東京モーターショー2017レポート:バイク編

「東京モーターショー2017」は二輪が熱い! 注目の技術やモデルを厳選レポート

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モーターショーの主役は四輪というイメージが強いが、プレスデーで見てきた印象としては、今年は特に二輪が熱い! 展示点数こそ四輪にはおよばないものの、これから市販されるモデルも、未来を提案するコンセプトモデルも興味をそそられるものばかり。これから始まる一般入公開の前に、その見どころを紹介しよう。

「東京モーターショー2017」の一般公開日は2017年10月28日〜11月5日

【ホンダ】新型カブや自立するモデルなど見どころいっぱい!

二輪としては異例ともいえる広いスペースを占領していた「スーパーカブ」。つい先日、世界での累計生産台数が1億台を突破したという類を見ない大記録を打ち立て、同時に新型モデルも発表するなど、非常に注目度が高い車種だけに多くの来場者が足を止めていた。

展示されていたのは、2017年11月10日に発売される新型「スーパーカブ50」と「スーパーカブ110」、その後の投入が予想される「クロスカブ110」。新型はモデルチェンジを果たし、ヘッドライトが再び、旧来からのイメージに近い丸目となった。光源をLEDとし、小さなサイズでも十分な明るさを得られるようになったことが要因だが、この変化を喜んでいるファンは多いはずだ。このほか、生産累計1億台と2018年に誕生60周年を迎えることを記念して制作された「スーパーカブ110 1億台記念車」、少し排気量の大きい125ccエンジンを搭載したコンセプトモデル「スーパーカブ C125」、歴代のスーパーカブシリーズも陳列されていた。

左から「スーパーカブ50」、「スーパーカブ110」、「クロスカブ110」。壇上にあるのが「スーパーカブ110 1億台記念車だ

「スーパーカブ110 1億台記念車」はモーターショー用に特別製作されたもの。旧いモデルでは金属だったフェンダーなどはプラスチックとなったが、塗装によって金属っぽい質感になっている

「スーパーカブ」の歴代モデルの中でも、重要な意味を持つ6モデルが一堂に会した。初号機はもちろん、クロスカブの原点となった“ハンターカブ”と呼ばれるモデルなど、見ごたえあり!

2人乗りができる北米向けの輸出モデル。現地でホンダの広告にも使用され、同社の北米での躍進のきっかけとなった

初期型スーパーカブ「C100」。赤いレザーのシートとブルー系の車体色の組み合わせは今見てもかっこいい!

初期型スーパーカブ「C100」。赤いレザーのシートとブルー系の車体色の組み合わせは今見てもかっこいい!

ホンダブースで、もうひとつ注目を集めていたのは、先頃生産を終了した「モンキー」のイメージを踏襲した参考出品モデル「モンキー125」。排気量アップにともない車体もサイズアップしているが、小さなタンクとボリュームのあるシートのコンビネーションは確かにモンキーだ。エンジンや車体は同社の「グロム」をベースとしていると思われるが、モンキーのイメージを再現したデザインにはグッとくる人も多いはず。参考出品ということだが、市販されてもおかしくない完成度で、新世代のモンキーとして登場してくれることが待ち望まれる。

「モンキー125」は単体で見ると従来のモンキーと同じようなデザインにまとまっているが、ホイール径は12インチにアップしており、横に並べるとモンキー125のほうが1.5倍ほど大きくなるという

そして、国内市場では好調な売上を記録している原付二種クラス(51〜124cc)のスクーターにも期待の新モデルが投入される。「PCX」をベースとした「PCX HYBRID(ハイブリッド)」と「PCX ELECTRIC(エレクトリック)」だ。どちらも2018年中に日本を含むアジア地域で発売を予定している。

まず、「PCX HYBRID」から見ていこう。「PCX」の125ccエンジンにモーターのアシストを加えた、4輪の世界であれば“マイルド・ハイブリッド”と呼ばれる1モーターのシステムを搭載。小排気量の低回転トルクの薄さを補うためにモーターを活用したシステムで、このクラスのスクーターにありがちな加速の遅れがなく、ダイレクトな加速感が味わえるとのこと。燃費を向上させるためのハイブリッドというより、走りの楽しさをアップさせるために採用したという部分に期待が高まる。

ハイブリッドシステムを搭載し、走りの楽しさを増した「PCX HYBRID」

ハイブリッドシステムを搭載し、走りの楽しさを増した「PCX HYBRID」

いっぽう、電動バイクの「PCX ELECTRIC」は着脱可能なバッテリーを搭載しており、バッテリーを差し替えて使えば充電を待たずにフルチャージの状態にできるのがポイント。先頃発表されたシェアリングサービスで導入されるGogoro社の電動バイクと同じようなシステムだが、「PCX ELECTRIC」は車体に直接プラグインで充電することも可能。家庭用の100V電源で充電できるところも、大きな魅力といえる。

スイングアームとモーターが一体となったスクーターらしい車体構成の「PCX ELECTRIC」

スイングアームとモーターが一体となったスクーターらしい車体構成の「PCX ELECTRIC」

少し先の未来を提案するコンセプトモデルとして期待されるのは、「ASIMO」に代表されるホンダのロボティクス研究で培ったバランス制御技術を2輪車に応用した実験車「Honda Riding Assist-e(ホンダ・ライディング・アシスト・イー)」だ。

二輪は基本的に自立することができず、低速走行時に不安定になりやすい欠点を持つが、「Honda Riding Assist-e」はみずからバランスを取る機構を搭載しているため、自立が可能となっている。実はこの技術、2017年1月に開催された「CES」で初公開されているのだが、日本国内では初お目見え。CESではガソリンエンジンを搭載したバイクでデモが行われたが、今回は電動モーターを採用したマシンに組み合わせられていた。機構としては、低速走行時にはフロントフォークの角度が変動して安定性重視のジオメトリーとなり、ハンドルを左右に微妙に切ることでバランスを保つ。アシスト機構はステアリング周りに集中しており、動力などには影響しないので、多様なバイクに装備することができるという。ASIMOの技術を使っていると言っても高価なパーツは使用しておらず、時期は未定だが市販車に搭載することを視野に開発を進めているとのこと。

電動に生まれ変わった「Honda Riding Assist-e」。写真はフロントフォークの角度が寝て、安定性を増した状態

自立するためにバランスを取る機構は、フロントフォークの前側と後ろ側(ガソリンタンクがある部分の内側)に集約されている

このほかにも、世界初公開となる「Neo Sports Cafe Concept(ネオ・スポーツ・カフェ・コンセプト)」というコンセプトモデル、2018年4月発売予定の大排気量ツーリングモデル「ゴールドウィング」と「ゴールドウィング ツアー」なども出展されていた。

ネイキッドタイプの車体ながら、スポーツライディングが可能な「Neo Sports Cafe Concept」。ライトにLEDを採用するなど、近未来的なイメージに仕上げられている

「Neo Sports Cafe Concept」を後ろから見ると、シート周りがコンパクトにまとめられ、そこにテールランプなどが埋め込まれていることがわかる。欧州などに多い「ストリートファイタ−」と呼ばれるカスタムジャンルでよく使われる手法だ

新開発の水平対向6気筒エンジンを搭載した「ゴールドウィング ツアー」。自動で変速を行う7速のDCTを装備している

【ヤマハ】自律走行や3輪など、未来のカタチを精力的に展開!

今回のモーターショーでは自立する二輪が開催前から話題となっていたが、出展していたのは前述のホンダとこれから紹介するヤマハだ。「人とマシンが共鳴するパーソナルモビリティ」を目指し「UNLEASHED PROTOTYPE(常識からの解放)」をコンセプトに開発された、コンセプトモデル「MOTOROiD(モトロイド)」は、かなりおもしろい。「MOTOROiD」は知能化技術を用いており、バイクを人が直接操作しなくても生きているかのように自律走行する。

「MOTOROiD」は自立だけでなく、前進やバックなども人が乗らずに行える

「MOTOROiD」は自立だけでなく、前進やバックなども人が乗らずに行える

自律走行のデモがプレスカンファレンスで披露された(下の動画参照)。ヤマハ発動機株式会社 代表取締役社長の柳 弘之氏が声とジェスチャーで呼ぶと、サイドスタンドで立てられていた「MOTOROiD」がみずから起き上がり、柳氏のもとへ! 実はステージに少し角度が付いているため、みずからバランスを取りながら走行している。ハンドルでバランスを取るホンダ「Honda Riding Assist-e」に対し、「MOTOROiD」は車体を前後逆にひねるような動きをして自立を保っており、なかなかユニーク。途中で横から押された際も、車体をよじるようにしてバランスを立て直し、まるで生き物のようだ。

なお、「MOTOROiD」はほかの出展車両とは異なり、かなり使い込まれており、「どうしたのかな?」と不思議に思っていたら、実験車両だという。ヤマハが特許を取得している「車体をねじってバランスを保つ技術」を活用するための実験車両として製造され、前進や後退の際のハンドリング制御、ヒューマンインターフェイスの検証など、さまざまなテストに貢献してきたマシンなのだ。ヤマハが本気で“未来のバイク”の形を検証しているのだということが伝わってくる。

スタンドを立てた状態から自立に移行する際には、スイングアームピボットを軸に大きく車体がねじれる。なお、動力は電力

さまざまな検証をこなすため、シートは個性的な形となっている

さまざまな検証をこなすため、シートは個性的な形となっている

フロント部分に搭載されたカメラが搭載で持ち主の顔を認識したり、ジェスチャーによる指示を受け取ったりする

リアサスペンションはスイングアームの下に沿わせるように配置され、スッキリした見た目を実現

リアサスペンションはスイングアームの下に沿わせるように配置され、スッキリした見た目を実現

まだ、未来技術は終わらない! 2015年に開催されたモーターショーで展示されていた「MOTOBOT Ver.1」が「Ver.2」となって出展されていた。マシンをロボティクス技術で制御するのではなく、人型を模したロボット「MOTOBOT」が、スロットルやブレーキを操作してバイクを操るというもの。バイク側には一切仕掛けが施されていないのが特徴だ。前回お披露目された際には「MOTOBOT」がバイクを操っていることがわかる程度だったが(それでも十分すごいこと!)、2年の間に進化し、時速200kmでの走行も実現。契約ライダーであるバレンティーノ・ロッシを超える速度で走行することを目標に、今後も精度を高めていくという。

「YZF-R1」にまたがっているのが「MOTOBOT Ver.2」。「Ver.1」の時よりもシャープな見た目になっている

「YZF-R1」にまたがっているのが「MOTOBOT Ver.2」。「Ver.1」の時よりもシャープな見た目になっている

アクセルやブレーキ操作も、人間と同じように「MOTOBOT Ver.2」が行う

アクセルやブレーキ操作も、人間と同じように「MOTOBOT Ver.2」が行う

次は、市販に向けてヤマハが力を入れているマシンを紹介。ヤマハは前が2輪になった3輪のスクーター「TRICITY(トリシティ)」(125ccと150cc)をリリースしているが、今後は排気量の大きなバイクや、それ以外の乗り物に幅を広げていく展望だとのこと。そんな将来を見据えて出展されていたのが、同社の「MT-09」に搭載される水冷3気筒エンジンを装備した排気量845ccの「NIKEN(ナイケン)」。フロントが2輪となることで安定感が増すことはもちろんだが、グリップが増すことで独特のキレがあるハンドリングとなり、これはベテランライダーであってもハマる魅力があるという。「TRICITY」は街乗りでの利便性と安心感を高めるために、前2輪の3輪システム「リーニング・マルチ・ホイール(LMW)」を採用していたが、「NIKEN」ではハンドリングの楽しさを実現するためにLMW機構を用いているのがおもしろい。

フロントタイヤは15インチ×2で、片側2本ずつとなったタンデム・倒立式フロントサスペンションにより、迫力のある見た目となっている。まだコンセプトモデルではあるが、市販を前提に開発が進められており、2018年中を目処に製品化したいという

ほかにもLMW機構を採用したコンセプトモデルとして、電動の立ち乗り小型モビリティ「TRITOWN(トリタウン)」、前後2輪でリーンする4輪車「MWC‐4(エムダブリュシー フォー)」を出展。「TRITOWN」に実際人が乗って走りまわっている様子を見たが、かなり楽しそう。法規的にどのクラスに属するのかなど詳細は未定とのことだが、早く乗ってみたいと思える出来栄えだった。

コンパクトなボディに電動モーターを組み込んだ「TRITOWN」。車体構成からすると、「セグウェイ」のように限られた敷地内の移動などに使うのが適しているのかもしれない

4輪ながら車体を傾けて曲がるという2輪車的な発想で作られた「MWC-4」。動力には、発電用のエンジンを搭載したシリー式ハイブリッドを採用している

【カワサキ】往年の名モデルの雰囲気を残した世界初公開マシンの数々

カワサキブースの主役は、このモーターショーが世界初公開となる「Z900RS」だろう。同社には「Z1」「Z2」などを中心とした「Zシリーズ」という世界中で高い人気を博する往年の名モデルがあり、そのイメージをうまく生かし、現代の技術で車体やエンジンを作り直したのが「Z900RS」。“ネオレトロ”や“ネオクラシック”と呼ばれる流れに属するモデルとなる。すでに市販も決定しており、2017年12月1日に発売予定。価格は133万円前後となる見込みだという。

往年の「Z1」、「Z2」と同じカラーリングをまとった「Z900RS」。最新のスペックを搭載し、性能を高めただけでなく、排気音にもチューニングを施したという。エンジンは水冷の4気筒で、排気量は948cc。最高出力は82kW(111PS)、最大トルクは98Nmと発表されている

往年の「Zシリーズ」の人気が衰えない理由のひとつは、カスタムパーツが世界中で数多くリリースされていることにある。多くのユーザーが思い思いのカスタムを施し、自分だけの「Z」に仕上げている。Z系のパーツだけで一大市場を形成しているような状況だ。そんな流れを理解してか、「Z900RS」はカスタムショップによって手が加えられたモデルも同時に公開。中央にノーマルの「Z900RS」を配置し、その両脇にカスタムモデルが並ぶ展示スタイルとなっていた。

両サイドに展示されたカスタムマシン。カラーリングだけでなくホイールやブレーキといった足回り、マフラーなども変更されている。それでいて、往年の「Z」の雰囲気を残している手法はたまらない!

こちらも「Z900RS」のカスタムマシンだが、フロントフォークなどサスペンションも入れ替えられ、よりパフォーマンスを重視した仕上がりとなっている

そのほかにも250ccクラスで高い人気を博し、このクラスを再燃させた立役者である「Ninja 250」の新型モデルや、その兄貴分にあたる「Ninja 400」も世界初公開された。「Ninja 250」はエンジン、フレームなどすべてを刷新。大きく軽量化を果たしたこともあり、取り回しやハンドリングが軽快になっているという。いっぽう、「Ninja 400」は車体の基本設計は「Ninja 250」と共通ながら、エンジンを399ccに拡大し、よりパワフルな走りを味わえるようにしている。スポーツバイクが欲しいけれど、250ccでは非力だから……と感じていたユーザーには待望の選択肢が登場したと言えるのではないだろうか。どちらも2018年の春頃を目標に発売される見込みだ。

よりシャープな印象となった「Ninja 250」。フレームまで一新したことで軽快な走りを実現している

よりシャープな印象となった「Ninja 250」。フレームまで一新したことで軽快な走りを実現している

新たに登場した「Ninja 400」は「Ninja 250」と共通の車体に排気量を拡大したエンジンを搭載しているので、より過激な乗り味となるのは間違いない

【スズキ】スポーツ性を感じさせる初披露モデルに期待が高まる!

スズキブースでも注目を集めていたのは、世界初公開の「SV650X」だ。現行の「SV650 ABS」をベースにコンパクトなビキニカウルを装着し、最近のネイキッドマシンではめずらしいセパレートタイプのハンドルを装備した「SV650X」は、全体にクラシックなカフェレーサー的な雰囲気に仕上げた“ネオレトロ”に属する。

ビキニカウルや低めのハンドル、タックロールタイプと呼ばれるシートを装備し、カフェレーサー的な雰囲気に仕上げられた「SV650X」。評価の高い645ccのV型2気筒エンジンを搭載している

そして、125ccスクーター「Swish(スウィッシュ)」も世界初披露。販売好調な原付二種クラスに投入された新顔だが、なかなかスタイリングもかっこよく、収納スペースも広いので人気が高まりそうだ。同スペースに展示されていた125ccクラスのスポーツモデル「GSX-R 125」も、なかなかの盛況っぷり。最近ではこうした小排気量のスポーツモデルでも手を抜かずに作り込んだモデルが人気だが、スズキはやや後発となっただけにスポーツ性を高めているようで、期待が高まる。

カウルの全面に大きくレイアウトされたLEDライトを装備した「Swish」は塗装の質感もよく、人気が出そう

カウルの全面に大きくレイアウトされたLEDライトを装備した「Swish」は塗装の質感もよく、人気が出そう

80年代からスズキのレーサーレプリカモデルの代名詞であった「GSX-R」の名を冠した125ccモデル「GSX-R 125」。カラーリングもGPマシンに準じたものとされている

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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2017.12.10 更新
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