レビュー

スバル 新型レガシィアウトバック 1200km試乗/雪を求めて“飛騨高山”往復試乗

古い町並みは「飛騨の小京都」。魅力的な城下町の高山を観光

高山は、非常に魅力的な城下町だ。それほど広くはないので、街を歩いて回ることもできる。高山グリーンホテルから、“古い町並み”と呼ばれる、江戸時代の面影を残す高山の中心市街地までは20分ほどで、アップダウンもないことから散歩には最適だ。なお、高山で人気の「宮川朝市」は、冬は8時から開催されており、地元の野菜や特産品を買うにはもってこいだろう。

スバル「レガシィアウトバック」高山の城下町にて撮影

スバル「レガシィアウトバック」高山の城下町にて撮影

高山市街地には酒蔵が多く、そのほとんどで試飲ができる。なので、もし読者の皆さんが日本酒を好まれるなら、ホテルにクルマを置いて出かけることをおすすめしたい。

酒が美味しい、つまり水が美味しいところには、味噌や醤油が美味しいところが多いものだ。ここ高山でも、古い町並みから山側へ上がった高山市図書館煥章館(高山市近代文学館)の近くに老舗の味噌屋があり、絶品の味噌と醤油を手に入れることができた。

高山は城下町なので、どうしても道は狭くなる。そこでレガシィアウトバックを走らせると、視界のよさが際立ってくる。車高が若干高いこともあり、見晴らしはよく、かつ5.5mという最小回転半径の数値以上に小回りがきく印象で、レガシィアウトバックは狭い路地にもスイスイと入っていくことができる。

市街地でスバル「レガシィアウトバック」を走らせると、アクセルの“ツキのよさ”が気になってしまう

市街地でスバル「レガシィアウトバック」を走らせると、アクセルの“ツキのよさ”が気になってしまう

そこで、ひとつ気になることがあった。それは、アクセルとCVTの関係だ。高速道路では、比較的リニアな印象があったのだが、街中では、アクセルを踏んだ瞬間に一気に加速しようとするので、発進時は非常に気になった。CVT特有の、エンジン回転数が上がってから徐々に速度が追いつくという悪しきイメージを感じさせないという意図はわかるのだが、これは少々やりすぎだ。クルマの性格もあるので、もう少しおだやかな反応を望みたい。

もうひとつ、CVTとの相性で気になるところがあった。40〜60km/hくらいで、一定速度で走行後、アクセルをオフ、直後にほんのわずかだけアクセルを踏み込むと、まるでスイッチをオン、オフしたように、ぎくしゃくした動きをすることがあった。

早朝からクルマの撮影をしつつ、時々駐車場に止めて、街を散策するなどした結果、燃費は8km/L台となった。AWDであることや、ストップアンドゴーが多いことを考えると、妥当な数値といえるだろう。

高山愛にあふれた「高山グリーンホテル」

飛騨高山温泉 高山グリーンホテルの外観

飛騨高山温泉 高山グリーンホテルの外観

高山グリーンホテル内の庭園露天風呂

高山グリーンホテル内の庭園露天風呂

今回宿泊した「飛騨高山温泉 高山グリーンホテル」は、昭和47年に創業し、客室数は200を超える大型ホテルだ。高山グリーンホテルは、温泉が湧き出ており、その泉質は弱アルカリ性低張性低温泉。pH値は8.2と高いため、美人の湯といわれている。大浴場には露天風呂も併設されており、夜になってやっとはらはらと降り出した雪を楽しみながら、東京から500km走らせてきた疲れを癒すことができた。

女性にはうれしい浴衣と帯が選べるサービスも

女性にはうれしい浴衣と帯が選べるサービスも

ちなみに、ホテルには浴衣が用意されているが、女性にはお好みで複数のバリエーションの浴衣と帯を選べるプランが用意されているのはうれしいサービスだろう。

写真は高山グリーンホテルの朝食。さまざまな地元の食材が使われている「飛騨のプレミア和朝食」だ

写真は高山グリーンホテルの朝食。さまざまな地元の食材が使われている「飛騨のプレミア和朝食」だ

旅先では、食事も楽しみのひとつだ。ホテルには和食、ステーキ&欧風創作、中華、バイキングなど4つのレストランがあり、それぞれ特徴のある料理を提供している。今回は夕食、朝食ともに和食の「緑亭」を選択した。地元の食材や富山の新鮮な魚、そして、飛騨牛など、ひとつひとつとてもていねいな仕事をしたものを美味しくいただいた。

高山グリーンホテル 取締役営業推進本部長の笠木哲さん

高山グリーンホテル 取締役営業推進本部長の笠木哲さん

「すべての料理で地産地消は、ボリューム的にはできませんが、たとえば土鍋で炊いた朝ごはんなどは、和仁農園さんのお米です。実は、野菜と同じでお米も寒暖の差が激しいほど、甘くておいしいお米ができるのです。和仁農園さんはそこにこだわり、寒くなるのを待ってから刈り取ります。なので、この田んぼだけずっと稲が残っているんです」と説明してくれたのは、高山グリーンホテル 取締役営業推進本部長の笠木哲さん。

そのほかにも「トマト畑しかない地区の寺田農園、庄兵衛さんのとまじゅうなど、美味しいものがたくさんあるので、できる限りのことはすべてやろうとしています」と語る。

実はこのホテル、旅行業も行っているという。「地元のプロのガイドを雇って、白川郷や上高地を主力にしています」と笠木さん。白川郷は観光地なので、さまざまなツアーが世にあふれており、なかには40分ほどの自由時間で、好きに見て戻るというツアーもあるという。

写真は「白川郷・五箇山の合掌造り集落」

写真は「白川郷・五箇山の合掌造り集落」

しかし、「白川郷のすごさは、合掌造りの集落があるから世界遺産になったのではなく、そこに住んでいる人がいるということで世界遺産になったことです。そこで私たちは、自然と共生して生きてきた知恵などをガイドが説明します。さらに、代表的な家屋にも入って、どういう暮らしをしているのかをじっくり見てもらうのです。そうすると2時間ぐらいは絶対にかかってしまいます」と述べる。

白川郷の合掌造りの家屋を撮影

白川郷の合掌造りの家屋を撮影

そういった説明の中には、家の向きがすべて同じ方向に向いている理由や、屋根の傾斜でその家の使用人や住んでいる家族の多さがわかることなど、興味深い内容も含まれている。ちなみに、こっそりそれぞれの回答をお教えすると、家の向きは豪雪地帯なので、すべての屋根に均等に太陽があたり、少しでも雪が溶けるようにするため。屋根の傾斜は、明治時代末期までは屋根裏で養蚕を行っていた。そういった大きな家ほど大家族や使用人とともに住んでいたので、当然居住空間を確保するために屋根の傾斜は平たくなる。すると雪は落ちずに積もってしまうが、人手があるのできちんと雪下ろしができるのだ。いっぽう、傾斜がきつくなれば居住スペースは小さくなる代わりに、自分で手入れができるサイズになるのだとか。

こういったツアーを積極的に組んでいる理由について笠木さんは、「お客様に喜んでもらって、高山の滞在期間を少しでも長く、連泊してもらえれば」と話す。そうすることで、少しでも高山について知ってもらい、愛着を持ってほしい、そして、再び高山へ訪れてもらいたいという気持ちからなのだ。

このような愛情は、ホテルスタッフが自分の足で調べた手書きマップなどにも表れており、そこには耳寄りな情報が盛りだくさんだ。笠木さんは「今の時代は、主観でのおすすめが大事だと感じています。万人が求めて行くところではなく、地元の人が本当にここがいい、行列ができなくてもここが本当は美味しいというところをどんどん伝えていきたいですね」と楽しそうに語っていた。常にこういった情報は更新されていくだろうから、もし、高山グリーンホテルに宿泊する機会があったなら、ぜひ、スタッフを捕まえて、美味しいお店や、隠れた名店を聞き出してみてほしい。

高山グリーンホテル併設の「高山おみやげ商店街 飛騨物産館」

高山グリーンホテル併設の「高山おみやげ商店街 飛騨物産館」

そうそう、この2月からホテルに併設している物産館がリニューアルオープンしている。ここでは、高山の名産品が一堂に会しているので、お土産に困ったら訪れてみるといいだろう。

https://www.takayama-gh.com/index.html

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