レビュー
気になる画質や操作性をチェック

話題沸騰のフルサイズミラーレス! ニコン「Z 7」速攻実写レビュー

いくつか気になった点も……

続いて、Z 7を使ってみて気になったところをレポートしよう。スペックでは、一眼レフと比べての撮影可能枚数の少なさ(ファインダーのみ使用時で約330コマ)や、瞳AF非搭載、XQDカードのシングルスロット仕様、シンクロ端子非搭載などが指摘されているが、実際に撮影してみて主に以下の5点が気になった。

・F8で回折の影響が目立つ
・AFは速度が出ないときがある
・EVFのレスポンス
・ボディ内手ブレ補正の効果
・モニターの鮮やかな表示

画質の満足度は非常に高いが、1点だけ、絞り値をF8に絞って遠景をパンフォーカスで撮る場合に、F5.6あたりと比べると細かいところの解像感が落ちるのが少し気になった。以下に、Z 7で新たに搭載された回折補正をオンにして、同じ被写体を絞り値別に露出値をそろえて撮影した写真(本記事の最初に掲載した作例と同じシーンで撮った写真)の等倍切り出し画像を掲載する。切り出す位置はピントを合わせた画像の中央部とした。

絞り別等倍切り出し画像1

左からF5.6、F6.3、F8

絞り別等倍切り出し画像1

左からF11、F14、F16

上の画像を見ると、絞り値がF5.6からF8にかけて解像感の低下が大きく、F8を超えるとそれほど低下が目立たなくなることがわかる。回折補正はF8を超えるとその効果を発揮するようだ。NIKKOR Zレンズの光学性能が非常に高く、少し絞ったところでの解像力にすぐれるため、F8あたりでは余計に回折による解像感の低下が目立つのかもしれない。レンズによって傾向は変わると思うが、Z 7とNIKKOR Zレンズの解像力のピークは開放から少し絞ったくらいで、絞ってもF5.6くらいまでではないだろうか。

AFは、ニコンのフルサイズ機のライブビューAFとしては間違いなくこれまでで最速で、ワンショットで使う分にはストレスはほとんど感じない。ただ、高速AFを実現した他の高性能ミラーレスと比べると差を感じたのが正直なところ。AF-C時は食いつきがもうひとつで、追従性もAFに自信を持つ最新の高性能ミラーレスのレベルには達していない印象。ほぼ画面いっぱいまで像面位相差AFがカバーするという仕様なので期待したのだが、もうひと声がんばってほしかった。

また、AFの速度については、NIKKOR Z 24-70mm f/4 SとNIKKOR Z 35mm f/1.8 Sを使った限りでは、測光の方式がF5.6までの実絞り測光(F5.6までは実絞り測光。F6.3以降はF5.6での測光)で、測距も測光にあわせた動作になっているのも、わずかではあるが影響が出ているように感じた。完全な実絞り測光ではなくF5.6までとしたのは、AF速度やフォーカスシフトの影響などのバランスを取ったためだと思われるが、それでも、さほど暗くない状況でも絞って光量が減った状態になるとピント合わせが遅くなるときがある。

この仕様により、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S、もしくはNIKKOR Z 35mm f/1.8 S を装着した場合に、F6.3以降でプレビュー機能を使うと、実絞りでプレビューされるようになる。当然の挙動ではあるのだが、高画素一眼レフ「D850」ではライブビュー中は実絞り測光で、プレビューボタンを押すと一時的に開放絞りになる仕様なので、D850ユーザーは使い始めに少々戸惑うかもしれない。

測光に関連する内容では、スタジオなどでのライティング撮影用の「ライブビューに撮影設定を反映しない」に設定しても開放測光にはならずF5.6までの絞り込み測光となった点と、マウントアダプター FTZを介してFマウントレンズAF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRを装着した場合は開放測光になった点も報告しておきたい。少々混乱するところだが、Z 7では、装着するレンズにあわせて適した測光の方式が選択されるようだ。

このほかでは、予想はしていたがEVFのレスポンスがもうひとつ。AF/AE追従連写時(最大約5.5コマ/秒)は、高速なライブビュー表示での連写が可能なミラーレスと比べるとコマ間のブラックアウト時間が少し長いように感じる。AF追従/AE 1コマ目固定連写時(最大約9コマ/秒)は、画面解像度が落ちずにブラックアウトのないアフタービュー方式(1つ前のレリーズの撮影画像が表示される方式)となるが、表示がそれほど滑らかではない。1コマ撮影で使う分には気にならないが、高速ライブビュー表示に慣れている方だと、動体を追従連写するときに違いを感じるだろう。また、ボディ内手ブレ補正は単体だとそれほど性能が出るわけではないようで、VR搭載のNIKKORレンズと組み合わせる場合は別だが、手ブレ補正非搭載レンズを装着する場合は過信しないほうがいい。さらに、EVFの表示は自然な明るさと色合いでいいのだが、モニターはコントラストが高くてインパクトの強い表示なのも気になるところ。撮影直後にカメラのモニターで撮影画像を見るのと、撮影後にキャリブレーションの取れたモニターで見るのとでは受ける印象が大きく異なる。

また、明確にそうだとは言えないのだが、ボディ内手ブレ補正を搭載したことが影響しているのか、一眼レフと比べてシャッター効率がわずかに落ちているようにも感じた。離着陸する飛行機を撮影した際に、普段は動きが止まるシャッタースピードから1/3〜2/3段程度速めないとピタッと静止しない印象を受けた。

Z 7は一眼レフと比べてシャッター効率が若干落ちている印象で、通常なら動きが止まるシャッタースピードでもわずかに被写体ブレが発生してしまうことが多かった。この作例はあえて失敗写真として掲載する。離陸する飛行機を1/1250秒のシャッタースピードで撮っているが、離陸する飛行機の動きがブレてしまっている。何回もテストしたが、1/1600〜1/2000秒くらいでないと動きは確実には止まらなかった
AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR(FTZ使用)、F8、1/1250秒、ISO80、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する
撮影写真(8256×5504、16.3MB)

まとめ 「次世代の光学性能」にどのくらい魅力を感じるかが購入のポイント

以上、Z 7の画質と操作性を中心にレビューした。いくつか気になった点もあったが、このミラーレスの最大の魅力はやはり画質だ。画面全体で得られるクオリティの高い画質は、「新次元の光学性能」を感じさせるのに十二分。まだ新システムのポテンシャルがすべて出ているわけではないので、今後のレンズラインアップの拡充によって、Zマウントシステムの画質はさらに進歩するとみていいだろう。

Z 7は、コンパクトで高画質が得られるうえ、D850と同等の防塵・防滴性能を実現している点を考慮すると、風景撮影に向いたミラーレスと言える。次いで向いているのは、スナップやポートレートといったところだろうか。AF/AE追従で最大約5.5コマ/秒、AF追従/AE 1コマ目固定で最大約9コマ/秒という連写性能を考慮すると、意見が分かれるところだろうが、撮り方次第で動体撮影もそれなりにこなせると思う。だが、ニコンのラインアップの中でこのモデルが最適というわけではない。高画素センサー機での本格的な動体撮影を行いたいならD850を選択したいところだ。

正直なことを言えば、Z 7は突き詰められてない点も見られる。プロ/ハイマチュア用としてはシングルスロット仕様やシンクロ端子がない点などはマイナスだ。そうした点を踏まえたうえで、ニコンが提案する「次世代の光学性能」にどのくらい魅力を感じるかが購入のポイントになるのではないだろうか。強く魅力を感じるのなら、満足度の高い選択になるはずだ。

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真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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