レビュー
魅力的なカメラだがフルサイズから買い替える価値はある?

フルサイズユーザーから見た1億画素ミラーレス「GFX100S」の実力

富士フイルムの「GFX100S」は、2021年春発売の一眼カメラの中で、特に話題となっている新製品のひとつ。フルサイズを超える大きさのラージフォーマットセンサーで有効約1億200万画素。ボディ内5軸手ブレ補正を搭載しながらも比較的コンパクト。価格も頑張れば手が届く。ということで、画質にこだわるハイアマチュアから注目される存在となっている。特に、フルサイズミラーレス/一眼レフの上位モデルを所有する人から、ステップアップの対象として注目されているカメラだ。そこで本レビューでは、ハイアマチュアのフルサイズユーザーの目線でこのカメラの実力をチェックし、「フルサイズから買い替える価値のあるカメラなのか?」という問いに答えたい。

2021年2月25日に発売になったGFX100S。有効約1億200万画素の超高画素センサーやボディ内5軸手ブレ補正を搭載しながらも、大幅な小型・軽量化を実現している

2021年2月25日に発売になったGFX100S。有効約1億200万画素の超高画素センサーやボディ内5軸手ブレ補正を搭載しながらも、大幅な小型・軽量化を実現している

充実したスペックと手が届く価格。ハイアマチュアから注目を集める存在

現在のカメラ市場において、「手が届く価格の高画質・高性能なカメラ」として、アマチュア写真家・カメラファンの多くから選ばれているのは、間違いなくフルサイズミラーレスである。フルサイズミラーレスは、国内メーカーではソニー、キヤノン、ニコン、パナソニック、シグマが製品を展開し、フラッグシップモデルなど一部を除いて、10万円台のミドルレンジクラスから50万円程度のハイクラスまで幅広い価格帯で多くの製品が用意されている。規模が縮小しているカメラ市場の中では比較的堅調で、「最後の砦」というと大げさだが、多くのメーカーが最も力を入れているカテゴリーとなっている。

カメラに詳しい人はご存じのように、富士フイルムは、複数のメーカーがしのぎを削るこのカテゴリーに参入していない。戦略的にフルサイズはスルーしており、APS-Cサイズの撮像素子を採用するミラーレス「Xシリーズ」の上のカテゴリーとして、広義には中判ミラーレスに位置付けられる「GFXシリーズ」を用意している。

GFXシリーズは、フルサイズ(約36×24mm)よりもひと回り大きいラージフォーマット(43.8×32.9mm)の撮像素子を採用するのが特徴で、「フルサイズを超える高画質」をストロングポイントにしている。画質面で魅力のあるシステムだが、その分サイズが大きくて価格も高く、どちらかというと「プロ向け」という印象が強い。フルサイズミラーレスと比べると敷居が高いのは事実で、「気になる存在ではあるが、現実的にはフルサイズミラーレスを選ぶ」というハイアマチュアの人も少なくないはずだ。

今回レビューするGFX100Sは、これまでのGFXシリーズに対する印象を大きく変える、非常にインパクトのある新モデル。ハイアマチュアにとって「本気で手に入れたい」と思わせる魅力的なカメラとなっている。

GFX100Sの主な特徴
・有効約1億200万画素のラージフォーマットセンサー
・最大6.0段分の補正効果を持つボディ内5軸手ブレ補正
・撮影時の重量約900gの小型・軽量ボディ
・0.5型・約369万ドットの有機ELファインダー
・3方向チルト対応の3.2型タッチパネル液晶モニター
・4K/30p記録対応の動画撮影機能
・価格.com最安価格692,010円(2021年3月13日時点)

フルサイズよりもひと回り大きい、有効約1億200万画素のラージフォーマットセンサーを採用

フルサイズよりもひと回り大きい、有効約1億200万画素のラージフォーマットセンサーを採用

GFX100Sのすごいところは、画質、機能、サイズ、価格など、あらゆる点でコンシューマー向けのカメラとして革新的な内容になっていること。GFXシリーズには「GFX 50R」というフルサイズミラーレス上位モデルと同価格帯の比較的選びやすい小型モデルがあるが、GFX100SのスペックのインパクトはGFX 50Rを大きく上回っている。上位モデル「GFX100」と同じ有効約1億200万画素の超高画素センサーと、GFX100を上回る最大6.0段分の補正効果を発揮するボディ内5軸手ブレ補正を搭載しながらも、フルサイズ一眼レフの上位モデル並みの小型・軽量ボディを実現。しかも、価格.com最安価格で692,010円(2021年3月13日時点)に価格が抑えられている。キヤノン、ニコン、ソニーのフラッグシップモデルを選ぶ層であれば十分に手が届く価格帯だ。

「このスペックでこの価格なら選択肢に入る」として、さらなる高画質を求めて、フルサイズからのシステムの移行を検討している人も少なくないはず。また、フルサイズミラーレスへの移行を我慢している一眼レフユーザーにとっても、絶好の高画質ミラーレスが登場したと言えるだろう。さすがに動体撮影用としては連写性能(最高約5.0コマ/秒)などが力不足だが、風景やポートレートの撮影では、現時点では最高のパフォーマンスを発揮するスペックのカメラのひとつなのは間違いない。また、そのサイズ感からはスナップ撮影で使ってみたいと考える人もいることだろう。

1億画素センサーによる高い解像感と豊かな階調表現が得られる

ここからは、フルサイズシステムとの違いを交えながら、GFX100Sの画質、サイズ、操作性について順にレビューしていこう。

GFX100Sの購入を検討しているハイアマチュアにとって、このカメラに最も期待するのは何といっても画質だろう。今回、35mm判換算で焦点距離25〜51mm相当の画角をカバーする標準ズームレンズ「GF32-64mmF4 R」や、35mm判換算63mm相当の単焦点レンズ「GF80mmF1.7 R WR」、35mm判換算40mm相当の単焦点レンズ「GF50mmF3.5 R LM WR」といったレンズとGFX100Sを組み合わせて試用したが、その画質はフルサイズシステムを超えるものだと強く感じた。

約1億200万画素の高画素センサーによる解像感の高さもさることながら、特筆すべきなのは階調表現の豊かさ。特にハイライト側の滑らかなトーンは、最新の高画質なフルサイズミラーレスでも得られないものがある。たとえば、強い太陽光がやや逆光に位置する状況で明るい空を画面に入れて撮る場合など、フルサイズ機ではハイライトが飛ばないようにアンダー目に撮っておく必要があるような状況でも、GFX100Sはハイライトが粘ってくれるので積極的に露出を上げることができる。画像処理で無理にハイライトを抑え込むのではなく、自然な感じに仕上げてくれるのがいい。GFX100Sなら、そうしたカメラにとって厳しい光の状況を含めて、より幅広いシーンで、ノイズが少なく抜けのいい描写が得られるという印象を受けた。有効約5140万画素の「GFX 50S/50R」とも違っている印象で、有効約1億200万画素のラージフォーマットセンサーならではの部分だと感じた次第だ。

よく写真の画質を語る際に「立体感」や「奥行感」といった言葉が使われるが、高い解像感と豊かな階調表現が独特の雰囲気を生み出すGFX100Sは、まさにそういった言葉で語られる部分が強いカメラだと思う。フルサイズ以上の高画質を求めてこのカメラを選んでも、その画質には納得できるはずだ。

仕上がり設定「フィルムシミュレーション」には、1970年代後半に起こったカラー写真のムーブメント「ニュー・カラー」の色調を再現した「ノスタルジックネガ」が追加された

仕上がり設定「フィルムシミュレーション」には、1970年代後半に起こったカラー写真のムーブメント「ニュー・カラー」の色調を再現した「ノスタルジックネガ」が追加された

ボディ内手ブレ補正を使って0.5ピクセルずつセンサーを動かしながら撮影する「ピクセルシフトマルチショット」にも対応。約4億画素の超高解像な写真を生成することができる

ボディ内手ブレ補正を使って0.5ピクセルずつセンサーを動かしながら撮影する「ピクセルシフトマルチショット」にも対応。約4億画素の超高解像な写真を生成することができる

※以下に掲載する作例は、GFX100Sを使ってJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。一部の作例については、RAW現像ソフト「FUJIFILM X RAW STUDIO」を使ってRAWからJPEGを出力しています。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行っていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

GFX100S、GF32-64mmF4 R、32mm(35mm判換算25mm相当)、ISO100、F14、1/320秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(11648×8736、47.3MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、32mm(35mm判換算25mm相当)、ISO100、F14、1/320秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(11648×8736、47.3MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、45mm(35mm判換算35mm相当)、ISO100、F11、1/85秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、カラークローム ブルー:強、JPEG撮影写真(11648×8736、37.5MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、45mm(35mm判換算35mm相当)、ISO100、F11、1/85秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、カラークローム ブルー:強、JPEG
撮影写真(11648×8736、37.5MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、32mm(35mm判換算25mm相当)、ISO100、F4、1/1100秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(11648×8736、37.7MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、32mm(35mm判換算25mm相当)、ISO100、F4、1/1100秒、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(11648×8736、37.7MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、53mm(35mm判換算42mm相当)、ISO400、F8、1/170秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(11648×8736、46.2MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、53mm(35mm判換算42mm相当)、ISO400、F8、1/170秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(11648×8736、46.2MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、32mm(35mm判換算25mm相当)、ISO100、F16、1/50秒、ホワイトバランス:晴れ、フィルムシミュレーション:ACROS+Rフィルター、ダイナミックレンジ:100%、グレイン・エフェクト:強度-強/粒度-小、JPEG撮影写真(11648×8736、63.7MB)

GFX100S、GF32-64mmF4 R、32mm(35mm判換算25mm相当)、ISO100、F16、1/50秒、ホワイトバランス:晴れ、フィルムシミュレーション:ACROS+Rフィルター、ダイナミックレンジ:100%、グレイン・エフェクト:強度-強/粒度-小、JPEG
撮影写真(11648×8736、63.7MB)

GFX100S、GF80mmF1.7 R WR、50mm(35mm判換算63mm相当)、ISO100、F1.7、1/900秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PRO Neg.Std、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(11648×8736、38.6MB)

GFX100S、GF80mmF1.7 R WR、50mm(35mm判換算63mm相当)、ISO100、F1.7、1/900秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PRO Neg.Std、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(11648×8736、38.6MB)

GFX100S、GF80mmF1.7 R WR、50mm(35mm判換算63mm相当)、ISO100、F1.7、1/210秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(11648×8736、50.5MB)

GFX100S、GF80mmF1.7 R WR、50mm(35mm判換算63mm相当)、ISO100、F1.7、1/210秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(11648×8736、50.5MB)

GFX100S、GF50mmF3.5 R LM WR、50mm(35mm判換算40mm相当)、ISO400、F3.5、1/160秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi、ダイナミックレンジ:100%、グレイン・エフェクト:強度-弱/粒度-大、JPEG撮影写真(11648×8736、45.5MB)

GFX100S、GF50mmF3.5 R LM WR、50mm(35mm判換算40mm相当)、ISO400、F3.5、1/160秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi、ダイナミックレンジ:100%、グレイン・エフェクト:強度-弱/粒度-大、JPEG
撮影写真(11648×8736、45.5MB)

GFX100S、GF50mmF3.5 R LM WR、50mm(35mm判換算40mm相当)、ISO100、F5.6、1/28秒、ホワイトバランス:オート(R:+2、B:-3)、シャドウトーン:-2、カラー:-2、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(11648×8736、51.4MB)

GFX100S、GF50mmF3.5 R LM WR、50mm(35mm判換算40mm相当)、ISO100、F5.6、1/28秒、ホワイトバランス:オート(R:+2、B:-3)、シャドウトーン:-2、カラー:-2、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(11648×8736、51.4MB)

GFX100S、GF50mmF3.5 R LM WR、50mm(35mm判換算40mm相当)、ISO400、F3.5、1/100秒、ホワイトバランス:オート(R:+2、B:-3)、シャドウトーン:-2、カラー:-2、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(8736×11648、45.7MB)

GFX100S、GF50mmF3.5 R LM WR、50mm(35mm判換算40mm相当)、ISO400、F3.5、1/100秒、ホワイトバランス:オート(R:+2、B:-3)、シャドウトーン:-2、カラー:-2、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(8736×11648、45.7MB)

GFX100Sだけに限らずGFXシリーズの画質で注意したいのは、フルサイズシステムと比べて特別大きなボケが期待できるわけではないこと。同じ画角・同じ絞り値で比較するとフルサイズよりもボケ量は増えるが、GFXシリーズの交換レンズ「GFレンズ」は現状、フルサイズ用レンズを凌駕するような大きなボケが得られる大口径タイプがあるわけではない。画角と絞り値に対するボケの感覚はフルサイズと異なり、ラージフォーマット特有の雰囲気はフルサイズでは得られないものだが、ボケの量そのものについては、フルサイズでも中望遠・望遠の大口径レンズを使えば同等かそれ以上の結果が得られる。

また、ボケの質についても、フルサイズミラーレス用の最新の大口径レンズは光学性能が向上しており、決してGFレンズに引けを取るものではない。ボケの質は、撮像素子の大きさよりもレンズによるところが大きく、今回試した限りでは、一概にGFXシリーズがフルサイズを上回っているとは言えないと感じた。

このほか、メカニカルシャッターの最速シャッタースピードが1/4000秒、フラッシュの同調速度が1/125秒と、フルサイズシステムより低速なのも購入前に知っておきたい点だ。電子シャッター時には最速1/16000秒まで対応するが、フルサイズよりもローリングシャッター歪みが大きく、同じような感じでは使えない。また、そもそもの話になるが、ラージフォーマットのアスペクト比は横4:縦3なのも押さえておきたい。フルサイズ(35mm判)の横3:縦2と比べると画面が縦に広くなるため、フレーミングの感覚がフルサイズとは異なることも知っておいてほしい。

フルサイズ一眼レフ並みの小型ボディだが……

GFX100Sは、有効約1億200万画素のラージフォーマットセンサーと、高性能なボディ内5軸手ブレ補正を搭載しながらも、フルサイズ一眼レフ並みの小型・軽量ボディを実現している。そのため、「フルサイズとそう変わらない感覚で使えるのではないか?」と、取り回しのよさに期待する人も少なくないことだろう。

以下に、GFX100Sを含めたGFXシリーズ各モデル、ならびにフルサイズ一眼レフ/ミラーレスのサイズ・重量のスペックをまとめる。

※約表示は省略。重量はバッテリー・メモリーカードを含めた撮影時のスペック

■GFXシリーズ各モデルのサイズ・重量

・GFX100S
150.0(幅)×104.2(高さ)×87.2(奥行)mm/900g
・GFX100(EVF装着時)
156.2(幅)×163.6(高さ)×102.9(奥行)mm/1400g
・GFX 50S(EVF装着時)
147.5(幅)×113.8(高さ)×91.4(奥行)mm/920g
・GFX 50R
160.7(幅)×96.5(高さ)×66.4(奥行)mm/775g

■フルサイズ一眼レフ/ミラーレス上位モデルのサイズ・重量

一眼レフ
・EOS 5D Mark IV
150.7(幅)×116.4(高さ)×75.9(奥行)mm/890g
・D850
146(幅)×124(高さ)×78.5(奥行)mm/1005g
・PENTAX K-1 Mark II
136.5(幅)×110(高さ)×85.5(奥行)mm/1010g

■フルサイズミラーレス上位モデルのサイズ・重量
・EOS R5
138.5(幅)×97.5(高さ)×88.0(奥行)mm/738g
・Z 7II
134(幅)×100.5(高さ)×69.5(奥行)mm/705g
・α7R IV
128.9(幅)×96.4(高さ)×77.5(奥行)mm/665g
・LUMIX S1R
148.9(幅)×110(高さ)×96.7(奥行)mm/1016g

こうしてサイズ・重量を並べてみると、GFX100Sはフルサイズ一眼レフ上位モデルと似たようなサイズ感であることがわかる。LUMIX S1Rは別として、さすがに、フルサイズミラーレスと比べるとひと回りほど大きくなるものの、それでもボディ内5軸手ブレ補正を搭載しながら約900gという重さは魅力。フルサイズミラーレスを使っていて、「この程度のサイズアップなら許容できるかも」と感じる人もいることだろう。

確かに、ボディ単体のサイズだけを見れば、フルサイズミラーレスからでもそれほど負担なく移行できると思う。ただし、ラージフォーマットのGFXシリーズは、マウント口径が65mmと大きく、フルサイズシステムよりもレンズが大きくなることには注意。使用するレンズにもよるが、レンズを含めたシステム全体のサイズ感は、どうしてもフルサイズ以上のものになってしまう。

GFX100Sを使ってみての感覚としては、フルサイズ一眼レフの上位モデル+大口径のズームレンズの組み合わせをなんなく使えている人にとっては、十分に許容できるサイズ感だと思う。いっぽうで、メインカメラをフルサイズミラーレスに移行して長らく一眼レフを使っていない人にとっては、少々とまどうのではないだろうか。可能であれば、店頭やショールームなどで実機に触れてみたうえで判断してほしい。

GFX100Sに標準ズームレンズGF32-64mmF4 Rを装着したイメージ。フルサイズで言えば、開放F2.8通しの標準ズームレンズに似た使い方ができるレンズだ。レンズを含めた総重量は約1775gとなる

GFX100Sに標準ズームレンズGF32-64mmF4 Rを装着したイメージ。フルサイズで言えば、開放F2.8通しの標準ズームレンズに似た使い方ができるレンズだ。レンズを含めた総重量は約1775gとなる

35mm判換算63mm相当の単焦点レンズ「GF80mmF1.7 R WR」を装着したイメージ。F1.7の明るさを実現していることもあって最大径は94.7mmとなっている。レンズを含めた総重量は約1695g

35mm判換算63mm相当の単焦点レンズ「GF80mmF1.7 R WR」を装着したイメージ。F1.7の明るさを実現していることもあって最大径は94.7mmとなっている。レンズを含めた総重量は約1695g

GFレンズの中では最もコンパクトな「GF50mmF3.5 R LM WR」を装着(※付属のレンズフードも装着している)。35mm判換算40mm相当の単焦点レンズだ。レンズを含めた総重量は約1235g。この組み合わせならスナップでも活用できそうだ

GFレンズの中では最もコンパクトな「GF50mmF3.5 R LM WR」を装着(※付属のレンズフードも装着している)。35mm判換算40mm相当の単焦点レンズだ。レンズを含めた総重量は約1235g。この組み合わせならスナップでも活用できそうだ

基本的な操作性やAFは十分なものの、レスポンスにやや難あり

最後に、GFX100Sの操作性についてレビューしよう。

大きめのボディということで、しっかりとしたグリップと、十分な数のボタン・ダイヤル類が確保されており、ハイアマチュア用として基本的な操作性は問題ない。上面にサブ液晶があって撮影設定を素早く確認できるのもいいところだ。Xシリーズのような富士フイルム独自の操作性ではなく、撮影モードダイヤルを搭載するなど、より一般的な仕様になっているので、富士フイルムユーザーでなくても使い始めから戸惑うことはないだろう。

インテリジェントハイブリッドAF(コントラストAFと位相差AFのハイブリッド)によるAFの速度・精度は期待以上で、思った以上にスムーズにピントが合ってくれた。さすがに本格的な動体撮影に使えるほどの追従性ではないが、風景やポートレートなど狙ったところにピントを合わせる撮影では申し分ない性能だと思う。

大きなグリップを採用しており、カメラをしっかりとホールドしながら撮影することができる

大きなグリップを採用しており、カメラをしっかりとホールドしながら撮影することができる

上面左側に撮影モードダイヤルを、右側にサブ液晶(1.80型のモノクロメモリー液晶モニター)を搭載。サブ液晶はメモリー液晶なので電源をオフにしても表示は消えない(直前の表示が残ったまま電源がオフになる)

上面左側に撮影モードダイヤルを、右側にサブ液晶(1.80型のモノクロメモリー液晶モニター)を搭載。サブ液晶はメモリー液晶なので電源をオフにしても表示は消えない(直前の表示が残ったまま電源がオフになる)

液晶モニターは3方向チルトが可能な3.2型タッチパネル液晶。横位置でも縦位置でもモニターを見やすい角度に調整できるのが便利だ

液晶モニターは3方向チルトが可能な3.2型タッチパネル液晶。横位置でも縦位置でもモニターを見やすい角度に調整できるのが便利だ

基本的な操作性とAFは十分なレベルにあるが、レスポンスと操作フィーリングについては気になるところがあった。以下に、特に気になったところを挙げておこう。

・撮影画像の再生、送り・戻りの処理にワンテンポ時間がかかる
・瞳AF使用時にフレーム枠の表示が遅れることがある(撮影結果を見るとAFは瞳に追従しているので表示の遅延と思われる)
・背面のフォーカスレバーは押し込み操作がやりにくい
・露出補正ボタンが小さくて押しにくい
・露出補正のダイレクト操作をダイヤルに割り当てることができない(押下切替は可能)
・EVFは見えがもうひとつで、初期設定だと青みが強い

レスポンスについては、撮影中の設定変更やメニュー画面の操作に対する反応は問題ないのだが、撮影中の画面の表示、ならびに撮影した画像の表示については、ワンテンポ遅れることがある。瞳AF使用中にフレーム枠の表示が遅延したり、撮影画像の表示に時間がかかったりといった具合だ。1億画素機ということで表示のレスポンスが遅くなることがあるのは致し方ないのだが、ひと昔前のデジタルカメラを使っているような感覚になるときがあった。

操作フィーリングでは、背面のフォーカスレバーの操作感がもうひとつ。フラットな形状になって上下左右斜めの操作はやりやすくなったのだが、押し込みにくく、メニュー画面で項目を決定する操作がやりにくかった。また、露出補正ボタンについても、上面に小さく配置されており、決して押しやすいとは言えない。初期設定では露出補正ボタンを押しながらリアコマンドダイヤルを回すことで露出補正を行えるが、操作がやや窮屈に感じた。露出補正ボタンを押し続けなくても1度のボタン操作で露出補正に切り替わる「押下切替」に設定したり、露出補正を割り当てるボタンを変更したりすることは可能なものの、露出補正のダイレクト操作(呼び出し操作なくダイレクトに露出補正を行う操作)をダイヤルに設定できないのも気になった点だ。電子ビューファインダー(EVF)は初期設定だと青みが強く、解像度も約369万ドットともう少し頑張ってほしかったというのが正直なところ。シャッターのフィーリングも、フェザータッチシャッターということだが、反応が遅い感じがして使い心地としてはもの足りなさを感じた。

誤解のないように言えば、フィーリングとレスポンスを含めて全体的な操作性は、フルサイズミラーレスの最新の上位モデルのほうが上回っていると思う。システムとして相応に大きなサイズ感であることを加味すると、カメラとしての取り回しのよさは、さすがにフルサイズシステムに軍配が上がる。フルサイズミラーレスからの買い替えを検討している人にとっては、GFX100Sのシステムとしてのサイズ感と操作性をどう判断するかが、移行を見極める大きなポイントになるだろう。

富士フイルムの他の最新カメラと同様、背面に十字ボタンはなく、フォーカスレバーで操作する仕様となっている。EVFの解像度は約369万ドットで倍率は0.77倍

富士フイルムの他の最新カメラと同様、背面に十字ボタンはなく、フォーカスレバーで操作する仕様となっている。EVFの解像度は約369万ドットで倍率は0.77倍

このほかGFX100Sには、別売オプションとして、ハンドグリップ「MHG-GFX S」はあるものの、縦位置バッテリーグリップが用意されていないのもハイアマチュアにとってはマイナス点だ。縦位置バッテリーグリップは、縦位置でも横位置と同じような操作性で撮影できるのが便利で、特に手持ちでのポートレート撮影時に威力を発揮する。ポートレートで活用したい人にとっては気になる点ではないだろうか。

別売オプションとして縦位置バッテリーグリップは用意されておらず、底面に接続用の専用端子はない

別売オプションとして縦位置バッテリーグリップは用意されておらず、底面に接続用の専用端子はない

UHS-II対応のデュアルSDメモリカードスロットを採用。このクラスのカメラなら、片方は高速なCFexpressカード対応であってほしかった

UHS-II対応のデュアルSDメモリカードスロットを採用。このクラスのカメラなら、片方は高速なCFexpressカード対応であってほしかった

インターフェイスとして、マイク端子、ヘッドホン端子、USB Type-C (USB3.2 Gen1x1)、HDMIマイクロ端子 (Type D)、シンクロターミナルを装備。USB端子は電源オフでの充電と電源オンでの給電に対応している(※画像は付属のケーブルプロテクターを装着した状態)

インターフェイスとして、マイク端子、ヘッドホン端子、USB Type-C (USB3.2 Gen1x1)、HDMIマイクロ端子 (Type D)、シンクロターミナルを装備。USB端子は電源オフでの充電と電源オンでの給電に対応している(※画像は付属のケーブルプロテクターを装着した状態)

対応バッテリーはAPS-Cミラーレス「X-T4」と同じ「NP-W235」。撮影可能枚数はノーマルモードで約460枚。決して少ない枚数ではないが、1日フルで撮影するのであれば予備バッテリーは用意しておきたい

対応バッテリーはAPS-Cミラーレス「X-T4」と同じ「NP-W235」。撮影可能枚数はノーマルモードで約460枚。決して少ない枚数ではないが、1日フルで撮影するのであれば予備バッテリーは用意しておきたい

まとめ フルサイズを超える高画質。サイズ感とレスポンスを許容できるかどうかが鍵

今回、フルサイズユーザーの視点でGFX100Sをチェックしたが、画質についてはフルサイズを超えるものが得られると感じた。富士フイルムは「More than Full Frame」をキャッチコピーにしてGFX100Sのよさをアピールしているが、このコピーに偽りはない。有効約1億200万画素センサーのよる解像感の高さと、階調表現の豊かさは圧巻。現時点では、ハイアマチュアでも手が届く価格のカメラとしては、最高画質が得られるもののひとつと言っていいだろう。

「ハイアマチュアにとってフルサイズから買い替える価値のあるカメラなのか?」という問いについては、じっくりと被写体を見るスタイルで撮っている人で画質の向上を求めるのなら買い替える価値があると思う。そういうスタイルで使うのであれば、フルサイズシステムから移行しても満足な結果が得られるはずだ。

購入検討時に特に気を付けておきたいのはカメラとしてのレスポンスだ。サイズ感だけを言えば移動をともなう撮影でも十分に使えると思うが、レスポンスについては、最新のフルサイズミラーレスに劣るところがある。ジャンル的には風景やポートレートに向いたカメラだが、ジャンルによらずレスポンスよく撮影することを重視するのなら、使っていてストレスを感じることがあると思う。

また、スナップでも使えるサイズ感という理由でGFX100Sを選択しようと考えている人もいると思うが、自身の撮影スタイルを振り返って判断してほしい。スナップでも被写体をじっくり見て撮るのなら問題ないが、瞬時に反応してシャッターを切るストリートスナップでは、ほかにもっといい選択があるというのが正直なところ。それこそ最新のフルサイズミラーレスや、富士フイルムの製品であればXシリーズのほうが使いやすいはずだ。

このほか、1億画素機ということでRAWデータの容量が大きく、より大容量のSDカードを用意する必要があることも注意点だ。1枚のRAWデータの容量は非圧縮だと200MB程度、ロスレス圧縮でも100MBに達することがある。また、サードパーティーのRAW現像ソフトを使う場合は、高性能なPCでないとスムーズな編集作業ができないことも付け加えておきたい。

ちなみに、今回は、基本クロック3.5GHzで16コア/32スレッドのCPU「RYZEN 9 3950X」を搭載する、それなりに高性能なPCを使って、純正のRAW現像ソフト「FUJIFILM X RAW STUDIO」で編集作業を行ってみた。FUJIFILM X RAW STUDIOはPCにUSB接続したカメラ本体の画像処理プロセッサーを使うため、PCの性能の影響を受けずに高速に処理できるのが特徴だが、それでも編集結果がプレビューに反映されるのにワンテンポ時間がかかった。細かくパラメーターを調整しながら追い込むような編集だと、少々やりにくさを感じるかもしれない。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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