レビュー

オリンパスの新フラッグシップ「OM-D E-M1 Mark II」の動体撮影能力を検証した

2016年12月22日に発売になった、オリンパスのミラーレス一眼カメラ「OM-D」シリーズの新フラッグシップモデル「OM-D E-M1 Mark II」(以下、E-M1 Mark II)。前回は手ぶれ補正のレビューをお届けしたが、今回は、E-M1 Mark IIの最大の注目点である高速連写とオートフォーカスを取り上げる。オリンパスは高い動体撮影能力を持つミラーレスとしてこの新モデルをアピールしているが、実際はどうなのであろうか? 動物や電車などの動体を撮影して性能をチェックした。

連写やオートフォーカスの性能が向上したE-M1 Mark II

連写やオートフォーカスの性能が向上したE-M1 Mark II

グリップの形状が見直され、指の引っかかり具合がよくなった。右手でホールドした状態でカメラを持ち運ぶ際にも、引っかかりがあるため従来よりも安心感がある

最高約18コマ/秒のAF/AE追従連写を実現。AFは被写体の追従性能が進化

E-M1 Mark IIは多くの点で大幅な進化を遂げているが、その中でもっとも注目したいのが連写とオートフォーカスだ。特徴を簡単におさらいしておこう。

連写は、電子シャッター時にAF/AE追従で最高約18コマ/秒を実現したのがトピック。18コマ/秒というスピードは、現時点で、ファインダー内蔵型のレンズ交換式カメラとしてはAF/AE追従連写の最速値だ。

メカシャッター時のAF/AE追従連写は最高約10コマ/秒。10コマ/秒の連写時は、JPEG(Large/Normal)であればスペック上、カード容量いっぱいまで撮影を続けることが可能となっている。

さらに、新しい連写モード「プロキャプチャーモード」も大きな特徴だ。この新モードは、ファーストレリーズ(シャッターボタン半押し)で電子シャッターでの連続撮影とバッファーメモリーへの一時記録を開始し、セカンドレリーズ(全押し)でバッファー分も含めてSDカードへの記録を開始するというもの。ファーストレリーズからセカンドレリーズまでの間の画像は最大14コマまでさかのぼって記録することが可能だ。タイムラグを防いで撮りたい瞬間が記録できるのをウリにした機能となっている。

オートフォーカスは、像面位相差AF/コントラストAFのエリアが121点に増加したうえ、像面位相差AFは121点すべてが縦線/横線のクロス検出に対応。これにより被写体の捕捉性能が大きく向上したという。さらに動体追従アルゴリズムも一新し、被写体の追従性能も大幅に進化。オリンパスは、一眼レフの上位モデルにも負けない、本格的な動体撮影が可能なオートフォーカスシステムとして自信を見せている。

121点(11×11点)の像面位相差AFとコントラストAFを配置した新しい「DUAL FAST AF」を採用。測距エリアは画面の縦75%・横80%をカバー。像面位相差AFは121点すべてがクロスタイプとなっている

今回、E-M1 Mark IIに超望遠レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」を組み合わせて、新幹線や競走馬、野鳥といった動体を被写体にしてC-AF(コンティニュアスAF)での追従連写を試してみた。以下にその実写作例を掲載しよう。

作例1 連写速度:約18コマ/秒 被写体:新幹線

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO200、F7.1、1/800秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Normal)
撮影写真(5184×3888、4.71MB)

連写中の画像1(22コマ目、52コマ目)

連写中の画像1(22コマ目、52コマ目)

連写中の画像2(64コマ目、86コマ目)

連写中の画像2(64コマ目、86コマ目)

連写中の画像3(99コマ目、109コマ目)

連写中の画像3(99コマ目、109コマ目)

連写中の画像4(116コマ目、120コマ目)

連写中の画像4(116コマ目、120コマ目)

駅に進入してくる新幹線(E3系つばさ+E2系やまびこ)をM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROで追従撮影した作例。電子シャッターの静音撮影で18コマ/秒連写に設定し、AFターゲットモードは9点グループにした。C-AF追従感度は+1に設定している。

車両の先頭を追いかけながら連写が詰まるまで撮影を続けてみたが、120コマまで連写が持続(最後のほうは息切れして速度が遅くなった)。そのうちピントが甘いものは数コマのみという高いピント精度であった。それほど高速に侵入してくる状況ではなかったが、近づいてくる電車に対して確実にピントを合わせ続けてくれた。同じような状況で20回以上テストをしてみたが、いずれも結果は良好。追従精度は非常に高かった。なお、ローリングシャッター歪みは、被写体の動きに合わせてカメラをすばやく動かした際に数コマ発生した。

作例2 連写速度:10コマ/秒 被写体:競走馬

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO+MC-14、420mm(35mm判換算840mm)、ISO1250、F5.6、1/1600秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Normal)
撮影写真(5184×3888、4.87MB)

連写中の画像1(171コマ目、179コマ目)

連写中の画像1(171コマ目、179コマ目)

連写中の画像2(182コマ目、198コマ目)

連写中の画像2(182コマ目、198コマ目)

連写中の画像3(203コマ目、207コマ目)

連写中の画像3(203コマ目、207コマ目)

競走馬を10コマ/秒のメカシャッター連写で追従撮影した作例。M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROに1.4倍のテレコンバーター「MC-14」を組み合わせて、焦点距離420mm(35mm判換算840mmの画角)で撮っている。AFターゲットモードは5点グループに、C-AF追従感度は0(初期設定)のままとした。AFターゲットの位置は画面左側の中段あたり。連写は第4コーナーを曲がる途中から開始し、ゴール手前まで続けた。ここではコーナーを曲がってからの後半部分を掲載している。

直線に入ったときに競っていた3頭の一番手前の馬を狙って撮っているが、狙った位置にしっかりとピントが合ってくれた。ベストショットは207コマ目で、ゴール手前で競い合う様子をダイナミックに写すことができたと思う。この設定では時折ピントが抜けるコマがあったのが気になったが、420mmですばやく動く被写体を追従撮影していることを考慮すると納得できる範囲だった。同じシーンで設定を変えて何度か撮ってみたが、AFターゲットモードを9点にして、C-AF追従感度をマイナス側にして無駄なAF駆動をなくすことで、ピントの抜けを防ぐことができた。

なお、E-M1 Mark II は、UHS-IIカードを使用した場合、10コマ/秒連写でJEPG(Large/Normal)であればカード容量いっぱいまで連写を続けることができる。連写が詰まることを気にせずに連写できるのが大きなポイントだ。

画質面では、ISO1250まで感度が上がっているが、ノイズが少なく精細感の高い画像に仕上がった。高感度画質は従来よりも1段くらい向上している。

作例3 連写速度:10コマ/秒 被写体:競走馬

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO250、F4.5、1/1600秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Normal)
撮影写真(5184×3888、4.46MB)

連写中の画像1(2コマ目、50コマ目)

連写中の画像1(2コマ目、50コマ目)

連写中の画像2(96コマ目、133コマ目)

連写中の画像2(96コマ目、133コマ目)

連写中の画像3(152コマ目、156コマ目)

連写中の画像3(152コマ目、156コマ目)

こちらも10コマ/秒のAF/AE追従連写で、向かってくる競走馬を撮影したもの。第4コーナーを曲がったところから連写を開始し、ゴールするまで撮り続けた。この作例では、5点ターゲットに設定し、C-AF追従感度は+2とした。

およそ200コマほど撮影しているが、5点ターゲットで追い続けたこともあって、ややピントの甘いものが数枚あったが、後ろに抜けたものは1枚もなく、連写中は競走馬をしっかりと追いかけてピントを合わせてくれた。

作例4 プロキャプチャーモード 被写体:野鳥

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO1600、F4、1/3200秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Super Fine)
撮影写真(5184×3888、10.5MB)

連写中の画像1(7コマ目、8コマ目)

連写中の画像1(7コマ目、8コマ目)

連写中の画像2(9コマ目、10コマ目)

連写中の画像2(9コマ目、10コマ目)

連写中の画像3(11コマ目、12コマ目)

連写中の画像3(11コマ目、12コマ目)

連写中の画像4(13コマ目、14コマ目)

連写中の画像4(13コマ目、14コマ目)

連写中の画像5(15コマ目、16コマ目)

連写中の画像5(15コマ目、16コマ目)

プロキャプチャーモード(プロキャプチャーL、プリ連写枚数8コマ)を使って止まっている野鳥(ダイサギ)を撮影した作例。シャッターボタンを半押しした状態で鳥にカメラを向けながら、羽を広げた瞬間にシャッターボタンを全押しして撮っているが、鳥が飛び始めたところだけでなく、その前の飛ぼうとしている様子も収めることができた。プロキャプチャーモードは半押し状態でプリ連写を開始し、全押しした際にさかのぼって記録できるのが特徴で、鳥が飛び立つ瞬間など、動きを確認してからシャッターを押したのでは決定的瞬間が撮りにくい場合に便利な機能だ。なお、プロキャプチャーモードは、オリンパス製のマイクロフォーサイズレンズのみでの対応となっている。

画質に目を向けると、夕暮れ時に撮ったため感度がISO1600まで上がっているが、気になるようなノイズは発生していない。画質を重視する場合でもISO1600〜ISO3200程度までであれば十分に常用できると思う。

その他作例

18コマ/秒連写で撮影した1枚。オートホワイトバランスの精度が高く、朝の光の感じがうまく表現できている
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO200、F8、1/800秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Fine)
撮影写真(5184×3888、8.46MB)

こちらも18コマ/秒連写で撮影したもの。9点ターゲットを選択して右側の車両(E7系)にピントを合わせている
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO200、F5、1/1000秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Super Fine)
撮影写真(5184×3888、12.26MB)

18コマ/秒連写で競走馬を追従撮影した1枚
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO400、F4.5、1/1250秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Normal)
撮影写真(5184×3888、8.03MB)

RAW現像でコントラストやシャープネスなどを調整し、くっきりとコントラストの高い画像に仕上げた
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO+MC-14、420mm(35mm判換算840mm)、ISO320、F6.3、1/800秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、RAW
撮影写真(5184×3888、8.03MB)

夕暮れ時に感度ISO1600で撮影しているが、ノイズが少なくシャープな仕上がりになった。高感度でも階調が豊かなのもポイント
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO1600、F4、1/3200秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Super Fine)
撮影写真(5184×3888、10.87MB)

ISO4000の高感度で撮ったもの。やや階調性と精細感が落ちるものの十分なクオリティではないだろうか
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO4000、F4、1/3200秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、シャッタースピード優先、JPEG(Large/Super Fine)
撮影写真(5184×3888、11.43MB)

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