レビュー
ソフトトップのような軽やかさを身につけたRF

ロードスターRF 改良モデル“速”試乗/2Lエンジン改良で高められたレッドゾーンが“イイ”

マツダは、常に最新の技術をすべての車種ラインアップに対して積極的に投入しており、そのため頻繁に商品改良が実施されている。それは、同社のオープンスポーツカー「ロードスター」も例外ではない。

伊豆 修善寺で開催されたロードスター・ロードスターRF改良モデルのクローズド試乗会。今回の注目は、2リッターエンジンに改良が施されてレッドゾーンや最高出力などが高められたロードスターRFだ。

2018年6月7日(木)、4代目の「ロードスター」(ソフトトップモデル)と「ロードスターRF」(ハードトップモデル)へ2回目の改良が施された。その正式発表前に、一部ジャーナリスト向けに改良モデルのクローズド試乗会が催されたので、その様子をレポートしたい。

ロードスターは2シーターオープンの立役者

改良モデルを試乗する前に、ロードスターとはどんなクルマなのか、そして今回の改良ポイントはどこなのかについて説明しておこう。

1989年にデビューしたマツダ 初代「ロードスター」

1989年にデビューしたマツダ 初代「ロードスター」

初代ロードスターは1989年にデビュー。当時、2シーターのライトウエイトオープンスポーツカーはほぼ絶滅種であったが、このロードスターにより市場が活性化。コンパクトなボディとほどよいパワー、そして何より車重の軽さからくるきびきびとしたハンドリングが好評で、特にヨーロッパではこのクルマに影響され、次々とニューモデルが登場するほどになった。

ロードスターについて、マツダ商品本部ロードスター開発担当主査兼チーフデザイナーの中山雅さんは「ライトウェイトスポーツの星をめざして、一貫して開発してきたクルマです。マツダの中ではブランドアイコンとして使うように、マツダ全体の考えを表現するクルマでもあります」と位置付ける。

4代目「ロードスター」。画像は発表会会場にて撮影

4代目「ロードスター」。画像は発表会会場にて撮影

4代目ロードスターは、2015年に販売を開始。翌2016年には電動格納式ルーフを備えたロードスターRFが導入された。また、昨年2017年には、東京モーターショーでレッドトップと呼ばれる特別限定車が発表され、2018年に今回の商品改良が実施された。

このロードスターの開発には2つの軸が設けられた。ひとつは“ものづくり”だ。中山さんは、「お客様の想定を常に超えていかなければなりません。そして、お客様の想定は常にレベルアップしていきます。その想定を超えたところに初めて感動があるのです」と語る。

そして、もうひとつは“ことづくり”だ。「ことづくりは、続けることによって文化になっていきます。単純にこの2つの方向でロードスターを作っていきたいのです。ものに関しては感動できるかどうか、ことに関しては文化貢献と言えるかどうか。これらを我々のクライテリア(判断基準)にして、クルマを作っていくのです」と定義づけた。

ロードスターRFの2リッターエンジンが大幅改良

「ロードスターRF」改良後の2リッターエンジン

「ロードスターRF」改良後の2リッターエンジン

今回の改良に関しては、大きく4つのポイントがある。まずはエンジンの進化だ。

「人馬一体感を高めたエンジンと呼んでいます。現行車も我々は自信を持っていますが、いくつか改善したいと思っているところがありました。そこで、ロードスターRFに搭載されている2リッターエンジンのトルクカーブを変更し、トルク全体を太らせています。またレブリミットを約1,000rpmアップさせました」と中山さん。

左が改良後、右は改良前のロードスターRFのメーター。改良後はレッドゾーンに入る回転数が高められている

左が改良後、右は改良前のロードスターRFのメーター。改良後はレッドゾーンに入る回転数が高められている

たとえば、トルクの谷がある部分を埋めるようにして、全域で大きなトルクカーブを描くようにしたことや、低回転、中回転、高回転のそれぞれの領域すべてでトルクをアップさせたのだ。その結果、低回転においては市街地でのストップ・アンド・ゴー時に、より扱いやすいエンジンになった。中回転域ではトルクの谷がなくなり、気持ちよくシフトアップダウンを繰り返しながら自分のリズムで走れるようになっている。そして、高回転域では最高回転数を700rpm高め7,500rpmのレッドゾーンまで気持ちよく回るようになったという。

そのほかにも実用燃費領域の改善や、より緻密な制御によるアクセルレスポンスの向上などで、“走る楽しさ”と“環境性能”を両立させている。また、実際の出力やトルクもこれまでの「158ps/200Nm」から、「184ps/205Nm」へとアップした。

「ロードスターRF」の排気音には改良が施されており、よりコントローラブルであることを感じられる排気音となっている

さらに、排気音に関しても手が加えられた。ロードスターRFに施されたこの改良は、800ヘルツ以上の高周波ノイズを除去しながら100〜200ヘルツの音を調律し、低中速域の音圧を高めているという。

これは、アクセルをちょっと踏んで戻したりしたときに音圧の落差を大きくすることで、サイレンサーのサウンドからもアクセルをコントロールしているという雰囲気が伝わってくるようにしたもの。これにより、一体感を持って走っているような感覚を持つことができるという。

また、ロードスターもロードスターRF同様、アクセルレスポンスの向上とともに実用域の燃費を向上させ、出力、トルクともわずかではあるがアップさせており、より軽快な走りを実現している。

新たな内装色や安全性の向上も

「ロードスター」の内装をスポーツタンへ変更すると、ソフトトップはブラウンの「キャラメルトップ」が設定される

次に、カラーコーディネーションだ。内装にスポーツタンと呼ばれる明るいタンのカラーが追加された。ソフトトップでこの内装色を選ぶと、ブラウンの幌の限定車“キャラメルトップ”が設定される。これは、2018年12月24日までの期間限定。中山さんは、「茶色い幌とタンの内装がまるでカスタードプリンのようなイメージなので、ニックネームはキャラメルトップです」と楽しそうだ。

次に、安全面に関して。ロードスターには、前方の車両と歩行者を検知し、衝突の回避または被害軽減を図る「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート」が採用された。また、リアバンパーに設置した超音波センサーにより、後方の障害物を検知。後退時の衝突の回避、または被害軽減を図る「スマート・シティ・ブレーキ・サポート」(後退時)、そして、アクセルとブレーキの踏み間違いやシフトレバーの入れ間違いによる急加速を抑える「AT誤発進抑制制御」が採用されており、特に安全運転支援機能が充実していることを示す「サポカーSワイド」に該当している。

使い勝手に関しては、ロードスターとして初となる「テレスコピック機能」が追加され、より最適なドライビングポジションをとることができるようになった。

700rpm高まったレッドゾーンは有効

それでは、さっそく走り出してみよう。今回は、伊豆の修善寺にあるサイクルスポーツセンターにおけるクローズド試乗だ。ロードスターRFのATとMT、それぞれの改良前と後とのモデル、合計4台を20分ずつ試乗した。

限定的な場所であることや試乗時間が短いことから、第1印象でのレポートであること、また、改良後の新型に関してはプロトタイプであることをお断りしておきたい。

「ロードスターRF」試乗イメージ

「ロードスターRF」試乗イメージ

最初に乗ったのは、ロードスターRFのAT改良型だ。さっそく電動ハードトップを格納してオープンエアで走り出してみると、ボディのゆるさが感じられる。これは当然のことで、そういったことを気にしていてはオープンモデルには乗れないし、そこが気になるのであれば閉じてしまえばいいだけのこと。ハードトップを閉じれば、しっかりとした剛性感を得ることができる。

「ロードスターRF」試乗イメージ

「ロードスターRF」試乗イメージ

今回も、途中から排気音を観察したかったことからハードトップを閉じて走り回ったのだが、ボディのゆるさは感じられなかったことからも、ハードトップがボディ剛性に大きく貢献していることがわかる。

エンジンレスポンスは非常によく、トルクがフラットになったことから伸びやかな感じがより強調され、今回の改良が有効に働いていることがよくわかる。また、テレスコピックがついたことにより、好みのドライブポジションが取りやすくなったというメリットはとても大きい。特に、ワインディングを走り回るときにはより運転しやすくなっている。

「ロードスターRF」試乗イメージ

「ロードスターRF」試乗イメージ

今回の改良で、レッドゾーンが6,800rpmから7,500rpmへアップしたのは、ワインディングを走るうえでとてもメリットが大きい。具体的には、レッドゾーンが高くなったので、それまでシフトアップしていたところをシフトアップせずにコーナーへと進入することができる。その結果、より自分のリズムで走ることができた。

次に乗ったのがATの改良前モデルなのだが、2車を比較すると、改良後はより澄んだ排気音で、高回転までストレスなく回り切る印象を受ける。いっぽう、改良前は若干ざらついて、より野太い音だった。しかし、力強い音という点では改良前のほうがその印象は強い。つまり、これは好みの問題と言えるだろう。

より軽快に、ロードスターの軽やかさに近づいた「RF」

「ロードスターRF」試乗イメージ

「ロードスターRF」試乗イメージ

次に、MTの改良前後のモデルに乗り換えると、今回の改良ポイントがよりダイレクトに感じられた。まず、改良後はエンジンがレッドゾーンまで乾いた音で気持ちよく回っていく。さらに、アクセルを踏んだ瞬間にエンジンの付きのよさ、つまり、加速体制に入るまでのラグがはるかに短くなっているのが感じられる。

「ロードスターRF」試乗イメージ

「ロードスターRF」試乗イメージ

その結果、コーナーからの立ち上がりはもとより、車線を変更しての追い越しや高速への合流など、これまで以上に意のままに操ることができるようになった。また、エンジンそのものも軽く回り、レッドゾーンまでパワー、トルクともしっかりと出ている印象で、気持ちよくエンジンを使い切ることができる。

「ロードスターRF」試乗イメージ

「ロードスターRF」試乗イメージ

つまり、1つひとつの改良が特化することなく、調和されている印象なのだ。それが全体としての軽快感に結びついていると言えるだろう。

「ロードスターRF」外観イメージ

「ロードスターRF」外観イメージ

2016年、ロードスターRFはハードトップ採用による+20kgという重量増もあり、1.5リッターではなく2リッターエンジンを搭載してデビューした。ロードスターRFのジャーナリスト向け試乗会は夜の都心で行われるなど、500ccプラスされたエンジンの余裕から、ゆったりとした走りが意識されていたのは間違いない。そういう背景もあって、ロードスターは操る楽しさという側面からMTで、ロードスターRFはゆったりとクルージングできるATをおすすめしたいと考えていた。

しかし、今回の改良によって、ロードスターRFはきびきびとした走りを旨とする1.5リッターを搭載するソフトトップに近いポジションへと移行した。開発サイドとしては、ハードトップモデルであろうとも、よりきびきびとした走りを堪能できるようにしたかったのだろう。そういうことから、今回の試乗では同じロードスターRFでもMTのほうがよりダイレクトに楽しみが感じられ、かつ、前述のとおり今回の改良が顕著に感じられたことから、MTもATと同様におすすめしたい。

ロードスターとロードスターRFのどちらも、あふれんばかりのパワーで振り回すような走行ではなく、手のひら感覚、十分に御せるような走りを堪能することができる。

よりひらひらと軽量感を楽しめるのは、やはりソフトトップのロードスターだが、約1時間サイクルスポーツセンターでロードスターRFと戯れた後、爽快感とともに残った印象は、“あ〜楽しかった”。これが、ロードスターのすべてを物語っていると思う。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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