レビュー
世界累計1,400万台を販売したコンパクトハッチがさらに進化!

VW 新型ポロ 国内初試乗!1L3気筒ターボとMQBの実力を検証

8年ぶりにフルモデルチェンジしたフォルクスワーゲン「ポロ」が、日本にも導入された。

新型ポロは、1リッター3気筒ターボエンジンに7速DSGが組み合わされ、装備仕様の差で3グレード展開となる。価格は209万8000円から。

VW 新型「ポロ」のイメージ

VW 新型ポロのイメージ

【VW 新型ポロのグレードラインアップと価格】
Polo TSI Trendline:2,098,000円
Polo TSI Comfortline:2,299,000円
Polo TSI Highline:2,650,000円

【VW 新型ポロの主なスペック】
全長×全幅×全高:4,060×1,750×1,450mm/ホイールベース:2,550mm/車重:1,160kg/最小回転半径:5.1m/JC08モード燃費:19.1km/L/エンジン:直列3気筒DOHCインタークーラー付ターボ(4バルブ)/総排気量:999cc/最高出力:70kW(95PS)5,000rpm〜5,500rpm/最大トルク:175N・m(17.9kg・m)2,000rpm〜3,500rpm/トランスミッション:7速DSG/燃料タンク容量:40L/使用タイヤサイズ:185/65R15(Trendline・Comfortline)195/55R16(Highline)

新型ポロにおける最大のポイントは「MQBの採用」

初代ポロは1975年に登場し、以降ポロシリーズは全世界で1400万台以上が販売された。ポロは、これまでワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、世界でも成功したコンパクトカーのひとつと言っても過言ではない。

日本市場においては、1996年より本格的な導入が開始されて以来、コンパクトなボディサイズや、安全性、デザイン性、そして取り回しのよさなどが高く評価され、シリーズ累計で25万台以上が販売されている。

VW 新型「ポロ」のイメージ

VW 新型「ポロ」のイメージ

今回登場した6代目となる新型ポロの最大のポイントは、フォルクスワーゲングループのモジュラー戦略「MQB」を採用したことにある。

フォルクスワーゲングループは、車種ラインアップにおける設計を標準化するため、主要コンポーネントのモジュラー化を進め、開発、生産効率の向上を図った。これにより、部品や主要技術の共有化、最高水準の強度確保が可能となっている。さらに、MQBはホイールベースやフロントのオーバーハングの拡大や縮小が可能なので、自由度の高いデザイン設計ができる利点がある。

また、主要技術の共有化という点においても、同社の「パサート」や「アルテオン」など、上級モデルに装備されている先進安全装備を搭載することも可能となった。

このMQBは、「ゴルフ」「ゴルフ トゥーラン」「パサート」「ティグアン」「アルテオン」に続いて6モデル目の採用となる。つまり、これまでMQBが採用されてきた車種は、すべてポロよりも上級車である。特にアルテオンといった同社のフラッグシップモデルと同様のプラットフォームがコンパクトカーであるポロに採用されていることは、このクルマの評価に大きくつながることなので、ぜひ覚えておいてほしい。

VW ワーゲン 新型「ポロ」のフロントイメージ

フォルクスVW 新型「ポロ」のフロントイメージ

VW 新型「ポロ」のリアイメージ

VW 新型「ポロ」のリアイメージ

VW 新型ポロの気になるボディサイズは、全長4,060mm、全幅1,750mm、全高1,450mm、ホイールベースは2,550mm。先代よりも、全長と全幅はそれぞれ65mm大きくなり、全幅は20mm低くなり、ホイールベースは80mm長くなった。

VW 新型ポロのラゲッジルーム

VW 新型ポロのラゲッジルーム

ボディサイズの拡大により、居住性及びラゲッジスペースの収納力が大きく向上(先代の280リッターから新型では351リッターへ)しているという。

VW 新型ポロ 1リッター3気筒ターボエンジン

VW 新型ポロ 1リッター3気筒ターボエンジン

VW 新型ポロのメーター

VW 新型ポロのメーター

新型ポロに搭載される、1リッター3気筒ターボエンジンの最高出力は、70kW(95ps)/5,000〜5,500rpm、最大トルクは175N・m(17.9kg・m)/2,000rpm〜3,500rpmを発生。先代ポロの1.2リッター4気筒ターボエンジンの66kW(90ps)/4,400〜5,400rpm、160Nm(16.3kg・m)/1,400〜3,500rpmと比べると、出力、トルクともに向上し、かつ少し高回転側に振られたエンジンであることがわかる。

同セグメントではベストと断言できるほど、しっかりした「ボディ」

VW 新型ポロのシフトノブ

VW 新型ポロのシフトノブ

前置きが長くなってしまったが、早速走り出してみよう。シフトレバーの右前にあるスターターボタンを押すと、3気筒エンジンは“普通に”目覚めた。あえて普通に、と書いたのは、3気筒独特の音や振動が感じられなかったからだ。

助手席側に寄っているサイドブレーキを解除してゆっくりと駐車場から走り始めた第一印象は、足回りが非常にしなやかで、ボディがしっかりとしているということだ。この印象は、試乗が終わるまで変わらない。詳細は後述するが、このセグメントではベストと断言したい出来であった。

VW 新型ポロ 試乗走行/ドライバー:内田俊一氏

VW 新型ポロ 試乗走行/ドライバー:内田俊一氏

一般道に出て、上り坂やワンディングを試してみる。低速でのステアリングは軽いものの、ある程度の速度域になればしっかりとした手応えになり安心感がある。コーナリング時においても、舵角は一発で決まるので安定した走りを楽しめる。

1リッター3気筒ターボは「必要にして十分」

気になる3気筒エンジンだが、これは十分満足できる仕上がりだった。4,000rpmを超えるくらいで、やっと3気筒独特の音がわずかに伝わってくるが、指摘されなければわからないレベルだ。また、中速以上のレスポンスはドライバーの意思を忠実に反映し、思い通りの加速性能を手に入れることができる。

VW 新型ポロ 試乗走行/ドライバー:内田俊一氏

VW 新型ポロ 試乗走行/ドライバー:内田俊一氏

街中では、2,000rpmも回らないあたりで次々とシフトアップしていくが、それほど力不足は感じない。また、加速したいときにはアクセルを踏み込めば、7速DSGは適切なギアにシフトダウンし、必要にして十分なパワーを手に入れられる。

VW 新型ポロ 試乗走行/ドライバー:内田俊一氏

VW 新型ポロ 試乗走行/ドライバー:内田俊一氏

いっぽう、停車時や坂道からの発進は少々物足りない。この原因は、より高回転になったエンジンと、アクセルレスポンスにある。発進時はあえてアクセルレスポンスを鈍くしており、思ったよりも踏み込まないと想定した加速が手に入れられないので、物足りない思いをしてしまったのだ。

しかし、これにはある仮定が想像される。今回は短時間(70分)の試乗ということで、走りそのものを観察していた。つまり、ドライブに出かけたときの、出発時のテンションと考えてもらえばいい。そのドライブの帰り、出先で遊んで疲れて、渋滞に巻き込まれたとき、アクセルワークは出発時と一緒だろうか。少しは雑になっていないだろうか。もしかしたらそこまで想定して、あえて初期反応を鈍く、中速域以上はリニアに設定している可能性もあるのだ。この辺りは、実際に長距離試乗して、いずれレポートしてみたい。

「MQB」で絶品の乗り味に

VW 新型ポロのフロントシート

VW 新型ポロのフロントシート

新型ポロの最大の魅力は、乗り心地だ。若干硬めではあるものの、しっとりとしたもので同クラスのコンパクトカーでは味わえない素晴らしいものだった。

また、サスペンションストロークも十分に取られ、すぐれた乗り心地を提供してくれる。少し身構えるような段差でも、さらっと受け流してしまうほど懐の深い足回りなのだ。NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)も、驚くほど抑えられている。実はこの試乗では、腰を痛め振動に敏感になっている編集部員も同行したのだが、彼から見ても、腰に負担がこない快適な乗り心地が高い評価となっていたことを付け加えておきたい。

VW 新型ポロのリアシート

VW 新型ポロのリアシート

これは、フロントシートだけではなく、リアシートにおいても同様だ。バックレストには若干圧迫感を覚えるが、それを除けば道路上の段差や凸凹、荒れた路面もほとんど意識せず、快適に乗車することができた。特に、リアシートはタイヤハウスがすぐ脇にあるにもかかわらず、しっかりとロードノイズが遮断されているのは特筆に値する。

これらを生み出したのは、MQBの成果である。アルテオンまで想定して開発されていることから、新型ポロでは十分以上、言い方を変えれば“過剰品質”といえるほどに余裕がある。ボディ全体やサスペンションの取り付け部、ステアリング周りに高い剛性を十分に確保できているのだ。その結果、足回りのセッティングに余裕を持たせ、クラスを超えた快適性を備えることに成功したのである。

細部では気になるところはあるものの……

VW 新型ポロのフロントイメージ

VW 新型ポロのフロントイメージ

細部に関しても、わかった範囲で述べておこう。ボディサイズが大きくなったことで、これまで4.9mだった最小回転半径が5.1mmと拡大してしまった。そして、新型ポロを実際に運転すると、この数値以上に小回りが効かない印象があった。

フロントシートは、サイズ的にはちょうどいいのだが、シートを上下させた時に前側は変わらずにお尻側だけが持ち上がるので、最適なポジションが取りにくいことがある。

VW 新型ポロのインパネ

VW 新型ポロのインパネ

また、装備関連は必要十分だが、せめて助手席やリアシートに「アシストグリップ」は装備してほしい。特にポロの場合、ボディがしっかりしている分、ワインディングなどで楽しく走れてしまうので、やはり同乗者のためにも欲しいところだ。

天井中央部にはルームランプが配されるが、残念ながら天井部分がふにゃふにゃして質感が非常に低いのは残念だった。さらに、これは他のVW車にも共通なのだが、ナビが非常に使いにくく、さらなる使いやすさの追求をお願いしたいところだ。そうすれば、より長距離ドライブが楽になることだろう。

VW 新型ポロのイメージ

VW 新型ポロのイメージ

8代目となる新型ポロは、MQBを手に入れたことで大きく進化した。特に、乗り心地はクラスを超えたものだ。これが209万8,000円で手に入るのは驚きに近く、まさしくフォルクスワーゲンが標榜する「バリューフォーマネー」の典型となる1台であろう。

もし、貴方がこのセグメント、あるいはもうひとつ上のセグメントのクルマを検討しているならば、ショッピングリストに載せて間違いないクルマの1台だ。

VW 新型ポロ フォトギャラリー

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内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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