写真がちょっと上手くなる女子カメラ教室

連載最終回! 「写真がちょっと上手くなる女子カメラ教室」総集編

第6回「雨の日ポートレート」
雨の日にしか撮れない写真がある!

梅雨の時期。写真を撮りに出かけたいのにずーっと雨。「濡れるのイヤだし、光が無いといい写真が撮れない!」と誰もが思いますよね。でも、雨の写真は雨の日にしか撮れないと考えてはどうでしょう? この回はポートレートということで人物と雨の組み合わせでしたが、例えば水滴、水たまり、結露だけを狙っても、晴れの日には撮れない面白い写真が撮れます。まずは気合を入れて出かけてみましょう。

写真9 1/100秒、F7.1、ISO100
ところどころ白いモヤがかかっているのは、レンズに雨粒が当たった部分。これぞ天然ソフトフォーカスフィルター(笑)

第7回「シャッタースピード」
ブレも静止もドーンと来い! コマーシャルフォトみたいな写真を撮っちゃおう

写真10 1/4000秒、F3.5、ISO1000
シャッタースピードを変えるだけで、普段は見えないこんな世界も撮れちゃいます。ミルククラウンの作り方(撮り方)は連載第7回で見てね!

写真は、極端に言えばレンズをとおして光を撮像素子(CCDやCMOSなど昔でいえばフィルムにあたる部分)に取り込むことでできあがります。その時に光をどのくらいの間口(絞り)から、どのくらいの時間(シャッタースピード)を撮像素子に取り込むかで露出が決まるわけです。シャッタースピードを速く設定すると、光が撮像素子にあたる時間は短くなって被写体の動きを止めることができ、遅く設定すると光が撮像素子に当たる時間は長くなってブレが表現できるようになります。

第7回では噴水の水をさまざまなシャッタースピードでテスト撮影し、その違いを詳しく説明していますので、ぜひご覧になってください。写真11は高速シャッター(オススメは1/250秒以上)で水しぶきを止めて撮影したものです。

写真11 1/250秒、F13、ISO400
水しぶきが高速シャッターによって静止され、臨場感あふれる演出効果となっています

逆に写真12は、スローシャッター(1/5秒)でブレを表現してみましたが、ブレてることで躍動感が感じられると思います。いずれもカメラのモード設定ダイヤルはシャッタースピード優先T(機種によってはTv)に合わせましょう。絞りは成り行きのカメラ任せで大丈夫。これまたカンタン! ただし、スローシャッターで撮る時は必ず三脚を使用してくださいね。

写真12 1/5秒、F10、ISO 400
被写体が動いていないといくらスローシャッターで撮ってもブレません(笑)。この時は手でドアを動かして撮りました

第8回「構図」
じつは、基本の構図があったんです!

第8回の掲載後「写真に基本の構図があるなんて知りませんでした」「写真の構図があんなにたくさんあるなんて!」などの声を多くいただきました(そんな中、「三分割法だけは知っていた」、もしくは「聞いたことがあった」という人も意外といらっしゃいました)。基本の構図というと、型にはまったつまらない写真になるんじゃないかと思われるかもしれませんが、天才ピカソだって初めからあのような絵を描いていたわけではなく、基礎がしっかりできていたからこそその先でキュビズムが生まれたわけですから、やはり基本は大事だと思います。とはいえ、数多くシャッターを切ることで身に付いていくので、大丈夫! また、必ずこのとおりにというのではなく、頭の片隅に覚えておくだけでいいのです。

基本の構図には、
・三分割法
・対角線構図
・三角形構図
・放射線構図
・シンメトリー(二分割法)
・サンドイッチ構図
・アルファベット構図(S字、C字など)
・日の丸構図
などがありましたね。この基本の8つの構図は第8回でじっくりご覧ください。ここでは本編に登場しなかったその他の構図を2つご紹介します。いったいいくつ基本構図があるんだ!?と思われるかもしれませんが、あと2つですのでお付き合いを……(笑)。

・視線誘導構図

視線誘導構図は、読んで字のごとく視線を誘導して見せる構図。ポイントとなる被写体(この場合は赤い車)を導線の先に置きます。そうすることによって見る人の視線が先のほうに動きます。人の視線は大きいものから小さいものへ、太いものから細いものへ移動する性質や、線や螺旋があるとそれを追う傾向があります。そのため、たとえ瞬間的にでも見る人を素通りさせずついじっくり見たくなるこのような見せ方は、実は写真に限ったことではなく、広告の文字やイラストなどにも使われているのです。

写真13 1/320秒、F13、ISO160

写真13 1/320秒、F13、ISO160

・パターン構図

同じ絵柄や、物が規則的に並んでいる様を撮る構図のこと。この構図で撮った写真だけをたくさん並べたら楽しいだろうなぁ。パターン化しているものを見るとなぜかシャッターを切りたくなるのは、私だけでしょうか……。

写真14 1/4秒、F8、ISO100<br>梅酒に使う梅を干しているところ。被写体は日常に転がっています

写真14 1/4秒、F8、ISO100
梅酒に使う梅を干しているところ。被写体は日常に転がっています

大事なのは、撮る前に基本構図をイメージすること。でも、意識しすぎると失敗します。なので、第8回本編のグリッドを使った写真例のイメージだけ頭に入れたら、あとは忘れて自由に撮りましょう!

第9回「夜景」
“三脚+絞り固定”でもう夜景は怖くない!

せっかく美しい夜景を写真に残そうと思って撮ってみたら、真っ暗にしか写ってなかった、またはブレブレのボケボケ。これではどうしようもありません。とりあえずプロの技や細かいことは先に置いといて、ますは以下の「夜景をカンタンに撮る方法」で撮ってみましょう。

その1 モードダイヤルを絞り優先モード「A」に合わせる。
その2 絞りはF8固定でOK!
その3 必ず、三脚を使う。

覚えるべきはこの3つ! あとはモニターでチェックしながら露出補正で微調整します(←実はこれ、大事なポイントです! 暗ければプラスへ、明るすぎたらマイナスへ!)。夜景撮影には「これが正解!」という適正露出ってないんです。だから最後は好みの問題。特に最近のデジカメは高性能なので、夜景撮影に関しての露出のストレスはほとんどないと言ってもいいくらい。キレイに写る許容範囲が広いのです。

ただ、ISO感度は画質を考えるとできるだけ低めがよいかもしれません。三脚を使っていればシャッタースピードも神経質にならなくて大丈夫(橋の上などの揺れそうな場所や、風の影響がある場合は別)。もし、光跡を撮りたい場合はそれこそISO感度を低く設定すれば必然的にスローシャッターになるので、車や船などライトを点けて動いているものと夜景を一緒に撮ってみてください。プロ並みの光跡写真が撮れますよ!

写真15 1.0 秒、F8、ISO1600、+2EV
工場の灯りは肉眼ではもっと暗かったのですが思い切って露出補正を+2にしたら、空の色まで明るくなって不思議な世界に。これをよしとするかいまひとつとするかは、好みの問題!

第10回「単焦点レンズとズームレンズ」
あなたのデジタル一眼カメラもいろんなレンズを付けてもらいたいはず!

単焦点レンズもズームレンズもそれぞれの役割があり、どちらがいいとか悪いとか比べられるものではありません。第10回では、次に揃えるレンズを悩んでいるかたへ、それぞれのレンズの特徴やメリットとデメリットを紹介しました。下記は結論としてまとめたものです。

ズームレンズ
<メリット>
・荷物がかさ張らない(本数が少なくて済む)
・レンズ交換の回数が少なくて済む
・自由に画角を決めることができ、被写体に近づけない時などにも便利
<デメリット>
・レンズが暗い(レンズ枚数が多いので光量面でのロス/減衰が避けられない)
・値段が高い(設計と機構が複雑で、レンズ枚数も多くなるため)
・高性能ズームレンズほど重量が重くなる(画質の補正・維持向上のためレンズ枚数が増える)
・一般的なズームレンズは一般的な単焦点レンズより画質が劣ることが多い(倍率とのトレードオフがある)

写真16 1/400秒、F7.1、ISO320
ズームレンズで寄れたおかげで撮れた1枚。自分が近づいていったら飛び立ってしまっただろうなぁ〜

単焦点レンズ
<メリット>
・ズームレンズに比べレンズが明るい
・画質がよい
・軽い
・いいズームレンズに比べ、いい単レンズのほうが比較的価格が安い
<デメリット>
・荷物が増える(レンズの本数が増えるため)
・レンズ交換の回数が増える
・適切な交換レンズが無い場合、被写体まで自力で近づかなくてはならない
・画角が固定されているので、微妙なフレーミング(撮影画角の調節)がしづらい

写真17 1/90秒、F5.0、ISO100
クモの巣のディテールが、立体感の中でよくわかります。背景をボカすために絞りをF5にして撮ったのですがここまでシャープなのは、単焦点レンズならではです

第11回「ホワイトバランス」
カンタンなのに凄い効果! 使い出したらクセになっちゃうこの機能

日常あまり意識することはないかもしれませんが、私たちは太陽光、蛍光灯光、電球光、などといったさまざま光源の下で過ごしています。じつはそれらすべての光源には色温度(ケルビン=Kという単位で表します)というものが存在していて、それぞれ数値が違うため、発色する色も違います。どんな光の中にいても人間の眼は白は白、赤は赤と判断できるのですが、カメラはそうはいきません。フィルムカメラの時代は、デイライトかタングステンの二択でフィルム側を調節するか、レンズの前に補正フィルターを付けるしかありませんでした。ですが、デジカメは光源が違っても肉眼で見た時の色と同じように補正する機能を持って登場しました。これがホワイトバランス(以下WB)機能。白いものは白く、赤いものは赤く、色被りなどがないようカメラが調整してくれる機能です。

下の図は色温度を表した図です。気付かれたかもしれませんが、色温度は時間や場所によっても変化します。これら全てをひっくるめて「AUTO WB」では自動補正してくれるというわけ。ホントにありがたい縁の下の力持ちといえる機能なのです。

たいていのデジカメのWBメニューには、AUTOのほかに5種類ぐらいの光源(太陽光、電球光、蛍光灯、曇り、日蔭など)に対応したモードがありますが、第11回では、そこをあえて別の光源モードで撮って固定観念をとっぱらった世界を表現してみましょうというのがテーマでした(たとえば、太陽光下なのにあえて日蔭モードで撮るなど)。下の写真18は、夕方寄りの色温度が低くなり始めた4000Kあたりの時間帯にあえて晴天モード7000Kにセットして撮ったもの。そこに思い切りプラス補正(+3)をかけたところ、青みがかり全体の色が抜けて、色あせたどこか懐かしい写真になりました。

写真18 1/160秒、F5.6、ISO200、+3EV
青春の1コマを表現するのには、こんなどこか懐かしい色合いもよいかもしれません

このほかにWB補正機能といって、もっと自由に色味を変えることのできる機能が付いたカメラもあります。それらは第11回本編にてくわしく紹介しているので、ぜひ挑戦していただけたらと思います。

連載のさいごに・・・

この1年、忘れてしまいがちな写真の基礎部分をあらためて振り返りながら、私自身も初心に戻らせていただいたように思います。写真は型にはめて撮るものではなく、自由でなければおもしろくありませんが、すべてが我流では表現に限界があります。基礎は基礎としてしっかり身に付ければ、そこからも新たなオリジナリティが生まれると確信しております。これからもどうぞ楽しく自由にステキな写真をたくさん撮ってくださいね。

皆様には1年間お付き合いいただき、本当にありがとうございました。そして、合計15,000を超える「いいね!」はとても励みになりました。心より感謝申し上げます。

なお、モノクロ写真にもご興味のある方は私のHP「http://www.akiko-sato.com/」を覗いてみてくださいね〜!

2016年11月 佐藤晶子

佐藤晶子
Writer
佐藤晶子
デジカメ普及の黎明期における専門誌での連載・ガイドブック監修など、早くからデジタル分野での仕事を手がける一方で、時間−空間−存在をテーマとした銀塩フィルムでの作品も多数。
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