ユーザーインターフェイスやオートフォーカスなどをレポート

シグマ初のミラーレス一眼カメラ「sd Quattro」レビュー【操作性編】

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「画質編」に続いて、APS-Cサイズのセンサーを搭載するシグマのミラーレス一眼「sd Quattro」のレビューをお届けしよう。今回は操作性編として、メニュー・ボタン類の使い勝手、ファインダーやオートフォーカスを使ってみて気になった点などをレポートする。

正面から見るとグリップ部が特徴的なデザインのsd Quattro

正面から見るとグリップ部が特徴的なデザインのsd Quattro

約162万ドットの3.0型液晶モニターを搭載するほか、中央やや右寄りに約236万ドットの電子ビューファインダーも装備されている

扱いやすいユーザーインターフェイスを採用

sd Quattroの操作性では、撮影に集中できる機能的なユーザーインターフェイスを採用しているのが特徴だ。前後2つのダイヤルを採用し、直感的な変更操作が可能。使用頻度の高い項目を集めたクイックセットメニューを呼び出すクイックセット(QS)ボタンをシャッターボタン周りに配置することで、ファインダーを覗きながらの操作がやりやすくなっている。さらに、ボディ上部にはボタン操作をロックできるLOCKスイッチを新設。誤操作を防ぐために追加された機能で、初期設定ではシャッターボタン、前後ダイヤル、モニター切り替えレバー以外の操作をロックするようになっている。サブモニター横のボタンの操作を有効にしたり、前後ダイヤルの機能を無効にするといった設定にすることも可能だ。

シャッターボタンの近くにクイックセット(QS)ボタンを装備。撮影をしながらスムーズにクイックセットメニューを呼び出せる。シャッターボタン周りにはボタン操作をロックするLOCKスイッチも備わっている

クイックセットメニューの画面。割り当てる機能を変更することが可能だ

クイックセットメニューの画面。割り当てる機能を変更することが可能だ

各撮影モードでの前後ダイヤルの割り当てをカスタマイズすることが可能。ダイヤルの操作方向を反転させることもできる

背面には、メインとサブの2つのモニターを搭載。サブモニターには撮影可能枚数やシャッタースピード、絞り値、バッテリー残量のほか、露出補正、感度、測光モード、撮影モードが表示される。便利なのは、露出補正/感度/測光モード/撮影モードの表示部の横にそれぞれの項目を呼び出すボタンが備わっていること。操作の導線がわかりやすく、直感的に扱うことができる。

さらに背面には切り替えレバーつきのAF/AELボタンも装備。AF/AELボタンは機能のカスタマイズが可能で、AFボタンを押すとオートフォーカスが動作するように設定することもできる。AFボタンにAF動作を設定し、シャッターボタン半押し時のAF動作をオフにすれば、いわゆる親指AFとしての使い方も可能となっている。

メインモニターの右にサブモニターを配置。サブモニターで撮影可能枚数、シャッタースピード、絞り値、バッテリー残量、露出補正、感度、測光モード、撮影モードを確認できる。右側のボタンを押すことで露出補正/感度/測光モード/撮影モードの変更を行える

背面にAF/AELボタンを装備。AFボタンにはフォーカスロック関連の機能(AFL、AEL+AFL、AFL押す間、AEL+AFL押す間)のほか、AF動作やLV拡大表示を割り当てられる。AEロックボタンにはAEロック関連の機能(AEL、AEL+AFL、AEL押す間、AEL+AFL押す間)とLV拡大表示を設定できる

マグネシウム合金製ボディのサイズは約147(幅)×95.1(高さ)×90.8(奥)mmで、重量は約625g(バッテリー、カードを除く)。防塵・防滴仕様も採用している。ミラーレス一眼としては大きくて重いボディだが、2つのダイヤルと機能的なユーザーインターフェイスを採用することで、操作しやすいカメラに仕上がっている。

ピントが合った位置を強調表示するフォーカスピーキング機能を搭載。表示の色は白、黒、赤、黄色から選べる

ピントが合った位置を強調表示するフォーカスピーキング機能を搭載。表示の色は白、黒、赤、黄色から選べる

電子ビューファインダーは見やすさとレスポンスにやや難あり

約236万ドットの電子ビューファインダーを搭載するのも大きな特徴だ。倍率約1.10倍の大きな見え方をするファインダーで、接眼部にコーティングを施した3枚のレンズを使用し、クリアな視認性を実現している。ファインダー内は背面の液晶モニターと同様に、各種設定値やグリッド線、水準器などを表示できるほか、拡大表示やフォーカスピーキング機能を利用することが可能。十分な機能を持つファインダーとなっている。

ただし、ファインダーの見やすさでは少々残念なところがある。撮影時のファインダーの見え方がもうひとつで、約236万ドットという高解像度なわりには精細感が低い。AF動作中は解像度が落ちるのも気になった。追従性も高くなく、けっしてレスポンスがいいファインダーとは言えない。明るい場所など背面モニターの視認性が確保できない場合にファインダーを使えるのは便利だが、まだまだ改善の余地があると感じた。

電子ビューファインダーの見え方はもうひとつ。ファインダーとモニターの表示は、ファインダー横のレバーで切り替えることが可能だ

精度は十分だがオートフォーカスの合焦速度はそれほど速くない

オートフォーカスシステムには、像面位相差検出とコントラスト検出の2つの方式を採用する。新たに像面位相差検出方式が追加され、AF性能が向上。コンティニュアスAFに対応するほか、フォーカスフレームは、9点のフレームから選択する「9点選択モード」とフレームを任意の位置に移動できる「自由移動モード」の選択が可能だ。フレームの大きさは3段階の調節が行える。人物の顔を検出したときに優先的にピント合わせを行う「顔優先AFモード」も搭載する。

基本的なことはひととおり行えるシステムではあるが、オートフォーカスの合焦速度については、他の最新のミラーレス一眼と比べると見劣りする。合焦精度が低いわけではないのだが、Artラインのレンズ(18-35mm F1.8 DC HSMと50-100mm F1.8 DC HSM)を使った限りでは合焦に時間がかかることが多く、ややストレスを感じた。

9点のフレームから選択する「9点選択モード」

9点のフレームから選択する「9点選択モード」

フレームを任意の位置に移動できる「自由移動モード」

フレームを任意の位置に移動できる「自由移動モード」

連写性能は最高3.6コマ/秒。コンパクトデジカメ「dp Quattroシリーズ」の約2倍となるDDRV高速大容量メモリーを搭載し、HIGHサイズのRAWデータで最大12コマまでの連続撮影が可能だ。RAWデータの容量が大きいため1枚撮影した後に数秒の書き込み時間が必要で、けっしてレスポンスにすぐれるわけではないが、バッファーの空きがあれば書き込み中でも撮影を続けることができる。連続して撮影をすると画像を表示するのに時間がかかるものの、撮影は続けられるためそれほどストレスは感じなかった。

このほか使っていて気になった点を2つ報告しておきたい。1つは、センサーに微細なゴミが付着するのが思っていた以上に多かったことだ。ダストプロテクターによって外部からのホコリの侵入を防ぐ構造になっているものの、実際にはカメラ内部から発生するであろうゴミがセンサーにつくことがある。ブロワーを使ってメンテナンスする際はダストプロテクターを取り外す必要があるのだが、ピンセットを使って慎重に外さなければならず、作業としては難しい内容になっている。ダストプロテクターはIRカットフィルターも兼ねており、万が一のときは故障につながるため、基本的にはユーザーが自ら作業しないほうがいい。取り扱い説明書にも「非常に慎重な作業が必要になりますので、極力、弊社営業所にクリーニングをお申し付けください」と書かれている。

もう1つは、カメラの温度に敏感なカメラであることだ。温度が上昇すると警告マークが表示され、さらに上昇すると電源がオフになってしまう。夏場に屋外で使っていた際には、撮影を続けていると強制的に電源が切れてしまうことがあった。

ダストプロテクターはしっかりと装着されており、取り外すにはピンセットを使って慎重に行う必要がある。センサークリーニングを行いたい場合はカスタマーサポートに依頼することが推奨されている

まとめ 画質重視で選びたいシグマらしい高画質ミラーレス一眼

sd Quattroは、前後ダイヤルや各種ボタンを使った操作性が充実しており、被写体にじっくりと向き合って1枚1枚をしっかりと撮っていくスタイルであれば、細かいところでの使いにくさを除いて使い勝手で大きな不満は感じないはずだ。とはいえ、最新のミラーレス一眼を使ったことがある人だと、電子ビューファインダーやオートフォーカスのレスポンスについて差を感じるだろうし、それらのマイナス点から「扱いにくいカメラだ」という感想を持つかもしれない。

極端に言えば、このsd Quattroは、カメラとしての総合力ではなく、画質をもっとも重視して選びたいモデルだ。「画質編」のレビューでも紹介したとおり、シグマらしいすぐれた解像感とクリアで抜けのよい画質は非常にクオリティが高い。レスポンスにはある程度目をつぶって、シグマのカメラでしか得られない高画質を、レンズを交換して味わえるのがこのカメラの醍醐味といえる。通好みなところはあるが、作品作りを行うカメラとして大きな魅力を持つ製品ではないだろうか。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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2017.6.26 更新
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