新製品レポート
電気で動く乗り物の未来が変わるかも!?

台湾で電動スクーターのシェアNo.1のGogoroと住友商事がシェアリングサービスを始動!

このエントリーをはてなブックマークに追加

台湾で電動スクーターと交換式バッテリーの充電ステーションを展開するGogoro(ゴゴロ)社と住友商事が戦略的パートナーシップを締結し、日本国内で新たなサービスを開始するという。2017年9月28日に行われた発表会の全容をレポートする。

Gogoro社が展開する“交換式”電動スクーターとは?

台湾は人口約2,200万人ながら、スクーターの保有台数は1,600万台という2輪大国。その中で電動スクーターの割合は約5%あり、その内の92%をGogoro社が占めている。Gogoro社が台湾でリリースしている電動スクーターは、アルミボディを採用したハイエンドモデル「Gogoro 1」と、ステンレス製のフレームを用いた「Gogoro 2」の2モデルで、どちらもバッテリーが交換式なのが大きな特徴。バッテリーを取り外して交換できる電動スクーターは他メーカーからもリリースされているが、Gogoroシリーズとは充電方法が異なる。Gogoroシリーズはバッテリー単体や車体に搭載した状態では充電できず、バッテリー用の充電ステーション「GoStation」で充電や交換を行うのだ。しかも、その場で充電待ちする必要はない。充電ステーションには充電済みのバッテリーが用意されているので、そのバッテリーと残量がなくなったバッテリーを交換する。そのため、作業にかかる時間は抜き差しの数十秒。充電ステーションは台湾内に412か所設置されており、コンビニエンスストアなどアクセスのよい場所にも展開されているので、“充電ステーション難民”になる心配もないという。

フラッグシップモデル「Gogoro 1」の車体はコンパクトで、細かい部分の作りも高級感がある。価格は10万8000台湾ドル

ミドルエンドモデル「Gogoro 2」は日本でいうところの125ccクラスにあたり、2人乗りも可能。価格は7万8000台湾ドル

バッテリーは、ノートパソコンなどに使用されているパナソニック製のリチウムイオン電池「18650」を自社でスタック化。2つ搭載されており、交換は2つ同時に行う。満充電で約110km走行できる

台湾ではコンビニエンスストアにも充電ステーション「GoStation」が設置されている

台湾ではコンビニエンスストアにも充電ステーション「GoStation」が設置されている

車体からバッテリーを取り外し、充電ステーションにある「充電済み」のバッテリーと交換するだけで完了。2つのバッテリーの交換にかかる時間はわずか30秒ほどだという

なお、充電ステーションにセットしたバッテリーはその場で充電される。充電には約2時間かかるとのこと

なお、充電ステーションにセットしたバッテリーはその場で充電される。充電には約2時間かかるとのこと

日本での展開は?

バイクに限らず電気で動く乗り物の課題は、走行可能距離の短さと充電時間の長さだと言われている。台湾のように充電ステーションの整備が進めば電動バイクの普及が大きく伸張するかもしれないが、現状、日本国内では充電ステーションの数を一気に増やすことはむずかしいため、残念ながらGogoroシリーズはリリースされない。この状況を今すぐ変えることはハードルが高いが、Gogoro社がパートナー企業とドイツやフランスで行っている「シェアリングサービス」を住友商事が展開する。

シェアリングサービスは各国で若干内容が異なるが、すでにサービス開始から1年以上経過したドイツ・ベルリンでは、1,000台が導入され、多くのユーザーが交換式スタイルを体験。基本的に乗り捨てができるようになっており、ユーザーはスマートフォンの専用アプリで周囲にあるシェアリング可能なスクーターを検索して予約する。このようなサービスを住友商事は、まず今年度中に、沖縄県・石垣島でスタートさせるという。

詳細は未定だが、島内の4か所に充電ステーションの設置が決定しており、その内1つは太陽光発電を利用したシステムになるとのこと

画面はデモのため今後変更される可能性はあるが、専用アプリではスクーターの充電状況も確認できるので、走行してすぐにバッテリー切れという事態も避けられる。また、充電ステーションもアプリで検索可能

石垣島で行われるシェアリングサービスの料金や返却方法など、詳細はまだ決まっていないが、石垣島のような離島はガソリンを運ぶコストがかかるため、電気で動く乗りモノのほうがランニングコストを抑えられ、排気ガスが出ないので自然環境を守ることにもつながる。近年、観光客の増加にともない駐車場不足が深刻化している石垣島にとっては、このシェアリングサービスは好適といえるのではないだろうか。

発表会で、Gogoro社CEO ホレイス・リーク氏は「我々はスクーターメーカーでもバッテリーメーカーでもない。エネルギー・ネットワークを提供する会社だ」ということを強調していた。たしかに、この交換式バッテリーのネットワークが広がれば、Gogoro社のスクーターだけでなく、その他メーカーの電動バイクや電気自動車、さらにはバッテリーで駆動する電化製品にも応用できるだろう。

住友商事 モビリティサービス事業部 緒方剛副部長は「この事業はオープンプラットフォームで進めるので、このバッテリーを使いたいというメーカーは大歓迎」と門戸を広げた姿勢をアピール

バッテリー交換式の乗り物については、2010年にベタープレイスという会社が都内でバッテリー交換式タクシーの実証実験を行なったことがあった。しかし、バッテリー交換式のクルマが広がらなかったこともあり、2013年に会社自体が解散。先に交換式バッテリーの標準化と充電ステーションの整備を進め、それを利用する製品やメーカーの輪を広げていくGogoro社と住友商事のやり方は、ベタープレイスの方法とは一線を画するもの。その輪が広がることを期待したい。

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
ページトップへ戻る