レビュー

「DJI Mini 3 Pro」レビュー。長時間飛行や安定性アップなど超絶進化を遂げる

国内外で圧倒的なシェアを誇るドローンメーカー大手のDJI。コンシューマーから産業向けまで、さまざまなドローンを手掛けているが、その中でも撮影用ドローンのエントリーモデルとして人気を博しているのが「DJI Mini」シリーズだ。今回は、このシリーズの最新モデル「DJI Mini 3 Pro」をレビューし、その実力に迫る。

性能や機能が大幅に進化した3代目「DJI MINI 3 Pro」をレビューする

性能や機能が大幅に進化した3代目「DJI Mini 3 Pro」をレビューする

重量が約249gにアップして飛行安定性が向上

「DJI Mini 3 Pro」は、従来機「DJI Mini 2」と比べると、プロペラアーム格納時の本体はほんの少し大きくなったが、バッグなどへの収納のしやすさはそれほど変わらない。ところが、プロペラアームを広げて実際の飛行状態にすると、プロペラの大型化がとても目立つデザインになっており、この大きさが安定度につながるのだろうと感じられた。

重量は従来機「DJI Mini 2」の約199gに比べて、約249gとやや重くなっている。先代までが約199gだったのは日本の航空法に合わせた仕様だったためだ。これまでは200g未満の機体は玩具扱いで、一部航空法の規制対象外とされていたが、2022年6月20日の航空法施行規則の一部改正以降は、この重量制限が100g未満となる。そこで、本モデルは200g未満にこだわることをやめ、北米など、多くの国で規制の対象外となる250g未満の機体ということでデザインされた機種となる。

重量制限から解放され、約249gになった「DJI Mini 3 Pro」

重量制限から解放され、約249gになった「DJI Mini 3 Pro」

本体の購入時に3つのセットオプションが選べるようになったのも特徴だ。機体本体のみ(92,400円。税込、以下同)と、機体に従来型の送信機「DJI RC-N1」が付属したもの(106,700円)、そして今回新発売の送信機「DJI RC」が付属するもの(119,900円)の3つのセットが用意されている。

今回は、「DJI Mini 3 Pro」の魅力をすべて体験するため、新型コントローラー「DJI RC」付属のセットでテストを行った。従来機までは、バッテリーが3つとバッグや予備のプロペラなどが同梱されたセットも販売されていたのだが、このモデルでは追加アクセサリーとしてバッグ、長時間飛行用バッテリー×2、交換用プロペラ×2、複数バッテリー充電用のハブなどがセットされた追加アクセサリーキット「Fly Moreキット Plus」(29,480円)が、別売りという形で用意されるようになった。

新型コントローラー「DJI RC」は、高輝度の5.5型LCDスクリーンを搭載しており、これまでの一般的なコントローラーのように手持ちのスマホをスクリーンとして使うタイプではない。

スマホを差し込んでディスプレイ代わりにする従来型から、ディスプレイ一体型へと進化した新型コントローラー「DJI RC」

スマホを差し込んでディスプレイ代わりにする従来型から、ディスプレイ一体型へと進化した新型コントローラー「DJI RC」

このタイプは飛行場所に到着してからのセッティングの手間が少なく、すぐ飛行できるのが大きなメリットになる。飛行中に、着信などの通知に悩まされる心配なく集中できるところもうれしいポイントだ。

実際に使用して気がついたのは、ディスプレイ一体型のコントローラーではあっても便利に使うのにはネットワーク機能が必須であることだ。初めて出かけた飛行場所では、手持ちのスマホにBluetoothでワイヤレス接続することで地図がダウンロードされ、飛行時に有益なガイドになった。また、飛行安全データベースや機体のファームウェアなど、安全と機能強化につながるアップデートがかなりの頻度で配布されるので、外で飛行させる際も可能な限りネットワーク環境を用意しておくのがおすすめだ。

このディスプレイ一体型コントローラーでは、画面上部に左右ジョイスティックが装備されている。そのため、親指の付け根あたりが画面左右を覆ってしまいがちなのだが、これは持ち方の工夫など、使い込むうちに慣れてくるだろう。

実際に「DJI Mini 3 Pro」を飛行させてみて、最初に感じたのが機体の安定性の高さだ。ドローンは、一般的に機体質量が少ないほど、外的要因である風などに弱い傾向がある。これまでも従来機「DJI Mini 2」を何度も飛行させてきたが、「DJI Mini 2」はちょっと風が強い日には飛ばすことをためらったり、飛行させてもすぐにコントローラー画面に「強風注意」のアラートが表示されて飛行を諦めることが少なくなかった。それが今回、手元のメーターで風速5m/sの条件でも不安を感じずに高度120mまで飛ばすことができたのだ。

飛行中は、上述の安定性に加えて3方向センサーが搭載されていることによって安心して飛ばすことができた。前/後/下方向に対物センサーが搭載されており、木立や建造物などに衝突しそうになった場合は自動的に進行をストップしたり、迂回してくれたりするのだ。

対物センサー付きの機体を飛ばしていても、実際にはセンサーが感知しにくかったり、揺れる小枝などはセンサーによる回避がうまくいかず、墜落することも多いのだが、本モデルの対物センサーの精度は非常に優秀だ。

今回のテストでは同社の上位モデルにあたる「Mavic Air 2」も飛行させていたのだが、「Mavic Air 2」はプロペラが木の葉にちょっと当たってしまうような状況でも、「DJI Mini 3 Pro」は回避してくれることが多かった。これは厳密な比較ではなく、機体の最高速度も違うので比較的遅い速度の「DJI Mini 3 Pro」にとって有利に働いたのかもしれない。それでも、安全性の高さを実感したことには違いない。

1/1.3インチのイメージセンサー搭載で映像のクオリティが向上

画質面では、1/1.3インチと比較的大きなイメージセンサーを採用したのが特徴になっている。これは従来機「DJI Mini 2」に採用された1/2.3インチのイメージセンサーより大きいことはもちろん、1/2インチのイメージセンサーを採用する上位機種の「Mavic Air 2」にも勝っている点だ。

イメージセンサーのサイズは1/1.3インチ。従来機から飛躍的にアップしている

イメージセンサーのサイズは1/1.3インチ。従来機から飛躍的にアップしている

実際に撮影した映像を見ると、発色の鮮やかさが印象的だ。空の青さや、樹木の緑がくっきりと再現されている。4800万画素という高い有効画素数から相当に緻密な描写だという期待もあるが、やはり細かな部分の緻密さでは大型のイメージセンサーを搭載するミラーレス一眼カメラなどには一歩譲る形になるだろう。

しかし、ミラーレス一眼カメラで撮影した動画に、この「DJI Mini 3 Pro」の映像を混ぜても、よほどのことがない限り違和感を覚えることはないだろう。また、4K画質で60fpsの映像が撮影できることにも注目したい。テレビ映像の世界や、スローモーション映像への転用を考えると60fpsで撮影できるメリットは大きい。加えて、フルHD解像度であれば120fpsまでの撮影ができるので、よりスローな撮影が楽しめる。

レンズの明るさはF1.7と、ドローンに搭載されているものとしては明るめ。ただし、物理的な絞り羽根を搭載していないため、晴天の屋外では別売りのNDフィルターを適宜取り付けたほうがシャッター速度の上がり過ぎによる映像のパラパラ感を抑えることができる。

もうひとつ、現代的だなと感じたのが、縦画面収録が可能になったことだ。カメラ部分が90度回転し、スマホ画面にぴったりの縦画面による撮影が可能になったのだ。TikTokなどのSNS向けの映像が、加工なしに撮れるようになったと考えていいだろう。

画像のように、カメラが回転して縦画面での撮影が可能

画像のように、カメラが回転して縦画面での撮影が可能

カメラの向きという点では、カメラ部が約60度まで上を向くようになったことも進化したポイント。これまで、ドローン撮影と言えば、上から下を見下ろす目線を中心に絵作りを考えてきたものだが、カメラがここまで上を向くことが可能になると、トンネルをくぐりながらの撮影や、木立を見上げながらの視点の撮影なども可能になってくる。

美しいカメラワークが手軽に。飛行時間も長くなる

ドローンに注目している人の中にはかなりアクロバティックな飛ばし方をさせたい人も多いのだが、そのいっぽうで、飛ばすこと自体にそれほど興味がなく、あくまでも空撮の美しくダイナミックな映像を手軽に撮影したいというニーズもある。

「DJI Mini 3 Pro」には、こういったニーズを満たしてくれるさまざまな撮影モードが搭載されているが、特に印象的だったのが「クイックショット」だ。多くのインスタグラマーが投稿する絶景映像やテレビの寄稿番組などで見られる、人物を写しながらドローンがどんどんと上空に上がっていき、絶景の中にいることがだんだんと確認できる、といった映像が、手軽に撮影できるようになっている。

こういった映像を撮影するには、高度な飛行技術が必要になるのだが、「クイックショット」は、撮影したい映像の飛行経路とカメラワークがあらかじめプログラミングされているのだ。ユーザーは「後方に飛ばしながらのショット」や「垂直に飛んでいくショット」、「被写体を中心に写しながら螺旋状に回転しながらのショット」といった撮影パターンを選び、画面上で中心被写体となる人物などをタッチ操作で指定するだけで美しいカメラワークでの撮影が誰でも楽しめる。さらに、今回は上位機種だけにしか装備されなかった「マスターショット」機能も搭載。クイックショットのいくつかのパターンやデジタルズーム機能などをソフトウェアが最適に組み合わせてダイナミックなショットを作成してくれるものだ。

これまでの「DJI Mini」シリーズでは、旋回飛行などをさせる場合に周囲の樹木などが気になって飛ばせない場合が多かったが、3方向対物センサー搭載の本モデルでは気軽に、かつ、安全に撮影が楽しめるというわけ。さらに、これらの自動飛行ショットを組み合わせた「マスターショット」機能も搭載されている。

テストしていてありがたく感じたのは飛行時間(バッテリーの持ち)だ。標準バッテリーでは約34分、別売りの「インテリジェントフライトバッテリーPlus」を利用すれば、約47分もの長時間飛行が楽しめる。

バッテリー寿命は、無風の理想条件での最大値であり、実際には墜落させないように残量25%前後まで減ると、自動帰還モードで帰還・着陸するプログラムが組まれているので(手動でオフにできる)、実際の飛行時間は25分前後でしかない。だが、本モデルの34分であれば多くの場合、テスト飛行でひと通り飛行ルートを確認し、その後に本撮影を行う余裕がある。「DJI Mini 2」では約18分だったため、これは大きな進歩だと感じた。「インテリジェントフライトバッテリーPlus」を使用すれば、30分を超える飛行が楽しめ、タイムラプス撮影などの自由度も高まったと感じる。

「DJI Mini 3 Pro」は、機体本体のみの公式サイト販売価格が92,400円(税込)と、発売時の価格が59,400円(税込)であった従来機の「DJI Mini 2」と比べると、大幅に値上げされたことは否めないが、そのぶん性能面では全方向で大きく進化している。

ほんの60,000円ほどで空撮が楽しめる超小型ドローンから、10万円を超えるが本格撮影が可能な小型機、という感じで微妙に製品キャラクターが変わってきたと感じる。

しかし、ここ数年の報道などでドローンの事故や規制の強化など、「ドローンは危なくて難しい」という世間一般の見方に対応するメーカーの良心の表れではないかとも理解できる。

今回のテストでは、風に対する安定性や長距離飛行での電波の途切れの少なさ、対物センサーによる衝突回避機能、長時間持つバッテリーなど安全性の飛躍的な向上を感じられた。さらに、6月の法改定で必須となる「リモートID」の登録機能にもファームウェアのアップデートで対応する見込みだ。手軽に飛ばせる代わりに不慮の事故が多い、という現状を安全に、そして美しく楽しめるドローンとするため、エントリークラスからきっちりと仕上げた新世代のドローンなのだと感じた。

吉村 永

吉村 永

テレビ番組制作から雑誌編集を経てフリーランスに。音楽ものVideoClipの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物写真のカメラマン。2018〜2020年カメラグランプリ審査委員。最近はドローンも飛ばしてます!

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