2年に1度開催される、日本で最も大きな自動車ショーである「東京モーターショー」。今年、2017年は「第45回東京モーターショー」(以下、東京モーターショー2017)が開催される年だ。開催期間は、2017年10月27日〜11月5日の10日間。
東京モーターショー2017の出展社リストを見ると、国産車メーカーは全メーカーが出展予定だが、輸入車メーカーには抜けが見受けられる。メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンといったドイツ勢は出展するが、クライスラー、ジープ、フィアット、アルファロメオ、ジャガー、ランドローバーは不在と、輸入車メーカーの参加が少ないという状況だ。
だが、クルマ好きな日本人であれば、輸入車メーカーの参加が少ないといえども、東京モーターショーは大いに気になるイベントであるのは間違いない。そこで、まだ正式には発表されていないものの、国産車メーカーからどのようなクルマが出展されるのかを予想してみよう。
東京モーターショー2017で新型が登場するかも!?トヨタ「クラウンアスリート」(画像は現行モデル)
最近の国産車は、フルモデルチェンジを行う周期が長い。たとえば、トヨタ「エスティマ」のように現行車の発売から10年もの歳月を経ているにも関わらずフルモデルチェンジしない車種もあるが、クラウンは4〜5年でフルモデルチェンジを実施している。これはクラウンを乗り継ぐユーザーが多いためだが、日本の市場を大切に考えているという立派な側面も持っているといえる。
そして、東京モーターショー2017で発表されると噂の新型クラウンでは、クルマ造りそのものが全面的に刷新されると考えられる。
東京モーターショー2017で新型が登場するかも!?トヨタ「クラウンロイヤル」(画像は現行モデル)
現行クラウンは2012年に発売された14代目だが、プラットフォーム自体は2003年に発売された12代目(通称、ゼロクラウン)と共通のものを採用している。そこで、走行性能と乗り心地を向上させ、軽量化を達成するめに新型クラウンは大幅に造り替えられる可能性が高い。
エンジンは2リッター直列4気筒ターボと2.5リッターハイブリッドだろう。現行クラウンの2リッターターボは、スポーティーなアスリートのみの設定で、ロイヤルには2.5リッターのノーマルエンジンを搭載すると思われる。
開発者は、「ターボは3.5リッター並みの出力を発生するが、過給器のクセが少し強くロイヤルにはなじまない」と語っていた。新型クラウンは、そこを改善してロイヤルにも搭載する。
さらに、内外装の質感や居住性も向上するはずだが、基本路線は現行クラウンと同じで主に走行性能や乗り心地、燃費に力を入れるだろう。
もし東京モーターショー2017で発表されれば、最も話題になると考えられるトヨタ 新型「スープラ」。画像は、トヨタ 新型スープラのベースデザインになるのではと噂されているコンセプトカー「FT-1」
新型スープラは、期待度の高い上級Lサイズスポーツカーで、BMWとプラットフォームやエンジンを共通化する可能性が高い。
日本のクルマ好きとしてはすべてをトヨタが開発するのが望ましく、共通化するとしてもプラットフォームにとどめてほしいところだろう。しかし、トヨタはハイブリッドが強く、ターボを装着したスポーツ指向のエンジンはBMWが豊富だ。
新型スープラには、BMW製の2リッター直列4気筒ターボ、3リッター直列6気筒ターボをそろえる。共通化を図ったうえで、BMWの手がけるスポーツカーは高速走行を重視した安定指向、スープラが峠道やサーキットで楽しめるスポーツ指向になったら選び分けもしやすい。
後輪左右の駆動力配分を積極的に制御して、カーブを機敏に曲がるトルクベクタリングなど、先進機能も充実させる。このほか、「ヴィッツ」も発売から7年近くを経過するので、抜本的な軽量化と低燃費化を図る新たな方向性が示される可能性が高い。
次期モデルはe-POWERが搭載されるかも!?日産「ジューク」
日産は全般的に設計の古い車種が多いので、東京モーターショーでの新型車の披露を期待したい。そこで注目するのが「ジューク」である。今はSUVの人気が高く、特にコンパクトなジュークは注目だ。新型ジュークのボディサイズと外観は、現行ジュークのイメージを踏襲するだろう。現行ジュークの個性的な外観が定着しており、変えようがない面もあるからだ。
そうなると、メカニズムを刷新させる。まず「ノート」に採用されたハイブリッドシステムのe-POWERを搭載して、燃費と運転感覚の向上を図る。ジュークの先進的なコンセプトと、e-POWERは相性がよいからだ。
さらに、現行ジュークの1.6リッターターボを改善して、スポーツ指向のニーズに対応するという噂もある。
画像は、2017年7月14日に発表された北米向けの新型「アコード」
今のホンダ車は設計が全般的に新しい。従って新型の披露は少ないと思われるが、「アコード」は発売から4年が経過して、新型モデルを披露する可能性がある。ライバル車のトヨタ「カムリ」がフルモデルチェンジを受けたことも影響するだろう。
日本で販売される新型アコードは、現行アコードと同様に、2リッター直列4気筒エンジンをベースにしたハイブリッドのみを搭載する。エンジンは主に発電機の作動に使われ、駆動はモーターが担当。そのために、現行ハイブリッドLXのJC08モード燃費は31.6km/Lで、車両重量が1,580kgに達するLサイズのセダンとしては優秀だ。このシステムに、さらなる改良を加えて35km/Lをめざす。
いっぽう、北米などの海外には、2.4リッター直列4気筒、3.5リッターV型6気筒のノーマルエンジンも用意する。これは1.5リッターや2リッターのターボに変更される可能性が高い。「シビック」を見ればおわかりの通り、ホンダもターボ化を進めており、2リッターターボを搭載したアコードのスポーティーグレードを、新たに国内へ導入する可能性もある。
画像は、過去にホンダが発売していたオープンスポーツカー「S2000」
ホンダはかつて、1990年に上級車種の「NSX」、1998年にはミドルサイズの「S2000」を発売して、スポーツカーの2台体制を築いた。
今のホンダのスポーツカーにおけるラインアップは「NSX」と軽自動車の「S660」だから、ちょうどミドルサイズが抜けている。2車種の間に位置するS2000の後継モデルが登場する可能性が高い。
エンジンは「シビックタイプR」の2リッターターボを採用すると思われるが、吹け上がりが抜群に鋭い2リッターの自然吸気エンジンという可能性も皆無ではない。
画像は、ホンダが2017年8月末に正式に発表予定の新型「N-BOX」
現在のホンダ「アクティバン」は、1999年に発売された。「アクティトラック」は2009年にフルモデルチェンジを受けたが、アクティバンは変更を受けておらず、設計が古い。そこで、2017年8月末に発表予定の新型「N-BOX」をベースにした商用車に刷新する。
新型アクティバンは、ウェイクをベースに開発されたハイゼットキャディーのような、前輪駆動の商用車と考えれば良い。アクティトラックは現行型を継続する。
画像はスズキ ジムニーの現行モデル
現行ジムニーの発売は1998年だから、そろそろ新型「ジムニー」が披露されてもいい時期だ。
ジムニーは、悪路の走破性を重視する軽自動車サイズのSUVで、耐久性の高いシャシーと後輪駆動をベースにした4WD、余裕のある最低地上高が求められる。この性格が、大幅に変わることはないだろう。
現行ジムニーが搭載するターボエンジンは設計が古く、4速AT仕様のJC08モード燃費は13.6km/Lにとどまる。これは、2.5リッターエンジンを搭載するLサイズのスバル「レガシィアウトバック」を下まわる数値だ。従って、燃費性能と安全装備の面が大幅に改善される。
画像は、三菱「RVR」の現行モデル
今後の三菱は、SUVに力を入れるのは間違いない。SUVは国内、海外ともに人気のジャンルであり、さらに三菱は初代「パジェロ」を1982年に投入して以来、SUVを得意としてきたからだ。
2017年のジュネーブモーターショーで世界初公開された三菱のコンセプトカー「エクリプスクロス」
三菱は、すでにSUVのコンセプトカー「エクリプスクロス」を披露している。エクリプスクロスの全長は、ジュネーブモーターショーの参考出品車両で4,405mmと、現行「RVR」の4,355mmに近い。従って新型RVRは全長を4,250mm前後に抑えて、ボディをコンパクト化する可能性が高い。エンジンも1.5リッターターボを搭載する。ホンダ「ヴェゼル」やマツダ「CX-3」のライバル車になるわけだ。
画像はダイハツ キャストアクティバの現行モデル
今は幅広いジャンルにわたってSUVが人気を集めているが、ダイハツはSUVの品ぞろえが乏しい。車内の広さを重視した軽自動車の「キャストアクティバ」のみだ。
そこでダイハツが新たに開発するSUVは、ジムニーのような本格的なオフロードモデルではないが、スポーティーな5ドアハッチバック風のクロスオーバータイプになると予想されている。
ここまで、東京モーターショー2017で発表が噂されている新型車の情報をお届けしたが、開催までは新たな出展車の情報が次々と出てくるはずなので、追加情報がまとまり次第、続報をお届けしたいと思う。