圧倒的な高速性を実現したEマウントミラーレスのフラッグシップ

20コマ/秒の超高速連写に驚愕! ソニー「α9」の動体撮影性能をレビュー

このエントリーをはてなブックマークに追加

ソニーの「α9」は、AF/AE追従で最高20コマ/秒の高速連写や、693点の像面位相差センサーが画面の約93%をカバーするオートフォーカス(AF)など、圧倒的な高性能を実現した、Eマウントミラーレスのフラッグシップモデル。一眼レフのフラッグシップに真っ向勝負を挑む、動体撮影に強いミラーレスとして話題を集めている。本レビューでは、動体撮影を通じて、このカメラの高速連写やAFの使い勝手をレポートしよう。

※α9の詳細な特徴は発表日に掲載した新製品レポート「ソニーの新フラッグシップ「α9」誕生!キヤノンとニコンに真っ向勝負を挑む超高速ミラーレス」をご確認ください。

Eマウントミラーレスのフラッグシップモデルとなるα9。装着しているレンズは、望遠ズームレンズの「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」

20コマ/秒の高速連写が持続するのがポイント。AFも高速・高精度

今回、α9に「Gマスター」ブランドの新しい望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」などを組み合わせて飛行機などの動体を撮影してみたが、電子シャッターでの最高20コマ/秒のAF/AE追従連写は、35mmフルサイズセンサーを搭載するカメラの中ではこれまでに体験したことのないレスポンスとフィーリングで驚異的な性能だと感じた。

特に、20コマ/秒の高速連写が長時間持続するのがすごい。高速連写時は圧縮RAWで約241枚、JPEGで約362枚(画質モードによらず)までの連続撮影が可能で、圧縮RAWで約12秒間、JPEGでは約18秒間もの間、20コマ/秒の高速連写が持続する。実際に撮影してみてもスペックとほぼ同じ持続性で、スポーツ競技やモータースポーツの撮影など被写体を連続して撮ることが多くなる場合でも、我慢することなく高速連写でシャッターを切り続けられるのがα9の最大の魅力だ。

さらに、高速演算・表示によってブラックアウトフリーでの連写を実現しているのも特徴。連写中に画面がブラックアウトせず、まるで動画を撮っているような感覚で追従連写できるのがとても新鮮だった。20コマ/秒の連写中にカメラを動かしながら被写体を追いかけても、ファインダーがチラついたり、遅延するような感じになることはない。高速連写中も滑らかな映像が表示されるので被写体を追いかけやすかった。

また、アンチディストーションシャッターによってローリングシャッター歪みも抑えられている。100mほど離れたところを時速80〜90km程度で通過する被写体(縦横の直線の多い被写体)を高速シャッターで動きを止めて撮影してみたが、気になるような歪みは発生しなかった。カメラを高速に動かしながらシャッターを切るとわずかに歪みが出るときもあるが、通常の動体撮影であれば問題なく使用できるはずだ。

AFについては食いつきがよく、追従性も十分に高い。狙った構図で画面に飛び込んでくる被写体にも高速でピントを合わせてくれるし、ピントの精度も申し分ない。フォーカスエリアをワイドにして画面全域で被写体を追いかけると、動体の手前の被写体にピントを合わせ続けたり、後ろにピントが抜けてしまうことがあったが、ゾーンやフレキシブルスポットを使ってエリアを絞ることで快適な追従撮影が行えた。

外部出力とレコーダーを用いて、動く被写体を追従撮影している際のモニター画面を記録した動画。フォーカスエリアをゾーンにして、エリアを広めに設定しているが、被写体をしっかりと追従できている。レンズはFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを使用。

AFで「α7」シリーズや「α6000」シリーズなどと比べて特に異なると感じたのは、すばやく動く被写体を追いかけながら撮る場合に、ピントが少し外れてしまったときの復旧が早いこと。ソニーは最大60回/秒の演算によるAF/AE追従をうたっているが、連写中のコマ間でも動体予測アルゴリズムがしっかりと機能しているのだろう。

AFの設定で便利なのは、あらかじめ登録しておいたフォーカスエリア(+フォーカス位置)に一時的に移動できる「フォーカスエリア登録機能」だ。任意のフォーカスエリアを登録できるのが便利で、カスタムキーでこの機能を割り当てたボタンを押すことで、フォーカスエリアを瞬時に使い分けるような感覚で撮ることができる。

こちらの動画は、フォーカスエリア登録機能を使用して、背面のAF-ONボタンとAELボタンの操作でフォーカスエリアを切り替えて追従撮影している様子。通常のフォーカスエリアはフレキシブルスポットで、AELボタンにゾーン(+AFオン)を割り当てている。シャッター半押しAFはオフで、いわゆる親指AFの状態だ。レンズはFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを使用し、焦点距離400mmで撮影している。被写体が近づいてくるときはAELボタンを押して広いエリアのゾーンで追従し、遠ざかるところでAF-ONボタンでフレキシブルスポットに切り替えている。フォーカスエリア登録機能を活用することで、2種類のフォーカスエリアをボタン操作で瞬時に使い分けられるのが便利だ。特に、この動画の被写体のようにある程度動きが予測できる場合に便利だと感じた。

α9は瞳AFの性能の高さも特筆すべき点だ。この機能を使えば、横に向いた状態でも瞳を認識するうえ、すばやく動く場合でも瞳を検出してピントを合わせてくれる。

背面に、フォーカス位置をダイレクトに移動できるジョイスティックタイプのマルチセレクターとAF-ONボタンを装備。動体撮影に適した操作性を実現している。AF-ONボタンについてはもう少し大きめのボタンで、グリップに近い位置にレイアウトされていてもよかったと思う

上面左側には、ドライブモードとフォーカスモードの2段構成となるダイヤルが用意される。それぞれダイヤルにロック機構が備わっている

上面右側には撮影モードダイヤルや露出補正ダイヤルを装備。シャッターボタンの近くにカスタムボタンが2つ用意されており、撮影中でも機能を呼び出しやすい操作性になっている

コンパクトなボディだが比較的しっかりとしたグリップを採用。大きな望遠ズームレンズを装着した際にも安定感のあるホールドが可能だ

スロット1がUHS-IIに対応するデュアルカードスロットを採用。左側面には、有線LAN端子やシンクロ端子が搭載されている

新開発のZバッテリー「NP-FZ100」を採用。Wバッテリー「NP-FW50」と比べて2.2倍の容量(2280mAh)となるバッテリーで、撮影可能枚数は電子ビューファインダー撮影時で約480枚、液晶モニター撮影時で約650枚となっている

書き込み中はメニュー画面の操作が不可。20コマ/秒連写は対応レンズに注意

α9を使ってみて気になったのが、メモリーカードの書き込み中にメニュー画面を表示・操作できないこと。α6500などと同じように、書き込みが終わった画像から再生することはできるが、すべての画像の書き込みが終わるまでメニュー画面は使用できない。高速連写を続けていると書き込み時間が長くなり、設定を変えて撮りたい場合に、数秒以上にわたってメニュー画面を操作できないのは少々使いにくいと感じた。ただ、カスタムキーで各種ボタンに割り当てた機能やファンクションメニューは書き込み中でも呼び出せるので、よく使用する機能はあらかじめカスタムキーならびにファンクションメニューに設定しておくことで使いやすくなるだろう。

AFについては、画面の好きなところにフォーカス枠を設定できるフレキシブルスポットに、選択できるフォーカス枠を限定する機能があってもいいように感じた。マルチセレクターやタッチ操作で任意の位置に枠を設定できるのは便利なのだが、ファインダーを使っての動体撮影時はざっくりと位置を変えられるほうがよりスピーディーな追従撮影が行えると思う。また、AF-Cでの静止画撮影時は、フォーカス/レリーズの優先設定と追従感度(5段階)を設定できるが、もう少し細かい特性を追い込めるとさらに使いやすくなるだろう。

メモリーカードへの書き込み中はメニュー画面を開くことができない。書き込み中でもカスタムキーで割り当てた機能やファンクションメニューは呼び出せるので、うまくカスタマイズして使いたいところだ

AF-Cでの静止画撮影時は、フォーカス/レリーズの優先設定と追従感度の設定が可能。追従感度は5段階から選ぶことができるが、もう少し細かい特性を追い込めるとさらに使いやすくなる

AF/AE追従での20コマ/秒連写に対応するレンズが限られているのも注意したい点だ。2017年5月25日時点では、Gマスターブランドはすべてのレンズが対応しているが、標準ズームレンズ「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」や高倍率ズームレンズ「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」、望遠ズームレンズ「FE 70-200mm F4 G OSS」「FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS」などを使用する際は連写速度が最高15コマ/秒に落ちる。なお、どのレンズを使用しても、非圧縮RAWを選択すると最高12コマ/秒に制限される。

実写作例

2倍のテレコンバーター「SEL20TC」を使用して、焦点距離800mmで離陸する飛行機を20コマ/秒連写で撮影したうちの1コマ。20コマ/秒の高速連写によって片側の車輪がついた瞬間を収めることができた。なお、α9は20コマ/秒連写に対応するレンズであれば、テレコンバーター(SEL20TCやSEL14TC)装着時でも連写速度は変わらない
α9、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+SEL20TC、800mm、1/800秒、F11、ISO1250、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:クリア、画質モード:JPEGエクストラファイン
撮影写真(6000×4000、11.1MB)

新しい超広角ズームレンズ「FE 12-24mm F4 G」の焦点距離12mmで、着陸する飛行機が画面に入ってくるのを待って20コマ/秒連写で撮った1枚。やや描写が甘く感じるところもあるが、絞り開放の逆光で撮影していることを考慮すると十分な画質だ
α9、FE 12-24mm F4 G、12mm、1/4000秒、F4、ISO125、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:クリア、画質モード:JPEGエクストラファイン
撮影写真(6000×4000、9.4MB)

日没後1時間程度経過したころに、大口径の標準レンズ「Planar T* FE 50mm F1.4 ZA」を使って20コマ/秒連写で撮影した作例。この作例では画面に飛行機が入ってきた瞬間にAFを動作させて連写しているが、尾灯がついた瞬間を収めることができた
α9、Planar T* FE 50mm F1.4 ZA、50mm、1/250秒、F1.4、ISO25600、ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:ビビッド、画質モード:JPEGファイン
撮影写真(6000×4000、8.4MB)

水しぶきを主題にすることを狙いにして、コーナーをターンした瞬間を20コマ/秒で連写したうちの1枚。フォーカスエリアをゾーンに設定しているが、動く被写体にしっかりとAFが追従しながら撮ることができた
α9、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+SEL20TC、800mm、1/3200秒、F11、ISO2500、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:ビビッド、画質モード:JPEGエクストラファイン
撮影写真(6000×4000、14.5MB)

イルカが水面から飛び上がる様子を20コマ/秒連写で追従撮影。イルカがこちらを向いた瞬間を撮ることができた
α9、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS、118mm、1/2000秒、F5、ISO16000、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:ビビッド、画質モード:JPEGエクストラファイン
撮影写真(6000×4000、18.1MB)

まとめ 一眼レフのフラッグシップと肩を並べる高性能を実感

α9は「一眼レフのフラッグシップと肩を並べる」と言ってもけっしておおげさではない、ミラーレスの新時代を強く感じさせる高速・高性能なモデルだ。実際に使用してみて、光学ファインダーと電子ビューファインダーの使い勝手に違いはあるものの、連写やAFなどの動体撮影で求められる基本性能で一眼レフのフラッグシップと大きな差はないと感じた。 最高20コマ/秒の連写速度や連写の持続性、AFのカバーエリアなど一眼レフのフラッグシップを上回っている部分もある。特に20コマ/秒の連写はインパクトが強く、α9は現時点で動体撮影用のカメラとして最高性能を誇るモデルの1つだと実感した。

一眼レフのフラッグシップと比較すると、超望遠レンズのラインアップがまだそろっていないことや、ボディの堅牢性、細かいところの操作性など気になる点はあるものの、α9にはそれらを払拭する魅力がある。これから本格的な動体撮影用のカメラシステムをそろえるという場合は、一眼レフのフラッグシップとあわせてα9も選択肢に入れておいて損はないはずだ。また、すでに一眼レフのフラッグシップを所有している場合は、なかなかレンズを含めてシステムを移行するわけにはいかないと思うが、α9の連写性能は一眼レフを凌駕するレベルにある。機会があればショールームや店頭などで手に取って試してみてほしい。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
レビュー最新記事
レビュー記事一覧
2017.9.14 更新
ページトップへ戻る