選び方・特集

もう失敗しない! 三脚選びのポイントを伝授【初級編】

写真撮影でカメラとレンズの次に必要な、いわばスーパーサブ的な役割を果たすアイテムが三脚だ。三脚は種類も仕様もさまざまで、最適な1本を選ぶのが難しい機材のひとつでもある。今回は自分の使い方にピッタリの三脚を選ぶためのポイントとコツをお伝えしたいと思う。

今回の解説で使用したのは、Leofoto(レオフォト)の三脚「ミスターY(LY)シリーズ」の「LY-284C+LH30雲台セット」。初心者にも扱いやすい携帯性にすぐれた最新モデルだ。キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」と超広角ズームレンズ「RF15-35mm F2.8 L IS USM」の組み合わせで使用してみた

今回の解説で使用したのは、Leofoto(レオフォト)の三脚「ミスターY(LY)シリーズ」の「LY-284C+LH30雲台セット」。初心者にも扱いやすい携帯性にすぐれた最新モデルだ。キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」と超広角ズームレンズ「RF15-35mm F2.8 L IS USM」の組み合わせで使用してみた

掲載する写真作例について
解説写真以外の作例はすべてRAWで撮影し、「Digital Photo Professional 4」で現像しています。

三脚の役割について

まずは、三脚とはどんな場面で使用するアイテムなのか、その役割について確認しておこう。三脚の役割は大きく4つに分けられる。

1.手ブレの防止のための使用
2.構図を吟味するための使用
3.スムーズなピント合わせのための使用
4.重い機材を支えるための使用

三脚は一般的に手ブレ防止で使われるイメージが強いし、実際そうなのだが、上記のように、それ以外にも撮影の中でも効果的に活用できるアイテムである。果たす役割は非常に大きく、だからこそ、自分に最適な1本にきちんと巡り合うことが大事なのだ。

渋谷駅前の風景。三脚でしっかりカメラを固定し、NDフィルター(ND1000)で光量を調整しながら長秒で撮影した。こうした低速シャッターによる描写も三脚を用いるからこそ行える表現だEOS R5、RF15-35mm F2.8 L IS USM、30mm、マニュアル露出、F20、8秒、ISO100、WB:日陰、ピクチャースタイル:ディテール重視撮影写真(8007×5341、25.9MB)

渋谷駅前の風景。三脚でしっかりカメラを固定し、NDフィルター(ND1000)で光量を調整しながら長秒で撮影した。こうした低速シャッターによる描写も三脚を用いるからこそ行える表現だ
EOS R5、RF15-35mm F2.8 L IS USM、30mm、マニュアル露出、F20、8秒、ISO100、WB:日陰、ピクチャースタイル:ディテール重視
撮影写真(8007×5341、25.9MB)

夜景は手ブレを防ぐ目的だけであれば、感度を上げれば手持ちでも撮れるが、高精細に、そしてこの作例のように光跡を入れ込みながら撮ろうとしたら三脚はやはり必要だ。三脚を用いることで、夜景の写真表現の可能性が広がるのだEOS R5、RF15-35mm F2.8 L IS USM、18mm、マニュアル露出、F10、4秒、ISO100、WB:白熱電球、ピクチャースタイル:風景撮影写真(8239×5496、37.1MB)

夜景は手ブレを防ぐ目的だけであれば、感度を上げれば手持ちでも撮れるが、高精細に、そしてこの作例のように光跡を入れ込みながら撮ろうとしたら三脚はやはり必要だ。三脚を用いることで、夜景の写真表現の可能性が広がるのだ
EOS R5、RF15-35mm F2.8 L IS USM、18mm、マニュアル露出、F10、4秒、ISO100、WB:白熱電球、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(8239×5496、37.1MB)

なお、手ブレは利用するシャッター速度が原因で生じるものだが、暗所で生じやすいだけでなく、明るい場所でも低感度を利用して高精細に情景を記録したいときや、絞りを絞り込みたいとき、望遠レンズを使うときなど、さまざまな場面で生じることがある。そうした手ブレ全般に対応できるアイテムが三脚なのだ。

三脚を選ぶ際に確認すべき10のポイント

前提条件 撮影スタイルに合わせて選ぼう

自分にとってベストの三脚は、人それぞれに異なる。つまり、撮影スタイルに応じてチョイスが変わる。たとえば、自然風景を撮る人を考えてみよう。トレッキングしながら撮る人もいれば、ポイントまでの移動は車を使い、ほとんど歩かない人もいる。仮に自然風景を撮るにしても、撮影スタイルはさまざまなのだ。

前者の場合、軽くて携帯性にすぐれたものを優先したいが、後者の場合は多少重くても頑丈で安定感のあるものを優先できる。ほかの人からすすめられた三脚でも、その人と自分の撮影スタイルが異なれば、必ずしも同じように使い勝手がよいとは限らない。

まずは、自分が三脚を持って撮影しているところを、具体的にイメージしてみよう。自分が三脚を必要とするシーンが具体的にイメージできれば、自分好みの三脚をよりピックアップしやすくなる。

そして、三脚に取り付けるカメラとレンズがどんな組み合わせになるのか、当然ながら購入時はここも念頭に置く必要がある。日頃利用しているカメラとレンズに合わせた三脚選びが大事なのだ。複数のカメラやレンズを使用する場合は、いちばん重量のある組み合わせを念頭に三脚を選ぼう。

ポイント1 どこまで高くできるか

三脚の高さは、センターポール(ポイント7)を使用せずにすべての脚を伸ばしきった状態で、自分の肩の高さあたりまでセットできれば問題ない。具体的には自分の背丈から20cmほど低いものが扱いやすいだろう。

撮影時は少し屈むような姿勢になるが、カメラの設定や操作はこのくらいのほうが行いやすい。三脚は自分の背丈以上に高くすることはほとんどない。逆に、高くできる三脚ほど重量も収納サイズも大きくなるので、注意したい。

「LY-284C+LH30雲台セット」は、センターポールを含まない伸長が137.5cm。筆者は180cmなのでやや低めだが、このくらいの高さのほうがカメラを操作しやすい。三脚の高さを示すスペックに関しては、脚のみを上げた状態の高さ、もしくはエレベーターを上げた状態を含む高さのどちらを示すのか、間違えないように確認しよう

「LY-284C+LH30雲台セット」は、センターポールを含まない伸長が137.5cm。筆者は180cmなのでやや低めだが、このくらいの高さのほうがカメラを操作しやすい。三脚の高さを示すスペックに関しては、脚のみを上げた状態の高さ、もしくはエレベーターを上げた状態を含む高さのどちらを示すのか、間違えないように確認しよう

ポイント2 どこまで低くできるか

三脚はどこまで低くできるかも大事なポイントだ。花などの背丈の低い被写体を撮るときや、ローポジション、ローアングルから被写体を狙うようなときは低くできる三脚が重宝する。個人的に表現の幅に直結するのは、“どこまで高くできるか”よりも“どこまで低くできるか”のほうではないかと思っている。

今回使用した「LY-284C+LH30雲台セット」は、18.5cmまで低くできる。どこまで低くできるかを示す最低高は、センターポールの有無や開脚角度の影響を受ける。「LY-284C」の場合、センターポールをショートセンターポールに付け替えることで、この低さを実現できる仕様だ

今回使用した「LY-284C+LH30雲台セット」は、18.5cmまで低くできる。どこまで低くできるかを示す最低高は、センターポールの有無や開脚角度の影響を受ける。「LY-284C」の場合、センターポールをショートセンターポールに付け替えることで、この低さを実現できる仕様だ

ポイント3 携行性(重量と収納サイズ)

三脚は軽量コンパクトなもののほうが当然扱いやすいが、利用するカメラとレンズをきちんと支えられることが大前提となる。“軽さ重視”で選んでしまうと三脚選びは失敗する。三脚はある程度重量や持ち運びの不自由さを覚悟しなくてはいけないアイテムなのだ。

歩きながら撮る人にとって重量や収納サイズは特に意識したい要素だ。三脚はほかの撮影機材と一緒に持ち運ぶ。三脚の重さを判断する際は、いつも持ち運ぶカメラ機材に三脚が加わるイメージで、重量や収納サイズを考えてみたい

歩きながら撮る人にとって重量や収納サイズは特に意識したい要素だ。三脚はほかの撮影機材と一緒に持ち運ぶ。三脚の重さを判断する際は、いつも持ち運ぶカメラ機材に三脚が加わるイメージで、重量や収納サイズを考えてみたい

ポイント4 耐荷重

耐荷重とは、カメラとレンズをどの程度支えられるかを示した数値だ。これが5kgの場合、5kgまでのカメラとレンズを支えられることを意味する。

しかし、これは多くの場合、カメラを横位置にセットし、雲台を水平にして安定感のある場所で撮影を行った場合の積載量を指す。そういった意味で耐荷重は、記載の半分ほどを目安にしよう。たとえば、自分のカメラとレンズを合わせた重量が2kgならば、最低でも耐荷重が4kg以上の三脚を使うのが安心だ。

三脚は横よりも縦位置にしたときのほうが、安定感が損なわれやすい。購入時は、縦位置での安定感(使い心地)についても事前に確認しておくのが理想だ。なお、「LY-284C+LH30雲台セット」の耐荷重は10kgで、今回使用のカメラとレンズは合わせて約1.578kg

三脚は横よりも縦位置にしたときのほうが、安定感が損なわれやすい。購入時は、縦位置での安定感(使い心地)についても事前に確認しておくのが理想だ。なお、「LY-284C+LH30雲台セット」の耐荷重は10kgで、今回使用のカメラとレンズは合わせて約1.578kg

ポイント5 脚の素材(カーボンか、アルミか)

脚の素材は主にカーボンとアルミの2種類がある。カーボン三脚の魅力は何と言っても軽いことだが、ただ軽いだけでなく、安定感もあって全体的にバランスの取れたものが多い。いっぽう、アルミ三脚は頑丈で壊れにくく、カーボン三脚よりも安価に購入できるものが多い。

以前は、アルミ三脚=重いというイメージもあったが、最近のアルミ三脚はサイズによって軽量なものも多く、一概にアルミは重いと決めつけるのは間違いだ。

「LY-284C+LH30雲台セット」もカーボン製。重量は雲台含めて1.62kg(三脚が1.31kg、雲台が0.31kg)。個人差はあるが、片手で持てるレベルだ

「LY-284C+LH30雲台セット」もカーボン製。重量は雲台含めて1.62kg(三脚が1.31kg、雲台が0.31kg)。個人差はあるが、片手で持てるレベルだ

ポイント6 脚ロックの仕様と段数

脚ロックは、脚を伸ばす際に使用する部位を指す。三脚の購入時は、脚ロックの操作性もチェックしよう。三脚をスムーズにセッティングするには、脚の伸縮のしやすさが肝になるからだ。

脚ロックの仕様は、主にレバー式とナット式の2つ。レバー式はロックの状態がひと目でわかって初心者には操作しやすい。いっぽう、ねじって操作するナット式は多少の慣れが必要だが、スピーディーに脚の伸縮が行える。長い目で考えるとナット式のほうがおすすめだ。

脚の段数もチェックしよう。段数は伸ばさない最初の状態を1段と数えるため、たとえば脚ロックが2つのものは3段三脚、3つのものは4段三脚になる。選ぶ際に注意したいのは、段数と高さは必ずしも比例しないことだ。むしろ、段数の少ない三脚のほうが高くできるものが多い。いっぽう、段数の多い三脚のほうが、コンパクトに収納できるものが多い。

「LY-284C」の脚ロックはナット式。段数は4段だ

「LY-284C」の脚ロックはナット式。段数は4段だ

ポイント7 センターポールの仕様

センターポールは高さの微調整に用いる部位だが、低くして使いたい場合は下に伸びた部分のポールがじゃまになったりする。「LY-284C」では取り外して短いタイプのものに変更できる(ポイント2)。三脚を低くして使いたい場合は、特にこのセンターポールの仕様もチェックしよう。そもそも最初からセンターポールが付いていない機種もある。

赤く囲った部分がセンターポール。エレベーターとも言う

赤く囲った部分がセンターポール。エレベーターとも言う

ポイント8 付属品の内容

メーカーや機種によって付属品も異なるのでチェックしよう。付属品には、ケースやストラップ、脚の先端に取り付ける石突、三脚を安定させるために使用するウエイトバッグやエンドフックなどがある。

「LY-284C+LH30雲台セット」の付属品。この機種の場合、エンドフックは取り付け式ではなく元から付いていて、センターポールの着脱のための部位にもなっている。写真のように、機材などを下げて重石として使用する。スパイク石突は滑りやすい岩場などで使用するアイテム。通常時のゴム石突と交換できる。ちなみに三脚を入れるケースは、三脚を持ち運ぶ際に重宝するため、付属されない場合は別途購入を検討したい

「LY-284C+LH30雲台セット」の付属品。この機種の場合、エンドフックは取り付け式ではなく元から付いていて、センターポールの着脱のための部位にもなっている。写真のように、機材などを下げて重石として使用する。スパイク石突は滑りやすい岩場などで使用するアイテム。通常時のゴム石突と交換できる。ちなみに三脚を入れるケースは、三脚を持ち運ぶ際に重宝するため、付属されない場合は別途購入を検討したい

ポイント9 雲台の種類(3WAYか、自由雲台か)

雲台もさまざまなタイプのものがあるが、一般的には3WAY雲台と自由雲台の2つが主流だ。3WAY雲台は、上下、左右、縦横のそれぞれの向きを独立して動かせるのが特徴。細かい微調整が得意で、たとえば水平を維持しつつ、そのまま上下左右の向きを変えることができたりする。最もオーソドックスなタイプの雲台と言えるだろう。

ハスキーの3WAY雲台。プロ仕様の典型的な3WAYモデルだ。ハンドルが握りやすく、レンズの向きを3方向へ安定的に調整できる。その分、雲台としてはかなり重い

ハスキーの3WAY雲台。プロ仕様の典型的な3WAYモデルだ。ハンドルが握りやすく、レンズの向きを3方向へ安定的に調整できる。その分、雲台としてはかなり重い

今回使用した自由雲台「LH-30」。つまみはゆるまないようにしっかり締めることが大事。自由雲台は耐荷重が小さなものも多いので、購入時は個々のスペックをしっかりチェックしよう

今回使用した自由雲台「LH-30」。つまみはゆるまないようにしっかり締めることが大事。自由雲台は耐荷重が小さなものも多いので、購入時は個々のスペックをしっかりチェックしよう

向いているシーンは参考まで。後述のワークフローでは自然風景を自由雲台で撮っているが、この形式の雲台にはテンポよく機動力を生かして撮れる魅力がある。ちなみに、今回は代表的な雲台として2種類を取り上げたが、雲台自体は奥が深く、これ以外にもギア雲台やグリップ式雲台など、さまざまなタイプが存在する。周辺アイテムもこだわり出したら切りがないほどだ。Leofotoでも自由雲台のほか、ハンドル雲台やギア雲台、小型雲台など、さまざまなタイプがラインアップされている

向いているシーンは参考まで。後述のワークフローでは自然風景を自由雲台で撮っているが、この形式の雲台にはテンポよく機動力を生かして撮れる魅力がある。ちなみに、今回は代表的な雲台として2種類を取り上げたが、雲台自体は奥が深く、これ以外にもギア雲台やグリップ式雲台など、さまざまなタイプが存在する。周辺アイテムもこだわり出したら切りがないほどだ。Leofotoでも自由雲台のほか、ハンドル雲台やギア雲台、小型雲台など、さまざまなタイプがラインアップされている

ポイント10 価格

価格はもちろん大事な要素だが、安易に価格の安さで三脚は選んではいけない。ここまで見てきたポイントを踏まえれば、選ぶべき三脚のラインアップはだいぶ絞られてくるはずだ。三脚は撮影者にとって表現域を広げるための大事な道具。価格にとらわれず、長期にしっかり使えるものを冷静に吟味して選ぶようにしたい。

「LY-284C+LH30雲台セット」の価格.com最安価格(2023年10月2日時点)は59,400円(税込)

「LY-284C+LH30雲台セット」の価格.com最安価格(2023年10月2日時点)は59,400円(税込)

覚えておきたい三脚セッティングの基本動作

ここではコラム的に三脚のセッティング術を解説していく。三脚を購入した際に参考にしてほしい。

その1 脚は太いほうから伸ばす

三脚は脚径の太いほうから伸ばすことでバランスが取れる。細いほうから伸ばすと機材が重い場合にバランスが崩れるので注意したい。

左は太いほうから伸ばした場合、右は細いほうから伸ばした場合。三脚を伸ばしきらずに使うときに、細いほうから操作するとバランスが悪くなる

左は太いほうから伸ばした場合、右は細いほうから伸ばした場合。三脚を伸ばしきらずに使うときに、細いほうから操作するとバランスが悪くなる

その2 1本の脚を前に出すのが基本

3本の脚は1本をレンズの方向に伸ばし、残りの2本を左右に開いてセットするのが基本だ。特に重量のあるレンズを支える場合は、前に三脚が倒れるのをこれで防げる。

ただし、三脚の開き方は周囲の状況に大きく左右される。「1本を前に出す」のを基本にしつつ、状況を見ながら臨機応変に対応したい。

左は1本の脚を前に出した状態で、右は2本の脚を前に出した状態。1本の脚を前に出すことで安定感が出ることがわかるはずだ。両足を置くスペースも確保できて、撮影もしやすくなる。2本の脚を前に出すと、手前に雲台を押しただけで簡単に三脚が倒れてしまう

左は1本の脚を前に出した状態で、右は2本の脚を前に出した状態。1本の脚を前に出すことで安定感が出ることがわかるはずだ。両足を置くスペースも確保できて、撮影もしやすくなる。2本の脚を前に出すと、手前に雲台を押しただけで簡単に三脚が倒れてしまう

その3 カメラは三脚をセットしてから取り付け、センターポールは微調整に使う

カメラは三脚を広げてから取り付けよう。カメラを先に取り付けてしまうと、脚を伸ばす際の動作がやりにくくなるし、機材が重いと三脚を転倒させるおそれもある。センターポールは、前述のように高さの微調整に利用する。脚を伸ばさずポールだけを上げると、バランスが崩れやすいので注意したい。

センターポールはあくまで微調整に使う。脚を伸ばさず、センターポールだけを上げて高さをかせぐと、三脚本来の力は発揮できない

センターポールはあくまで微調整に使う。脚を伸ばさず、センターポールだけを上げて高さをかせぐと、三脚本来の力は発揮できない

三脚を使った実践

最後に三脚を用いるからこそ実践できる表現をワークフローとともに紹介していきたい。

ここでは「LY-284C+LH30雲台セット」を用い、緑豊かな小川と森林を題材にした。低いアングルから広角レンズでダイナミックに情景を狙う。小川は低速シャッターでぶらしていく。

ショートポールを使って最低高まで三脚を下げ、低い位置から狙う。なるべく小川にレンズを近づけたくて、ここでは2本の脚を手前に開いた。カメラが前につんのめらないように、ややカメラの重心を後ろに下げてセットしている。セッティングは1本の脚を前に出すのが基本だが、これは状況による。大事なことはカメラの重心を安定させることだ

ショートポールを使って最低高まで三脚を下げ、低い位置から狙う。なるべく小川にレンズを近づけたくて、ここでは2本の脚を手前に開いた。カメラが前につんのめらないように、ややカメラの重心を後ろに下げてセットしている。セッティングは1本の脚を前に出すのが基本だが、これは状況による。大事なことはカメラの重心を安定させることだ

アングルが下がることで奥の水面は写らなくなるが、逆に手前の水面が強調されてダイナミックな描写に。三脚を用いることで、低速表現にチャレンジできるだけでなく、落ち着いて構図を吟味することも可能になる。絞り込んだことで、シャープな質感も演出されているEOS R5、RF15-35mm F2.8 L IS USM、15mm、絞り優先AE、F20、1.6秒、ISO100、WB:くもり、ピクチャースタイル:風景撮影写真(8446×5634、33.7MB)

アングルが下がることで奥の水面は写らなくなるが、逆に手前の水面が強調されてダイナミックな描写に。三脚を用いることで、低速表現にチャレンジできるだけでなく、落ち着いて構図を吟味することも可能になる。絞り込んだことで、シャープな質感も演出されている
EOS R5、RF15-35mm F2.8 L IS USM、15mm、絞り優先AE、F20、1.6秒、ISO100、WB:くもり、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(8446×5634、33.7MB)

次は青々としげる樹木の風景だ。1本の脚を短くして柵に載せ、バランスを維持した。このようにその場にあるものをうまく生かしてセットすることもできる

次は青々としげる樹木の風景だ。1本の脚を短くして柵に載せ、バランスを維持した。このようにその場にあるものをうまく生かしてセットすることもできる

三脚を用いることで、低感度を利用し絞り込んで描写できた。この場面は感度を上げ、手ブレ補正も活用すれば、手持ちでも撮れるシーンだ。しかし、三脚を利用することで安心してじっくり撮れる。構図もしっかり探れるEOS R5、RF15-35mm F2.8 L IS USM、15mm、絞り優先AE、F20、1/10秒、-0.7EV、ISO100、WB:くもり、ピクチャースタイル:風景撮影写真(8422×5618、41.6B)

三脚を用いることで、低感度を利用し絞り込んで描写できた。この場面は感度を上げ、手ブレ補正も活用すれば、手持ちでも撮れるシーンだ。しかし、三脚を利用することで安心してじっくり撮れる。構図もしっかり探れる
EOS R5、RF15-35mm F2.8 L IS USM、15mm、絞り優先AE、F20、1/10秒、-0.7EV、ISO100、WB:くもり、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(8422×5618、41.6B)

まとめ 三脚はフォトグラファーのいちばん近くにいる頼れる相棒

三脚選びのポイントをいろいろと書いてきたが、いかがだっただろうか。少しでも参考にしていただければと思うが、ここまでの内容を平たく言うと以下の3点に要点を集約できる。

安定性→頑丈にしっかりカメラとレンズを支えられるかどうか
機動力→持ち運びやすいかどうか
操作性→スムーズにストレスなく操作できるかどうか

自分の撮影スタイルに照らし合わせながら、この3点を踏まえて数多ある三脚から自分に最適な1本を導き出してほしい。

また、三脚は店頭やショールームなどで実機に触れることも大事だ。触ってみてから購入を判断してほしいと思う。特に脚部の脚の出しやすさや雲台の操作のしやすさなど、実際に操作する機会の多い部分をチェックしてみるといいだろう。触れ心地も大事な要素だ。

三脚はフォトグラファーのいちばん近くにいる頼れる相棒だ。三脚を見れば、その人の撮影スタイルや写真に対する考え方が透けて見える。カメラやレンズと同じように、三脚にもこだわってみよう。

河野鉄平

河野鉄平

フォトグラファー。写真家テラウチマサト氏に師事後、2003年独立。ポートレートを中心に活動。2022年1月に新著『上手い写真は構図が9割』(玄光社)発売。ポーラミュージアムアネックス(2015年/銀座)など写真展も多数。Profoto公認トレーナー。
Instagram:teppei_kono_eye
Twitter:@teppei_kono

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
プレゼント
価格.comマガジン プレゼントマンデー
SPECIAL
カメラアクセサリーのその他のカテゴリー
ページトップへ戻る