Quattroセンサーの画質をチェック

シグマ初のミラーレス一眼カメラ「sd Quattro」レビュー【画質編】

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シグマ初のミラーレス一眼カメラとして話題を集めている「sd Quattro」シリーズ。2016年12月20日にAPS-Hサイズの大型センサーを搭載する「sd Quattro H」が登場しているが、今回は、7月に発売になったAPS-Cセンサー機「sd Quattro」を取り上げたい。画質編と操作性編に分けてレビューしよう。

sd Quattro(レンズは18-35mm F1.8 DC HSM)

sd Quattro(レンズは18-35mm F1.8 DC HSM)

1:1:4構造を採用したAPS-CサイズのQuattroセンサーを搭載

シグマのデジタルカメラは、画素ごとにRGBいずれかのカラーフィルターを搭載するベイヤー式センサーではなく、RGBの3層構造ですべての色情報を取り込むFoveonセンサーを一貫して採用している。Foveonセンサーの描写の特徴は、カラーフィルターを用いないため解像力が高く、クリアで抜けがいいこと。階調性にすぐれた良質なRAWデータが得られるのもポイントで、RAW現像によって豊かなグラデーションやトーンに仕上げられるのも特徴となっている。

sd Quattroに採用されているセンサーは、コンパクトデジカメ「dp Quattro」シリーズにも搭載された、通称Quattroセンサーと呼ばれる「Foveon X3センサー Quattro」だ。ミドルのG層とボトムのR層を約490万画素、トップのB層を約1960万画素にした「1:1:4」構造を採用したのが特徴。輝度情報はトップ、色情報はトップ・ミドル・ボトムの3層で取り込むことで、Foveonセンサーのよさはそのままに画像データ量を抑え、解像度とノイズ特性の向上を実現している。

生成される画像サイズは、センサーの性能を引き出すHIGH(約1960万画素、5424×3616)のほか、記録枚数を重視したLOW(約490万画素、2704×1808)とS-LOW(約210万画素、1920×1280)も用意されている。JPEG撮影もしくはRAW現像ソフト「SIGMA Photo Pro」でのRAW現像時には、より高解像度なS-HI(約3900万画素、7680×5120)を利用することもできる。

APS-CサイズのFoveon X3センサー Quattroを採用。マウントとセンサーの間には、ボディ内部へのホコリの侵入を防ぐダストプロテクターが装備されている。なお、ダストプロテクターは赤外線をカットする役割も兼ねている

HIGH/LOW/S-LOWの3種類に加えて、JPEG撮影時とRAW現像時にはより高解像度なS-HIも選択できる

HIGH/LOW/S-LOWの3種類に加えて、JPEG撮影時とRAW現像時にはより高解像度なS-HIも選択できる

RAW+JPEG記録にも対応している

RAW+JPEG記録にも対応

カラーモードは全11種類(スタンダード、 ビビッド、 ニュートラル、 ポートレート、 風景、シネマ、 サンセットレッド、 フォレストグリーン、 FOVクラシックブルー、 FOVクラシックイエロー、 モノクローム)

RAW現像ソフト「SIGMA Photo Pro」(Ver.6.5.0)の画面。各種パラメーターを細かく設定して仕上がりを調整できる

撮影機能では、SFD(Super Fine Detail)モードを新たに搭載。1回のレリーズで露出の異なる7枚の画像を取得し、専用のRAWデータ「X3Iファイル」として保存するモードだ。X3IファイルをSIGMA Photo Proで現像することでダイナミックレンジが広く低ノイズな画像を生成することが可能となっている。

7枚の画像を合成してディテールが繊細な写真を生成できるSFDモード

7枚の画像を合成してディテールが繊細な写真を生成できるSFDモード

実写作例

※以下に掲載する作例は、JEPG形式で撮影した画像、(JPEG撮って出し)、もしくは、RAW形式のデータをJPEG形式に変換した画像(SIGMA Photo Pro Ver.6.5.0を利用)になります。なお、JPEG形式で撮影した画像はいずれもトーンコントロール:弱(初期設定)の設定で撮っています。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行なっていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

ホワイトバランスを蛍光灯に設定し、色調をブルーに振って撮影。雲の間の光芒や反射する光が艶っぽい描写になっているのが印象的だ。シャドー側の階調も豊か
18-35mm F1.8 DC HSM、18mm(35mm判換算27mm)、ISO100、F8、1/500秒、ホワイトバランス:蛍光灯、カラーモード:ビビッド、JPEG
撮影写真(5424×3616、10.6MB)

絞り開放F1.8で撮影しているが、ピント位置では非常にキレのある描写になった
18-35mm F1.8 DC HSM、35mm(35mm判換算52mm)、ISO100、F1.8、1/1000秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:ビビッド、JPEG
撮影写真(5424×3616、10.1MB)

野鳥の観察小屋の中を撮影した1枚。強い外光が差し込む状況だが、その場の雰囲気がリアルに再現できている
18-35mm F1.8 DC HSM、18mm(35mm判換算27mm)、ISO160、F2.8、1/30秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:ビビッド、JPEG
撮影写真(5424×3616、10.2MB)

錆びついたレールを近接で撮影。落書きされた文字の部分に注目してほしい。剝がれかけたところなどディテールが細かく表現できている
18-35mm F1.8 DC HSM、18mm(35mm判換算27mm)、ISO100、F11、1/200秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:スタンダード、JPEG
撮影写真(5424×3616、11.0MB)

50-100mm F1.8 DC HSMを使って絞り開放F1.8で撮影。波打ち際のしぶきがリアリティのある描写になった
50-100mm F1.8 DC HSM、100mm(35mm判換算150mm)、ISO100、F1.8、1/4000秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:スタンダード、JPEG
撮影写真(5424×3616、10.5MB)

ガラス越しに夕暮れ時の街並みを撮ってみたが、細かいところまでしっかりと解像した。色合いも自然で夕暮れ時の雰囲気がうまく再現できてる
18-35mm F1.8 DC HSM、29mm(35mm判換算43mm)、ISO100、F8、1/160秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:スタンダード、JPEG
撮影写真(5424×3616、10.3MB)

こちらもガラス越しに撮影したもの。ガラスに映り込みが入ってしまったが、夕暮れ時の雰囲気を自然な色で表現できている
50-100mm F1.8 DC HSM、50mm(35mm判換算75mm)、ISO100、F8、1/125秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:スタンダード、JPEG
撮影写真(5424×3616、12.3MB)

カラーモードをFOVクラシックブルーに設定してSIGMA Photo Pro Ver.6.5.0でRAW現像した1枚。グラデーション部分がなめらかになるように、ノイズリダクションを活用している。輝度差のあるところのフリンジも気になったのでフリンジ除去も設定した
50-100mm F1.8 DC HSM、18mm(35mm判換算27mm)、ISO100、F8、1/500秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:FOVクラシックブルー、RAW(色ノイズ:0.50、輝度ノイズ0.50、フリンジ除去)
撮影写真(5424×3616、13.5MB)

雲の存在感を増し、建物の光の反射しているところのトーンを出すことを狙いに、RAW現像でアンダー気味に仕上げてみた。シグマのデジタルカメラで撮影したRAWデータは階調性にすぐれているので、全体のトーンの調整がやりやすい
18-35mm F1.8 DC HSM、23mm(35mm判換算34mm)、ISO100、F8、1/800秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:スタンダード、RAW(色ノイズ:0.50、輝度ノイズ0.25、フリンジ除去)
撮影写真(3616×5424、19.0MB)

SIGMA Photo Proで全体のコントラストを高めつつ、クリアな描写になるように調整した1枚。この作例ではノイズリダクションは使用していない
50-100mm F1.8 DC HSM、100mm(35mm判換算150mm)、ISO100、F1.8、1/4000秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:ビビッド、RAW(色ノイズ:0.00、輝度ノイズ0.00)
撮影写真(5424×3616、24.1MB)

ISO400くらいに感度が上がるとノイズ量が増える。SIGMA Photo Pro Ver.6.5.0はノイズリダクションの強度を5段階で設定できるが、この作例では色ノイズ・輝度ノイズともに4段階目(0.75)に設定し、RAW現像によってノイズを抑えた
18-35mm F1.8 DC HSM、18mm(35mm判換算27mm)、ISO400、F2、1/25秒、ホワイトバランス:オート、カラーモード:ビビッド、RAW(色ノイズ:0.75、輝度ノイズ0.75)
撮影写真(5424×3616、14.7MB)

画質レビュー

sd Quattroは、シグマのデジタルカメラらしく、細かいところの解像感にすぐれ、クリアで抜けのよい画質を実現している。階調性が高いのも特徴で、特に中間からシャドーにかけてのトーンの出方がいい。解像感については特にグラデーション部分で粒立ったような描写になるのが気になったが、光や水、金属などの質感を表現する力は非常に高い。描写力にすぐれたシグマ製レンズ(SAマウント用)のよさを引き出せる画質で、何気なく撮ったものでも印象的な写真に仕上げてくれるのがこのカメラの魅力だと感じた。

期待以上だったのがJPEG画像のクオリティだ。これまでFoveonセンサーに対しては「どうしても色かぶりすることがある」という印象を持っていたが、sd Quattroは違う。オートホワイトバランスの精度が高く、画像処理の精度も向上している印象。より自然な色で撮ることが可能で、JPEG撮って出しでも納得できる画質が得られる。細かいところで色むらが発生するのは気になるところだが、全体的な色調では気になるような癖はなくなったと言っていいだろう。

高感度はISO400あたりからカラーノイズが目立ち始める。ISO800だとやや階調性が失われるので、画質にこだわるのであればISO400が常用の上限だと感じた。ISO400であればRAW現像でノイズリダクションを設定することで、ノイズを抑えつつ画質劣化の少ない画像が得られる。APS-Cサイズのセンサーを搭載するデジカメとしては高感度に強いとは言えないが、このカメラの画質のよさを引き出すには、低感度に徹底して撮影したほうがいいだろう。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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2017.8.18 更新
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