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“富士フイルム史上最高画質”を実現した中判ミラーレス「GFX 50S」のコンセプト、画質、操作性に迫る!

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着脱式のEVFを採用。チルトアダプターを使えば縦横に動かして使用できる

操作性では、着脱式の電子ビューファインダー(EVF)を採用したのもトピックだ。0.5型・約369万ドットの高精細な有機ELパネルを採用するほか、5枚のレンズ構成で0.85倍のファインダー倍率を実現。X-T2の約236万ドット・倍率0.77倍を上回る、高精細で大きな見え方のファインダーになっている。

約369万ドットの有機ELパネルを採用したEVF。倍率0.85倍の大きな見え方を実現している

約369万ドットの有機ELパネルを採用したEVF。倍率0.85倍の大きな見え方を実現している

EVFは着脱式で、ガイドレールにそって装着・取り外しが可能

EVFは着脱式で、ガイドレールにそって装着・取り外しが可能

さらに、別売のEVFチルトアダプター「EVF-TL1」を装着すると、縦方向(0〜90度/5段階)と横方向(±45度)に動かせるのも特徴。ウェストレベルや縦位置など、さまざまな構えでEVFを使用しやすくなっている。

別売のチルトアダプターを使えば、縦・横方向にEVFを動かすことができる

別売のチルトアダプターを使えば、縦・横方向にEVFを動かすことができる

AFシステムは、9×13の計117点/17×25の計425点の測距点を利用できるコントラストAFを採用。AF-S/AF-Cが用意され、シングルポイント、ゾーン、ワイド/トラッキングを組み合わせた6種類のAFモードを選択できる。

最大425点(17×25)の測距点を持つAFシステム

最大425点(17×25)の測距点を持つAFシステム

このほか、新機能としては、RGBと輝度のヒストグラムを表示可能なRGBヒストグラムや、奥行きのあるシーンで使いやすい3D電子水準器、Exifへの著作権情報の入力、再生画面上でボイスメモを録音できる機能、バッテリーの劣化状態をチェックできる機能などを搭載。無線LANも装備し、スマートフォン・タブレットからのリモート撮影や撮影した画像の閲覧・転送も行える。動画撮影は1920×1080/30p(29.97p)のフルハイビジョン記録に対応している。

RGBヒストグラム、3D電子水準器、著作権情報の入力、ボイスメモ、バッテリー劣化度などの新機能が備わっている

縦位置バッテリーグリップやマウントアダプターなども用意

別売アクセサリーでは、先に紹介したEVFチルトアダプターのほか、縦位置バッテリーグリップ「VG-GFX」も用意する。縦位置でホールドしたときに、横位置で撮影したときと同じ感覚で使えるようにグリップとシャッターボタンの位置が工夫されているのが特徴だ。

縦位置バッテリーグリップ「VG-GFX」を装着したイメージ

縦位置バッテリーグリップのVG-GFXを装着したイメージ

VG-GFXを装着してカメラを縦位置にした状態。縦位置で構えても横位置と同じような感覚でグリップして、シャッターボタンが押せるようにデザインされている

また、ハッセルブラッドと共同開発した中判カメラ「GX645AF」用の交換レンズ「SUPER EBC FUJINON HC レンズ」計9本とテレコンバーター1本をGFX 50Sに装着できるHマウントアダプター「H MOUNT ADAPTER G」も用意。マニュアルフォーカスになるものの、ボディのコマンドダイヤルで絞り値を変更することができる。さらに、レンズ側のレンズシャッターでの撮影も可能で、その場合、最高1/800秒の高速シンクロが可能。アダプターにあわせて利用する着脱式の三脚座も同梱されている。

さらに、「CM FUJINON」など往年のフジノン大判フィルムカメラ用レンズが使用できる4×5ビューカメラ用のアダプター「VIEW CAMERA ADAPTER G」も用意。ビューカメラのフィルムホルダー装填位置にGFX 50Sを装着するためのアダプターで、このアダプターを使うことで、GFX 50Sをデジタルバックとして使用し、ビューカメラの蛇腹機構を活用してのアオリ撮影が行える。シャッターはレンズ側、ボディ側ともに使用できる。

GX645AF用の交換レンズを装着できるH MOUNT ADAPTER G、GFX 50S を4×5ビューカメラのデジタルバックとして使用できるVIEW CAMERA ADAPTER Gも用意

このほか、カメラとパソコンをUSBケーブルで接続して使用するテザー撮影用ソフトとして、「HS-V5 for Windows」と「Tether Shooting Plug-in PRO for Adobe Photoshop Lightroom」を用意(いずれも別売)。RAW現像ソフトは「Adobe Photoshop Lightroom」(別売)が対応するほか、無償ダウンロードが可能な「RAW FILE CONVERTER EX 2.0 powered by SILKYPIX」も用意される。

テザー撮影用ソフトとRAW現像ソフトも用意されている

テザー撮影用ソフトとRAW現像ソフトも用意されている

新開発の「GFレンズ」は色収差を徹底的に抑制。3本がボディと同時発売

専用レンズとして用意されるのは新開発の「フジノンGFレンズ」(以下、GFレンズ)だ。計6本のレンズの開発が発表されているが、いずれも堅牢性を重視し、レンズのマウント部は真鍮で統一する。ボディと同様に防塵・防滴仕様で、-10度の耐低温構造も実現している。

光学設計では、色収差を抑えることに徹底的にこだわったのが特徴。通常、色収差は撮像素子のサイズに比例して大きくなる。撮像素子が大きくなればその分、色収差も大きくなるのだが、GFレンズでは、色収差の絶対量がAPS-Cフォーマットを採用するXシリーズ用の「XFレンズ」と同等になるように設計。非常に解像力にすぐれたレンズで、今後、撮像素子の画素数が1億画素に増えたとしても、それに耐えうる解像力を持つとしている。

GFX 50Sのボディと同時発売になるGFレンズは、標準レンズ「FUJINON GF63mmF2.8 R WR」、光学2倍のズームレンズ「FUJINON GF32-64mmF4 R LM WR」、マクロレンズ「FUJINON GF120mmF4 R LM OIS WR Macro」の3本となっている。

GFレンズは、色収差の絶対量がXFレンズと同様になるように設計されている

GFレンズは、色収差の絶対量がXFレンズと同様になるように設計されている

35mm判換算50mm相当の画角となるFUJINON GF63mmF2.8 R WR。レンズ構成はEDレンズ1枚を含む8群10枚。画質を重視し、大きなフォーカスユニットを採用している。価格は195,000円(税別)

35mm判換算で25〜51mm相当の画角をカバーするFUJINON GF32-64mmF4 R LM WR。レンズ構成は非球面レンズ3枚、スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ1枚を含11群14枚。AFレンズ駆動にはリニアモーターを採用する。価格は299,500円(税別)

FUJINON GF120mmF4 R LM OIS WR Macro は、35mm判換算95mm相当の画角となる最大撮影倍率0.5倍のマクロレンズ。レンズ構成はEDレンズ3枚を含9群14枚。フローティングフォーカス方式を採用し、マクロから遠景までシャープな描写を実現した。手ブレ補正機能も搭載する。価格は349,500円(税別)

2017年に発売が予定されている3本のGFレンズ

2017年に発売が予定されている3本のGFレンズ

まとめ
標準レンズとの組み合わせで100万を切る価格を実現。画質とコストの両面でプロ注目の高画質カメラ

富士フイルムがGFX 50Sを商品化した目的は本記事の冒頭でも紹介しているが、より高解像・高画質な求められるコマーシャル、ファッション、自然・風景などの撮影領域に対して最高画質のデジタルカメラを提供すること。過去に多くの中判フィルムカメラ・レンズを開発し、デジタルカメラではミラーレスにこだわってレンズ交換式カメラを開発してきた富士フイルムが、新しい高画質システムとして、35mmフルサイズを超える中判ミラーレスカメラという新ジャンルに目を向けたのは自然な流れと言っていい。「GFX 50Sは富士フイルム史上最高画質を実現した」とアピールしていることからも、圧倒的な画質力を持つカメラであることが想像される。

GFX 50Sのライバルとなるのは、ハッセルブラッドが商品化した世界初の中判ミラーレス「X1D-50c」だ。サイズや拡張性、機能などでそれぞれ特徴が異なるが、GFX 50Sはボディと標準レンズの組み合わせで100万円を切る価格設定になっており、価格面ではGFX 50Sが有利。中判デジタル一眼レフやデジタルバックを使用しているプロにとっては、画質とコストの両面で注目のカメラが登場したと言っていいだろう。発売は2月下旬が予定されている。ハイアマチュアユーザーにとっては憧れのカメラになるかもしれないが、富士フイルムが考える最高画質のカメラをぜひチェックしておきたいところだ。

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真柄利行(編集部)
Writer
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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三浦善弘(編集部)
Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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