注目製品○×レビュー

ユーザー評価の高いフルサイズ一眼レフ「PENTAX K-1」の実力は本物か?

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実機を使ってみて「いいところ」と「気になるところ」をレポートする連載「注目製品○×レビュー」。今回は、2016年4月に発売になった、ペンタックス初の35mmフルサイズ対応のデジタル一眼レフ「PENTAX K-1」(以下、K-1)をピックアップ。ユーザーからの評価が高く、価格.comでのユーザーレビューの満足度では「4.83」という高い点数を獲得している製品だ(※5点満点の評価。2016年7月22日時点)。実写を通じて、その実力をチェックした。

※K-1の製品特徴は、新製品レポート『ペンタックス初のフルサイズ一眼レフカメラ「PENTAX K-1」詳細レポート』をご確認ください。

ペンタ部が特徴的なデザインのK-1。内蔵フラッシュは非搭載で、ボディサイズは約136.5(幅)×110(高さ)×85.5(奥行)mm(突起物を除く)と、フルサイズ一眼レフとしては比較的コンパクトにまとまっている。重量は約1010g(バッテリー、SDカード1枚含む)

描写力で定評のあるFA Limitedの広角レンズ「smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited」を装着したイメージ

描写力で定評のあるFA Limitedの広角レンズ「smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited」を装着したイメージ

○(いいところ)
ペンタックスらしい上質な画質を実現。フレキシブルモニターが使いやすい

・輪郭が細く、自然な色描写で上質な画質が得られる
・自由にアングルを変更できるフレキシブルモニターが使いやすい
・ホールド感は上々。シャッターフィーリングもいい
・オートフォーカス性能も期待以上

まずは、使ってみて好印象だったところをレポートしよう。

K-1は、ペンタックス初のフルサイズ一眼レフということで、特に画質への期待度が高いカメラだが、期待通りのペンタックスらしいクオリティを実現していると感じた。有効約3640万画素フルサイズCMOSセンサーを生かし、輪郭が細く無理にエッジを立たせていないところがいい。色描写も誇張が少なくナチュラルで、非常に上質な画質だと思う。ローパスフィルターレス仕様の高画素センサーなのでもう少し緻密さがほしいと感じるところもあるが、フルサイズ機らしくダイナミックレンジが広く、高感度の画質にもすぐれている。ペンタックスのデジタル一眼レフとして最高画質を実現しているのは間違いない。

また、シャープネスの設定だけをとってもノーマル/ファイン/エクストラとあり、画質に関する設定や機能が非常に多く、ユーザーが追い込めるのもペンタックスらしい特徴だ。センサーを1画素ピッチずつ動かしながら撮影することで高精細画像を生成する「リアル・レゾリューション・システム」や、被写体表面の滑らかさを調整して質感や明瞭感をコントロールする「明瞭コントロール」なども、画質をカスタマイズできるという点で面白い機能である。

「明瞭コントロール」「リアル・レゾリューション・システム」「肌色補正」といった画質に関する数多くの機能を搭載している

レンズ補正も充実。ディストーション補正、周辺光量補正、倍率色収差補正、回折補正を利用できる

レンズ補正も充実。ディストーション補正、周辺光量補正、倍率色収差補正、回折補正を利用できる

操作性では、上下左右に自由にアングルを変更できるフレキシブルモニターがとても使いやすい。光軸にそろえながら微妙な位置調整をできるのがポイントで、チルトモニターとは異なり、縦位置で撮影する場合にもモニターに角度を付けられるのが便利だった。2ダイヤル操作の「スマートファンクション」については、機能ダイヤルが少々かたくて回しにくい印象もあるが、慣れてくると露出補正や感度などの機能をダイレクトに切り替えて変更できるのが便利だと感じた。

自由にアングルを変えられるフレキシブルモニターが使いやすかった

自由にアングルを変えられるフレキシブルモニターが使いやすかった

スマートファンクションの機能ダイヤルは、使い込んでいくことで操作に慣れる機能ではないだろうか

スマートファンクションの機能ダイヤルは、使い込んでいくことで操作に慣れる機能ではないだろうか

暗いところでの操作を補助する「操作部アシストライト」を搭載するのもユニークなところ

暗いところでの操作を補助する「操作部アシストライト」を搭載するのもユニークなところ

防塵・防滴構造と-10度の耐寒保証を実現したボディはしっかりとした作りで、実にペンタックスらしい。持ったときのフィーリングがいいのも特徴で、グリップが非常ににぎりやすく、しっかりとホールドできる。シャッターフィーリングはペンタックスのAPS-C機と比べて軽くなり、ミラーショックも想像したよりも少ない。大きなミラーを使うフルサイズ一眼レフということで、もう少しバタつくかと思ったが、静かでキレのある動きだ。

さらに、オートフォーカスの合焦速度が速く、APS-C機の「K-3 II」よりも快適な撮影ができると感じた。コントラストの高いところに引っ張られる傾向はあるが、ピント精度も十分。ほかのフルサイズ一眼レフと比べると差はあるものの、オートフォーカス性能は大きく向上している。古いFAレンズでもオートフォーカス性能の向上を体感できるはずだ。さらに、ライブビューのオートフォーカスも十分な速度で、実用的だと感じた。自由に動かせるモニターが使いやすいこともあり、ライブビューに切り替えて撮影することも多かった。

しっかりとにぎってホールドできるグリップ

しっかりとにぎってホールドできるグリップ

クロップ機能では、どのレンズを装着してもフルサイズとAPS-Cの画角をユーザーが選択できるのが面白い

クロップ機能では、どのレンズを装着してもフルサイズとAPS-Cの画角をユーザーが選択できるのが面白い

APS-C用のスターレンズ「smc PENTAX-DA 55mmF1.4 SDM」を装着したイメージ。smc PENTAX-DA 55mmF1.4 SDMは高い性能を持つレンズで、フードをつけなければフルサイズの画角でもケラれることなく利用できる

×(気になるところ)
カメラ本体では気になるところはほとんどないが、大口径ズームレンズの描写が気になった

・フルサイズ対応の大口径ズームレンズ(広角ズーム、標準ズーム)の写りがもうひとつ
・オートフォーカスの測距点移動ボタンが押しにくい
・純正のRAW現像ソフトの機能強化を図ってほしい

K-1は、カメラ本体では大きなマイナスポイントはほとんど見当たらない。だが、使用したレンズでは少し気になるところがあった。K-1に適した、大口径のフルサイズ対応D FAズームレンズである「HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR」と「HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WR」の2本だ。

これら2本のレンズは、けっして写りが悪いというわけではないのだが、価格(いずれも15万円オーバー)とサイズ・重量(HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR は約1040g、HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRは787g)を考慮すると、もう少しインパクトのある描写力がほしかった。特に、標準ズームレンズのHD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRは、ボケ味はキレイなものの、他メーカーの最新の大口径・標準ズームレンズと比べると、画面全域での解像力と絞り開放での描写にもっとキレがほしい。なお、ズームレンズの中では、コンパクトな高倍率ズームレンズ「HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR」が期待以上にシャープな写りで好印象だった。

HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WRを装着したイメージ

HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WRを装着したイメージ

使い勝手では、十字ボタンの上にあるオートフォーカスの測距点移動ボタンがやや小さくて押しにくいのが気になった。使い始めは、測距点移動に切り替えたつもりで切り替わっていないことが多く、十字ボタンに割り当てられた機能を呼び出してしまうこともあった。コンパクトなボディに多くのボタンをレイアウトしているため難しいのかもしれないが、測距点をダイレクトに移動できるレバーがあってもよかったと思う。

オートフォーカスの測距点移動ボタンが小さくて押しにくい

オートフォーカスの測距点移動ボタンが小さくて押しにくい

このほか、カメラ本体とは別のことになるが、純正のRAW現像ソフト(現状ではDigital Camera Utility 5)の機能強化も図ってほしいところだ。できれば、明瞭度の設定などカメラ内RAW現像とまったく同じことができるようになってほしい。動作ももう少しスピーディーになると扱いやすくなる。

まとめ カメラとしての完成度は非常に高い。単焦点レンズの登場に期待

K-1は、ペンタックスらしい高画質を楽しめるフルサイズ一眼レフに仕上がっている。しっかりとした作りの堅牢ボディで、ホールド感もよく、撮影フィーリングにもすぐれる。5軸対応のボディ内手ぶれ補正機構を搭載するなど多機能なところもウリで、初のフルサイズ機として完成度が高く、文句のつけようのない内容だ。ユーザー評価の高さもうなずける、確かな実力を持つカメラである。

K-1の価格.com最安価格は22万円台(2016年7月22日時点)。同価格帯のフルサイズ一眼レフの中では、コストパフォーマンスは高い。フルサイズ機を待っていたペンタックスファンも多いと思うが、ファンであれば手に入れて損のないカメラではないだろうか。

ボディの仕上がりがいい分、気になったのはレンズだ。ペンタックスはこれまでAPS-C機に注力しており、レンズはデジタル設計のAPS-C用がほとんどであった。そのため、現状では、フルサイズ対応の純正レンズのラインアップは、大口径のズームレンズはひととおりそろっているものの、新しい単焦点レンズはまだ1本も追加されていない。期待したいのは、DA Limitedのようなコンパクトでシャープな写りのレンズだ。古いFAレンズの味わいを楽しむのもいいが、有効約3640万画素の高画素センサーの描写を存分に引き出す、ペンタックスらしいコンパクトで写りのいい単焦点レンズの登場を待ちたい。

製品 価格.com最安価格 備考
PENTAX K-1 ボディ 223,800 ペンタックス初の35mmフルサイズ対応のデジタル一眼レフカメラ
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2017.4.27 更新
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