コンパクトデジカメとしては久しぶりの超話題作となる、リコーイメージングの「GR III」。価格.com最安価格で約108,000円(※発売当日の価格)という価格ながら、3月15日の発売から人気を集めており、売れ筋ランキングは1位、ユーザーレビューの満足度は満点の「5.00」(※2019年3月20日時点)となっている。ここではGR IIIを1週間程度使ってみて感じたことをまとめてみたい。
※2019年4月4日追記:リコーイメージングは2019年3月29日、GR IIIの一部製品において背面十字キーの傾きが大きいものが存在することが判明し、対象となる製造番号の製品について無償で点検調整を行うことを発表しました。4月8日より受付を開始するとのことです。詳細は以下のURLをご確認ください。
コンパクトデジタルカメラ「RICOH GR III」 ご購入のお客様へのお知らせ
http://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info3/2019/20190329_027457.html
3月15日の発売直後から人気を集めているGR III
GRシリーズは、“究極のスナップシューター”を目指し、フィルムカメラ時代から20年以上にわたって開発・販売が継続している製品。広角・単焦点レンズにこだわり、スナップ撮影に最適な性能(携帯性、操作性、速写性など)を追求しているのが特徴だ。GR IIIは従来モデル「GR II」から約4年ぶりのモデルチェンジということで、有効約2424万画素のAPS-C CMOSセンサーや、3軸対応のボディ内手ブレ補正「SR」の搭載など基本的なスペックが大幅に向上している。もちろん、そうしたスペックアップはうれしいのだが、実機を使ってみて、GR IIIの最大の魅力は携帯性、操作性、速写性といった“GRらしさ”にさらに磨きがかかっていることだと感じた。
サイズは約109.4(幅)×61.9(高さ)×33.2(奥行)mm(操作部材、突起部を除く)で、重量は約257g(バッテリー、SDメモリーカード含む)。従来モデル「GR II」と比べて重量は同等(GR IIIのほうが6g重い)で、幅は7.6mm、高さは0.9mm、奥行は1.5mmそれぞれ小さくなっている。内蔵フラッシュが非搭載になったとはいえ、APS-Cの大型撮像素子とボディ内手ブレ補正を搭載しながら、一般的な1インチコンデジ並みかそれ以下の小型・軽量化を実現したのは素晴らしい。持ち運びがまったく苦にならないカメラだ。
ボディが小さくかつ薄くなったことにより、持った感じは1/1.7〜1/1.8型の撮像素子を採用していた旧「GR DIGITAL」シリーズに近くなった。1インチコンデジなどのコンパクトなモデルは携帯性にすぐれるのはいいのだが、ホールドした感じがもうひとつというものも少なくない。だが、GR IIIはホールドするとカメラが手になじむような心地よい感覚が得られる。コンパクトながらホールド感にすぐれるのはGRらしいところで、カメラを構えてシャッターを押す動作に対して引っ掛かる感じがないのがいい。
よりコンパクトなボディになったがGRらしいホールド感の心地よさは変わらない
電源オフ時は奥行33.2mmのスリムボディ。ポケットに入れて持ち運べるサイズ感だ。上面には撮影モードダイヤル(ロックボタン付き)、シャッターボタン、電源ボタン、前ダイヤルというシンプルなレイアウト。内蔵フラッシュは省略されている
電源オン時のレンズが出た状態でも奥行は45mm程度。左側面には動画/無線ボタンが備わっている
操作性は、背面のAFファンクション切り替えレバー/AFボタンと露出補正の上下ボタンがなくなったのが従来モデルからの大きな変化点で、よりシンプルな操作になった。露出補正はリコー伝統の操作系であるADJ.レバー(左右/押し込み操作が可能なレバー)を左右に倒す操作で行うようになったが、従来と比べると、ホールドした状態からの親指の動きが少なくなった分、慣れてくるとこちらのほうがスムーズに行えると思う。なお、露出補正は背面のコントロールダイヤルや前ダイヤルに割り当てることはできず、ADJ.レバーのみでの操作となっている。
背面の操作系は、AFファンクション切り替えレバー/AFボタンと、露出補正の上下ボタンがなくなり、コントロールダイヤルが追加された
ADJ.レバーと前ダイヤルを組み合わせた操作は健在。ADJ.レバーを押して、いわゆるファンクションメニュー(5つの機能の割り当てが可能)を呼び出し、レバーを左右に倒して機能を選びながら、前ダイヤルを回して選択した機能の設定をシームレスに変更できるのが便利だ。カメラをホールドしながら片手での設定変更がやりやすい
ボタンカスタマイズにも対応しており、ファンクションボタン、十字ボタンの左右、動画/無線ボタンについては割り当てる機能を選べる
速写性も向上しており、鏡筒の駆動に高出力タイプのモーターを採用するなどの工夫により、電源オンから約0.8秒の高速起動を実現。AFも像面位相差AF/コントラストAFのハイブリッドAFで従来より高速に合焦するようになったうえ、リコーのコンデジとしては初めてタッチパネルに対応し、タッチ操作でのAF枠の移動が可能になったのがとても便利(タッチAFも可能)。左手でピントを合わせたいところをタッチして、右手で素早くシャッターを切るという操作がとても使いやすい。MF時に、タッチ操作でAF枠を指定すれば一時的にAFでピント合わせができるのも便利なところだ。十字キーの優先動作として、AF枠をダイレクトに移動できる設定が追加されたが、スナップ撮影ではタッチ操作のほうが速写性にすぐれていると感じた。
GR IIIはタッチ操作でAF枠を移動できる。タッチパネルの感度がよく、ストレスなく操作することができる。メニュー画面もタッチで操作することが可能だ
有効約2424万画素のAPS-C CMOSセンサーや、ノイズ低減に効果のある「アクセラレーターユニット」、4群6枚構成の新開発GRレンズというスペックからも予想できるように、GR IIIの画質は申し分ない。
これまでのGRシリーズもそうだったが、素直な色再現で立体感のある描写がすばらしい。画像処理で演出している感じがなく、質感描写にすぐれた画質が得られる。解像力も高く、中央部では開放から色収差がほとんど見られず、ピント位置は非常にシャープ。高感度の画質もハイレベルで、解像感を損なわずにノイズをうまく抑えている。絞っても周辺減光が残るのが気になる場合もあるが、レンズ一体型のコンパクトなAPS-C機としては現時点で最高レベルの画質と言っていいだろう。
焦点距離18.3mm(35mm判換算28mm相当の画角)で開放F2.8のスペックを継承した、新開発のGRレンズ。高屈折率低分散ガラス、高精度ガラスモールド非球面レンズを用いた4群6枚の薄型光学系を採用している。リングキャップを外すことでレンズアダプター「GA-1」やワイドコンバージョンレンズ「GW-4」を取り付けられるのは従来と同様
エフェクト機能を含めて仕上がり設定はイメージコントロールにまとめられた。スタンダード、ビビッド、モノトーン、ソフトモノトーン、ハードモノトーン、ハイコントラスト白黒、ポジフィルム調、ブリーチバイパス、レトロ、HDR調、カスタム2種といったモードが用意されている。調整できる項目は彩度、色相、キー、コントラスト、コントラスト(明部)、コントラスト(暗部)、シャープネス、シェーディング、明瞭度、調色、フィルター効果、粒状感、HDR調効果(※モードによって選択できる項目は異なる)
モノトーン系の設定が充実しているのも特徴。色調を選べるほか、ハードモノトーン以外のモードではRGBのフィルター効果を調整することも可能。さらにハードモノトーンでは粒状感を加えることもできる(※その他のモノトーン系設定でもファームウェアアップデートで対応する予定とのこと)
GR III、ISO100、F6.3、1/500秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:ポジフィルム調、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、11.0MB)
飛行機の中から撮影した1枚。イメージコントロールをポジフィルム調にしてみたが、高コントラストで深い色が得られた。鮮やかな仕上がりでありながらリアリティの高い絵になっていると思う。窓越しに撮影しているが細かいところの再現性も高い。
GR III、ISO100、F6.3、1/400秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(4000×6000、10.0MB)
GRシリーズは陰影の描写もうまい。適度なコントラストが得られ、印象的な絵になった。
GR III、ISO100、F11、1/125秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、13.2MB)
コントラストが高い被写体を狙って撮影。シャドーを締めつつ、ハイライトまでつながりのよい描写となった。
GR III、ISO200、F6.3、1/800秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:ビビッド、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、10.4MB)
イメージコントロールをビビッドにして撮影。露出、色再現ともに完璧で、立体感の高い描写となっている。
GR III、ISO100、F8、1/500秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:ビビッド、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、10.6MB)
シャッターボタンを押し込んでフルプレススナップで撮った1枚。抜けがよく、奥行き感のある写真だ。
GR III、ISO100、F5.6、1/250秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、14.3MB)
猫に近づいて撮影。絞り値はF5.6にした。ピント位置では高い解像感が得られている。
GR III、ISO100、F11、1/160秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、11.7MB)
F11まで絞って、逆光気味で撮影した1枚。回折の影響を若干受けている感じもあるが、階調性にすぐれ、細かいところまで描けている。
GR III、ISO100、F2.8、1/160秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:ビビッド、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(4000×6000、13.1MB)
GR IIIは空など青の再現性が見事だが、赤も深い色が得られる。この作例は開放で撮っているがピント位置は非常にシャープだ。
GR III、ISO100、F6.3、1/13秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、RAW現像
撮影写真(6000×4000、8.97MB)
Lightroomを使ってRAW現像で仕上げた1枚。かなりアンダーに撮影したため、露出は0.7段ほど上げ、ハイライトも伸ばしている。輝度ノイズをわずかに減らす設定にしたものの、気になるようなノイズは見られない。素性のよいRAWデータで、編集しやすい印象を受けた。なお、この作例はシャッタースピード1/13秒で撮っているが、ボディ内手ブレ補正によって手ブレは発生していない。被写体まで距離によるが1/8秒程度の遅いシャッタースピードでも手ブレはかなり抑えられる印象。
GR III、ISO100、F2.8、1/125秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、12.3MB)
マクロモードにして最短撮影距離(レンズ先端から約6cm)付近で撮ってみた。絞りは開放。カーテンレールをとめている金具にピントを合わせている。ピント位置の前後でわずかにエッジの色付きが出ているものの、ピント位置では色収差はまったく見られない。
GR III、ISO2000、F2.8、1/50秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(4000×6000、9.53MB)
GR IIIはボディ内手ブレ補正を搭載するうえ、高感度画質にもすぐれており、屋内や夜のスナップ撮影にも向いたカメラだ。この作例はISO2000で撮っているが、ノイズが少なく、かつ解像感も高い。
GR III、ISO3200、F2.8、1/50秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(4000×6000、10.8MB)
この作例ではISO4000まで感度が上がった。色ノイズを含めてノイズは増えているものの粒が小さいのがいい。玉ボケの部分に年輪ボケが出ているところもあるが、気になるレベルではない。
GR III、ISO4000、F2.8、1/30秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、10.6MB)
かなり暗いところで近接撮影した1枚。感度はISO4000。ダイナミックレンジが狭くなる感度域だが花の色はうまく表現できている。
GR III、ISO6400、F2.8、1/50秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:スタンダード、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、12.8MB)
ISO6400で撮影した作例。さすがにノイズリダクションが強くなるが、ディテールが極端につぶれる感じはない。
GR III、ISO3200、F2.8、1/30秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:ソフトモノトーン、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、11.8MB)
白い花にスポットライトがあたる状況をソフトモノトーンで撮ってみた。感度はISO3200なのでノイズは乗っているが、シャドーのトーンはしっかりと出ている。
GR III、ISO100、F8、1/15秒、ホワイトバランス:マルチパターンオート、イメージコントロール:ハイコントラスト白黒、周辺光量補正:オン、ダイナミックレンジ補正:オート(ハイライト、シャドーとも)、高感度ノイズ低減:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、12.6MB)
粒状感をオンにしてハイコントラスト白黒で撮影した作例。パターン化した高感度ノイズとは異なる、細かい粒状感が得られている。粒の大きさや量など粒状性を調整できるとなおよいのだが、現状では、ハイコントラスト白黒限定でオン・オフのみの設定となっている。
GR IIIは携帯性や操作性、速写性、画質については期待通りの仕上がりだが、「販売価格が10万円を超える高級コンデジ」としては気になる点もある。GRを語るうえではあまり本質的なところではないが、使って気になった点をいくつかレポートしておこう。
もっともネガティブにとらえられるのはAFではないだろうか。AFは従来と比べて高速になり、使いやすくなった。ただし、コントラストが低かったり暗い状況だとピントが合わなくなることが増える。AFが迷うのはいいが合焦しないのが気になるところで、特に屋内や夜の近接撮影だとそれが目立ち、スムーズに撮れないことにややストレスに感じた。低照度下だとコントラストAF特有のウォブリング(ピントの山の前後をゆっくりと往復する動作)が多くなり、結果合焦しない動作になるようだ。像面位相差AF/コントラストAFのハイブリッドAFハイブリッドということで、最新の高性能ミラーレスに近いAFを期待するかもしれないが、そこまでではない。
ただ、ある程度光がある状況なら十分なAF性能であることは付け加えておきたい。低照度下の近接撮影で厳密にピントを合わせたい場合は別だが、シャッターボタンを一気押ししたときに設定したピント位置で撮影する「フルプレススナップ」も用意されているので、スナップ撮影であればストレスなくシャッターが切れるはずだ。
フルプレススナップを用意。設定できる撮影距離は1m/1.5m/2m/2.5m/5m/∞
操作性では、重箱の隅をつつくようだが、背面のコントロールダイヤルの操作感は決していいとは言えない。露出補正などの機能を割り当てられるわけではないので、コントロールダイヤルを使用する機会は感度の変更と、MFのピント位置の調整くらいしかないのだが、軽い感じでクリック感が弱く心地よい操作感でない。あわせて、特にコントロールダイヤル付近は製造品質がもうひとつの印象(GRシリーズらしいところでもあるが……)。価格.comの掲示板ではすでに購入した方からの報告が見られるが、十字キーのプリントが全体的に少し左に傾いている個体があるようだ。今回リコーからお借りした実機では、少し遊びがあるようで、コントロールダイヤルを左に回すと左に少し傾き、右に回すと元の位置に戻るようになっていた。このあたりの精度はもう少し頑張ってほしかった。
また、約200枚という撮影可能枚数のスペックでわかっていた点だが、バッテリーの持ちは心もとない。実際は、RAW+JPEGの単写で撮ったかぎりではRAW/JPEGそれぞれ450枚程度撮ることができたが、1日撮影を続けるなら予備バッテリーは必須だ。
新設されたコントロールダイヤルの操作感はもうひとつ。お借りした実機では、コントロールダイヤルを左に回すと十字キーのプリントも左に傾くようになっていた。この画像でも少し左に傾いていることがわかるはずだ
専用ACアダプターを使って、本体内でのバッテリー充電/本体への給電が可能なUSB Type-C端子を装備。公式にはアナウンスされていないようだが、USB Power Delivery機器での充電・給電にも対応している
バッテリーは容量1350mAhの「DB-110」を新たに採用。従来の「DB-65」の利用は不可
GR IIIは、GRシリーズのコンセプトをより深く追求したカメラだ。300g未満の小型・軽量ボディに、手になじむ良好なフィーリングと、余計なことは考えずにシャッターを押すことに集中できるシンプルな操作性は、まさに“GR”。そのうえでAPS-Cサイズの撮像素子と高性能なGRレンズ、さらにはボディ内手ブレ補正も搭載し、高画質が得られるのである。これだけでもこのカメラを選ぶ価値があるというものだ。
今回GR IIIを使ってみて、写真撮影において(特にスナップ撮影において)もっとも重要なのは「撮りたいと思った瞬間に素早くシャッターを押して記録できるかどうか」ということだと改めて感じた。ボタンやダイヤルをあれこれ操作するのもおもしろいが、写真撮影の原点は「見たものを記録する」ことであり、GR IIIであれば、その醍醐味を最大限に味わえる。写真愛好家向けの製品ではあるが、日々スマートフォンで写真を撮って、写真を楽しんでいる方にこそマッチするカメラではないだろうか。少々高額ではあるが、幅広い層の方に使っていただき、写真撮影を楽しんでもらえればと思う。
フリーランスから価格.comマガジン編集部に舞い戻った、カメラが大好物のライター/編集者。夜、眠りに落ちる瞬間まで、カメラやレンズのことを考えながら生きています。