今年度のマイナーチェンジで主要車種に標準装備化!

マツダの先進安全技術「i-ACTIVSENSE」体験レポート

このエントリーをはてなブックマークに追加

マツダは、2017年度中に、国内で販売されるクルマの主要な車種を対象に、先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」を標準搭載する。その「i-ACTIVSENSE」の記者向け体験会の様子を、レポートしよう。

マツダの主要な車種に標準搭載される先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を体験。マツダが考える、安全と運転の楽しさの両立を知る機会となった

自動ブレーキなど、「i-ACTIVSENSE」を支える4つの技術を体験

今年度のマツダ車の主要車種に標準搭載される先進安全技術「i-ACTIVSENSE」は、前方および後方の「衝突被害軽減ブレーキ」、AT車のペダルの踏み間違いを低減する「AT誤発進抑制制御」、車線変更時に、死角となる斜め後方に存在する車両を知らせる「BSM(ブラインド・スポット・モニタリング)」、駐車場などで後退時に横から近づく車両を検知して接触の危険を知らせる「RCTA(リア・クロス・トラフィック・アラート)」の4種類の技術からなる。搭載される車種は、「アテンザ」「アクセラ」「CX-5」「CX-3」「デミオ」の5車種で、「ロードスター」および「ロードスターRF」については、当面は上記のうち「BSM」と「RCTA」のみサポートされる。まずは、これら4つの技術について順番に解説しよう。

「i-ACTIVSENSE」は、「アテンザ」「アクセラ」「CX-5」「CX-3」「デミオ」の5車種に標準搭載される予定

「i-ACTIVSENSE」は、「アテンザ」「アクセラ」「CX-5」「CX-3」「デミオ」の5車種に標準搭載される予定

後退時のブレーキも対応した「衝突被害軽減ブレーキ」

クルマが衝突の危険があると判断した場合、強制的に停止するまでブレーキをかけるのがこの技術。従来モデルでも、前進時については対応していたが、今年度モデルに搭載される新バージョンは、後退時についても対応するようになった。

体験のため、時速約25kmで、歩行者に見立てた人形に突っ込んでみた。人形とはいえ、人型のものに突進するのは恐ろしい。目を背けたくなるのをこらえたら、衝突する直前、ダミー人形の約10m手前になって急激に強いブレーキがかかった。そのブレーキングは強く、シートベルトを使っていても大きく前のめりになるほどだ。なお、停止した時点のダミー人形と自車の間隔は70〜80cmほどだったが、前席からの眺めだとギリギリであった。

後退時については、時速10km以内の微速ではあったが、やはり障害物の直前になって強い制動力が加わり、ゴゴゴゴ!という音とともに停止した。こちらも停止した時点の障害物との距離は70〜80cm程度だった。

前進および後退の挙動から感じ取れるのは、ぎりぎりまで作動せず人間が運転する余地を残し、本当に危険な瞬間に介入を行うという思想だ。マツダは“走る歓び”をブランドコンセプトに掲げていることからもわかるように、「運転の主体は人間」という思想を強く感じられた。

衝突被害軽減ブレーキは、ぎりぎりのタイミングで強く作動するセッティング。運転を「歓び」と位置づけるマツダにとっては、自動運転の介入は最低限であることが望ましいのだろう

新たに加わった後退時の衝突被害軽減ブレーキも、同じくぎりぎりになって作動する。停止時の障害物との距離は、70~80cm程度だった

AT車のペダルの踏み間違いを低減する「AT誤発進抑制制御」

前述した衝突被害軽減ブレーキと似ているが、駐車場などから発進する際に、アクセルとブレーキを踏み間違えた際にクルマの動きを抑制するのがこの技術だ。なお、こちらも前進と後退の両方の動きに対応する。

その動作は、壁に面した状態で、間違えてアクセルを踏んでしまった場合、エンジンに制御が入り、前進なら車留めを乗り越えられない程度のパワーに制限される。車留めがない場合、アクセルを踏み続ければゆっくり前進を続け、前方に衝突するまで止まらない。いっぽう後退の場合、クルマは動かない。

前進時に、衝突する恐れがあっても走行を止めないのは、少し不思議だ。しかし、これもマツダが考える運転の価値観によるものだ。たとえば、前方のクルマが立ち往生して、自車が踏み切りの真ん中で取り残された場合を想定してみよう。その場合、多少無理をしてでも前進を続けないと、さらに悲惨な結果が起こりうるし、クルマがまったく動かないことで、ドライバーがパニックを起こすことも考えられる。つまり、本当に極限的な状況まで想定すれば、車がすべての動力を失わないことは、車を多少傷つけることよりも重要になってくるというわけだ。

AT誤発進抑制制御が作動すると、前進時では、車留めを乗り越えられない程度のパワーに制限される

AT誤発進抑制制御が作動すると、前進時では、車留めを乗り越えられない程度のパワーに制限される

AT誤発進抑制制御が動作すると、ヘッドアップディスプレイ上に赤い警告バーが現れる

AT誤発進抑制制御が動作すると、ヘッドアップディスプレイ上に赤い警告バーが現れる

死角となる斜め後方に存在する車両を知らせる「BSM」

車線変更の際など、サイドミラーや肉眼で確認したとしても、斜め後方の死角に隠れていた併走車の存在にヒヤリとさせられた経験のある方は決して少なくないだろう。そんな死角にいるクルマの存在を警告するのがBSMだ。BSMが動作すると、左右それぞれのサイドミラーにオレンジ色の小さな警告が点滅し、死角にクルマが存在することを教えてくれる。

写真のように、サイドミラーの死角になる斜め後方にクルマが侵入している際に、方向指示器で、車線変更の意思表示をした場合にBSMが作動する

サイドミラーの右端に少しだけ赤い併走車が見えるのがわかるだろうか。こうした場合に、ミラーの右上にオレンジの警告が現れ、ドライバーに注意を呼びかける

駐車場から後退するときに、人や車の存在を警告する「RCTA」

RCTAは、前述のBSMと似た、ドライバーの認知力を高めるための機能だ。駐車場に対して前向きに駐車したクルマを出す場合に、視界が制限される後方を横切ろうとするクルマや歩行者を感知して、BSMのように警告を発するというものだ。警告は、バックモニターの一部および、サイドミラーに現れる。

RCTAが作動すると、バックモニターの左右の下部2か所に、警告を促す「!」のマークが現れる

RCTAが作動すると、バックモニターの左右の下部2か所に、警告を促す「!」のマークが現れる

サイドミラーには何も映っていないが、警告が表示されている。この直後に後方をクルマが横切った

サイドミラーには何も映っていないが、警告が表示されている。この直後に後方をクルマが横切った

視界の動きを最小限にする「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」を体験

上記の「i-ACTIVSENSE」4技術とあわせて、最近のマツダ車に採用が進んでいるヘッドアップディスプレイ「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」も体験することができた。車載カメラが認識した道路標識を、アクティブ・ドライビング・ディスプレイがフロントガラスに投影するというもので、視線の動きを抑えつつ、安全な走行に必要な情報を表示するという効果が体験できた。

模擬コース上に設置された道路標識を、車載カメラが認識する。道路標識を超えた速度になった場合に警告が現れるようにも設定できる

アクティブ・ドライビング・ディスプレイは、ドライバーの視線の正面のやや下に表示される。視界をじゃませず安全運転に必要な情報が表示される

高齢者疑似体験スーツを着用して、最新マツダ車の操作性を体験

認知力や体力の衰えたシニアドライバーが原因の交通事故が近年増加している。今回の体験会では、高齢者疑似体験スーツを使ってシニアドライバーを擬似的に体験し、新旧のマツダ車の操作性を比較する試みも実施された。

スーツを着用した筆者。ゴーグルは視野角が100°くらいしかないうえに、黄色くにごっている。ジャケットは重さ4kgのおもりがつけられている。サポーターをつけたひざはほとんど曲がらない、靴は2kgほどの重さがあり、靴底も5cm以上の厚さがあり、自然とO脚で、やや前かがみの姿勢になる

最初に旧型「アクセラ」に試乗。膝がほとんど曲がらないので、クルマの乗り降り自体が大変。車内の動きも若い人のようにスムーズにはいかない

旧型「アクセラ」で、苦労したのが、アクセルとブレーキの踏み変えだ。ひざが固定されているうえに、ペダルがやや左に寄っているので、姿勢に無理があり、引っかかりや踏み間違えが起こりやすかった

ところが、現行型「アクセラ」に乗り換えたところ、ペダルの誤操作がかなり減った。これは、アクセルとブレーキの位置を右に20mmシフトしたことや、ペダルの支点が上にある吊り式ペダルから、支点を床に置いたオルガン式ペダルに変更されるなど、ボディ全体の設計変更によってもたらされたものだ

新世代のマツダ車はいずれも、シートとペダルの配置を見直し、人体に無理のない左右対称の姿勢をとりやすくなっている

体をひねって後方を確認しても、リアガラスの視界が十分に確保できないシニアドライバーにとって、バックモニターはかなりありがたいツールだった

マツダは、安全技術と運転の楽しみを両立するクルマを目指す

自動運転技術の究極形である完全自動運転技術が実現すれば、ドライバーの不注意で起こる事故は大幅に減るだろう。しかし、運転が好きな人にとっては明るい未来ではないし、“走る歓び”というスローガンを掲げるマツダにとっても望ましい姿ではない。今回体験した先進安全技術は、いずれも運転するのは人間で、機械が介入するのは最後の手段であるというマツダの思想が感じられるものだった。

また、現在進行中の高齢化社会に際し、筋力の衰えるシニアドライバーにとって、自然で無理のない姿勢で運転できることの重要性を確認できた点も収穫だった。シニアドライバーにとって、狭い車内で体をひねって後方を確認することはひと苦労だが、近頃のクルマでは珍しくないバックモニターもシニアドライバーには特に有効な装備だった。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
特別企画最新記事
特別企画記事一覧
2017.10.17 更新
ページトップへ戻る