A1には専用のアクセサリーがいくつか用意されており、それらを活用することでより多彩な撮影が可能になる。
A1のパッケージに付属するのは「ワイドレンズ」「バウンスカード」「ドームディフューザー」の3種類。別売オプションとして「ソフトバウンス」と「カラーフィルターキット」の2種類が用意されている。
ワイドレンズは焦点距離14〜24mmで撮影するときに使用するアクセサリー。バウンスカードはバウンスの際に指向性の強い光を出したいときや、アイキャッチ用に便利なアクセサリーだ。ドームディフューザーは、光をよりやわらかくするアクセサリーで、被写体に直接光を当てても、バウンスさせても使える便利なツール。ソフトバウンスも光をやわらかくするアクサセリーで、バウンスする壁がないときなどに活用できる。カラーフィルターキットは、4枚の色補正フィルターのセットだ。
これらのアクセサリーはマグネットで簡単にA1のヘッドに着脱することが可能。ソフトバウンスの上にドームディフューザーを重ねるといったように、複数のアクサセリーを組み合わせて使うこともできる。
左はA1のヘッドにワイドレンズ、右はバウンスカードを装着した様子
ドームディフューザーは基本的にはバウンスさせて使うものになるが、マットな質感で適度にやわらかい光になるので直接当てて使っても面白い
ソフトバウンスは、よりやわらかい光を作り出す。別売オプションで用意されており、価格は18,800円(税別)。右はソフトバウンスにドームディフューザーを重ねた様子
カラーフィルターキットは、CTO(オレンジ)3枚(1/1〜1/4)、グリーン1枚の4枚セット。タングステン照明下や蛍光灯下などでの撮影の際に、ストロボのカラーバランスを調整したいときに便利だ。フィルダーをホルダーに挟んでA1のヘッドに装着して使用する。別売オプションで価格は12,800円(税別)
A1のアクセサリーはマグネットでヘッドに取り付けられるようになっており、ワンタッチで着脱することができる
D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、50mm、WB:電球、F4.5、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート
カラーフィルターキットのCTOを使用し、カメラの色温度を下げることで背景の青味を強調して撮影した1枚。カラーフィルターキットはカラーバランスの調整に使用するのが基本になるが、この作例のように大胆に色を変えて撮影したい場合にも活用できるツールだ
以下の作例では、アクサセリー未使用、ドームディフューザー使用、ソフトバウンス使用、ソフトバウンス+ドームディフューザー使用時の光の違いを撮り比べてチェックした。いずれもカメラの露出値はF8、1/125秒、ISO125にそろえたうえで、TTLで調光した後にマニュアルで少し発光量を補正して撮影している。屋外での撮影なのでバウンスさせることなく被写体に直接光を当てているが、作例1の4枚は服の明るさ、作例2の4枚は顔の肌の質感や、首のあたりの影のつき方を細かく見てほしい。アクササリーを使用することで硬い光がよりやわらかくなり、特色が変わることがわかるはずだ。
アクセサリーの中でも特に注目してほしいのがドームディフューザー。基本的には屋内でバウンスさせて使うものだと思うが、適度に光が広がるうえ、十分な指向性もあるため、直接当てて使うのも面白い。ストロボの光量を稼ぎたい日中シンクロでも使いやすいツールだと感じた。
D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、55mm、WB:5500K、F8、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート、ストロボ出力:6.2
D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、55mm、WB:5500K、F8、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート、ストロボ出力:7.2
D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、55mm、WB:5500K、F8、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート、ストロボ出力:8.2
D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、55mm、WB:5500K、F8、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート、ストロボ出力:9.4
D850、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G、WB:5500K、F8、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート、ストロボ出力:6.0
D850、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G、WB:5500K、F8、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート、ストロボ出力:7.0
D850、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G、WB:5500K、F8、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート、ストロボ出力:8.1
D850、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G、WB:5500K、F8、1/125秒、ISO125、ピクチャーコントロール:ポートレート、ストロボ出力:9.1
A1を使ってみて、その安定性の高さと、滑らかで自然な光はこれまでのクリップオンストロボにはない魅力だと感じた。バッテリーの持ちとレスポンスのよさも特筆すべき点で、プロフェッショナル向けのクリップオンストロボとして高い性能を持っている。使用したニコンのカメラ(D850)の性能が高いこともあるのだろうが、TTLの精度も高く、自動調光でも安定して適正露出が得られる印象を受けた。
光量についてもオンカメラで使うクリップオンストロボとしては十分。今回はほとんど試せなかったが屋内でバウンスさせて使う分には申し分のないパワーではないだろうか。屋外では、ソフトバウンス+ドームディフューザーといったように複数のアクセサリーを組み合わせて使った際に最大出力近くでないと適正露出が得にくかった以外は、十分に使用に耐えられると感じた。さすがに、屋外で被写体から遠く離れたところから発光する場合や、極端に光が強い晴天下での日中シンクロについては使い方が難しいところがあると思うが、感度を上げるなどカメラ側の露出設定である程度カバーできるのではないだろうか。
アクセサリーについては、ソフトボックスやグリッドが用意されると使い方の幅が広がるので、ぜひ追加してほしいところ。既存のOCFアクセサリーを使用できない点を残念がるプロフォトユーザーもいると思うが、使用した限りでは、A1の光量を考えるとモノブロックなどに最適化された既存のOCFを活用するのは難しいのではないかと感じた。
A1は、既存のプロフォト製品を使用しているスタジオフォトグラファーやウェディングカメラマンなどから大きな注目を集めている。プロ向けの製品はあるが、安定した発光とレスポンスのよさは、普段からクリップオンストロボを活用して本格的なポートレート作品を制作しているハイアマチュアの方にも十二分に伝わるはず。市場想定価格は100,000円前後で、クリップオンストロボとしては高価だがその価値はある。作品のクオリティアップを狙って、ぜひ導入を検討してみてほしい。