“弾丸”試乗レポート
強化されたスマホ連携など、先進のデジタルインターフェイスの数々をアドオン

マイチェン後のVW「ゴルフ 7」試乗レポート

フォルクスワーゲンの「ゴルフ」がマイナーチェンジを実施。新しいモデルは2017年5月25日より発売されている。マイナーチェンジで変化したのは、どんなところだろうか? モータージャーナリストである鈴木ケンイチ氏がレポートする。

マイナーチェンジを受けたゴルフは、ユーザーインターフェイス、情報技術、ADAS(運転支援システム)など、主にデジタル技術が強化されている

導入4年目のマイナーチェンジを実施

現在、発売されるゴルフは、2013年に日本での発売が開始された第7世代のモデルで、通称「ゴルフ7」と呼ばれるもの。モデルを超えてプラットフォームを共有する「MQB」(モジュラー トランスバース マトリックス)という開発手法が採用されることで、商品力が大きく向上。輸入車として初めての「日本カー・オブ・ザ・イヤー」獲得をはじめ、「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」、「世界カー・オブ・ザイヤー」の3冠を達成している。長い歴史を持つゴルフシリーズでも、特に出来のよいモデルと言っていいだろう。今回のマイナーチェンジは、その日本導入から4年目に行われたものとなる。

マイナーチェンジしたとはいえ、パッと見の変更点は、ごくわずかなもの。ヘッドライトと前後バンパーのデザイン変更といった程度だ。よりシャープな印象になったヘッドライトにはLEDを採用。テールランプには、ウインカーが流れるように光るダイナミックターンインジケーターがフォルクスワーゲン車として初めて採用されている。

外見上の変更点は少ない。ヘッドライトや前後のバンパーデザインが変更されており、識別のポイントとなっている

ヘッドライトおよびテールランプがLED化された

ヘッドライトおよびテールランプがLED化された

「TSI ハイライン」には、「ゴルフトゥーラン」などで採用されているシート生地「マイクロフリースシート」が設定されている

デジタルインターフェイスの採用が最大のトピック

今回のマイナーチェンジの最大のトピックは、大胆なデジタルインターフェイスの採用だ。12.3インチのデジタルメータークラスター「アクティブ・インフォ・ディスプレイ」がTSIハイラインにオプションで用意された。メーター部すべてをディスプレイにするのは、メルセデスベンツやBMW、アウディなどプレミアムブランドのトレンドで、フォルクスワーゲンでも上位モデル「パサート」の一部に用意されていた。それを主力車種であるゴルフに、ライバルに先駆け、いち早く取り入れたのだ。

TSIハイラインのオプションとして、ディスプレイ化されたメーターである「アクティブ・インフォ・ディスプレイ」が用意された

メーターディスプレイには、左にエンジン回転計、右に速度計、中央部は地図やメニューなどが表示される。ドライバーズシートに収まって見たときの先進感は大きい。プレミアムブランドが我先に採用するのも理解できる強いインパクトだ。ただし、ディスプレイ内の情報量は多くて細かいため、老眼のある筆者にとっては、若干見づらく、もう少し表示内容を整理してもいいのでは?という思いもよぎる。

メーターとナビの2面に広いディスプレイを備えたインテリアは、今までプレミアムブランドでないと味わえなかった雰囲気だ

「アクティブ・インフォ・ディスプレイ」にはナビの画面も投影できるが、少々ごちゃごちゃした印象も否定できない。また、走行中にナビの画面が気になってしまう

また、センターパネルのインフォテイメントシステム「ディスカバープロ」も、進化したものがTSIハイラインとTSIコンフォートラインにオプションで用意された。ディスプレイ部が従来の8インチから9.2インチに拡大。スイッチはタッチスクリーンになってデザインはすっきりとしたものに。また、スクリーンの前で手を左右に振ることで、画面やメニューなどを操作できるジェスチャーコントロール機能を採用。コンパクトクラスとして、この機能を採用するのはフォルクスワーゲンのゴルフが世界初となる。実際にジェスチャーコントロールを試してみると、100%成功するわけではないし、操作可能な作業も限定的だ。しかし、画面を注視しなくても操作可能というのは助かる。これからの発展が楽しみな機能といえよう。

進化したインフォテインメントシステム「ディスカバープロ」は、画面サイズが8インチから9.2インチにひと回り大型化された。また、新たにジェスチャー操作に対応した

さらに「ディスカバープロ」は、スマートフォンを利用したオンラインサービス「フォルクスワーゲン Car-Net」の利用も可能だ。ドライバーの所有するスマートフォンを介して、フォルクスワーゲンのサーバーにアクセスし、カーナビの音声でのオンライン検索やガソリンスタンドや駐車場情報、天気予報、ニュースなどを利用できる。また、専用のスマートフォンアプリ「Volkswagen media control」を使えば、事前にカーナビの目的地を探しておいたり、グーグルのストリートビューで目的地を探すこともできるなど、コネクテッドカーとしての機能も強化されている。また、USBケーブルでスマートフォンを車両につなげば、アップル「CarPlay」や「Android Auto」といった、ITジャイアントのコネクテッド技術も、利用できる。

スマートフォンを介したコネクテッド技術も強化されており、独自の「フォルクスワーゲン Car-Net」に加えて、Car PlayやAndroid Autoを利用できる

なお、「ディスカバープロ」は、インターネット接続なしの状態でもカーナビとして使える。スマートフォンを接続することで、オンラインでの音声目的地検索ができたり
、さらなる情報を得ることもできる。もちろん使い慣れたスマートフォンのナビ機能を使うことも可能。内蔵した地図で目的地までを道案内するだけではなく、次世代のコネクテッドカーを志向している。コストに余裕のあるプレミアムブランドではなく、大衆ブランドのフォルクスワーゲンがトライするのは、非常に意欲的な姿勢だ。

ただし、意欲的で先進的だが、まだまだ取りかかったばかりの技術。洗練はこれからだ。カーナビの目的地検索は、独自の手順を守らなければならないなど、少々とっつきにくく、スマートフォンを接続したオンライン状態での音声検索が一番扱いやすかった。また、最初に「オンライン施設検索」という決め言葉を発話する必要があるなど、このシステムならではの作法が求められる。何も知らずに、適当にトライすると、「うまく使えない」という思うことだろう。つまり、しっかりと機能や手順を理解していないと使いこなせないのだ。ただし、できることが増えるほどに、ドライバーに知識を要求するのは、「ディスカバープロ」に限った話ではない。多様化して複雑になった最新機能を、いかに簡単に間違いなく操作させるか? は、どのメーカーにとっても共通の課題だ。一刻も早い解決を期待するばかりだ。

「ディスカバープロ」は、ユーザーインターフェイスに独自の作法が求められるのが気になった。使うなら事前にマニュアルに目を通しておく必要がある

安定の走りと、安心の運転支援システム

ゴルフは昔から高速走行のよさを売りにしていたクルマだ。ゴルフ7も、MQBから生まれた高いシャシー性能があり、高速走行での安定感や安心感は格別なものがある。また、静粛性の高さも美点のひとつ。1.4リッターのダウンサイジング過給エンジンは、パンチ力こそもうひとつだが、必要十分なパワーでDCTとは思えぬようなスムーズな加速を見せる。トルクフルでレスポンスのよい加速など、スポーティーな走りを志向するなら、「ゴルフGTI」や「ゴルフR」がおすすめだが、普通に走りたいというのであれば通常のTSIモデルで十分だろう。

試乗車は1.4リッターのダウンサイジング過給エンジンを搭載する「TSI ハイライン」。実用車として十分な加速を見せる

高速道路での安定感はもちろんだが、しっかりとしたボディがもたらす安心感は、低速の一般道でも実感できる

高速道路での安定感はもちろんだが、しっかりとしたボディがもたらす安心感は、低速の一般道でも実感できる

今回のマイナーチェンジでは、基本の走りはそのままに、運転支援システムのアップグレードがなされた。それが渋滞時追従支援システム「トラフィックアシスト」だ。これは文字通り、渋滞のときに前走車を追従して運転を支援するもの。アクセルとブレーキだけでなく、ステアリング操作もアシストしてくれるのだ。従来も、「ACC」(アダプティブクルーズコントロール)とステアリングアシスト付きのレーンキープ機能が備わっていたが、渋滞に巻き込まれて速度が低下すると、レーンキープ機能が解除されていた。これがマイナーチェンジによって、完全停止までステアリングアシスト可能となった。これで渋滞走行時のドライバーの疲労は大きく軽減されるだろう。また、「AEB」(衝突被害軽減自動ブレーキ)である「フロントアシスト」は、新たに歩行者検知機能を追加。安全性を高めている。

新機能「トラフィックアシスト」は、渋滞時のアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を完全停止するまでアシストしてくれる

衝突被害軽減自動ブレーキには、新たに歩行者検知機能が追加された

衝突被害軽減自動ブレーキには、新たに歩行者検知機能が追加された

ゴルフ7のマイナーチェンジは、走る/曲がる/止まるという基本性能はそのままに、最新のデジタルインターフェイスと運転支援システムを追加するという内容であった。そもそも評価の高いクルマが、さらに新しく意欲的な装備をプラス。このクラスのハッチバック車としては、トップクラスの魅力を維持していると言っていいだろう。

定評のある走りの安定感はそのままに、インフォテインメントや運転支援機能が高められた新型ゴルフ7。定番ハッチバックの地位は新しいゴルフでも健在といえよう

鈴木ケンイチ

鈴木ケンイチ

新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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