「JPEG撮って出し」とは、カメラで撮った画像を撮影後に手を加えることなくそのまま写真として扱う行為を指す。海外では「Straight out of camera」と呼ぶ。撮影後にRAW現像を行わなくても、撮るときにカメラの設定をしっかり行えば、自分好みの描写を得ることは可能だ。ここでは“絶対JPEG撮って出し主義”と銘打って、JPEG撮って出しの意義とおすすめ設定を紹介してみたいと思う。
今回の撮影は、撮像素子のサイズが異なるミラーレスカメラ3機種を使用した。右がフラッグシップモデル「Z 9」と同等の機能を備えたニコンのフルサイズ機「Z 8」、中央が有効約4020万画素センサーを搭載する富士フイルムのAPS-C機「X-H2」、左がパナソニックのマイクロフォーサーズ機「LUMIX G9PROII」。それぞれ標準ズームレンズを装着して撮影に臨んでいる
掲載する写真作例について
作例はすべてJPEG撮って出しです。各機種の最高画質で撮影を行いました。
当然ながら、カメラはそれぞれに“個性”がある。画質に関しては、どれも一定のレベルに達しているが、それ以外ではAF精度や連写速度、携帯性、操作性など個々で特徴が異なっており、ユーザーはさまざまな要素を天秤にかけながら自分に見合うカメラを選んでいる。
このなかで各メーカーが自分たちの個性として大事にしているのが、色やコントラスト、彩度、シャープネスといった“絵作り”に関わる要素だ。多くのスペックが数値で示される中、絵作りに関わる機能は数値化して比較しづらく感覚的だ。
しかし、ポートレートを撮る人であれば、肌色の出方でカメラを選ぶこともあるし、ネイチャーであれば新緑の緑の出方がカメラを選ぶ基準になることもある。絵作りに関わる要素に注目してカメラを選ぶ人は決して少なくないのだ。
前置きが長くなったが、こうした絵作りに関わる個性をストレートに反映しているのがJPEG撮って出しの写真だ。つまり、そのメーカーらしさが、JPEGで撮ることで透けて見えてくるのである。
「X-H2」を使ってオートで撮影。オートホワイトバランスは白色を正確な白色として再現するために設けられているが、さまざまな光源に対応できるように、各メーカーとも最新の画像処理エンジンを駆使して、その精度を高めてきた。この白い雲の色合いひとつ取っても、使用するカメラの技術力が大きく反映されているのだ
X-H2、XF16-55mm F2.8 R LM WR、38mm(56mm相当)、プログラムオート、F8、1/950秒、ISO125、-0.7EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA
撮影写真(7728×5152、15.0MB)
JPEG撮って出しだからといって、何もそのままカメラの指示どおりに撮る必要はない。
たとえば、風景を撮るから仕上がり設定を絶対「風景」にしなければいけないわけではないし、ホワイトバランスも晴天時であっても「曇天」や「蛍光灯」を利用してよいのだ。そこから詳細設定でトーンを自分好みに寄せることもできる。つまり、メーカーによって生み出される絵作りの機能に対し、自分のスパイスを個々に加えていくことができるのだ。
「Z 8」で撮影。曇り空の下での撮影だったが、ホワイトバランスを白色蛍光灯(約4200K)に設定してみた。青みが増したことで、どこか寒々しい印象に仕上がっている
Z 8、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、70mm、絞り優先オート、F5.6、1/80秒、ISO400、ホワイトバランス:白色蛍光灯、ピクチャーコントロール:スタンダード
撮影写真(8256×5504、22.1MB)
撮影のワークフローとしては、もちろんRAWで撮って撮影後にトーンをじっくり吟味する方法もある。純正のRAW現像ソフトを使えば、カメラで設定できる機能の多くを改めて適用することが可能だ。
しかし、撮って出しで仕上げる場合、当然ながら仕上がりイメージがしっかり頭の中に入っていないと撮影できないし、実際にそれを反映させながら撮影を行うことになる。“何となく撮る”ということが激減し、最終的な仕上がりを念頭に置きながら、より集中して被写体に向き合うことが可能になる。好みのトーンに合わせて被写体を見つけ出せる機会も増える。RAWで撮って後で自分好みに仕上げるよりも、緊張感も変わってくる。この緊張感が作品性を高めてくれるのもJPEG撮って出しで撮る魅力のひとつだろう。
最終的な仕上りを反映しながら撮ったほうがよい代表的なものがモノクロだ。撮影後にモノクロにするよりも、撮影時にビシッと好みのモノクロに合わせておくことで、撮影がより軽快に行える
LUMIX G9PROII、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35/F2.8 ASPH./ POWER O.I.S.、35mm(70mm相当)、プログラムオート、F13、1/400秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、フォトスタイル:LEICAモノクローム
撮影写真(5776×4336、13.4MB)
撮影後に自分好みに画像を編集していく作業がRAW現像とするならば、JPEG撮って出しは、カメラ内でこの作業を完結させることを意味する。自分好みの完成度の高いJPEG画像を作り出すには、撮影時の設定をより細かく行う必要がある。このときうまく活用したいのがカスタム機能だ。お気に入りの設定をカスタム登録しておくことで、シーンに応じて簡単に好みの設定値をすぐに呼び戻して撮影できる。
「X-H2」は撮影ダイヤルにカスタムモードが7つも搭載され、設定できるようになっている。もはや、どんどんカスタマイズして使ってほしい! という意志表示にしか見えない
作例を見ていく前に、今回使用したカメラの特徴を紹介しておこう。撮像素子のサイズに応じて3機種のミラーレスカメラで撮り下ろした。
「Z 8」は、ニコン「Zシリーズ」のフラグシップモデル「Z 9」の基本性能を継承しつつ、体積比で約30%の小型化に成功したフルサイズ機。「Z 9」と同様、有効4571万画素の撮像素子と画像処理エンジン「EXPEED7」を搭載している。シャッター方式はメカシャッターレスで電子シャッターのみ。AF性能にすぐれるうえ、フル画素でのAF・AE追従連写は最高約20コマ/秒に対応している。約11メガピクセル時は最高約120コマ/秒の超高速連写が可能だ。基本的に“瞬間を逃さない”設計だが、さまざまな撮影に柔軟に対応する高い機動力が大きな魅力の1台だ。
サイズは約144(幅)×118.5(高さ)×83(奥行)mmで、重量は約910g(バッテリー、カードを含む)。「Z 9」と同じ、常に被写体の動きが表示・更新される「Real-Live Viewfinder」対応の電子ビューファインダー(EVF)を搭載するなどニコンらしい操作性にこだわったハイスペックモデルだ。動画撮影もすぐれていて、8.3K/60p記録や4K UHD/120p記録に対応している
「X-H2」は、富士フイルムのAPS-Cミラーレス「Xシリーズ」のフラグシップモデルの1台。APS-Cミラーレスとしては最高画素数(2023年12月25日時点)となる有効約4020万画素の裏面照射型「X-Trans CMOS HR」センサーと画像処理エンジン「X-Processor 5」を搭載する。動画は8K/30p記録に対応し、写真と動画の両方がハイスペックなモデルだ。ボディ内手ブレ補正の効果は最高7段分。すぐれた被写体検出機能も魅力的で、人物に加え、動物や乗り物全般と、さまざまな被写体をしっかり捕捉してピントを合わせてくれる。
サイズは約136.3(幅)×92.9(高さ)×84.6(奥行)mmで、重量は約660g(バッテリー、カードを含む)。約576万ドット/倍率0.80倍(35mm判換算)の高品位なEVFを搭載している。大型のグリップや大きなサブ液晶モニターを備えるのも特徴で、操作性にもこだわった1台だ
「LUMIX G9PROII」は、パナソニックのマイクロフォーサーズ機「LUMIX G」シリーズのフラッグシップモデル。2023年10月末に発売されたばかりの最新モデルだ。「LUMIX G」シリーズとしては初めて像面位相差AFを搭載し、AFの高速性が増した。有効画素数は2521万画素。ライカとの共同開発による最新世代の「ヴィーナスエンジン」を搭載し、常用感度はISO100から利用可能だ。ボディ内手ブレ補正の性能も高く、最高8段分の効果を発揮する。後述するが、仕上がり設定の「フォトスタイル」には新たに「LEICAモノクローム」モードが搭載され、モノクロは5種類から選択できるようになった。
サイズは約134.3(幅)×102.3(高さ)×90.1(奥行)mmで、重量は約658g(バッテリー、カードを含む)。軽量かつ耐久性のあるマグネシウム合金フレームを採用している。シャッターボタン周辺にWBボタン、ISOボタン、露出補正ボタンが直線的にわかりやすく配置されているのが特徴的だ
JPEG撮って出しで撮影する際に、まず意識したいのが仕上がり設定とホワイトバランスだ。
仕上がり設定は各メーカーで名称が異なっていて、今回扱うメーカーで言えば、ニコンは「ピクチャーコントロール」、富士フイルムは「フィルムシミュレーション」、パナソニックは「フォトスタイル」。仕上がり設定には、その名のとおり絵作りの異なる複数のモードが用意されていて、それぞれのモードでコントラストや彩度、シャープネスなどの項目の詳細を設定することも可能だ。
ホワイトバランスは、オートのほかに、光源に合わせた設定が用意されていて、主にA(アンバー)/B(ブルー)軸、G(グリーン)/M(マゼンタ)軸で色合いを微調整できる。
仕上がり設定とホワイトバランス以外では、白とびや黒つぶれを抑制し、階調を補正してくれるダイナミックレンジ補正機能も、狙った絵作りに合わせて調整してみよう。ただし、調整幅をあまり大きく(強く)すると、ノイズが生じるので注意したい。
「Z 8」の「ピクチャーコントロール」内の詳細設定画面。個々の項目内でコントラストや彩度、色相、明瞭度などを細かく数値で調整できる
「X-H2」のホワイトバランスの詳細設定画面。これはオート(雰囲気優先)内で作業しているところだが、このようにオート時でも詳細設定で色に個性を持たせることができる
周辺光量に関わる機能もうまく調整してみたい。これは「LUMIX G9PROII」のメニュー画面だが、周辺光量補正をオフにすることで、絞りを開いた際や広角域を利用した際などに、画面周辺部の光量を落とすことができる。画面中心付近に配置した主題を目立たせたいときなどに効果的だ
JPEG撮って出しの際にカメラ内でやっておきたい設定は、RAW現像時にひんぱんに調整している項目を参考にしてみるといいだろう。RAW現像でトーンカーブを調整することが多いのであれば、露出やコントラストを事前に設定しておきたいし、色温度の数値をブルー側に振ることが多いのであれば、ホワイトバランスを自分好みのブルートーンにしておくとよい。
では、具体的にJPEG撮って出しの作例と、筆者おすすめの設定値を見ていこう。まずは、「Z 8」から。東京・上野でスナップ撮影を行った。
「Z 8」のJPEG撮って出しの描写は、仕上がり設定の「ピクチャーコントロール」が大きく影響する。各モードで内容を細かく調整できるのだが、ニコンの場合、シャープネスの表現域が広いのが特徴。「輪郭強調」や「明瞭度」に加え、「ミドルレンジシャープ」という中間域に対するシャープネスの調整が可能で、被写体に応じてより自然な見え方を模索できるようになっている。
また、「ピクチャーコントロール」の詳細を設定した場合、「カスタムピクチャーコントロール」に登録して利用できるのが便利。利用頻度の高い組み合わせに対しては、「iメニュー」から選択できる「撮影メニュー切り換え」もうまく活用してみたい。より素早く切り替えて適用できる。
ここでは上野を題材に樹木と動物を狙った。動物園の動物は、普通に撮っても面白いが、個々の動物をやや個性的なトーンで切り取った。こうした絵作りこそ、撮って出しが面白い!
「撮影メニュー切り換え」は「「iメニュー」から選択でき、A〜Dの4通りを記憶できる
●「Z 8」のおすすめカスタマイズ1
ピクチャーコントロール:風景(輪郭強調+4、ミドルレンジシャープ+2、明瞭度+1、コントラスト、-1、明るさ+1、色の濃さ+1、色合い+3)
ホワイトバランス:晴天(B:1、G:0.5)
●「Z 8」のおすすめカスタマイズ2
ピクチャーコントロール:SOMBER(適用度50、輪郭強調+2、ミドルレンジシャープ+2、明瞭度+1)
ホワイトバランス:曇天
ヴィネットコントロール:しない
●「Z 8」のおすすめカスタマイズ3
ピクチャーコントロール:PURE(適用度100、輪郭強調+2、ミドルレンジシャープ+1、明瞭度+0.5、コントラスト+1、色の濃さ+3)
ホワイトバランス:曇天
ヴィネットコントロール:しない
●「Z 8」のおすすめカスタマイズ4
ピクチャーコントロール:スタンダード(輪郭強調+5、ミドルレンジシャープ+3、明瞭度+2、コントラスト+1、明るさ−1、色の濃さ、-3、色合い−2)
ホワイトバランス:白色蛍光灯
「Z 8」のようなフラグシップのフルサイズ機はとても万能なので、JPEG撮って出しもより高画質に撮影したくなるというもの(APS-C機やマイクロフォーサーズ機でも十分に高画質に撮れるが、さらにその上を目指す写欲がいっそう刺激されるという意味で)。
おすすめカスタマイズ1は、樹木の葉っぱをより清々しい色合いで撮るための設定。深い緑色を演出するために、ピクチャーコントロールを「風景」にし、「色合い」をプラス方向に調整。ホワイトバランスも青みと緑色が強調されるように微調整した。シャープネスもやや強めに設定している。
おすすめカスタマイズ2と3は、「クリエイティブピクチャーコントロール」(ピクチャーコントロールから選択できるモード)を適用したもの。この機能は個性的な色調で撮影したい時に効果的で、適用量を微調整できるのが大きな魅力だ。今回はより自然になじむようなトーンを狙って調整している。また、「ヴィネットコントロール(周辺光量補正)」も解除し、動物の存在感をより強調する絵作りにした。
おすすめカスタマイズ4は、室内での照明下で撮影するための設定。やや青みが強く出るように、かつコントラストを強めにして迫力のある絵作りを目指した。
Z 8、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、24mm、絞り優先オート、F8、1/25秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:風景、おすすめカスタマイズ1で撮影
撮影写真(8256×5504、36.7MB)
Z 8、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、24mm、絞り優先オート、F8、1/200秒、ISO100、-0.7EV、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:風景、おすすめカスタマイズ1で撮影
撮影写真(5504×8256、35.7MB)
Z 8、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、70mm、絞り優先オート、F2.8、1/200秒、ISO100、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:風景、おすすめカスタマイズ1で撮影
撮影写真(8256×5504、20.6MB)
Z 8、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、70mm、絞り優先オート、F2.8、1/2000秒、ISO100、-0.3EV、ホワイトバランス:曇天、ピクチャーコントロール:SOMBER、おすすめカスタマイズ2で撮影
撮影写真(8256×5504、14.8MB)
Z 8、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、70mm、絞り優先オート、F2.8、1/200秒、ISO100、+0.7EV、ホワイトバランス:曇天、ピクチャーコントロール:PURE、おすすめカスタマイズ3で撮影
撮影写真(8256×5504、13.9MB)
Z 8、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、70mm、絞り優先オート、F2.8、1/500秒、ISO100、+0.7EV、ホワイトバランス:曇天、ピクチャーコントロール:PURE、おすすめカスタマイズ3で撮影
撮影写真(5504×8256、14.5MB)
Z 8、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、70mm、プログラムオート、F2.8、1/80秒、ISO720、+0.7EV、ホワイトバランス:白色蛍光灯、ピクチャーコントロール:スタンダード、おすすめカスタマイズ4で撮影
撮影写真(8256×5504、18.3MB)
「X-H2」では朝方の渋谷を撮ってみた。
富士フイルムのカメラで絵作りを行う際に、軸となるのが「フィルムシミュレーション」だ。この機能に魅力を感じて富士フイルムのユーザーになる人もいるだろう。フィルムメーカーとしてこれまで培ってきたものをデジタルの絵作り機能にうまく落とし込んでいて、その内容は他メーカーとは一線を画す印象だ。
メニューには、明るさやコントラストの調整ができるトーンカーブなどが用意されているほか、粒状感を演出できる「グレイン・エフェクト」を併用することが可能。好みの「フィルムシミュレーション」と組み合わせて理想的なトーンを模索することができる。また、この設定をカスタム登録しておけば、被写体やシーンに応じてすぐにその組み合わせを呼び出して使用できる。
●「X-H2」のおすすめカスタマイズ1
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
ホワイトバランス:晴れ(R:4、B:-2)
グレイン・エフェクト:強
カラークローム・エフェクト:弱
カラークローム ブルー:強
トーンカーブ:ハイライト+0.5、シャドウ+0.5
●「X-H2」のおすすめカスタマイズ2
フィルムシミュレーション:PROVIA
ホワイトバランス: オート雰囲気優先(R:-3、B:0)
グレイン・エフェクト:強
カラークローム・エフェクト:弱
カラークローム ブルー:強
トーンカーブ:ハイライト+2、シャドウ+2
「フィルムシミュレーション」は「クラシッククローム」と標準的な「PROVIA」でセットしてみた。「クラシッククローム」は、発色を抑えた落ち着いた描写が魅力で個人的にとても気に入っているモードだ。2パターンともトーンカーブを調整し、ややコントラストを強めに設定している。ホワイトバランスに関しては、WBシフトで暖色系と寒色系で色のバリエーションを作っている。
「グレイン・エフェクト」は粒状感を加えられる機能で、「カラークローム・エフェクト」は飽和しがちな彩度の高い色情報を階調豊かに表現してくれる機能。「カラークローム ブルー」は青系の色情報を階調豊かに表現してくれるのが特徴だ。これらもうまく組み合わせながら“味のある描写”を目指した。
午前10時前後の渋谷。路地は人もまばら。「クラシッククローム」に赤みを加えることで、レトロ調に仕上げられる
X-H2、XF16-55mm F2.8 R LM WR、16mm(35mm判換算24mm相当)、プログラムAE、F5、1/220秒、ISO125、-0.7EV、ホワイトバランス:晴れ、フィルムシミュレーション:クラシッククローム、おすすめカスタマイズ1で撮影
X-H2、XF16-55mm F2.8 R LM WR、16.5mm(35mm判換算25mm相当)、プログラムAE、F4.5、1/1300秒、ISO125、-0.7EV、ホワイトバランス:晴れ、フィルムシミュレーション:クラシッククローム、おすすめカスタマイズ1で撮影
撮影写真(5152×7728、21.7MB)
X-H2、XF16-55mm F2.8 R LM WR、26mm(35mm判換算39mm相当)、プログラムAE、F7.1、1/180秒、ISO125、-0.3EV、ホワイトバランス:晴れ、フィルムシミュレーション:クラシッククローム、おすすめカスタマイズ1で撮影
撮影写真(5152×7728、21.5MB)
おすすめカスタマイズ2では、「フィルムシミュレーション」もホワイトバランスも標準的なものをあえて選んでいる。コントラストや色合いを微調整するだけで、雰囲気のある絵作りが可能だ
X-H2、XF16-55mm F2.8 R LM WR、55mm(83mm相当)、プログラムAE、F3.2、1/80秒、ISO250、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PROVIA、おすすめカスタマイズ2で撮影
撮影写真(5152×7728、22.5MB)
X-H2、XF16-55mm F2.8 R LM WR、17mm(26mm相当)、プログラムAE、F2.8、1/105秒、ISO125、-0.3EV、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PROVIA、おすすめカスタマイズ2で撮影
撮影写真(5152×7728、21.6MB)
X-H2、XF16-55mm F2.8 R LM WR、20mm(30mm相当)、絞り優先AE、F8、1/42秒、ISO125、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、フィルムシミュレーション:PROVIA、おすすめカスタマイズ2で撮影
撮影写真(5152×7728、21.5MB)
前述のとおり、「LUMIX G9PROII」はモノクロ表現に長けている。「フォトスタイル」には、ポートレートに最適な「L.モノクロームS」や、ハイライトとシャドウを強調したダイナミックな印象の「L.モノクロームD」など5種類もの中からモノクロを選択できて楽しい。
今回は銀座の街を「LEICAモノクローム」でスナップした。「LEICAモノクローム」は5つのモノクロモードの中で最も硬調に描写できるのが特徴だ。
「フォトスタイル」は個々に詳細設定が行えるため、さらに踏み込んで自分好みの描写にチャレンジできる。ホワイトバランスなどもうまく組み合わせながら、オリジナルの表現にチャレンジしてみよう。なお、「フォトスタイル」で詳細設定した項目は「MY PHOTO STYLE」に登録して利用できる。利用頻度の高いお気に入りはここに登録しておくのもいいだろう。
MY PHOTO STYLEの画面。「LUMIX G9PROII」でもカスタムモードを利用できるが、この機能は同じ項目の中で詳細設定を複数作ったときなどにもおすすめだ。10スタイルまで登録できる
●「LUMIX G9PROII」のおすすめカスタマイズ1
フォトスタイル:LEICAモノクローム(コントラスト+1、ハイライト+1、シャドウ-1、色調-1.5、粒状:中、シャープネス+0.5)
ホワイトバランス:オート
周辺光量補正:OFF
●「LUMIX G9PROII」のおすすめカスタマイズ2
フォトスタイル:L.クラシックネオ(コントラスト+1、ハイライト+1、シャドウ-1、彩度-1、色相-3、粒状:弱)
ホワイトバランス:曇天(A:2、M:1)
周辺光量補正:OFF
「LEICAモノクローム」は元から硬調だが、ここではさらにコントラストを上げ、粒状感も演出しながら力強い描写を狙った。モノクロは本当に奥が深く、詳細設定でさらにその深みにどっぷり浸かることができる。
また、カラー設定ではノスタルジックな印象の「L.クラシックネオ」を利用してみた。やわらかいトーンが特徴的だが、ややコントラストを強めに微調整しながら、自分好みのトーンに仕上げてみた。
いずれも周辺光量補正を解除し、意図的に周囲の光量が自然と落ちるように表現している(ただし、割に絞り込んでも撮っていたので、それほど効果は出ていない……あしからず)。
LUMIX G9PROII、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35/F2.8 ASPH./ POWER O.I.S.、12mm(24mm相当)、プログラムAE、F6.3、1/640秒、ISO100、-0.3EV、ホワイトバランス:オート、フォトスタイル:LEICAモノクローム、おすすめカスタマイズ1で撮影
撮影写真(5776×4336、14.3MB)
周囲を入れながら、カーブミラーの映り込みを撮影した
LUMIX G9PROII、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35/F2.8 ASPH./ POWER O.I.S.、12mm(24mm相当)、プログラムAE、F16、1/30秒、ISO100、-0.7EV、ホワイトバランス:オート、フォトスタイル:LEICAモノクローム、おすすめカスタマイズ1で撮影
撮影写真(5776×4336、14.8MB)
LUMIX G9PROII、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35/F2.8 ASPH./ POWER O.I.S.、12mm(24mm相当)、プログラムAE、F3.5、1/160秒、ISO100、-0.3EV、ホワイトバランス:オート、フォトスタイル:LEICAモノクローム、おすすめカスタマイズ1で撮影
撮影写真(4336×5776、14.6MB)
ここではカスタマイズ1を基準に、LEICAモノクロームの詳細設定をコントラスト+2、ハイライト+2.5、シャドウ-1、色調-1.5、粒状:中、シャープネス+0.5に変更して撮影。このようにシーンに応じて臨機応変に微調整しながら撮っていく
LUMIX G9PROII、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35/F2.8 ASPH./ POWER O.I.S.、14mm(28mm相当)、プログラムオート、F20、1/20秒、ISO100、-0.7EV、ホワイトバランス:オート、フォトスタイル:LEICAモノクローム、おすすめカスタマイズ1を基準に撮影
撮影写真(5776×4336、13.5MB)
LUMIX G9PROII、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35/F2.8 ASPH./ POWER O.I.S.、22mm(44mm相当)、プログラムAE、F10、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:曇天、フォトスタイル:L.クラシックネオ、おすすめカスタマイズ2で撮影
撮影写真(4336×5776、12.0MB)
LUMIX G9PROII、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35/F2.8 ASPH./ POWER O.I.S.、35mm(70mm相当)、プログラムAE、F2.8、1/80秒、ISO125、-0.7EV、ホワイトバランス:曇天、フォトスタイル:L.クラシックネオ、おすすめカスタマイズ2で撮影
撮影写真(4336×5776、11.7MB)
LUMIX G9PROII、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35/F2.8 ASPH./ POWER O.I.S.、33mm(66mm相当)、プログラムオート、F10、1/1000秒、ISO100、-1EV、ホワイトバランス:曇天、フォトスタイル:L.クラシックネオ、おすすめカスタマイズ2で撮影
撮影写真(4336×5776、10.7MB)
今回、撮像素子のサイズが異なる3種類のカメラを使い、それぞれにJPEG撮って出しの撮影スタイルを紹介した。当然ながら設定のパターンは無数にあり、ここではとても紹介しきれなかった。しかし、それは表現できる幅が広いことの裏返しでもある。JPEG撮って出しで撮っていると、自分で模索するのがとても楽しく感じられるし、「こんな色合いやトーンがあったのか!」という発見もある。
そうした意味では、JPEG撮って出しを実践していると写真がうまくなると言えるだろう。仮にRAW現像するのでも、精度の高いJPEG画像が残せれば、手数を省いて本番画像を仕上げられる。カメラの個性もよくわかってくるし、JPEG撮って出しはいいこと尽くめなのだ。
カメラはやはり奥が深い。JPEG撮って出しを通じて、より写真やカメラについての理解を深めてみたいと思う今日このごろだ。