オリンパスのミラーレス一眼「OM-D」シリーズの新型フラッグシップ

シャッタースピード2秒でもブレない!? 話題の「OM-D E-M1 Mark II」のボディ内手ぶれ補正を試してみた

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オリンパスのミラーレス一眼カメラ「OM-D」シリーズの新しいフラッグシップ「OM-D E-M1 Mark II」(以下、E-M1 Mark II)が、従来モデルを大きく上回る高性能を実現したことで話題を集めている。AF/AE追従で最高約18コマ/秒の高速連写や、121点オールクロス像面位相差AFを採用したオートフォーカスシステムを搭載し、高速連写・高速AFで動体撮影に強いミラーレスとしてアピールしているが、今回のレビューは、ボディ内手ぶれ補正に注目。非常に高い補正能力を持っており、数秒の長秒撮影でも手ぶれを抑えられるという情報が出ているほどだ。実機を使って試写してみたので、その結果をレポートしよう。

※E-M1 Mark IIの特徴は製品発表時の新製品レポートをご確認ください。

E-M1 Mark IIのボディ内手ぶれ補正の効果は? 標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」を使ってテストしてみた

ボディ単体で最大5.5段分の手ぶれ補正効果を実現

オリンパスのデジタルカメラの大きな特徴となるのが、ボディ内の手ぶれ補正機構だ。ボディ内手ぶれ補正は、ぶれを打ち消す方向に撮像素子を微動させることで手ぶれを抑える技術で、装着するレンズによらずに効果を得られるのが特徴となる。オリンパスは、早い段階からデジタル一眼カメラにボディ内手ぶれ補正を搭載してきており、2012年3月発売の「OM-D E-M5」では、世界初となる5軸(ピッチ/ヨーの角度ぶれ、上下/左右の並進ぶれ、光軸の回転ぶれの5軸)での手ぶれ補正を実現。高い補正性能を実現するとともに、レンズ側の補正では対応できない回転ぶれを抑えられるのをウリとした。

OM-Dシリーズの新しいフラッグシップモデルとなるE-M1 Mark IIは、新型のボディ内5軸手ぶれ補正機構を搭載。補正アルゴリズムを最適化することで最大5.5段分という高い補正性能を実現している。今回のレビューでは試していないが、新登場の高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」を使った場合、ボディ内手ぶれ補正にレンズ内手ぶれ補正を協調させる「5軸シンクロ手ぶれ補正」によって、最大6.5段分の補正効果が得られるという。

ピッチ/ヨーの角度ぶれ、上下/左右の並進ぶれ、光軸の回転ぶれの5軸補正に対応

ピッチ/ヨーの角度ぶれ、上下/左右の並進ぶれ、光軸の回転ぶれの5軸補正に対応

長秒撮影時にも手ぶれを抑えて撮影ができる

驚かされるのは長秒撮影時の補正能力の高さだ。オリンパスのボディ内5軸手ぶれ補正を搭載するミラーレスでは、これまでも「1〜2秒のシャッタースピードで手持ち撮影しても手ぶれしない」というユーザーからの報告は目にしていたが、E-M1 Mark IIでは、「標準ズームレンズM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO使用時に広角端12mmにおいて2秒のシャッタースピードでも手ぶれを抑えられることがある」と、オリンパス自身が情報を出している(製品ページにもシャッタースピード2秒で手ぶれを画像が掲載されている)。海外では、オリンパス・マレーシアのロビン・ウォンさんが自身のブログで、シャッタースピード5秒で手ぶれのないサンプル写真を掲載し、E-M1 Mark IIの手ぶれ補正の性能をレポート。海外のレビューサイトの中には、15秒で手持ち撮影したサンプルを掲載しているものもあるほどだ。

1/8〜4秒のシャッタースピードでテスト

そうした情報からは、撮影状況にもよるが長秒撮影でも手ぶれをかなり抑えられることがうかがえる。実際の性能が気になるところで、今回、発売前にE-M1 Mark IIを試用することができたので、長秒撮影時にどのくらい手ぶれを抑えられるのかをテストしてみた。

テストは以下の設定・状況で行っている。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
被写体:遠景の夜景
焦点距離:広角端の12mm(35mm判換算で24mm相当の画角)
ドライブ:低振動モードの単写(初期設定0秒)
手ぶれ補正の設定:初期設定(手ぶれ補正:S-IS、連写中手ぶれ補正:連写速度優先、半押し中手ぶれ補正:オン)

撮影は、両足で立ってリラックスした状態で体を静止して行った。カメラは腹の前あたりの位置でホールドしている。1/8〜4秒のシャッタースピードの間で1段ずつシャッタースピードを遅くしながら、それぞれ10枚撮影。これを3回続けて(各シャッタースピードで計30枚の写真を撮って)、ピクセル等倍でチェックして手ぶれが気にならない成功写真の枚数をカウントし、成功写真の割合(※小数第2位を四捨五入)を算出した。

その結果は以下のとおり。

シャッタースピード 成功写真の割合
4秒 16.7%
2秒 30.0%
1秒 56.7%
1/2秒 83.3%
1/4秒 90.0%
1/8秒 96.7%

あくまでも遠景の夜景を被写体にした場合で、あらゆる撮影条件下でこの結果どおりになるわけではないが、今回のテストにおいては、シャッタースピード1秒では2枚撮れば1枚、2秒であれば数枚撮れば1枚は手ぶれが目立たない写真になった。シャッタースピード4秒でも6〜7枚撮れば1枚は成功するというのも驚異的だ。また、1/8〜1/2秒での成功写真の割合が高いことにも注目。従来以上に手ぶれ補正の安定感が増している印象を受けた。

シャッタースピード8秒でもテストしたが、普通に撮影した限りでは30枚のうち手ぶれが目立たないものは1枚もなかった。ただし、次項目以降で掲載する実写作例を見ていただきたいのだが、手すりに肘をついたり、壁に寄りかかるなど、より安定した姿勢で撮ることで4秒以上の長秒撮影でも手ぶれ補正効果を得ることが可能だ。今回試した限りでは、安定した姿勢が得られれば、成功率は落ちるものの6〜8秒のシャッタースピードでも手ぶれが気にならない写真を撮ることができた。

※以下に掲載する作例は、E-M1 Mark IIを使って JPEG形式で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。すべてJPEG形式の最高画質(ピクセルサイズ:Large/圧縮率:Super Fine)で撮影しています。なお、いずれの作例も、高感度ノイズ低減は「標準」、長秒時ノイズ低減は「オート」、シェーディング補正は「オフ」になります。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行なっていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

作例1 シャッタースピード3.2秒 焦点距離12mm ハイアングルで撮影

青枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、12mm(35mm判換算24mm)、ISO200、F8、3.2秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、10.7MB)

日没直後に、両足で立った状態で、両腕を思い切り上に伸ばしてハイアングルで撮影した。手ぶれが発生しやすいアングルだが、細かいところまでシャープに写せている。手すりに腕を置いたり、体を寄りかけることはしていない。同じアングルで1.6〜3.2秒のシャッタースピードで15枚撮影したが、そのうち4枚が手ぶれの気にならない写真に仕上がった。

作例2 シャッタースピード6秒 焦点距離12mm 手すりに両肘をついて撮影

青枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、12mm(35mm判換算24mm)、ISO200、F8、6秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、11.6MB)

作例1を撮影した後、さらに暗くなった状況で撮ったもの。手すりに両肘をついた状態でシャッタースピード6秒での撮影となったが、作例1と同じように手ぶれの気にならない写真になった。周辺部で目立ちやすい回転ぶれもよく抑えられている。4〜6秒のシャッタースピードで計20枚撮影したが、成功写真は4枚だった。

作例3 シャッタースピード8秒 焦点距離12mm 手すりに両手を乗せて撮影

赤枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、12mm(35mm判換算24mm)、ISO200、F8、8秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、10.9MB)

カメラをホールドした状態で、手すりの上にカメラを乗せて撮影した(カメラを直接乗せているわけではなく、ホールドした両手を乗せている)。作例2よりも安定した構えで撮っている。回転ぶれによるものなのか周辺が少し甘い描写になってしまったが、シャッタースピード8秒で撮ったことを考慮すると納得できる画質だ。成功写真は8枚中3枚。

作例4 シャッタースピード10秒 焦点距離12mm 手すりに寄りかかりながら撮影

青枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、12mm(35mm判換算24mm)、ISO200、F8、10秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、12.1MB)

この作例では、手すりに寄りかかりながら、手すりの上にカメラを乗せて撮っている(カメラをホールドした両手を乗せている)。回転ぶれも抑えられており、手ぶれの気にならない写真と言っていいだろう。成功写真は8枚中2枚だった。

作例5 シャッタースピード13秒 焦点距離12mm 手すりに寄りかかりながら撮影

赤枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、12mm(35mm判換算24mm)、ISO200、F8、13秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、10.4MB)

作例4と同様、手すりに寄りかかりながら撮影。作例4とは異なり、カメラを手すりの上に置いて手で固定するようにしてシャッターを切っている。13秒という長いシャッタースピードではあるが、カメラを固定して動きを抑えることによって手ぶれの目立たない写真を撮ることができた。成功写真は10枚中2枚。

作例6 シャッタースピード2秒 焦点距離12mm 近い距離の被写体を撮影

青枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、12mm(35mm判換算24mm)、ISO400、F2.8、2秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、9.93MB)

1mくらいの距離になる被写体をシャッタースピード2秒で手持ち撮影した作例。絞り値は開放F2.8。ややピントが甘くなってしまったが、手ぶれは十分に抑えられている。被写体との距離が近くなると、遠景を撮る場合よりも手ぶれが目立つため、上で掲載した作例のようにはいかない。それでもシャッタースピード2秒で撮れるのはすごい。この作例の成功率は15枚中2枚だった。

(参考)作例7 シャッタースピード1.3秒 焦点距離25mm

赤枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、25mm(35mm判換算50mm)、ISO200、F8、1.3秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、10.7MB)

この作例は焦点距離25mm(35mm判換算50mmの画角)で撮影している。手すりなどは使わずに、胸の前あたりでカメラを構えてシャッターを押した。細かいところまで精細に写っている。35mm判換算で標準域程度の画角であれば1〜2秒程度のスローシャッターでも手ぶれを抑えることが可能なようだ。この作例では多くのシャッターは切っておらず、2枚撮影して2枚とも手ぶれのない写真に仕上がった。

(参考)作例8 シャッタースピード1秒 焦点距離40mm

青枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、40mm(35mm判換算80mm)、ISO200、F8、1秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、11.1MB)

焦点距離40mm(35mm判換算80mmの画角)でもテストしてみた。手すりなどは使わずに、普通に構えて撮っている。シャッタースピードは1秒だが、画面全域でエッジの立つ描写が得られている。この作例では、1〜1.3秒のシャッタースピードで10枚撮影して3枚が手ぶれの気にならない写真になった。

(参考)作例9 シャッタースピード1/1.3秒 焦点距離150mm

青枠が等倍切り出し部分
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO、150mm(35mm判換算300mm)、ISO400、F5、1/1.3秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、JPEG
撮影写真(5184×3888、12.1MB)

大口径の望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」を使って150mm(35mm判換算300mmの画角)の焦点距離で試写してみた。シャッタースピードは1/1.3秒(0.77秒)。しっかりとホールドしながらカメラを手すりの上に置いて撮っている。1/1.3〜1.3秒程度のシャッタースピードで50枚ほどシャッターを切ってみて、手ぶれの目立たない写真は9枚だった。その中からもっともシャープに写ったものを掲載している。150mmで1秒程度となるとさすがに手ぶれを抑えるのはかなり難しくなり、現実的な使い方ではないが、カメラを固定した状態であれば撮れないことはないという印象だ。

まとめ 2〜3秒のシャッタースピードでも十分に手ぶれを抑えられる。期待を裏切らない進化

今回の試写の結果から、2〜3秒のシャッタースピードであっても、手ぶれしないことを意識して撮れば、通常の手持ち撮影であっても数枚中1枚は手ぶれを抑えた写真になるという印象を受けた。手すりに両肘をついた状態や寄りかかった状態など、より安定した姿勢で撮れば手ぶれのない写真の割合はさらに上がる。「安定した姿勢で」という条件付きではあるが、6〜8秒程度のシャッタースピードであっても数枚撮れば1枚はヒットした。驚異的な手ぶれ補正で、ここまで性能が高ければ、ビルの展望台など三脚の使用が禁止されている場所において、夜景の手持ち撮影でE-M1 Mark IIを活用してみたいと感じた。

残念ながら、5軸シンクロ手ぶれ補正対応のM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROは試用できなかったが、逆にボディ単体での補正効果の高さを示すことができたのではないだろうか。補正可能な範囲内の手ぶれであれば長秒時でも補正し続けてくれるので、普段の撮影で手ぶれすることが少ない方であれば、本レポートの結果よりももっと高い割合で手ぶれの目立たない写真を撮れるはずだ。また、今回は等倍表示でブレをチェックしたので、表示サイズやプリントサイズによっては、手ぶれが目立たない枚数はもっと多くなると思う。

ただし、今回の試写の結果は、焦点距離12mmで遠景の夜景を被写体に限定していることは考慮しておきたい。画角や被写体までの距離、構図、露出などによって、手ぶれの目立ち具合は変わってくる。シャッタースピードが長くなればなるほど、周辺部で回転ぶれが目立つ。人によっても手ぶれの許容範囲が異なっており、手ぶれ補正は絶対的なものではない。あくまでも撮影を補助するものである。

とはいえ、E-M1 Mark IIのボディ内手ぶれ補正の性能の高さは非常に魅力的だ。E-M1 Mark IIの最大のアピールポイントは高速連写・高速AFだが、手ぶれ補正も従来を上回る性能を実現している。高速連写・高速AFとあわせて、オリンパスのミラーレスの長所として期待を裏切らない進化となっている。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

製品 価格.com最安価格 備考
OM-D E-M1 Mark II ボディ 201,000 AF/AE追従で最高約18コマ/秒の高速連写を実現したミラーレス一眼カメラ
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2017.2.28 更新
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