レビュー

雪上試乗でわかった!新型「デリカD:5」驚くべき走行性能の進化

G-Powerパッケージをベースにカスタマイズするのがおすすめ

三菱 新型「デリカD:5」の外観イメージ

三菱 新型「デリカD:5」の外観イメージ

魅力満載の新型デリカD:5だが、マイナーチェンジ前モデルのガソリン車も併売される。理由としては価格が安く、手に届きやすいモデルとして残しておきたいという営業上の理由があるようだ。

そして新型だが、狙い目はD:5の「G-Powerパッケージ」(408万2,400円)をベースに考えるのがいいだろう。デリカD:5には、G-Powerパッケージの上に最上位モデルとなる“P”が存在する。その価格差は、13万3,920円。Pには、先進安全装備であるBSMやRCTA(後退時車両検知警報システム)が標準装備されるが、G-Powerパッケージでも4万8,600円でメーカーオプション装着が可能だ。先進安全装備は全グレード標準装備にしてほしいのが本音だが、これを選択しそのほかのディーラーオプションなどに予算を回すというやり方もありだろう。

シートは7、8人乗りから選べるが(エントリーグレードのMは8人乗りのみ)家族構成や使用目的に合わせて選べばいいだろう。ただし、7人乗りの2列目(キャプテンシート)の気持ちよさは、ぜひディーラーなどで実際に座って体感してみてほしい。

これは注目! 用品の隠し球がすごすぎる

三菱 新型「デリカD:5」には、3層構造によってすぐれた吸音、遮音性能を発揮する新設計のフロアマットが用意されている(ディーラーオプション)。フロントシートからラゲッジルームまで、室内の全フロアがカバーされ、隅々まで敷き詰められることでデリカD:5の静粛性能をさらに高めてくれる

前述のAVナビゲーションだけでなく、ディーラーオプションで驚きの商品を見つけたのでご紹介しよう。それが「フロアマット」である。なんだ、フロアマットかよ、と言うことなかれ。この商品、実はマット自体に吸音、遮音材が組み込まれた3層構造になっている。これによって、100km/h走行時の騒音レベルが何と1.2dB(1dB下げるのは実は大変)も低減できるという。価格は9万7,178円(工賃込み)とそれなりに値は張るが、車両購入後にもし「もう少し、静粛性を高めたいな」と感じたら、後から購入してもいいだろう。

フルモデルチェンジ並みという言葉がうらめしい

三菱 新型「デリカD:5」の雪上走行イメージ

三菱 新型「デリカD:5」の雪上走行イメージ

本来であれば、フルモデルチェンジさせたかった。これが、三菱技術陣の本音である。しかし、同社の経営状態や開発に回せるリソース(開発費など)を考えると、お金より技術と知恵でレベルアップすることが正しい道と判断したのだろう。

それにしても、マイナーチェンジと言うにはもったいない、それでいてフルモデルチェンジでもない。「フルモデルチェンジ並み」という表現はバランスとしては悪くないが、個人的には住宅用語である「フルリフォーム」という感覚に近い。骨格だけを残し、中身を大きく入れ替えることでまったく新しい住まいを作り上げるのが「フルリフォーム」だが、新型デリカD:5はまさに骨格だけ残して大刷新を行った。このクルマを所有することで、新しいライフスタイルが構築できる可能性も大きい。それだけ入魂、かつ仕上がりのいいクルマに生まれ変わっている。

軽快さが際立つエクリプスクロス、緻密とも言えるアウトランダーPHEVの走りを雪上で味わう

今回の雪上試乗会にはデリカD:5のほかに、「エクリプスクロス」と「アウトランダーPHEV」も試乗する機会に恵まれた。

前述した座学によれば、エクリプスクロスは電子制御カップリングによる前後トルク配分はデリカD:5と同じ考え方だが、左右間のトルクベクタリングをブレーキAYCで行っているという。この方式は、減速時や横Gが発生する場合でも作動領域が広く、現在の三菱車におけるメインのシステムとして採用されているという。

いっぽう、頭ではわかっていても、「すごい!」とうなったのがアウトランダーPHEVだ。前後間のドライブシャフトを持たない“ツインモーター4WD”は、前述した左右間のトルクベクタリングの作動領域がエクリプスクロスより広く、モーターを前後に配置することでほぼ全域でトルクを自由にコントロールすることができるとのこと。

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

実際試乗してみた印象では、まずエクリプスクロスはオンロードで感じていた軽快さを雪上でも味わうことができる。グリップ自体も常時しっかり効いており安定性も十分担保されている。

三菱「アウトランダーPHEV」の雪上走行イメージ

三菱「アウトランダーPHEV」の雪上走行イメージ

そして、アウトランダーPHEVである。結論から言えば、素直に走りやすい。実際、ツインモーター4WDがどのように動いているかはメーター内にあるディスプレイを見るしか方法はないのだが(凝視するのはNG)、そんなことを気にせずにコーナーを走り抜けることができる。特に、EV状態で走ると感覚的にも顕著で、滑らかな加減速フィールを味わうことができた。

今回、3台を試乗して感じたのは、基本的には三菱の4WD車には1本筋が通っているということだ。クルマ任せでは決してない、それでいて走る楽しみもキープしながら安全性もしっかり担保されている。個人的には、アウトランダーPHEVの緻密な制御がかなり気に入っているが、いずれも車種にマッチングする最適なシステムが組み込まれていることは間違いないだろう。

高山正寛
Writer
高山正寛
ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。1959年生まれ。リクルートで中古車情報誌「カーセンサー」の新車&カーAV記事を担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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