標準ズームレンズよりも重い、標準レンズ「LUMIX S PRO 50mm F1.4」はさすがPROと名乗るだけあって絞り開放からシャープでボケもキレイだ。今までも開放からシャープという言葉を安易に使ってきたが、そのことを深く反省するほどシャープなのだ。従来の大口径レンズやズームレンズであれば、開放からシャープだが、そこから二絞りするとさらにシャープだった。つまり、絞り開放では甘いところがあったのだ。
しかし、このレンズは開放でピントが合っているところは四隅までシャープである。画角的には50mmやや狭くて使いづらいが、このボケは圧巻、ポートレートの定番85mmも不要になる。どんな被写体、どんな距離でもリアルに使えるレンズが50mmF1.4なのだ。
近所の古本屋も背景をボカすだけでストーリーを感じさせるスナップに変身
LUMIX S1R、LUMIX S PRO 50mm F1.4、ISO800、F1.4、1/2000秒、ホワイトバランス:オート、JPEG
撮影写真(8368×5584、16.2MB)
ポップな色合いの玩具が並ぶ店先も背景をボカして主題をハッキリできる
LUMIX S1R、LUMIX S PRO 50mm F1.4、ISO800、F1.4、1/4000秒、ホワイトバランス:オート、JPEG
撮影写真(8368×5584、16.6MB)
動物認識AFでカルガモを撮影。親ガモの動きにAFもしっかりと追従する
LUMIX S1R、LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.1、105mm、ISO100、F7.1、1/160秒、ホワイトバランス:オート、JPEG
撮影写真(8368×5584、21MB)
LUMIX Sシリーズは第一印象から重かったが、それは最後まで変わらなかった。ボディもレンズも大柄に見えるだけでなく、グリップも大柄で厚みも奥行きもある。それだけ重いレンズに対応しているのだろうが、手が小さい人に持ちにくいだろう。私にもこのグリップはやや大きすぎると感じた。ボディのボタンも固めでカッチリした感覚である。特に電源スイッチは誤作動防止のためか動かしにくく、素早く電源ONにできないのがもどかしい。モードダイヤルとドライブダイヤルは同軸方式で回しやすい。また、背面のジョイステックがAFフレームの移動に使いやすく、タッチパネルより操作性も良好だった。3軸チルト式の液晶モニターはバリアングル式とほぼ同じ機能を果たし、チルト式と同じ操作性のよさを兼ね備えている。
高精細なEVFはボケ味も分かりやすいが、アイポイント約21mmと長いせいか、外側の黒枠部分が太く感じられ、もったいない気がする。私は最近の薄型大画面テレビのように狭額で、画面がギリギリまで見える方が好きなので、このあたりが少々気になった。さらに倍率切り替え機能で0.78倍、0.74倍、0.70倍に切り替えられるのだが、0.70倍でなくて0.85倍を採用して欲しかった。
本機は画質、AF、連写性能、機能性、信頼性、操作性などすべてを追求したプロ仕様のハイエンドモデルだけあって、ミラーレスのメリットである小型軽量化の恩恵はほとんど受けられない。どちらかと言えば、最高画質で撮影したい、4K60pで動画を撮りたい、EVFを駆使して撮影したい、またLマウントレンズやミラーレス専用設計の高性能レンズを使いたいという人向けのモデルだ。もし、所有すればその価値を肩に掛かる重さから常に実感できるに違いない。