レビュー
ボディサイズからエンジン特性まで、VWらしいあつかいやすさ

あまりの乗りやすさに驚き! 自然体で付き合えるVWの新型SUV「T-Roc」

フォルクスワーゲングループジャパン(以下、VGJ)は、新型クロスオーバーSUV「T-Roc」の日本導入を開始した。わずかな時間ではあるが、試乗する機会が得られたのでレポートしよう。

日本の道路にジャストサイズな「T-Roc」

フォルクスワーゲンの新型クロスオーバー「T-Roc」。都会的でスタイリッシュなエクステリアが特徴的で、フォルクスワーゲンの生産モジュール「MQB」の採用によって、取り回しのしやすいボディサイズと広い室内空間を両立している。なお、(記事掲載時点の)日本仕様のパワートレインは、クリーンディーゼルエンジンの「2.0TDIエンジン」に「7速DSG」を組み合わせたモデルのみとなっている

フォルクスワーゲンの新型クロスオーバー「T-Roc」。都会的でスタイリッシュなエクステリアが特徴的で、フォルクスワーゲンの生産モジュール「MQB」の採用によって、取り回しのしやすいボディサイズと広い室内空間を両立している。なお、(記事掲載時点の)日本仕様のパワートレインは、クリーンディーゼルエンジンの「2.0TDIエンジン」に「7速DSG」を組み合わせたモデルのみとなっている

T-Rocの製品画像
フォルクスワーゲン
3.44
(レビュー17人・クチコミ32件)
新車価格:410〜459万円 (中古車:295〜430万円
フォルクスワーゲンが販売するスタイリッシュな都会派SUV

「T-Rocの使命は、新型車であることに加えて、フォルクスワーゲンが掲げるSUV攻勢のラインアップを完成させることでもあります」と紹介するのは、VGJの代表取締役社長であるティル・シェア氏だ。フォルクスワーゲンがグローバルで掲げているSUV攻勢とは、「MQBプラットフォーム」と呼ばれるフォルクスワーゲンの生産モジュールに基づいたSUVシリーズの展開のことを示している。日本では、2017年に発売された「ティグアン」に始まり、第二弾の「T-Cross」と続き、今回の「T-Roc」で完成するという。

フォルクスワーゲン「ティグアン」

フォルクスワーゲン「ティグアン」

フォルクスワーゲン「T-Cross」

フォルクスワーゲン「T-Cross」

ティグアンやT-Cross、T-Rocなどが属するB、CセグメントのコンパクトSUV市場は、「日本の交通環境での使用に適しているために人気が高く、日本のSUVマーケット全体の約4分の3を占めています。VGJでは、これらSUV3姉妹により、SUVシリーズをハッチバックとともに、ビジネスの“二本柱”として確立していきます」と、シェア社長は意気込んでいる。

ここで、T-Rocの概要について、少し語っておこう。シェア社長によると、「T-Rocは、ダイナミックで多彩なSUVの長所と、コンパクトで俊敏なハッチバック(=ゴルフ)の長所を組み合わせた、コンパクトなクロスオーバーモデルです」とコメントする。

T-Rocの特徴は、大きく4つ。まずひとつめは、スポーティーで都会的な印象を醸し出すエクステリアデザインだ。ヘッドライトと一体化された、ラジエーターグリル。そして、横幅が強調されたフロントバンパーには、特徴的なLEDデイタイムランニングライトが組み込まれている。さらに、大型エアインテークとアンダーボディーガード、ディフューザーなどによって、SUVらしい力強さが表現されている。クロームトリムで強調されたロングルーフと流麗なサイドシルエットはクーペを思わせる造形で、(意外にも)フォルクスワーゲンのSUVファミリーで初採用となるツートンカラーが、全高を実際よりも低く見せる効果を生み出している。

次に、T-Rocのボディサイズは、全長4,240mm、全幅1,825mm、全高1,590mmと、取り回しのしやすい大きさであることも特徴的だ。「ジャストサイズ。つまり、日本の道に理想的なサイズです」と、シェア社長は語る。さらに、充実したスペースなどの使い勝手のよさも特徴だ。これはMQBプラットフォームを採用することによって、「コンパクトなエクステリアと、充実したスペースのインテリアを両立させているのです」と、シェア社長は述べる。

そして、最後の特徴は走りについてだ。搭載されている2.0 TDI(ディーゼルターボ)エンジンは、最高出力110kW(150PS)、最大トルク340Nmを発揮し、7速DSGが組み合わせられている。燃費値は、WLTCモードで18.6km/Lと、良好な値となっている。

そのほか、安全装備も充実しており、先行車を完全停止状態まで自動追従して走行する「アダプティブクルーズコントロール"ACC"(全車速追従機能付)」、「プリクラッシュブレーキシステム"Front Assist"(歩行者検知対応シティエマージェンシーブレーキ機能付)」などが標準装備されている。

■フォルクスワーゲン「T-Roc」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
TDI Style Design Package:4,049,000円
TDI Sport:4,189,000円
TDI R-Line:4,529,000円

日本に導入されているT-Rocは、エクステリアや装備の違いによって3グレードが展開されている。ルーフを、ブラックとホワイトの2色から選べるTDI Style Design Package。18インチのアルミホイールやレッドのアンビエントライトなど、スポーティーな内外装が特徴的なTDI Sportは、オプションでレザーシートを選ぶことも可能だ。そして、TDI R-Lineは専用バンパーと大径アルミホイールによってドレスアップされ、さらにアダプティブシャシーコントロールによって乗り心地の調整が可能となっている。

シンプルだが、飽きの来ないデザイン

では、今回試乗するクルマをご紹介しよう。グレードはスタイルデザインパッケージで、ルーフは白。ボディ色は、ラヴェンナブルーメタリックのツートーン。この組み合わせは、派手過ぎず地味過ぎずと、T-Rocの個性に合っていると感じた。デザインも、きつい言い方をすれば新鮮味は感じられないものの、作り込みは精緻で、飽きの来ないデザインと言えよう。しかし、今後のデザイントレンドは“線ではなく、面で勝負”する時代を迎えると思うので、そういった点では、特にリアフェンダー周りに少々ノイズが感じられるようにも思える。

シートに座ってドアを閉めると、しっかりとした閉まり音とともに、ボディの立て付けのよさが感じられる。シフトレバー右前にあるスタート・ストップボタンを押して、TDIエンジンを始動させると、わずかにステアリングに振動を感じさせながらエンジンが目覚める。この振動は、アイドリング時においてのみ感じられるもので、走り始めてしまえばそういった気になる振動はまったくない。

アクセルの違和感のなさや車幅のつかみやすさなど、自然体で運転できるクルマ

試乗車が置いてある駐車場は狭く、左右はぎっしりとクルマが並び、前側にもクルマが止まっている並列駐車状態だった。ふだんからさまざまなクルマに乗り慣れてはいるものの、初めて運転するクルマでいきなり狭いところから抜け出す際には、いつもかなり気を遣う。だが、T-Rocは車高が高くて見晴らしがよく、ボンネットの隅もつかみやすいので、それほど緊張もなくするすると抜け出すことができたことは印象的だった。

一般道へ出て、少しアクセルペダルを多めに踏み込んでみる。ディーゼルエンジンは非常にトルクフルで、かつアクセルレスポンスの初期応答性が比較的穏やかにしつけけられていることに好感が持てる。初期応答性が高いと、大きなトルクがいきなり生まれるので、思った以上に急発進になりやすいのだが、T-Rocではそれがないので、初めて乗っていきなりアクセルを踏み込んだとしても、さほど違和感なく走らせることができるだろう。

また、車幅、特に左側がつかみやすいことが、運転のしやすさに貢献している。ダッシュボードが低いことも相まって、左の白線をきれいにトレースすることができるのだ。狭い道でのすれ違いなどでも自信を持って左に寄せることができ、1,825mmという車幅の数値よりも、コンパクトなクルマを操っているかのような気持ちにさせられたほどだった。

乗り心地は穏やかで、ブリヂストン「TURANZA」の 215/55R17というサイズのタイヤを履いていることもあって、比較的角のない乗り心地が味わえ、長距離においてもとても快適そうな印象を受けた。いっぽう、少々荒れた路面ではタイヤがバタつく印象がともなうが、辟易するほどではなく許容範囲と言えそうだ。おそらく、これがスポーツグレードなどに採用している215/50R18や225/40R19サイズであれば、このバタつき感は少し強調されるかもしれない。少なくとも、今回の試乗車にかぎって言えば、バタついてもしっかりとタイヤは路面をとらえており、高速道路などでの直進安定性においても非常に高かったことを付け加えておきたい。

インテリアは質感が高いが、派手な加飾パネルは少々じゃまになることも

インテリアに目を向けると、フォルクスワーゲンのいずれとも同じレイアウトの景色が広がっている。基本的には非常に質感は高く、スイッチ類の触感も安っぽさは感じない。また、センターのスクリーンでさまざまな操作を行うが、空調に関しては独立した物理スイッチになっていて、とても好ましい。なぜなら、ブラインドタッチで操作が可能だからだ。

ただ、インパネ周りはグレードによってボディカラーが加飾パネルとして採用されており、今回の試乗車は青のメタリック調のものが貼られていた。たしかに、一見するととてもよさそうなのだが、実際に運転すると光が反射するので、少々目障りであった。

フォルクスワーゲンとは、ドイツ語で「国民車」を意味する。すなわち、ビートルをはじめゴルフなど、誰が乗っても満足して安心して乗ることができるクルマこそがフォルクスワーゲンの本質でもある。その視点で考えると、T-Rocはまさにフォルクスワーゲンであり、すべての面において過不足なく、ドライバーをはじめとした乗員全員を満足させてくれるクルマだろう。たしかに、突出した特徴は持ち合わせていないものの、だからこそクルマから常に訴えかけて来ることはないので、気軽に自然体で付き合うことができる。つまり、道具として末永く付き合っていける、それこそがT-Rocの最大の魅力なのだろう。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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T-Rocの製品画像
フォルクスワーゲン
3.44
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新車価格:410〜459万円 (中古車:295〜430万円
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