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128GBモデルは半額に!? マイクロン ジャパンの担当者に直撃

レキサーがXQDメモリーカードを突然値下げした理由

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マイクロン ジャパンが2016年3月10日にXQDメモリーカードを大幅に値下げし、話題となった。値下げしたのは2月1日に発売した「Lexar Professional 2933x XQD 2.0カード」で、128GBモデルは44,680円から22,627円へ半額近くまで値下げされた(いずれも価格.com最安価格)。メーカーから詳しい発表はなく、突然の大幅値下げだったため、「マイクロンが日本市場から撤退するのではないか?」「XQDメモリーカードをやめるのではないか?」といぶかしがる人もいたほどだ。なぜマイクロン ジャパンは大胆な価格改定を行ったのか、同社の大木和彦氏に聞いた。

3月10日に突然値下げされたLexar Professional 2933x XQD 2.0カード。128GBモデルは半額近くまで価格が下がって話題となった

内外価格差をなくすためにグローバルプライシングを導入

価格.comマガジン:単刀直入にXQDメモリーカードを値下げしたのはなぜですか?

大木氏:これには深い思惑があります。まず私がマイクロンに入って、レキサーのマーケティングを担当したのが2014年1月で、その当時、日本市場の中でレキサーは存在感のないブランドでした。私自身、以前はサンディスクで7年近く働いていましたが、その間もレキサーの存在感は薄くなる一方でした。

そんなレキサーですが、現在、生き残っているメモリーカードをすべて製造・販売している唯一のメーカーと言っていいと思います。しかも、いずれも世界最速か最速レベルです。これは、もともと、サンディスクのポジションだったと思いますが、今はレキサーが、そのポジションにいます。カメラメーカーの多い日本国内でもっと高い評価を受けていいと思いますが、あまり評価されていません。

今回の価格改定にはいろいろな要素がありますが、まずは内外価格差が大きすぎるということがあります。ご存知かもしれませんが、高価格帯のメモリーカードは海外で購入したほうが安く、個人輸入している人も少なくありません。価格の差は昔からありましたが、円高から円安にふれたここ3年で、その差はどんどん広がっています。メモリーカードの平均容量は、日本が16GBなのに対し、米国は32GBという調査結果があります。日本のユーザーといえばハイスペック好きですが、メモリーカードの容量については米国の後塵を拝しています。これには内外価格差が大きく影響していると思います。

先日もユーザーから、「海外で購入したメモリーカードは保証してくれるのか」という相談をいただきました。また、真贋鑑定の依頼も1か月に1、2回はあります。なかには偽物を手にしてしまった人もいました。このような状況は、ユーザーにとっても我々メモリーカードメーカーにとってもよくありません。まずは内外価格差を減らして、安心して購入できる環境をつくらなければならないと考えました。そこで内外価格差を極力なくした、グローバルプライシングを導入することを決めたのです。

発売したばかりで、最初に購入されたお客様には申し訳ないと思っています。ニコンの「D5」や「D500」が発売された後だと、ユーザーを本当にだますことになってしまう。それだけはふせげたと思います。2枚、3枚と買い足していくときにメリットがあると、ご理解いただければと思います。

マイクロン ジャパンのコンシューマープロダクツ グループ ディレクター ジャパンセールスの大木和彦氏

マイクロン ジャパンのコンシューマープロダクツ グループ ディレクター ジャパンセールスの大木和彦氏

メモリーカードのせいでカメラが売れないという状況は不幸

価格.comマガジン:D5とD500の発売タイミングを狙ったということでしょうか?

大木氏:D5とD500、それにキヤノンの「EOS-1D X Mark II」の登場により、カメラとメモリーカードの関係が新しいステージに入ったと考えています。これまでもっとも高速だったCFカードが1年半で一番遅いメモリーカードになってしまいました。この新しいステージに進むときに、メモリーカードがそれを阻む要因になってはいけない。あるメモリーカードを使っているから、カメラが売れないという状況は不幸でしかありません。価格面が壁になっているのなら、それを取り除きましょうと。これが今回の価格戦略の原点であり、XQDメモリーカードのローンチのときから決めていました。

ご存知の通り、D5にはXQDモデルとCFモデルがあります。XQDモデルのほうが、連写が速いという単純な話ではありません。D5には400MB/秒でデータを吐き出せる能力があるのですから、それを使わない手はない。いいタイヤを選ばないと自動車のパフォーマンスが減衰してしまうという某タイヤメーカーのテレビCMがありますが、まさにそれと同じことです。

逆説的ですが、メモリーカードメーカーから言うと、価格が高いとか、読み書きが遅いとか、容量が足りないとか、メモリーカードのことを考えないことが美しい状態なのです。レキサーのXQDメモリーカードは、その状態を作り出せると思います。

ニコンと何かあると邪推されるかもしれませんが、そんなことはありません。私たちはCFastカードも手がけています。実は、SDメモリーカードなども安く提供できているので、ぜひそちらも見てもらいたい。

価格.comマガジン:値下げ幅が大きいですが、なにか指標があったのですか?

大木氏:カメラとメモリーカードの関係性にあります。歴史的にメモリーカードは、カメラの本体価格の8%の価格帯のものを購入すると言われています。以前は10%でしたが、最近は8%になっています。たとえば、300万円の自動車のオプションとして、30万円のナビはつけるかもしれませんが、60万円のタイヤだと躊躇してしまう。これと同じです。D500のボディの実勢価格は26万円前後で、128GBのXQDメモリーカードは24,000円前後です。15,000円前後の64GBを2枚購入してもいいでしょう。そんなところを意識しています。

XQDメモリーカードとCFastカードの規格争い

価格.comマガジン:今回の値下げの影響は?

大木氏:D500はまだ発売されていませんが、D500がヒットすれば、私たちのXQDメモリーカードも多くの人に手にしてもらえると思っています(D500は4月下旬発売予定)。この手の製品は、購入履歴がすべてです。一度買ってもらって、よかったらまた買ってもらえる。XQDメモリーカードを購入するのは、カメラユーザーのピラミッドの上の方々で、影響力のある人たちだと思います。その意味でもXQDメモリーカードは重要な製品です。今回の価格設定は、正攻法です。受け入れられなかったらしょうがないですが、間違いなく受け入れられると信じています。

価格.comマガジン:次世代のメモリーカードはXQDメモリーカードとCFastカードの2種類が本命視されていますが、この状況はどう見ていますか?

大木氏:私は以前、ソニーで働いていましたが、そのときにベータとVHSの規格争いを経験しています。規格争いはメーカーにとっても、ユーザーにとってもよいものではありませんが、キヤノンがCFastカード、ニコンがXQDメモリーカードという構図になっています。コンシューマーエレクトロニクス分野において、カメラは日本の最後の砦であり、断トツでナンバーワンです。私たちは米国企業の日本法人ですが、日本にはニコンもキヤノンもあり、日本語でコミュニケーションが取れます。XQDメモリーカードもCFastカードも手がけています。カメラメーカーの応援団長として、真のビジネスパートナーになれるように取り組んでいきたいと思っています。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

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