レビュー
4年ぶりのアップデートでフォーサーズの名機はいかに進化したのか?

「GH5II」vs「GH5」比較:フォーカス精度や手ブレ補正などをチェック!

パナソニックがマイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼レフカメラの新モデル「LUMIX DC-GH5M2」(以下、GH5II)を2021年6月25日に発売します。2020年9月に発売されたフルサイズ機の「LUMIX DC-S5」から映像エンジンを引き継ぎ、Gシリーズが得意としてきた手ブレ補正も5段分から6.5段分にパワーアップするなどの進化を遂げています。今回はその実機を借り、従来機の「LUMIX DC-GH5」(以下、GH5)と比較したレビューをお届けします。

動画でパナソニック「GH5」「GH5II」を比較

なお、筆者が動画中心のクリエイターであることから、本記事についても動画撮影にフォーカスした内容となっています。あらかじめご了承のうえ、読み進めていただければ幸いです。

パナソニック「GH5」「GH5II」の外観比較

特に記載のない限りすべて写真左が「GH5」、右が「GH5II」です。

ボディはどちらもマグネシウム製で、防塵・防滴・耐低温仕様です。兄弟モデルなので、外観はソックリですね。

大きく進化したのがメニュー画面で、「GH5II」は3列表示になっています。カメラ側の設定により変化が付けられる幅が広がり、ユーザーの好みが多様化した今、多数の項目を効率的に表示するにはこれが最適なのでしょう。ソニーのフルサイズ機「α7S III」も同じように3列メニューであり、キヤノン「EOS R5」も(横向きですが)3列になっていることから、「GH5II」もこのトレンドにならった格好です。

撮影モードダイヤルに赤いリングが見える点が、「GH5」と「GH5II」の外観上の違いです。なお、この赤いリングは「GH5S」や「G9(DC-G9)」とも共通で、「GH5II」と同タイミングで開発発表がなされた「GH6(DC-GH6)」でも見られるデザイン上のアクセントとなっています。

軍艦周りのボタンレイアウトに変わりはありませんが、RECボタンが赤く目立つ色になっているので見た目の印象はずいんぶんと違います。シャッターボタンよりRECボタンが目立つ色になっているあたり、動画に力を入れているという感じが伝わります。

パナソニック「GH5II」のおもなスペック

基本スペックを見ると、やはり大きく進化したのは手ブレ補正とディスプレイの解像度ですね。なお、本体サイズは「GH5」「GH5II」ともに横138.5×縦98.1×奥行き87.4mmとなっています。本体重量には、本体、バッテリー、メモリーカード1枚含んでいます。

パナソニック「GH5」と「GH5II」で撮り比べ

撮影を行ったのが6月中旬で梅雨のまっただな中ということもあり、青空には出会えませんでしたが、かわりに紫陽花(あじさい)がキレイに咲いていました。

今回のテスト撮影では、2つの三脚の上に2台のカメラを固定し、できるだけ同じ方向を向くようにして撮った映像を比較しています。また、カメラにお任せの状態でどのような動画が撮れるのか確かめるべく、あえてマニュアル設定ではなく「iA」モードで撮影しました。なお、撮影設定は両カメラ共通で4K/24fpsとしています。

以下が「GH5」で撮影した紫陽花です。肉眼で見た花よりやや青みが強い印象もありますが、全体的に見れば深みがある魅力的なカラーです。約3年前に発売されたとは言え、撮影された映像に不満はなく、むしろ同機の実力を再確認させられたという印象。

同じ花を「GH5II」で撮影した結果は以下の通り。センサーの画素数は同じですが、映像処理エンジンが進化した恩恵なのか、花びらの筋などのディテールがよりはっきりと映っています。

「GH5II」は背面ディスプレイが明るくなっており、日中の撮影でもクリアに見ることができました。残念ながら写真では伝わりづらいですが、肉眼で見ると明らかに「GH5」よりよくなっていると実感できた点です。

「GH5」と「GH5II」の動画手ブレ補正を比較

以下の写真のようにカメラを並べて三脚に取り付け、手持ちで歩きながら撮影をして、動画の手ブレ補正のテストを行いました。

これに関しては劇的な差は見られず、という結果でした。そもそも「GH5」の手ブレ補正が強力無比だったので、このボディサイズとセンサーの組み合わせではすでに前モデルで完成の域に達していた技術なのかもしれません。なお、実際に撮影した結果は記事冒頭の埋め込み動画の02:53あたりからご確認いただけます。蛇足ですが、「GH6」ではさらにこれを上回る手ブレ補正が実現されるのか? 実機でテストをするのが楽しみでなりません。

「GH5」と「GH5II」の被写体認識オートフォーカスを比較

両カメラともに被写体を認識するとディスプレイに「黄色の枠」が表示されます。少々見えにくいかもしれませんが、正面を向いて話しているシーンではどちらのカメラも「顔」の周りに黄色の枠が現れ、しっかりと被写体を認識していることが確認できます。

明らかな差が出たのは横を向いた時です。左の「GH5II」は黄色の枠が顔の上に出ていますが、「GH5」では表示されていません。

また、顔を手で覆った状態でも「GH5II」は黄色の枠が顔の上に出ていますが、「GH5」ではこの状態でも認識されていません。

オートフォーカスの速度に関しては大きな差はありませんが、精度に関しては「GH5II」のほうが高く、横向きや顔を隠した状態でもきっちりと認識をしてくれました。ちなみに、背後を犬が通りがかった際に「GH5II」では、犬の被写体認識ができていることが確認できました。

「GH5」と「GH5II」の夜間・暗所撮影比較

夜間、日没後の撮影で暗所耐性を比較しました。なお、記事中の画像は動画データをスクリーンショットに収め、データを圧縮した後に公開しているため、ディテールやノイズの差は元データを見るよりわかりにくくなっていると思いますが、テキストで補足しつつ見ていきたいと思います。

以下が「GH5」で夜間に橋を撮影した映像です。スクリーンショットでも、細いロープの部分のディテールが少しボヤけていることがわかると思います。また、元データを大画面で見ると、空の部分にもノイズが発生していたことが確認できました。

こちらが「GH5II」で撮影した映像です。「GH5」と比較すると、ロープが少しシャープになっており、元データでも空の暗所ノイズがやや低減されていることがわかります。

Vlogのように自撮りをした場合には差が顕著で、暗所では「GH5」のフォーカスが頻繁に甘くなるのに対して、「GH5II」はピントを外す回数が少なめでした。

Gシリーズの弱点は自撮りの際のフォーカスが背景に抜けるなどしてズレやすいことですが、「GH5II」では完璧とまでは言えないものの、改善が進んでいる印象です。

「GH5」と「GH5II」を比較しながら動画を撮影した感想とまとめ

「GH5」のボディ価格が発売当初は26万円前後だったのに対して、「GH5II」は市場想定価格が194,000円前後となっています。約4年という年月で、こんなにもハイスペックなカメラが、ここまで安く買えるようになったのかと感慨深いものです。

同時に今回のテストでは「GH5」の性能の高さが改めて感じられたので、15万円前後(6月23日時点。価格.comの最安価格)にまで値下がりしている今、こちらもお買い得感があります。

なお「GH6」が2021年中に発売されると正式にアナウンスされていることから、ハイエンドのボディが欲しい場合は「待ち」が正解です。

「GH5II」が前モデルから順当に進化した優秀なカメラであることは間違いありませんが、「GH5」を愛用するユーザーであれば買い換えの筆頭候補は「GH6」と考えるのが自然でしょう。ただし、「GH5II」はカメラ単体でのライブ配信機能なども強化されているので、そこに強いニーズがある人は要チェックと言えるでしょう。

いっぽうで、本格的な映像制作に取り組みたい人が使う動画用カメラとしては中途半端感がぬぐえません。1年早く出ていれば話は違ったかもしれませんが、今となってはより安い価格で4K撮影ができるフルサイズ機がほかにもあることなどを考えると、2021年の夏に買うカメラとしては今ひとつ魅力に欠けるというのが正直なところです。

Mr.TATE(Masahira TATE)

Mr.TATE(Masahira TATE)

世界50か国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。

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