レビュー
外装がチタン合金になった四代目スナップシューター

レンジファインダーで風景を切り取る快感。富士フイルム「X-Pro3」と歩いた年の瀬の浅草

手ブレ補正内蔵の24mm相当からの5倍ズームはまさに無敵 「XF16-80mmF4 R OIS WR」

標準レンズが28mmならば、ズームレンズの広角側は20mmと言いたいところだが、現実的には24mmスタートが妥当だろう。「XF16-80mmF4 R OIS WR」の望遠側は122mmと135mmに迫る焦点距離があるため不満はない。開放絞り値をF4と欲張らないことで、重さ440gと軽量になった。サイズ的には3倍ズームと同等で5倍ズームを実現しているという。確かに5倍ズームとは思えないコンパクトサイズで、これ1本あればスナップから海外旅行までこなせるだろう。防塵防滴で6段分の手ブレ補正機能を内蔵、静音性の高いAF用モーターを搭載と、まさに「X-Pro3」のために生まれたようなズームレンズである。

活気あふれるまんじゅう店。絞り開放からシャープな描写が得られた
X-Pro3、XF16-80mmF4 R OIS WR、42.9mm(35mm判換算64mm)、ISO160、F4、1/240秒、ACROS、絞り優先AE、JPEG
撮影写真(6240×4160、10.1MB)

壁面に描かれたトリックアートはモノクロの方が本物らしく見えた
X-Pro3、XF16-80mmF4 R OIS WR、17.1mm(35mm判換算26mm)、ISO800、F8、1/60秒、ACROS、絞り優先AE、JPEG
撮影写真(6240×4160、12.8MB)

午後の陽射しを浴びて走るゴーカートの集団。浅草の新たな風物詩になれるのか
X-Pro3、XF16-80mmF4 R OIS WR、19.2mm(35mm判換算29mm)、ISO800、F7.1、1/400秒、ACROS、絞り優先AE、RAW
撮影写真(6240×4160、11.9MB)

街を切り取るのにちょうどいい超広角スナップレンズ 「XF14mmF2.8 R」

私は超広角レンズが好きだ。FUJINONレンズで最も広角なのは「XF8-16mmF2.8 R LM WR」である。しかし、このズームレンズいささか気負いすぎて、重く、大きく、高価であり、スナップ向きとは言いにくい。今回、活躍したのは「XF14mmF2.8 R」だ。開放絞り値はF2.8と超広角としては明るく、重さも235gと軽くて振り回しやすい。単焦点レンズだけあって歪みも少ない。しかも20mm相当の焦点距離は、24mm相当と同様に使いやすく、15mm以下の超広角と違って悩まずに構図を決めやすい。

「XF14mmF2.8 R」は慣れたら使いたい超広角入門レンズと言えるだろう。正直に言えば14mmよりも超広角になると1mmの違いで画角が大きく変化するためズームレンズの方が使いやすい。スナップに最適な画角とサイズを備えているのが「XF14mmF2.8 R」である。F8まで絞れば目に見える範囲はすべてパンフォーカスでピントが合うためにAFを使わない最速スナップレンズとして活用できる。超広角らしいパースペクティブが味わえる反面、歪みが少ないので水平や垂直に気を付ければ広大な風景も切り取れる。作例の2枚目は令和二年正月の阿佐ヶ谷、3枚目は西荻の駅前商店街、4枚目は吉祥寺でのスナップを加えている。

年の瀬と言うより正月らしい風景。走り去る人力車をノーファインダーで撮った
X-Pro3、XF14mmF2.8 R、ISO800、F5.6、1/210秒、ACROS、絞り優先AE、JPEG
撮影写真(6240×4160、12.8MB)

低照度に強い「X-Pro3」のAF機能を生かして撮影。スローシャッターのため歩く人物は動体ブレしている
X-Pro3、XF14mmF2.8 R、ISO2500、F3.2、1/15秒、ACROS、絞り優先AE、JPEG
撮影写真(6240×4160、4.53MB)

妙に明るいシャッター商店街でビラを配る男。硬すぎないレンズの描写がいい
X-Pro3、XF14mmF2.8 R、ISO200、F3.2、1/350秒、ACROS、絞り優先AE、JPEG
撮影写真(6240×4160、3.17MB)

高架下のシャドーがつぶれずに残った。リベットやさびの質感もリアルだ
X-Pro3、XF14mmF2.8 R、ISO400、F5.6、1/640秒、ACROS、絞り優先AE、JPEG
撮影写真(6240×4160、2.68MB)

「X-Pro3」でレンジファインダーを再発見する

フィルムシミュレーション機能はEVFと相性がいい。どんな色合いなのかをリアルタイムで視認しながら撮影できるからだ。ACROSにもコントラストを高めるYeフィルターとRフィルターがあり、その効果が見られる。じっくり撮るならEVFを使うべきである。しかし、スナップを撮るならOVFの素通しのガラスのようなファインダーがいい。EVFはスリープからの復帰が遅くてイライラするが、OVFならその心配もない。撮影できる範囲も慣れれば20mm相当なら、これぐらいと感覚で分かってくる。AFも使えるし連写もできる。逆説的だが撮影に専念するなら、撮影情報を出さずにOVFだけで撮る方が被写体に集中できるのだ。

背面の液晶モニターを隠したHidden LCDはローアングル撮影以外には使いにくく、特にハイアングル撮影は不可能になった。その用途は撮影ではなく、設定画面の確認と、撮影後の画像を確認するためのものと思われる。どちらもEVFでも可能なので、いっそのこと液晶モニターなくしてしまってもよかったのだが、ライカと違って日本のメーカーがそこまで割り切るのは無理だと思う。その結果、生まれたのが背面液晶モニターは存在しないお約束で、いざという時は出てくるHidden LCDという解答なのだろう。

オールドレンズをマウントアダプターで付けるならフルサイズがいいとか、ボディ内手ブレ補正機能があった方が便利とか、いろいろな要望があるだろうが、これはFUJIONレンズを付けてAPS-Cサイズセンサーの機動力を生かすカメラシステムであり、さらにレンジファインダーも使える希有な存在だ。今回は触れなかったが、さまざまな絵作りのための機能も搭載されており、20万円台で手に入るボディとしてはハイコスパ、そして、もし「X-Pro4」が登場しても陳腐化しないカメラなのだ。欲しいと思った人には、その期待を裏切らないカメラであることを約束しよう。

ゴン川野

ゴン川野

カメラとオーディオが専門のライター。モノクロフィルムの現像、カラーのプリントを経て、デジカメ時代に突入。現在は仕事もプライベートもミラーレスOLYMPUS OM-D E-M1MK2を愛用。「阿佐ヶ谷レンズ研究所」にて掲載記事をまとめて発信中。

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