンを逃さないと感じました。

「プロテクティブケース」と「ダイブハウジング」に関しては、本体カメラに傷が付く恐れのあるシーンを撮影する場合、必ず装着したほうがいいです。ここでは、ミニ四駆の上や水槽の中と比較的安全な場所での撮影でしたが、結局のところ、ミニ四駆がコースアウトしたり、シノノメサカタザメに噛まれたりとアクシデントが発生しました。それに備える意味でも装着をオススメします。アクセサリーは万が一壊れても買い替えしやすい価格ですが、本体はなかなか簡単に買い換えられる価格ではないからです。

ちなみに、今回はアクセサリーに「360fly」ブランドのものを使用しましたが、本体底面には1/4-20UNC規格(メス)対応のアクセサリー取り付け穴が備わっており、「GoPro」やサードパーティー製の三脚やアダプターも取り付け可能なので、持っているグッズを使い回せるのもうれしいです。

気になる点としては、撮影解像度を2880×2880(30fps)に設定するとライブビューが確認できないこと。何が撮れているのかを撮影後まで見られないのは少々不安なので、「360fly」アプリのアップデートに期待したいところです。

なお、「360fly 4K」の価格.com最安価格は、税込53,994円(2017年3月23日時点)。同種の競合製品としては、水平360°×垂直235°の4K画質で撮影できるコダック「PIXPRO SP360 4K」(税込55,890円/価格.com最安価格)が発売されています。両モデルのカメラ性能はほぼ同じですが、本体単体のタフネスさを考慮するとわずかな差ではあるものの「360fly 4K」に軍配が上がるでしょう。

取材協力

「タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店」
現在発売中のタミヤの全製品約6,000点を網羅する同社の公式ショップ。ミニ四駆のほか、スケールモデルやRCモデルのアイテムも取りそろえています。

[住所] 東京都港区新橋4-7-2 6東洋海事ビル [営業時間]平日 12:00〜22:00、土・日・祝祭日 10:00〜18:00 http://www.tamiya-plamodelfactory.co.jp/shimbashi

「サンシャイン水族館」
サンシャインシティにある日本初の都市型高層水族館。毒を持つ生物を集めた特別展「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展2)」を6月25日まで開催中です。

[住所] 東京都豊島区東池袋3−1 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル・屋上 [営業時間] 10:00〜18:00(11〜3月)、10:00〜20:00(4〜10月) http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium

「Cat Cafe てまりのおうち」
森をイメージした内装の店内で、30匹以上の猫たちが自由気ままに過ごしている人気の猫カフェ。猫のお食事タイムなど、シャッターチャンスのイベントが毎日盛りだくさんです。

[住所] 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-13-14 3F[営業時間] 10:00〜21:00http://www.temarinoouchi.com

[住所] 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-13-14 3F [営業時間] 10:00〜21:00 http://www.temarinoouchi.com

牧野裕幸(編集部)

牧野裕幸(編集部)

月刊アイテム情報誌の編集者を経て価格.comマガジンへ。家電のほか、ホビーやフード、文房具、スポーツアパレル、ゲーム(アナログも含む)へのアンテナは常に張り巡らしています。映画が好きで、どのジャンルもまんべんなく鑑賞するタイプです。

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