注目製品○×レビュー

APS-Cデジタル一眼レフの最高峰! ニコン「D500」の動体撮影性能をチェックした

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「D500」は、2016年4月に発売になった、ニコン渾身の高性能デジタル一眼レフ。非常にハイレベルなオートフォーカス性能と連写性能を搭載した、DXフォーマット(約24mm×16mmのAPS-Cサイズの撮像素子を採用するフォーマット)の最上位機種だ。発売前から話題を集めていたが、発売後も高い人気をキープしており、2016年8月17日時点の価格.com「デジタル一眼カメラ」カテゴリーのランキングは、売れ筋ランキングが2位、注目ランキングが1位。ユーザーの評価も高く、ユーザーレビューの満足度は「4.90」だ(※5点満点の評価。2016年8月17日時点)。今回の連載「注目製品○×レビュー」では、動体撮影性能を中心に人気のD500の実力をチェックした。

人気の高性能デジタル一眼レフD500

人気の高性能デジタル一眼レフD500

○(いいところ)
圧倒的なオートフォーカス性能と連写性能を実現。画質もすばらしい仕上がり

・153点のオートフォーカスが非常に使いやすい。AF-Cの食いつきも向上
・約10コマ/秒の高速連写が持続するのは圧巻
・撮影フィーリングも上々。高速連写時でも安定したファインダー像を実現
・チルト可動式の3.2型タッチパネルモニターが使いやすい
・画質も期待以上。色再現性が向上し、高感度画質もよくなっている

D500の最大の魅力は、ニコンのAPS-Cデジタル一眼レフとして最高レベルとなるオートフォーカスシステムと高速連写を実現し、動体撮影に対して圧倒的な強さを誇ることだ。今回、野鳥や飛行機や電車といった動く被写体を中心に撮影してみたが、オートフォーカスと連写の性能の高さは、このカメラでしか得られないものだと強く感じた。

オートフォーカスは、「D5」と同じ153点(選択可能ポイント55点)のフォーカスポイントを持つ高性能なモジュールを搭載し、ファインダーの上下左右を広くカバー。左右は画面いっぱいまでフォーカスポイントが高密度に配置されているからすごい(しかも99点はクロスセンサー)。これにより、従来以上に画面の広いエリアでオートフォーカスが可能になり、動体撮影がさらにやりやすくなった。

153点すべてのフォーカスポイントを使い、ポイントを自動で切り替えて追尾する3D-トラッキングでは、画面をワイドに使って追尾できるようになり、構図の自由度が上がった。選択したフォーカスポイントとその上下左右のポイントを使って被写体を面でとらえるグループエリアAFでは、画面のすみのほうまでエリアを選択できるようになったうえ、フォーカスポイントが高密度化したことで小さな被写体でもピントが抜けにくくなった。153点ものフォーカスポイントが画面を広くカバーするようになったことで、従来以上に動体の動き方や位置にあわせたAFエリアモードの選択が可能になり、さらに使いやすくなった印象だ。

加えて、オートフォーカスの基本性能が向上していると感じたことも報告しておきたい。フォーカスポイントが多点化・高密度化したことも大きいのだろうが、AF-C時の被写体に対する食いつきがよくなっているうえ、ピントも外れにくくなっていると感じた。

153点(選択可能ポイント55点)のフォーカスポイントが画面を広くカバーする

153点(選択可能ポイント55点)のフォーカスポイントが画面を広くカバーする

連写性能については、XQDメモリーカードを使った場合、約10コマ/秒という高速連写が長く持続するのがすごい。14bitのロスレス圧縮RAW記録でもJPEG記録と変わらずに200コマまで連続して撮影できるという、APS-C機として最高となる連写持続性能を実現している。カメラによっては「連写優先のときはJPEGに切り替えて(場合によっては記録画質を落として)撮っている」という方も少なくないと思うが、D500であればそうしたことは不要だ。RAWでもJPEGと変わらないスペックで連写を続けられる。

さらに、連写時でもデータ処理時間が短く、連写を長く続けた後でもすぐに撮影を再開できるのもこのカメラの特徴。今回、XQDカードを使ってRAW+JPEG(FINE★)記録でのAF-C連写撮影を中心に行ったが、連写が持続するうえ、撮影後の待ち時間も少ないので、余裕を持って撮り続けることができた。とにかくレスポンスよく撮影を続けられるので、使っていてとても心地よかった。

レリーズモードをCH(高速連続撮影)にすると約10コマ/秒の高速連写が可能になる

レリーズモードをCH(高速連続撮影)にすると約10コマ/秒の高速連写が可能になる

XQDメモリーカードとSDメモリーカード(SDHC/SDXC UHS-II対応)のダブルカードスロットを採用。XQDカード使用時はRAW記録でも200コマまでの連続撮影が可能となっている

撮影フィーリングにすぐれるのもニコンのAPS-Cデジタル一眼レフのフラッグシップらしいところだ。新開発のミラー駆動機構を採用するなどして、高速連写時でも安定したファインダー像を実現。像消失時間も非常に短く、連写時でも被写体を追いやすかった。光学ファインダーで動体を撮影する楽しさを存分に味わえるカメラだ。また、レリーズのフィーリングも悪くない。シャッター音はややおとなしい感じで、軽くてキレがいいのが特徴だ。グリップは深くなり、従来以上にしっかりと握ってホールドできるようになった。

視野率約100%の光学ファインダーを採用。対角視野率約30.8度の広い視野角を実現した高性能ファインダーだ

視野率約100%の光学ファインダーを採用。対角視野率約30.8度の広い視野角を実現した高性能ファインダーだ

グリップは従来よりも深い形状になり、ホールド性が向上

グリップは従来よりも深い形状になり、ホールド性が向上

ボタンやダイヤルの操作性については、ニコンの上位機種を踏襲したものになる。感度ボタンが上面右肩のシャッターボタン近くに移動になるなどの変更はあったものの、ニコン上位機種を使ったことがある方であればスムーズに操作できるはずだ。背面のサブセレクターでフォーカスポイントをダイレクトに移動できるのも便利だ。また、プレビューボタンやFn1ボタンに任意のAFエリアモードを割り当てておけるので(正確には、割り当てたボタンを押している間、そのAFエリアモードを利用できる)、鳥などを撮影しているときに被写体が急に動いた場合でも、シングルポイントAFからグループエリアAFやオートエリアAFにすぐに切り替えて対応する、といったこともできる(※注意:3D-トラッキングは割り当てられない)。

感度ボタンが右肩のシャッターボタン付近に移動になった

感度ボタンが右肩のシャッターボタン付近に移動になった

ほかのニコンの上位機種と同様、ボディ左側面のマウント部付近にAFモードボタンを装備。このボタンを押しながらコマンドダイヤルを回すことでAFモード/AFエリアモードを変更できる

カスタムボタンの設定では、プレビューボタンやFn1ボタンなどに任意のAFエリアモードを割り当てられる

カスタムボタンの設定では、プレビューボタンやFn1ボタンなどに任意のAFエリアモードを割り当てられる

このほかの操作性では、チルト可動式の3.2型タッチパネルモニター(約236万ドット)が使いやすかった。少し引いてから動かせる3軸ヒンジ構造のチルト機構を採用しており、上方向に動かした場合に、ファインダーの接眼部がじゃまになってモニターが見にくいということがない。カメラを三脚に装着した場合に、下方向にスムーズに動かすこともできる。

チルト可動式の3.2型タッチパネルモニター(約236万ドット)を採用。3軸ヒンジ構造により、カメラを三脚に装着した状態でも下方向に動かしやすい

画質も期待以上の仕上がりだと感じた。2ページ目に掲載する実写作例と感度別作例をチェックしていただきたいが、ローパスフィルターレスの有効2088万画素センサーと最新の画像処理エンジン「EXPEED 5」の組み合わせで得られる画質は、非常にていねいな印象でバランスがいい。全体的に精細感が高まっているのも特徴だが、ホワイトバランスの精度が上がり、従来以上に色再現性がよくなっているのがポイントだと思う。さらに、高感度画質も向上。ニコンのAPS-Cデジタル一眼レフは高感度画質に定評があるが、D500では高感度でのノイズ処理能力と色再現性が向上しており、ISO6400あたりでも大きな劣化を感じない写真になる。動体撮影時は被写体の動きを止めるために感度を上げることが多くなるが、D500であれば積極的に高感度を使える。現時点ではAPS-Cデジタル一眼レフとしてもっとも高画質なカメラの1つだと思う。

×(気になるところ)
動体撮影を行ううえで気になるところはなかった。完ぺきに近い仕上がり

・APS-C一眼レフとしては比較的大きくて重いボディ(※動体撮影用としては問題のないサイズ感)
・ダイナミックAFの動作が変わっている点には注意
・性能向上により撮影枚数が増えるため予備バッテリーは必須

D500は、動体撮影用のAPS-Cデジタル一眼レフとして完璧に近いデジタル一眼レフに仕上がっている。使ってみて、これといった気になるところはなかった。

それでもあえて挙げるとすれば、147(幅)×115(高さ)×81(奥行)mmで約860g(バッテリーおよびXQDメモリーカードを含む、ボディキャップを除く)という、APS-Cデジタル一眼レフとしてはやや大きくて重いボディになっていることだろうか。だが、APS-C機として最高となる性能を持つことを考慮すれば納得がいくし、大きな望遠ズームレンズを装着した場合には、むしろ安定感が得られるボディだと感じた。スナップや旅行で気軽に使うカメラとしては大きめのボディだと思うが、動体撮影用に使う本格的なデジタル一眼レフとしてはちょうどいいサイズ感だと思う。

細かいところでは、25点/72点/153点を選択できるダイナミックAFの動作がこれまでとは少し異なるのを気にする方もいるかもしれない。選択した中央のフォーカスポイントの反応がよく、ポイントから被写体が外れた場合のリフォーカスが従来よりもすばやく行われる印象だ。本来ダイナミックAFは、選択したポイントから被写体が一時的に外れた場合にフォローするモードなので、狙ったポイントのレスポンスがよくなっているのは、1点で被写体を追いかけながら撮影する場合には都合がいい。3D-トラッキングとの使い分けもわかりやすくなったと思うが、複数のポイントを使うエリアAFのような感覚でダイナミックAFを使うとピントが抜けやすく感じるかもしれない。なお、ダイナミックAFの動作が気になるようなら、AFロックオンの設定で横切りへの反応を「鈍感」側にすることで、従来のようなフィーリングに近づけることができる。

AF-C時の追従特性を設定できるAFロックオンの画面。「横切りへの反応」では、カメラ前を横切る障害物へのオートフォーカスの反応を調整できる。「被写体の動き」は、「ランダム」が被写体の動きの速度が急激に変わる場合を、「スムーズ」がゆるやかな速度変化で動く場合を想定した設定となる

バッテリーについては、付属の対応バッテリー「EN-EL15」を使用した場合で、約1240コマ(CIPA規格準拠)の静止画撮影が可能となっている。十分なバッテリー性能ではあるが、連写が持続してコマ数が増えるため、動体撮影を続けていると1000コマくらいはあっという間に撮ってしまう。予備バッテリーは用意しておきたいところだ。なお、D500では付属品以外の古いEN-EL15(放電特性を変更する前のEN-EL15)を使用した際に、撮影可能コマ数が少なくなる現象が報告されている。ニコンからは、D500の購入者に対して、古いバッテリーを付属品と同等のバッテリー(放電特性を変更したバッテリー)に無償で交換することがアナウンスされている。

まとめ
期待を超える完成度。現時点でもっとも動体を撮影しやすいカメラ

D500は、ニコンが満を持してリリースしたDXフォーマットの新しいフラッグシップモデル。期待値の高いカメラだが、実際に使ってみて不満らしい不満を感じない、期待以上の実力を持つカメラだと実感した。153点の高性能オートフォーカス、持続する高速連写、見やすいファインダーを組み合わせた撮影は、APS-Cデジタル一眼レフの最高峰に位置している。現時点では、ニコン「D5」とキヤノン「EOS-1D X Mark II」のプロフェッショナル機は別にして、もっとも動体を撮影しやすいカメラではないだろうか(※2016年8月22日修正:記事公開時にD4と表記していましたがD5に修正しました)。

また、今回D500を使ってみて、ニコンの高性能デジタル一眼レフのフィーリングのよさをあらためて感じることができた。D500で光学ファインダーを覗きながらシャッターを切り続けたときに得られるフィーリングは非常に心地よく、撮影していて楽しさや喜びが得られるカメラに仕上がっている。

価格.com最安価格(2016年8月17日時点)は約20万円。性能を考慮するとコストパフォーマンスは高く、ニコンユーザーは間違いなく“買い”の1台だ。特に、名機「D300」シリーズを愛用してきた方に使っていただき、そのよさを実感してほしいモデルである。

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2017.9.23 更新
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